出典: 無用百科事典『数寄ペディア(Sukipedia)』
日本トイレ協会(にほんトイレきょうかい、Japan Toilet Association)は、総合的なトイレ環境の改善とトイレ文化の創出を目指して、1985年5月に設立された非営利の任意団体。世界のトイレ協会の中でも最初のものである。
法人化を目指して2008年9月12日に協会の事業部門を継続・拡充する日本トイレ研究所を発足させた。
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全国トイレシンポジウムの開催(後述)やトイレに関する情報の収集・提供、トイレ文化の啓発、調査・研究をとおして、トイレ改善の情報センター、コンサルタントの役割を担っている。協会独自の活動に加えて、官・民と協力したシンポジウムや研究会の開催、調査研究、設計デザインなどの活動により、公共空間や公共施設のトイレ改善に努めている。また、トイレ問題の視点から、自然環境の保全と利用、公共空間でのユニバーサルデザインの導入、安全・安心のまちづくり、学校・職場環境の改善、衛生的な地域社会の確立に向け、国内外の関連組織と連携して活動を進めている。
会員には、個人会員、法人・団体会員、公益会員(官公庁、公益法人などが対象)、学生会員の種別がある。会員は、名刺、印刷物などに「日本トイレ協会会員」と明記することが許される。
11、10が「いいトイレ」に語呂が合うことから、1986年に11月10日を「トイレの日」と定めた。以後、毎年、この日に自治体と共催で全国トイレシンポジウムを開催している。
回 | 年月 | 開催地 | テーマ |
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第1回 | 1986年1月 | 伊東市 | 社会とトイレを考える ―公共トイレを中心として |
第2回 | 1986年11月 | 江戸川区 | トイレアメニティをめざして |
第3回 | 1987年11月 | 横浜市 | トイレからのまちづくり |
第4回 | 1988年11月 | 倉吉市 | トイレ文化と健康からのまちづくり |
第5回 | 1989年11月 | 熊本市 | 21 世紀へ向けてトイレ文化を考える |
第6回 | 1990年11月 | 川之江市、伊予三島市 | トイレと紙と環境 |
第7回 | 1991年11月 | 金沢市、山中町、吉野谷村 | 旅と自然とトイレ |
第8回 | 1992年11月 | 東京都北区 | トイレの“進化”とこれからの課題 |
第9回 | 1993年11月 | 高崎市 | トイレの視点で地域ネットワークを考える |
第10回 | 1994年11月 | 三重県志摩郡5町 | 美しい水環境とトイレづくり |
第11回 | 1995年11月 | 長崎県小浜町 | 自然と人間にやさしいトイレづくり |
第12回 | 1996年10月 | 富山市 | 環境とトイレ |
第13回 | 1997年11月 | 気仙沼市 | 福祉・トイレ・環境で地域をつなぐ |
第14回 | 1998年11月 | 旭川市 | 寒冷地・医療とトイレ |
第15回 | 1999年11月 | 北九州市 | 21世紀のトイレと人間環境 |
第16回 | 2000年11月 | 松江市 | 開かれた観光地づくりとトイレ整備 |
第17回 | 2001年11月 | さいたま市 | 公共トイレの整備はどこまで必要か |
第18回 | 2002年11月 | 京都市 | 21世紀にトイレは何を目指すのか |
第19回 | 2003年11月 | 高山市 | トイレが創る住みよいまちシンポジウム |
第20回 | 2004年11月 | 千代田区 | 人間中心の都市再生を目指して |
第21回 | 2005年11月 | 小田原市 | 活力ある商業・観光都市を目指して |
第22回 | 2006年11月 | 遠野市 | 第1回トイレパワー全国大会 ―“環境共生型トイレモデル都市”を実現する |
第23回 | 2007年11月 | 東京都港区 | 第2回トイレパワー全国大会 ―環境配慮型・有料トイレ・広告トイレの整備を考える |
第24回 | 2008年11月 | 長野県伊那市 | 「桜の里」で里山、山岳、避難時のトイレを考える |
公共トイレのさまざまなノウハウを交換し、水準向上に資するため、全国の公共トイレを対象に、いいトイレ10点を選定し、「グッドトイレ10」として表彰する活動を設立以来、毎年、続けてきた。現在は実施していない。トイレの抱える諸問題をどう解決しようとしているかが評価の基準となる。
はじめ協会内では、「バッドトイレ10」を選び、自治体や管理者に反省を促そうとする強硬論が主流だった。しかし、議論が進むにつれ、いいトイレを紹介する方が効果が大きいという結論に到り、「グッドトイレ10」の選定・表彰が始まった。
この活動がきっかけで、グッドトイレを認定する団体として協会の存在が広く社会に認知され、かつては全国トイレシンポジウムの開催と並んで、協会の活動の2本柱をなしていた。
以下の研究会が協会内に設立されている。
2005年6月、2005年日本国際博覧会(通称、愛・地球博)地球市民村で1ヶ月間、パビリオン「トイレ探検館」を主催した。パビリオンは、「トイレで気づく」をコンセプトに、トイレのない生活をしている人が世界に24億人もいることや、先進国がトイレに使っている水の量など、トイレをめぐる世界の問題に注意を喚起したり、身近なトイレ環境や下水処理の仕組みを紹介したりすることで、トイレの重要性を来館者に認識させるものとなった。