『DoLLS02及び06は、降伏により戦闘から離脱しました。両機の機体損傷については戦闘終了後に報告します』
「あの二人もやられるなんてね……」
オペレータの声に、アンブッシュ地点に待機していた残るドールズメンバーは声を潜める。
すでにエレンとマーガレットはアンブッシュ地点まで到着しており、対峙する敵の能力の一端は掴めていた。
「……先ほど拳に展開していたバリアですが、多分ナックルガード以外の役割も果たしていそうですね」
マーガレットがデータをもとに、推測を述べる。
「その理由は?」
ヤオも推測の根拠に興味を持った。
「先ほど気づいてなかったかも知れませんが、この機体……人型形態だと左腕に盾を付けてます。だけど…こんな小さいのでは盾として役に立ちませんよ」
言われてみると、剣等による格闘ならともかく、銃撃を受ける盾としてはかなり小さい部類の物だ。
あの拳のバリアは機体全域を覆う程ではないにしても、この小さな盾を中心に展開するなどコントロールが容易なものである可能性は高かった。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花……と言いたい所ですけど、どれだけコントローラブルなモノなのかがつかめませんよね」
202中隊の参謀……マチルダ・メッテルニヒが溜息混じりに言う。
「まぁ、それこそ包囲して一斉射撃……ってのが理想だけど、あの機動性だとよほどうまくやらない限り逆に各個撃破よね」
そう答えながら、ヤオは自分があの機体に乗っていたらどうやって攻撃するだろうか?と思案していた。
これだけの性能差、単純な力押しでも勝とうと思えば勝てる。
だが、自分たちDoLLSとて馬鹿ではない。
あの男、単なる力押しのバカのように見えて恐ろしく切れるタイプ……ある意味自分と似たところのある「偏った才能」の持ち主かもしれない。
そう思うと、ヤオの口元にはなぜか笑みが浮かんでいた。
『ファン、あんたはあたしの事、”欠点の多い天才”とか言っていたわよね……。ま、似たようなタイプの男って事で面白い事になりそうだけど』
そう考えると、なかなか面白い喧嘩になりそうだ。
と、ヤオはこの瞬間、『軍人』ではなく『格闘家』あるいは『勝負師』の心境になっていたのかも知れない。
と、索敵を担当していたフレデリカ・アイクマンのX-7Rから通信が入った。
『例のエンジン音聞こえてきます。敵機、ホバリングで移動中のようです。ETA(Estimated time of arrival=到着予定時刻)は後3分!!』
やはり、例のバリアの展開が追い付かない程の一斉射撃(ガントレット)しかないだろうか?
それとも他の手をとるべきなのか。
ハッキリしているのは、時間が無いということだけ。
回線を開いたヤオは生き残った全機に迎撃地点への集結と、作戦パターンを伝える。
「DoLLS01より全機へ。敵機迎撃への作戦パターンは予定していた“包囲殲滅”から“一方向からの集中攻撃”に変更。モニターへの提示位置に移動し準備を整えるように」
それだけ伝えると、自分はフェイエンと共にX-7へスタンナックルを装備したまま現在のポイントで待ち伏せる。
モニター上の味方機を示す光点は、自分が伝えたポイントに集結を済ませていた。
接触まであと3分……そう思った時、フレデリカ機から再度通信が入ってくる。
「こちらDoLLS01。DoLLS13どうした?何があった?」
『て、敵機急上昇と同時に急速移動!恐らく戦闘機形態に変形したと思われます!ETAはあと……』
「もう報告はいい!全機対空攻撃準備、相手が地上に降りた瞬間を狙い撃て!」
急降下爆撃(シュトゥーカ)か!
可能性としては考えていた要素であったが、意表を突かれてないと言えば嘘になる。
だが、逆に好都合であった。
「高速機関砲、マシンガン装備の機体は全機対空射撃!シュトゥーカなら逆に弾幕を張ってやれ!!」
あとの報告を聞き流したヤオは遮蔽物からX-7を移動させながら思う。
まさか、こちらの意図を読まれた?
いや、そうだとしてもあまりに対応が早すぎるし動きが不自然だ。
そこまで考えた時、ヤオの脳裏にあることが浮かびすぐ通信を他の機に送る。
「DoLLS01より各機へ。敵機の進行ルート上に何か存在したか?」
この質問に答えたのは4thDoLLSのナガセ・マリだった。
『こちらDoLLS17。自分は最後に合流しましたが、集結命令が発せられるまで敵機の進行ルート上に予備装備の自動射撃火器を設置し待機してました。緊急の命令だった為それらは置き去りにしました』
「それだ!」
恐らく、敵機はナガセの設置した火器を発見しルート上に同様のトラップがあると考えて空中移動へと切り替えたに違いない。
まさか味方のミスがこちらの予想を外す要因となるとは流石のヤオも想像の埒外だった。
(いや、あの可変戦闘機との戦闘でやられた5人の実力を考えれば動揺しても当然か)
心の中でヤオはそう呟く。
既に戦闘不能の判定を受けた5人は過去の実戦、そして揺り戻し出現後に実施しているDoLLS内での訓練においても十分エースと呼ぶにふさわしい技量を持っていた。
にもかかわらず、戦闘に入れば殆どダメージを与えられず尽く戦闘不能の判定が出る始末だ。
自分達はともかく4thDoLLSのメンバーが動揺し、何らかのミスを生じさせてもおかしくない。
この模擬戦が終わったら改めて問題点を洗い出す必要もあるだろう。
そこまで考えた直後、ヤオはあることに気がつく。
急降下してきているはずの敵機に対する対空攻撃の射撃音が響いてくるのは変わらないが、その放たれる火線がバラバラの方向を向いているのだ。
対空攻撃で相手が複数の場合火線がバラけることはあるが、今回は単機である。
「対空戦闘中の各機へ、一体どうした?何が起こっている!?」
ヤオからの通信へ最初に答えたのは4thDoLLSのジェニファー・メルビルだった。
『こちらDoLLS18。て、敵のミサイル攻撃です!敵はこちらの対空砲火をかいくぐってミサイルを放ち再度上昇しました!現在位置は……』
通信が途切れた直後、対空射撃が放たれていた場所に次々とミサイルが撃ち込まれるのが見えた。
それに伴い、地上から撃ち上げられていた火線の数が減っていく。
判定の通信がまだ出てないことから直撃を受けた機体の損害はわからないが、かなりの数が被害を受けたことを考慮するべきだろう。
相手がミサイルをこの段階まで温存していたということにヤオも思わずうめき声をあげる。
だが、再度上昇したというなら相手は何処に行ったのか?
それを確認しようとした時、轟音と同時に自分達の真上へ戦闘開始の時と同じ様に影が差す。
更に入ってくる通信。
「デートを前に待たせるのも悪いと思って大急ぎで来てやったぜ!」
男の声が聞こえた次の瞬間、上空の影が人型に変形するとそれはそのままヤオ達の前に降り立った。
「来たわね……。こうやって見るとやはり大きいわね……」
『こうなったらやるしかないですね。先輩……』
「セル、私がノール中佐と同時に仕掛けるから信号弾一斉発射でお願い」
『信号弾一斉発射……ッ!!』
信号弾の一斉発射。
それは「全機、現状を放棄し速やかに指揮官の下へ集結せよ」という予め今回定めていたコードである。
これが使われるというのは、指揮官が自ら戦うという事態を示し同時に残存機全ての戦力を集結させるという意味も持っていた。
『それって……』
「いいからさっさと準備する!」
『私も隊長の意見に賛成です。まだにらみ合いが続いてますがこちらの手を読まれる可能性も十分あります』
全員が到着するまで時間が稼げるか分からないと考えるセルマだったが、二人から改めて言われすぐ準備にとりかかる。
一方、既にスタンポッドを装備していたヤオとフェイエンのX-7はYF-19と対峙し、相手の出方を待つ。
「まったくあんたは大したものよ。たった一機でこちらにダメージを与えまくったんだからさ。でも、ここで決着をつける!」
「言ってくれるねぇ。あの時の一言でこんなことになるなんて俺も思ってなかったけどな……」
「それはこっちのセリフよ。まさかここまでボコボコにやられてそっちは損傷軽微ってその機体どんだけチートなのよ!?」
「いやー、そっちもよくやっていると思うぜ。お世辞抜きでそっちの戦い方には関心するものがあったからな」
無線でのやりとりと相手の口調から、ヤオは声の主であるあの男が嘘をついてないのを理解していた。
機体の性能で大きく水を空けられている状態での善戦に対する賞賛も事実だろう。
だが、それならこそ正面切っての勝負を挑むのには充分だ。
下手な小細工を弄するよりそっちの方が自分向きでもある。
そこまで考えたとき、眼前のYF-19が手にしていた機銃――ガンポッド――を地面に置く。
投げ捨てるという動作ではないことから、弾切れではなく意図あってのことだろう。
「ま、話はとりあえずここで終わらせて決着をつけようぜ」
「そうね……こっちもそのつもりだったところよ」
ファイティングポーズを取るYF-19と、スタンポッドを装備しそれを構えるヤオとフェイエンのX-7が対峙する。
間合いから考えればリーチの差でYF-19に分があるだろう。
しかし、左右に分かれて間合いを取る二機のX-7はどちらが飛び出すかまだ動きを見せない。
それが相手に対する最大級の牽制であることをはヤオもフェイエンも後方にいるセルマもよくわかっていた。
その時、YF-19の背後で光が明滅する。
よく見れば、それがモールス信号であるのが分かる。
「展開準備完了」という内容を示すその信号を確認したヤオ、フェイエン、セルマは相手に気取られない様、通信をカットしたまま機体の僅かな動きで合図を送る。
次の瞬間、ヤオとフェイエンのX-7が先に動いた。
要するに彼女達は、これで勝てる要素が揃ったと思ったのである。
同時にセルマのX-7も信号弾の全てを空中に放つ。
直後、YF-19の後方から10近い異なる銃声が轟く。
流石のイサムもこの奇襲には驚き、一瞬YF-19の動きが止まった。
それを見逃さず、ヤオとフェイエンのX-7も加速して間合いを詰めようとする。
「な、後方からかよ!そういう手を使うか~っ!?」
「まさか、こう来るとは思わなかったでしょ?卑怯とは言わせないわよ、そんな余裕も与える間も与えてやらないんだから!」
ヤオもここまでの戦闘でPLDの火器が眼前のYF-19にダメージを与えられるとは思ってない。
この奇襲攻撃で生まれた一瞬の隙に全てを賭けた一撃を叩き込む魂胆だった。
(まだ、距離がある……だけど、相手の動きを封じて……なっ!?)
しかし、突撃の最中ヤオは目を見張る。
おそらくフェイエンも同様だっただろう。
なんと、動きが止まっていたYF-19が正面から突っ込んできたのである。
おそらく突っ込んでくる自分たちに地面へ下ろしたガンポッドを手に取るのではないかという可能性はあったし、その際は急起動の連続で射撃を交わして肉薄するという想定もしていた。
にも関わらず相手はこっちに向かって突っ込んできたのだ。
狙撃から逃げる最善の策はひたすら距離とることだが、相手の動きは「回避」ではなくこちらへの攻撃を意図した「突進」である。
まさか、相手を本気にさせたか?とヤオが思った直後YF-19から通信が入ってきた。
「悪いがこっちも突っ立っているだけじゃないんだぜっ!!」
「中佐、標的はそっちに行った!」
『えっ!?いきなりこっちに、って早い!!』
方向を修正したYF-19はそのままフェイエンのX-7に肉薄したかと思うと、そのままピンポイントバリアを展開した左腕のシールドで――――思いっきり殴り飛ばした。
防御姿勢をとったまま20メートル近く吹っ飛ばされるフェイエン機を呆気に取られて見ていたヤオだったが、次の標的が自分であることは分かっていた。
だからこそ、彼女の場合は防御姿勢をとらず敢えて一撃を繰り出す側を選んだ。
(方向転換しても間に合わないのは相手もわかっているはず、ならあいつが繰り出すのは左じゃなく右だ!)
自分の勘を信じて相手の一撃を受け止めんとするヤオ。
直後、拳と拳が激突し衝撃とそれによって生じた土煙が二機を包み込む。
煙が晴れた時、ヤオのX-7はイサムのYF-19が繰り出した右腕のピンポイントバリアパンチを受け止めていた。
「すげぇな……こいつを正面から受けて立っているなんてガルド以来だぜ……」
イサムからの通信を聞き流しながら、ヤオは状況を分析する。
現状はX-7が両腕でYF-19の右腕から繰り出されたパンチを受け止める形だ。
しかも、相手の展開しているバリアとスタンポッドの電撃が干渉し合いプラズマ放電でも起こっているかの様に火花が散っている。
(受け止めたはいいけど……このままでは押し切られる……っ!)
相対して初めて分かる脅威というものがあるとすれば、伝説的な人物だった祖父を別とすればこういう存在なのだろうという考えが頭をよぎる。
今なら皆が一方的にやられたのも理解できるし、ここまで戦ったのだからもういいだろうとすら感じてしまう。
しかし、まだ健在である他のメンバーの事を考えれば退くことは出来ないし、ましてや降伏の信号などあげるのは無理だった。
だが一方的に押され、建物の壁際に追いやられている状況では間違いなく機体に限界が来る。
その時、自分の機体が背中から押されるのをヤオは感じた。
同時に動きが止まる。
ヤオが後部カメラを見ると、セルマのX-7が背中から自分の機体を押しているのが確認できた。
「セル……あんた!」
『先輩が踏ん張っているのに見ているだけなんて出来ません!退けといわれてもその命令だけは聞けません!』
「まったく、いい後輩よあんたは……」
セルマの助力を得てヤオのX-7は力比べでYF-19との均衡を五分五分に戻さんとする。
すると、YF-19から通信が入ってくる。
回線を開くと、今度は相手の映像付きだ。
わざわざ顔を出してきた事に疑問を浮かべるより先に、相手が口を開いた。
「なぁ、一つ聞いておくけどよ。あんた模擬戦でここまで熱くなる程、俺に恨みでもあんのかい?」
「えっ?それってどういうことよ?」
思わず相手の口から出た言葉に気が抜けたような表情になるヤオ。
恐らく、背後で通信を聞いているセルマも同じような表情だろうと思ってしまう。
「……もうやめようぜ、ここまで存分戦ったし互いの力量も分かった。それに……」
「それに?」
「俺は機体のハンデがありながらここまでやってみせる根性と気力を持っている相手がいたとわかっただけで十分だ。何より意地の張り合いで仲間を傷つける必要もないだろうよ」
次の瞬間、YF-19がバリアを解除し拳を引く。
いきなりのことに、思わずヤオとセルマの機体がよろめき前のめりになるがそれをYF-19が受け止める。
「無茶すんなよ、力比べでそっちは一杯一杯だったんだぜ」
「あんたさ……結構親切なんだ……」
「ああ、美人さんやカワイコちゃんには特にな」
イサムの一言に「お世辞を言っても何も出ないってのよっ」と言い返したヤオだったが、美人と言われるのは満更でもなかった。
暫くして、残っていたDoLLSのメンバーも集結してくるがそこに剣呑な空気は無い。
同時に終始上空にいたガルドのYF-21を通じて「模擬戦闘終了。判定は全機駐機場に帰還後発表」との連絡が入った。
2月22日 11:00
SCEBAI敷地内 機体駐機場
「ようやく戻ってきたか……それにしても随分と酷いやられ様ね」
「簡単に纏めた数字を見るだけでも、戦力三割減の『戦闘不能』判定ですから……」
DoLLSの機体が駐機場へ戻ってくるやメカニックと技研の職員が機体に取り付き、各部点検整備と戦闘によるダメージの調査を開始する。
その目の前で、今回は不参加だったハーディと上空から模擬戦の状況を見ていたナミが簡単に纏めたDoLLS側の損害報告に目を通していた。
模擬戦とは言えど、DoLLSが戦力の三割を喪失するという事態は今回が初めてである。
しかもたった二機――正確には一機だが――の可変戦闘機に翻弄された結果であることにハーディは頭を痛めていた。
「機械獣相手のシミュレータは幾度かやってましたけど、今回は訳が違いましたね」
ナミが報告書が表示されたレボードをいじりながらぼやく。
機械獣相手なら、突進さえ気をつければかなり容易に撃破可能でありストッピングパワー不足に関しても、リニアキャノンの強化と新開発の多弾頭ミサイル「ゲイ・ボルグ」で解決可能であった。
だが、これだけ高機動性を売り物にした機動兵器と言うのは常識外だ。
「まったく……ガンダムでも相手にしてたようなものね」
ハーディも「だめだこりゃ」と言った表情で苦笑する。
「まぁ、装甲薄くてビーム兵器無い分モビルスーツよりかは楽でしょうけどねー」
ナミも苦笑しながら言葉を返すが、心の中では(ガンダムはガンダムでもWとか00ですよね……)と呟く。
彼女は今回戦った相手の驚異的なスペックを知っており、眼前の様な結果になることはある程度予想していた。
もし、事前にナミがハーディだけにでもYF-19,21両機のスペックを話していたなら、DoLLSが北海道に揺り戻し出現した際、自分たちの上空にいた航空機がこれであるとすぐ解かったであろう。
あの時、日本連合と接触するまで上空の警戒態勢を最高レベルに設定する必要があった事を思い出した上で色々な理由をつけて模擬戦そのものを中止に追い込んだ筈だ。
(過ぎたことを言っても仕方が無いけどね……。今回はいいデータも取れたことだし)
これまで、カタログデータや資料映像などで他の二足歩行兵器に関する情報は得ていたし、X-7と戦ったときのシミュレーションもある程度は出来ていた。
だが実戦による結果はシミュレーションとはまったく異なる結果になることも珍しくはない。
実際、ヤオ達も模擬戦の相手が解からなかった為、相手をマジンガーZやゲッターロボからHIGH-MACSやWAPの様な機体と想定してシミュレーションを行ない、勝てるという確信を得ていたのである。
しかし結果は眼前に広がる光景のとおりだ。
(でも、これでX-7の問題点が浮き彫りになるなら改修からバージョンアップの参考になるからいいんだけど)
駐機場の一角に向かうハーディの後ろを歩きながらナミはそう考える。
二人がたどり着いた先には、帰還したX-7の一機が横たわっていた。
他の機体は整備ハンガーや格納庫に収まっているが、この機体だけはそうすることができなかったのである。
「こうやって見ると、随分と派手に壊してくれたものね。班長、どうかしら?」
「どうもこうも無いです。上半身はまだしも下半身は新品に取り替えたほうが早いくらいですよこいつは」
「やはり、メーカー送りしか手はないか……」
ハーディの言葉にX-7の損傷具合を調査していたDoLLS整備班長のコドウッド技術大佐がぼやく。
彼の整備技術をしても、匙を投げ出すほどその機体の損傷具合は酷かった。
「強度限界を超えての機動をやった結果がこれというのは……」
装甲を強制排除した状態での加速装置(アクセラレータ)全開による機動。
基本、X-7は内部骨格だけでも自立出来る強度は持っている。
だが、強引な機動を行う場合は外部装甲も合わせた内外骨格複合構造で機体強度を支えている。
その外装を強制排除すると言うのは、本当に諸刃の剣なのだ。
「……まったく、ジュリアがカミカゼをするとは予想外ですよね」
眉間に皺を寄せて頭を抱えるコドウッドに、ハーディも苦笑する。
「しかし大佐、どうも気になっているのですが……。X-7の基本システムに装甲のパージ機能なんてものは無いんですよね」
コドウッドの言葉に、ハーディはあっけにとられた顔をする。
確かに、X-7の仕様書を見た限りでは確かそんな自殺攻撃用の仕掛けなど書かれていなかった。
途端、ハーディの目つきが一気に険しくなる。
その剣呑な空気を肌に感じ、ナミは思わず後ずさった。
(ヤバい、太平洋だ!)
「ん、どうした?」
その行動にハーディは訝しげな表情を浮かべるが、そこに模擬戦闘の結果がまとまったとの連絡が来る。
足早にSCEBAIの建物へと向かうハーディの後姿を見てナミが胸をなでおろしたのは言うまでもない。
二人が結果報告のされる会議室に向かうと、そこには今回の模擬戦に参加したDoLLSのメンバーと戦闘機のパイロット、岸田博士をはじめとするSCEBAIの関係者に技研の職員が集まっている。
それだけではなく、陸自と空自の上級幹部も来ているのには二人とも驚かされた。
「ん、これで全員揃ったみたいじゃな。では始めるとするか」
壇上の岸田博士がそう言うと、大型スクリーンに今回の戦闘映像が映し出され同時にどこでどの機体が交戦したのかを示すマップが表示される。
次々と映し出される映像をバックに博士は話しを続ける。
「実は今回の模擬戦、いきなりの事だったといえど陸自と空自の上層部にも話が行ってな。当初は非公式なものだったのが公式な記録として残ることとなったんじゃ」
(だからか……技研から情報が行ったみたいね……)
博士の説明を聞きながらハーディはそう考える。
それなら、わざわざ上級幹部の面々が出張ってきたことも納得がいく。
問題は、新品の機体をオシャカにしてしまったことだが、これについてはやった当人の責任を問いただすのが先だろう。
それでも、叱責は免れないだろうが……。
と、ハーディが内心考えているうちにデブリーフィングが始まった。
「先に今回の戦闘結果を述べるが、複数の方向から検討した結果『引き分け』という結論に達したんじゃ」
意外な結果に議場からはどよめきが上がる。
驚きの表情を浮かべない者もいたが、一体何人がこの結果を冷静に受け止めたかはわからない。
実際に戦った者からすれば、戦場ではYF-19がDoLLSのX-7に対して圧倒的優位を誇っており最終的な判定は前者の勝利は確実な筈だった。
それが「引き分け」というのはどういうことなのか……。
「驚くのも無理は無いじゃろう。ただ、今回の場合は元々用途の異なる兵器が戦った結果というのもある。本来なら同じ用途の兵器が同数で戦ってこそ評価できるものじゃからな」
岸田博士の説明に何人かが頷く。
YF-19の様なAVF(Advanced Variable Fighter:次世代可変戦闘機)は、単独或いは少数精鋭で敵拠点に投入されピンポイントで制圧するという目的で開発された経緯がある。
一方X-7をはじめとするPLDは特殊任務をこなす事を求められる一方、纏まった数で運用され戦場に投入される事を前提に開発されてきた。
その運用方法からして異なる兵器が戦えば少数精鋭で過酷な任務を果たすAVFに軍配が上がるのは当然だったが、陸自と空自の幹部が以下の様な結論に達していた。
「カタログデータ上ではAVFの勝利だが、兵器の扱いやすさなどを見ればPLDの勝利」
「単独行動能力ではYF-19の勝ち、運用に幅を持てる『柔軟さ』ではX-7の勝ち」
要するに「どちらも甲乙付け難い」という事から引き分けにするのが妥当としたのである。
「もう一つの理由は機密上の関係もあってな。今回の模擬戦については『公式記録』とはなるが『非公開』の扱いとなるんじゃよ」
博士の説明にDoLLSのメンバーは「X-7の機密に関してのもの」と思ったがそれだけではない。
今回対戦したYF-19,YF-21――実際に戦ってたのはYF-19のみだが――が現時点では機密の塊だったことも関係していた。
5月末の首都圏上空で起こった揺り戻し現象で出現した二機の可変戦闘機は、その常識外れの性能で多くの技術者や自衛隊の関係者から注目を集めていた。
これらの機体は、現在の日本連合では機体の解析が出来てもフルコピー機を多数配備することは経済的な理由から不可能とされ、今後15年以内を目安として複製機を実戦配備する事が"VF-X"計画により決まっている。
その様な機体を用いて模擬戦を行なったという事実を公にする事は到底認められるものではなかった。
確かに「新世紀3年の制式機が15年後に採用される機体の原型機と戦って引き分けた」という事実は誇るものであり実戦部隊へのウケもいいだろうが、それも機密指定の扱いによりお流れとなった。
政治的にも、これから実戦配備される新鋭機が「本機よりスペックで上回る機体と戦って負けた。そして勝った機体は採用まで15年かかる」などと世間に説明できるはずが無く、それ故の「非公開」扱いとされたのである。
「先に結果を述べたが、ここからは模擬戦そのものがどの様に進行したかについてのおさらいじゃ」
岸田博士がそう言うと、大型スクリーンのマップ表示が上空からの平面図から高低差のある3D表示に切り替わる。
模擬戦の舞台となった演習場はだだっ広い為、戦っていたときはそれ程意識はしなかったがこうやって見ると所々にかなりの高低差があることを誰もが再認識させられる。
最初に戦闘へと突入した場所は本当にだだっ広い平地であり、丘陵地帯も何もないがそこから移動した市街地エリアは若干低くなっており丁度盆地の様な形になっていた。
そのMAPに今度は赤い光点が20ほど表示され、続いて青い光点が二つ表示される。
「まず、開始前にDoLLS側が展開したのはここ……平地エリアじゃな。一方、イサム君とガルド君の搭乗した2機の可変戦闘機……ここではα(アルファ)1及びΩ(オメガ)1と呼ぶが、これらはSCEBAIの格納庫を発進したところじゃった」
博士の説明が続き、MAP上にはDoLLSの展開するポイントへ向かう青い光点が二つ表示される。
画面上での移動速度はわかりやすい様にゆっくりとしたものだったが、あの時は相当の速度が出ていたことを誰もが思い出した。
「この時、上空にはDoLLSの指揮管制機がいたがα1(YF-19)とΩ1(YF-21)はこれより更に上空を飛行し、そこからα1がDoLLSの展開ポイント直前で一気に降下し衝撃波を見舞ったあと上昇しておる」
地上と上空から撮影したのだろう、MAP上にはそのときの様子を複数の角度から捉えた映像が映し出される。
YF-19がDoLLSの上空150メートルの地点を通り過ぎた直後、すさまじい土煙が舞い上がり視界が一気に失われるると同時にDoLLSの通信量が増大し一時的な混乱状態に陥ったのがわかった。
「映像からも解かると思うが、α1の上空通過直後に生じた土煙によってDoLLSの視界は1分以上0メートル状態になった。次に見てもらいたいのはそのときのDoLLSの動きじゃ」
すると、MAPからDoLLSの展開する地点が拡大されDoLLSである事を示す光点が映し出される。
更に土煙が生じてから解消するまでのタイムカウンターが表示され、この間DoLLSの各機がどのように動いたのか示される。
結果は、土煙が生じた直後から晴れるまでの間DoLLSの機体はその場から殆ど動いてないことが判明した。
「見ての通りじゃ、あの様な状況でありながら混乱したのは最初の10秒足らずで以後は土煙が解消するまでの間は不用意に動かず現状維持に徹しておる」
「大したものですね。空挺レイバー部隊でもこれだけ冷静に対処するのは難しいはずです」
「得体の知れない敵を相手にするうえで不用意に動くことは最悪同士討ちを招きかねませんでしたから」
岸田博士の説明を前に、その様子を見ていた陸自の上級幹部とヤオが言葉を交わす。
「オムニでは得体のしれない敵を相手にしたことが有ったのかね?」
男性としてはずいぶんと小柄な将官がヤオに聞く。
「ええ。今回程の化け物ではありませんでしたけどね……」
ドールズは当初、宣伝部隊的な意味合いも含めて結成されたこともあり、オムニ在来の害獣(大型爬虫類等)の退治を行ったこともある。
PLDとはまた理屈の違う化け物…と言う点では近しいかも知れないだろう。
(まぁ……10月の事は恥ずかしくて言えないけどね……)
ドールズ最大の黒歴史と言われるアンギャー狩り騒動。
あれのことは機密ではないが、外部にとてもではないが洩らせることではなかった。
アンギャー狩りの一件は置いておくとしても、今回の戦いはDoLLSにとっても事前情報の無い戦いがいかに危険なものかを再認識させるものとなった。
この事を教訓としてX-7の偵察能力を向上させた強行偵察型の開発が急遽決定するのだがこれはまた別の話となる。
「さて、次にα1が再度降下しDoLLSの展開ポイントに突入した時は最初の時と異なり地上スレスレ超低空飛行を行なっておる。これはそのときの映像じゃ」
次に表示された映像は、DoLLSに向かって逆さの状態で超低空飛行を仕掛けるYF-19の姿が映し出される。
これに対し、すぐ様応戦するDoLLSのX-7とその攻撃を放つがYF-19はその速度を武器にそれらをことごとく回避する。
だが、次の瞬間フェイス機が放ったリニアキャノンの一撃が胴体部に命中するとYF-19はそのままあさっての方向へと飛んでいく。
「模擬戦に参加した皆は判っていると思うが、この時点でリニアキャノンがようやく命中しておる。しかし、土煙の為にα1が遠ざかってからどうしたのかまで判らんじゃろう」
博士の言葉に模擬戦へ参加したDoLLSの一同が頷く。
言われてみれば、彼女たちはフェイスの攻撃がYF-19に命中した時点で勝ったものと思い、再び攻撃を受けるまで相手の動きまで考えなかったからだ。
「そこで、どの辺りで戻ってきて攻撃を仕掛けたか別視点から撮影した映像があるので見てもらいたいんじゃ」
ここで場面が切り替わり、上空からによるものと地上からの映像がそれぞれ表示される。
上空からの映像はガルドの搭乗するYF-21からのものだったが、これについては特段述べられなかった。
映像はYF-19が二度目の突入を仕掛けるところから始まった。
何れも、舞い上がった土煙が徐々に晴れてきたところでYF-19がDoLLS目掛けて突入するところを映している。
その時、ある事に気がついたヤオが思わず呟いた。
「突入方向が全く同じ……!?」
彼女の言葉に思わずDoLLSのメンバーが座る席から驚きの声が上がる。
画面上のYF-19は最初よりもかなり遅い――音速にも達して無いだろう――速度で飛行しているが、一度掘り返された地面から再度土煙が生じる。
二度目の土煙は最初のそれとは異なり、機体の姿が確認出来る程度の視界は得られるぐらいのものであった。
そこへDoLLSの放ったリニアキャノンやグレネードが飛来するが、それらは徐々に速度を上げていくYF-19によって回避されるか或いはそれより一歩手前の地面に落ちるのが上空からの映像によって判る。
「今のは、DoLLSからの攻撃をα1がどの様に回避したかを確認してもらう為のものじゃ。これを見てもらえばあれだけの攻撃を回避できたのかわかると思うがの?」
博士の発言を聞いていた一同だったが、繰り返し再生される映像を食い入るように見ていたDoLLSの一人が呟く。
「土煙の消えるのが最初より遅い……!?」
「言われてみれば、一度目より長く滞留していますね。丁度フィルターがかかっているみたい……」
「ああっ、もしかしてこのときの飛行って!?」
その言葉にDoLLSの何人かが思い出したかの様に驚きの声を上げる。
一方のイサムとガルドはその様子を見て(こういうことさ)(なるほどな)というアイコンタクトをしていた。
「どうやら解かってもらえた様じゃな。つまり最初にα1が飛来した際、吹き飛んだ土砂は丁度ふるいにかけられた様になり最後に一番細か粒子が地表に降り積もる」
「そこをもう一度低速で飛べば衝撃波が発生しなくても微粒子だけが舞い上がり煙幕の役目を果たすというわけですね……」
「そういうことじゃ。つまり、α1の二度目の飛来時に攻撃をしても最後にようやく命中弾を出せるまで尽く外れたのは煙幕がX-7の光学センサーに誤差を生じさせてたんじゃ」
「誤差と錯覚によって見えてたにも関わらず当たらなかったということか……」
博士からの解答にヤオも驚きの表情を浮かべながら発言する。
コンピュータによる補正を以ってしても、高速で移動する標的に命中弾を出すのが難しいのは当然だが、そこに錯覚を起こさせられてたとは歴戦のDoLLSメンバーでも想像できなかったのだ。
「さて、理解してもらえたところで次に進ませてもらうぞ」
画像は再びYF-19にフェイス機のリニアキャノンが漸く命中したところに戻ると博士が再び話を進める。
同時にYF-21からその様子を上空から撮影した映像が映し出された。
「リニアキャノンの射撃が命中したα1は、DoLLSの展開地点から大きく遠ざかっていったわけじゃが、ここで上空からの映像を見てもらいたい」
ここで映像は上空からの映像だけに切り替わり、YF-19の飛行軌道が赤いラインで示される。
上空から見ると土煙の濃度もリニアキャノンを被弾し、大きく軌道を変えたところから濃いものに変わっていくのがわかった。
「途中である程度軌道を変えたα1は、土煙で視界がなくなったところで反転し再びDoLLSの方に向かっておる。そして、途中で人型形態に変形して反撃に移っておる」
「あの土煙をそのまま煙幕にしてギリギリまで姿を見せなかったとは……」
「そして、ここで装備火器のガンポッドでDoLLS07を撃破しておる」
レーザーポインターで博士が指し示された部分を拡大してみると、上空からでもフェイスの搭乗していたX-7がペイント弾で染まっているのがわかる。
それを見たフェイスも思わず「あの時はやられた」とばかりに頭を掻いていた。
「さて、この直後DoLLS側はすぐにこれを見て市街地に移動しておる。ある意味この判断は正しいと言えるじゃろう」
「確かに、一連の記録映像を見る限り平地でそのまま決戦を挑む格好になったら負けていたわね」
「それも散開しての撤退でしたから、全滅が防げたようなものです。密集してたらまとめて……ということも」
「十分あり得た事ね」
ハーディとナミが博士の説明を聞きながらも戦闘記録とDoLLS各機の行動を分析し言葉を交わす。
映像の方は、フェイス機を撃破した後エイミーとミリィの機体に向かうYF-19の様子を映し出していた。
「次にα1が交戦したのはDoLLS08と11の2機じゃ。本来なら先に撃破されたDoLLS07と08,11が散開状態から集結して市街地に移動するつもりだったみたいじゃな」
博士の解説と共に映し出させた映像を見ると、DoLLSの各機が一旦散開した後で今度は2~3機の小集団を作って市街地を目指しているのがハッキリわかった。
その中で、取り残されるような形となったフェイスとエイミー、ミリィの機体がα1と交戦しているのがアップで表示される。
同時に分割された別の画面には、地上に設置されたカメラが捉えた戦闘の様子が映し出された。
フェイス機が戦闘不能の判定によりその場で動きを止めた後、その横を駆け抜けたYF-19がミリィ機とエイミー機に肉薄する場面に全員が注目する。
YF-19の射線上にいたミリィ機を庇う様に(実際庇っていたのだが)体当たりで突き飛ばしたエイミー機がガンポッドの射撃を下半身に浴びて崩れ落ちたかと思うと、ミリィ機がアサルトライフルで応戦する。
だが、その射線は大きくずれておりYF-19の動きについていけないのが解かった。
それでも、途中からフルオート連射から三点バースト射撃に変わったところから射線はかなり正確になっていた。
その射撃をも回避したYF-19がミリィ機へと更に迫ろうとしたところで一瞬動きが止まったところで映像が一時停止となり、岸田博士が再び説明に入る。
「ここで注目してもらいたいのは、下半身が全損の判定を受けたDoLLS11が移動こそ出来ないもののDoLLS08支援の為背後から射撃しておるところじゃ」
「確かに、レイバーやAS、WAPでは出来ない芸当ですな」
「その通りじゃな。レイバーやASではダメージがコクピットにまで及んで戦闘どころではなかったじゃろ。WAPの運動性能でもどこまで回避できたかわからんからの」
博士の言葉に、陸自の上級幹部が頷きながら呟く。
今回の模擬戦では、ペイント弾を用いているものの実際にダメージを受けた時の数値を元に判定を出している為、X-7は実戦でも同様の動きが出来るという事になる。
最終的にはミリィとエイミーも共にフェイス同様戦闘不能判定となったが、この事はX-7の耐久性とパイロットの生残性がいかに優れているかと再認識させたと言えた。
この後、技研とDoLLSによるX-7開発チームの手による機体調査で、コクピット周りについてはリニアキャノン並の直撃弾でも初撃の一発までなら耐えられる事が判明し、X-7の新たなセールスポイントが得られた。
同時にブロック10以降の機体には、防御力強化の為にコクピット周りへ対衝撃用のゼリー状冷却剤を充填したアーマープレートが取り付けられる事も決定するが、それは少し後の話である。
(ま、生残性に関してはホント気を使ったからね……コンセプトは間違ってなかったと言えるか)
内心ナミは呟く。
X-7はDoLLSが一人も欠ける事無くオムニへ帰る為の力。
コストの許す限り融合技術を合わせ、絶えず「究極」を目指していくために進化させていくと言うのがナミをはじめ整備班長ジム・コドウッド大佐らDoLLSサイドの開発参加メンバーの間に有る認識であった。
「しかしまぁ、α1(=YF-19)の機動性ってのはけた外れよね。ホント、ダイソン中尉達はどういう身体してるのかしら?」
ヤオは思わずつぶやいてしまう。あれだけの高機動と加速力を陸戦で発揮できる場合、機動時にかかるGもそれ相応に激しいものとなる。
意外にも、その疑問に答える声があがった。
岸田博士とナミである。
「あー、その辺は機密事項という奴じゃよ。この場にいる人間ならわかっとるじゃろうがな」
「ゲームでも“しりたがりやは わかじにするぞ”という台詞がありますからね」
「うっ、ナミも何気に酷いこと言うわね……」
何故か脳裏に自分がチェーンソーで真っ二つになる姿を思い浮かべたヤオはそれ以上疑問を浮かべるのを放棄する。
だが、彼女はある意味で防衛上の重要機密でもトップクラスの代物に近づいていたのだ。
それに気がつかなかったのは幸運と言うべきなのかも知れない……。
最終更新:2012年09月08日 23:47