・・悠希
そう言いながら少し目を伏せて笑う涼也の笑顔が──
なんだか、懐かしかった。
『・・・ユキ、かぁ・・』
覚えてないけど、覚えてる・・──
上手く言い表せないけど、無理やり言葉にしたらそんな感じの気持ち。
きっと──忘れてしまった記憶の中に、涼也みたいな顔で笑う人がいたんだろう。
頭は何にも覚えてないけど、目が見覚えてる。
だからその、涼也みたいな顔で笑う人は・・きっととても大切な人だったんだろう。
「・・・・ダメか?」
『うぅん、嬉しいよ。えへへ、私の新しい名前・・』
そう言って喜ぶ「悠希」の声を聞いて、涼也はもう1度目を伏せて笑った。
それから目のあたりを軽くこすって、大きく背伸びをした。
「よっし、じゃぁ寝るか~」
『え・・もぅ寝るの?』
「何言ってんだ、もうこんな時間だぞ」
そう言って涼也が指差した時計の針は、とっくに深夜をまわっていた。
『そっか・・そうだよね。』
「何・・もしかしてお前は『眠い』とか感じないワケ!?」
『いや、そんな事ないけど・・ただ、もぅちょっとキュウと話してたかったから・・・・』
そうだ・・こんなに楽しかったのは久しぶりだったから。
死んだ時は 苦しくて辛くて、悲しくて──涙ばかり流していた・・と思う。
「ま、明日もあるんだしさ。その『願い』を叶えるまで、ずっと一緒なんだろ?気長にいこうぜ」
悠希はそんな涼也の言葉に、少し身を震わせた。
「その『願い』を叶えるまで、ずっと一緒──」
なら、「願い」を叶えた後は・・?
やっぱり・・こんな楽しい時間は、終わってしまうのかな。
悠希はそんな暗い考えを振り払うように(実際には出来ないがやったつもりで)首を勢いよく横に振り、声を押し出すように返事を返した。
『う・・うんっ』
涼也はその言葉の中に微かな「不安」を感じ取ったのか、
悠希を安心させるように、もう1度だけ微かに笑った。
「──おやすみ」
最終更新:2007年12月14日 20:28