アットウィキロゴ

0.神様


「目覚めなさい──」
どっかのゲームの始めで、何か偉い人が言うようなセリフがした。
 ──とりあえず、まだ眠いので無視。
「─…起きなさい」
次にどっかのアニメで無口な姉が、義弟に言うようなセリフがした。
 ──今何時だと思ってんの。8時じゃん。私の活動時間は11時からなのよ?ってことで無視。
「…朝ごはん抜きますよー」
今度はどっかの漫画の中で、お母さんが起きない息子に言うようなセリフがした。
 ──朝ご飯がない!?それは大変だ、起きよう。
「ん…ふぁぁ~っ」
目に涙をためて欠伸をしながら、私はのろのろと体を起こした。
「…やっと起きましたね。私の優し~いモーニングコールで起きるのを渋ったのはあなたで2人目ですよ?まったく…」
それからう~んと伸びをしたら意識がハッキリしてきて、私はある重大な事に気付いた。
 ──私、妖精だからご飯ないじゃん。
   ……騙されたっ!!?
まだ眠かったし、騙されたことに腹が立ったので私は優し~いモーニングコールをするらしぃ神様に背を向けて2度寝しだした。
「ぁっちょっ…!?ここで2度寝したのはさすがにあなたが初めてですよっって言うか本当に起きなさいっ!!」
これはなんだろ…そうだな、
神様に作られたマナっていうかわいー妖精が、まだ8時なのに、全然優しくない神様に起こされてる時に言うセリ…って痛っ!んぁ~、ついに実力行使に出たか…でもここで負ける私じゃないし?諦めるまで粘ってやるわよ~っ

 10分後。
私は、私の部屋より何倍も大きくて豪華な装飾のされた神様の仕事部屋のど真ん中に、神様と向き合う形でふかふかのイスに座っていた。
ちなみに勝負はどうなったかと言うと、16回目の攻撃を耐えたあと、脇をくすぐられてギブアップだった。でもそれは反則だと思うんだよね。
「で、本題ですが。」
神様は少し疲れた声で言った。
「まず一つ。今度私が起こしてあげた時は、素直ーに、快く、直ちに起きなさい。」
微妙に笑顔だ。ごめんなさい。怖いです。
「そして次に…」
神様は右手の人差し指で、空中にクルクルと円を描いている。
「命令です。下界に降りて辞典を作りなさい」
神様はそう言いながら、さっきクルクルとやっていた場所にできた、何で出来ているのかよく分からない黒い穴に腕を突っ込んで、一冊の本を取り出した。
「……辞典??」
差し出された(押しつけられた)のでその本を受けとってパラパラとめくってみると、確かに辞典みたいに、すでにいくつかの言葉が五十音順に並んでいた。
「そうそぅ。例えば…」
神様は私から本を受け取って(奪い取って)何やら書き込み始めた。
で、しばらくして返された辞典の「か」の所には、こう書かれてあった。

 [ 神様 ]
美しく、優しくて素晴らしい創造主。

「そんな風に、私が言った言葉を下界で調べてきて、書き込んで行くのよ。」
「…ぁのー。辞典の内容は、正しくなくてもいいんですか?」
そう。例えば今書きこんだ言葉とか。
「そうねー、別に内容が間違っていても私は別に困らないし、私的には面白い方がいいんだけどねー。ま、マナが参考にする下界の人間次第よね。」
「ぁ~……わかりました。」
神様の「私は別に」などという微妙な言い回しについて質問するのも面倒だったので 取り合えず返事をしておくと、神様はなぜかさも楽しそうに言った。
「ん~そうね、じゃぁ記念すべきマナの最初の文字は“いつもの口癖”ね!じゃ、頑張って調べて来てね~」
私は笑顔で手を振る神様に背を向けて、下界に降りるゲートに行くためにしぶしぶ立ち上がった。
ある一つの思いを胸に秘めて…

 ──あとで「神様」の欄、書き直しておこう。


それが、「妖精辞典」の記念すべき最初の言葉。
最終更新:2008年06月30日 23:18