1.いつもの口癖 - 2
廊下を少し進むと、照明を少し暗くしたお洒落な店内に出た。
テーブルとイスのセットが5個ほどあって、あとカウンターとレジがある。すでにイスに座って何か飲んでいる女の子がいるし、話に聞いた「レストラン」って言うヤツと似てる。
「うわぁ、上手い………」
そしてCDだと思っていたヴァイオリンの音が生演奏だとわかって、驚いた。
すると私の声を聞きつけたのか、制服を着たその男の人は演奏を止めてフィアナさんに話し掛けた。
「その子、気が付いたんですね。よかった……」
「えぇ、マナちゃんって言うのよ。喫茶店を知らないって言うから連れてきちゃった……あ、お待たせしてしまって申し訳ありません」
それから話を切り上げて、お客さんに注文とかを聞いていく。するとカウンターに入って、数分してからコーヒーとケーキが乗ったお盆を持ってまた現れた。
「あら、いらっしゃいませ」
それを見ているとまたお客さんが入ってきて、フィアナさんは忙しそうだ。あぁーまたお客さん来たし。すごい人気なんだな、このお店……
「あの・・お手伝いしましょうか?接客ぐらいならできると思います!」
ベッドに寝かせてくれた恩もあるし、思い切ってコーヒーを淹れていたフィアナさんにそう切り出してみた。
「まぁ、ありがたいわね。でも、マナちゃんはさっきまで気を失っていたんだから安静にしていないとダメよ?さっきの部屋にちょっとしたご飯を運んだから、よかったら食べて。だから・・そのついでに、スバルを呼んできてくれないかしら?」
「あ、はい!わかりました」
フィアナさん、すごく優しい~!!大人の女性って感じで憧れるなぁ……少しボケてるけどっ。
そんなことを思ってさっきの部屋に戻ると、スバルがまだ固まっていた。
その姿を見て少し悪戯心がわいたマナは、後ろからそ~っと近付いて「膝かっくん」をしてやった。
「ぅおォッ!!?」
かっくん、ずて。
思ってたよりいい反応が得れて少し嬉しかった。よし、後で辞典に「膝かっくんは、効く」って書き足しておこう。
「なんだよいきなりお前ッ……!!」
「お前じゃないですーマナですぅー。フィアナさんが呼んで来てって言ったのよ」
「姉ちゃんが?わかった、ありがとな。あとこれ、メシな」
一応お礼を言ってから、さっきキャッチしたお盆を手渡してきた。少し冷めてしまったかも……って、あぁ!!
そうだ、また忘れてたけど私妖精だからご飯食べれないじゃん………!
どうしよう、こんなにおいしそうなのにもったいない。フィアナさんにどうすればいいか聞いてみようかな。
最終更新:2009年04月12日 17:57