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「笑い方を教えて──」
機械(かのじょ)が人間(ぼく)に、そうお願いしたのが全ての始まり。
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1 僕と機械(かのじょ)と笑わない街
「 シアーズ国家専務特攻部 特務部隊隊員 」
そんな肩書きを持つ僕の名前はアシュラン・レイシェルと言う。
しかし、僕が「アシュラン」と呼ばれる事は無い。
なぜなら、何を思ったのか父がシアーズ国で悪神とされている「阿修羅」を名前に入れたからだ。
そう言う訳で、僕は隊の同僚からは「アレイ」や「ラン」などと言う、それぞれに個性的な呼ばれ方をしている。
そのため新しく隊に入って来た新人は いくつもの名前で呼ばれる僕を見て「同僚にさえ全員違う偽名を教えるなんて……この先輩、すごいっ!!」と勝手に思うらしい。
まぁ、そんなことはどうでもいいけど。
そんな僕が今何をしているのかと言うと、任されていた“南部反対勢力鎮圧”の任務を終えたので「特務部隊隊長」クルエ・サーヴァントまで報告に行っているのだ。
2年前にわずか27歳の若さでこの位に就任したクルエは噂によれば「女だから」というだけの理由で特務部隊の隊長に留まらされたが、本当は特攻部の副総裁まで務まるほどの実力の持ち主であるそうだ。
そして、同僚がその噂をしていた時に横を通りかかったクルエは
「全く、生きにくい世の中だよな」
と言って「俺……ここ、やめようかな……」と悩んでいたシバの頭をガシガシと撫でて行ったそうだ。
ちなみにそのシバは最近、生気が戻ったようにやる気を取り戻して、任務をバリバリこなしているらしい。
……いい上司に恵まれたな、とアシュラン的には思っている。
と、そんなことをつらつらと考えている内に長官室の前まで辿り着いた。
それから「コンコン、コココン」のリズムでドアをノックして、あまり言いたくないが「アシュランです」と名乗る。
数秒後に「どうぞ」と言う老年男性の声と共に開いた扉を抜け、僕はクルエの机の前まで進んだ。
「レイシェルか。用件は」
「任務の報告に参りました」
「・・・・・・“南部反対勢力鎮圧”か。規定は6日で8から11か…よし。数は」
「武装47、平民51でした」
「相手は」
「73で降参、指揮者ロッツを館牢獄へ送還しました」
「何人殺った」
「誰も」
「ふむ、相変わらず完璧な仕事だな。助かった、下がって良いぞ
……と言いたい所なのだがな」
凛とした顔つきに一度は微笑を浮かべたものの、クルエはすぐそれを消し 顎の下で腕を組んだ。
「任務帰りで休んでもらいたいのは山々なんだが、レイシェル宛の仕事だ。ウェィブ」
クルエに「白」の名で呼ばれた隊長付秘書の老年男性は、僕の前に薄い封筒を置いた。
そしてクルエが「開けろ」と目線で指示したので、僕は厳重に封をされたその封筒の頭を破った。
中から出て来たのは一枚の白い紙。
書かれていたのはたったの一文。
「“MOX迎撃型 RA2”を保護しろ」
それだけ。
僕はもちろん意味が分からなかったので、クルエに目線を移した。
「残念だが、私にさえほとんど情報が来ていない任務だ。
また“MOX迎撃型 RA2”は北部郊外地スワロフ倉庫に保管されている…私から、これ以外の他言は一切禁じられている」
そしてクルエは再び、硬い表情に微笑を浮かべた。
「まぁ、無理をしない程度に頑張ってくれ。期待しているぞ」
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──正直、やりたくなかった。
わざわざ特務部隊隊員の僕を名指しした上、クルエさえ把握しきれない極秘任務。
そして“MOX迎撃型 RA2”と言う名称。
迎撃型などと言うのだから機械類であるはずだ。
それを「極秘」に「保護」しろ……そこから予想すると「他国攻撃用の新兵器」しか浮かんでこなかった。
……正直、かなりやりたくなかった。
「おぅっ、アルじゃん!久し振りだな~1週間ぶりぐらいか?」
とりあえず出発の準備をするため隊から与えられている部屋へ向かっていると、廊下で丁度同僚に出くわした。
「…何だ、カイエル」
「んー?いや、特にお前はすぐにいなくなるからなぁ。会える内に声掛けとこうと思ってさ♪」
普段から妙にテンションの高いこの男の名はカイエルと言い、僕の隣の隣の部屋を与えられている。隊の中ではそれほど珍しくもない、孤児院出身の者だ。
「任務帰りなんだろ?お疲れさんっしばらくはゆっくり休めよ~」
人懐っこい笑顔で僕の身を案じるカイエルは、この特務部隊の事務要員である。
どこの隊もこんな感じらしいが、僕のような戦闘要員は普段任務で出払っており、一緒に仕事をするヤツや部屋が近いヤツなど 同じ部隊の中でも少数の人としか面識がない。
それに比べて事務要員はいつもこの「本部」と呼ばれる支部局にいるので、いろんな人と面識があるのだ。そのため、採用基準には愛想や話術の評価もある……らしい。
「あぁ…そうしたいが、新しい任務が入って今からまた出発しないといけない」
「えっマジでかよ!?お前、前の任務も一人で行かされたんだろ?
うっわぁ~何かアル、隊長に気に入られてるみたいだな~……どんまい!」
カイエルはそう言って、笑顔で僕の肩を叩いた。
「ぉ前…隊長に気に入られたってのに“どんまい”はないだろ……」
「何だアル、冗談なんだからそこは笑うトコだろー?人生笑顔が一番、そんな仏頂面しててもいい事ないぜ?」
そう言いながらカイエルは両手を広げ、肩をすくめるポーズをした。
「…そうか……だが、僕は別にこれで困ってないから、放っておいてくれ。じゃぁカイエル、またな」
冷たい…とよく言われるし、自分でも分かっている。だが、これが僕の生まれつきの性格で、別段カイエルみたいになる必要性も感じない。
だから、こんな事を言ってくれるカイエルには悪いが…僕は一生このままなんだろう。
文中に出てくる
「白、という名で呼ばれるクルエ付きの老年男性」・・・
クルエは「ウェィブ」と呼んでたから、「波という名」じゃない?
と思った人がいると思いますが、実は「ウェィブ」はフランス語なんです。つづり忘れたけど(ぉい)
ぅん、今日やっと「書いとかないと分かんないよな」と気づきました。すぃませんー
最終更新:2008年08月18日 18:07