「友達が、いない?」
キョトンとした顔で茜が私の言葉をオウム返しにする。
「なんで。小浪ちゃん、友達多いのに」
「そう言われても、いないモノはいないから困ってんだって~」
休み時間。
3組前の廊下で、様子を見に来てくれた茜に私は泣きついた。
「偶然ってあるもんだねぇ」
スパッと切り捨てられた。いや、茜、そんな一言で片付けられるほど軽いことじゃないんですけど・・・
「で、そっちこそ・・8年間クラスが一緒なんて偶然にも程があるもう一人の方はどうしたのよ?」
「由美は、クラスにテニス部の子がたくさんいたらしくて、そっちと話してた」
「えぇーいいなぁ!・・って、そうだ!さっき考えてたんだけどさ──お願いっ!!一緒の委員に入ってくれない?もぅホント悲しくてさぁ・・・」
バッと頭を下げると、茜が不思議そうな顔で返してきた。
「それぐらい、いいに決まってるじゃん。何にする?体育と委員長以外ならなんでもいいよ」
「ホントッ!?んじゃ、楽だし図書委員がいいっ!」
「わかった」
その時、後ろで「おーい、そろそろ席に着けぇー」という金崎の声がした。
「あ・・じゃぁ、私もう帰るね」
「うん!ありがとねー」
そして手を振って別れる。やっぱり、由美か茜といると安心する。
それにテニス部の子もたくさんいるっていうし・・やっぱり永代君はいるケド、私も2組の方がよかったなぁ・・なんて思ってしまった。
最終更新:2009年05月04日 22:57