「二人のACE ATTACKER」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

二人のACE ATTACKER」(2008/06/02 (月) 21:05:03) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*&color(red){二人のACE ATTACKER} 「XXXG-00W0…ウイングガンダムゼロ、か」 操作マニュアルを片手に、リョウト=ヒカワは自分に支給された機体を見上げた。 目の前にそびえ立つのはトリコロールカラーが目に鮮やかな鋼の巨人…否、むしろこの形状は天使と形容するに相応しいか。 その優美な外見とは裏腹に、随分と凶悪な機体のようだ。 コロニーをも貫く高出力のビームライフルが二丁、更に搭乗者に未来を見せるというインターフェース「ゼロ・システム」。 果たして、自分に扱うことが出来るのだろうか。 (…とにかく、戦わずに済むのならそれが一番いいんだけれど…) 甘い考えだと、内なる自分が囁く。 首もとから伝わる冷たい感触。これがある限り、逃げることは叶わない。 それに、恐怖に駆られて殺戮に身を落とす者も居るだろう。 「一体、どうすれば…」 その時、轟音と地鳴りがリョウトを襲った。 揺れに必死に耐えながら辺りを見回すと、少し離れた所で既に戦いは始まっていた。 片方はゼロに何処となく姿形の似た赤い機体、そしてもう片方は… (そんな…ヴァルシオン改!?) そう。ビアン・ゾルダーク博士が造り上げた究極ロボ「ヴァルシオン」の量産型、「ヴァルシオン改」。 かつてL5戦役で仲間達と共に辛くも打ち破ってきた機体が、そこに居た。 対峙する赤い機体は回避行動をとりつつ隙を突いて攻撃を加えようとしているのだが、 ヴァルシオン改から放たれるクロスマッシャーの雨がそれを許さない。 あのままではいずれ限界が来て撃墜されてしまう。 目の前で人が死んでいく。そんなの…いくら怖くたって、放っておける筈がない。 (…助けなきゃ…!) リョウトは、覚悟を決めた。 「うわっ!うわわっ!?」 赤い機体、OZ-13MS「ガンダムエピオン」のパイロット、アラド=バランガは焦っていた。 気がつけば巨大な戦艦の中で「殺し合いをしてもらう」と言われ、わけも分からぬままに戦場にこの機体と共に落とされ、 操作マニュアルを読んでいる途中に巨大なロボットに一方的に戦闘を吹っかけられ今に至る。 『ヒャハハハハッ、落ちろっての!』 更に悪いことに、機体もそうだが相手もなりと性格はともかくロボット乗りとしては相当の猛者のようだ。 これはまずい。非常にまずい。 「なんとかして戦況をひっくり返さないと…クソッ!」 どうやら機体の反応速度は高いらしく、自分の下手な操縦でも未だ致命傷は一つも負っていないし、武装も自分向きである。 何とか反攻に転ずることが出来れば自分にも勝機はある…筈。 しかし、現実はそう甘くはなかった。 「ぐあああっ!」 ついに避けきれずにクロスマッシャーが頭部に直撃する。そのまま後ろに倒れこみ、衝撃がアラドを襲う。 慌てて損傷度を確認すると、メインカメラが諸々のセンサーの類と一緒に吹き飛ばされたらしい。最悪だ。 たちまち正面に砂嵐が走り、一瞬パニックに陥ってしまう。それが、命取りだった。 『ホッ、鬼ごっこはもう終わりだっての!死ねや!』 目の前には、エネルギーチャージを終了したヴァルシオン改。ロックオンされている事を知らせる警告音が虚ろに鳴り響く。 (俺…こんな所で死ぬのか…?) これまで、よく持った方だと思う。自分より強い相手と戦うことの方が多かったが、それでもなんとか生き残ってこれた。 だがその悪運もこれまでらしい。絶体絶命、もう助かる方法はない。諦めるしか、ないのか。 (ごめん、ゼオラ…お前との約束、守れそうに…守れ、そうに………) …否。まだ、諦めるわけにはいかない。 自分は見たのだ、あの巨大な戦艦の中で不安そうに辺りを見回している自分の相棒の姿を。 がさつで、乱暴者で、世話焼きで、そして脆い一面を持った自分の姉、守るべきものの存在。 「そうだ…俺は、まだこんな所で終わるわけにはいかないんだ…!動け、動いてくれエピオン!」 何とか上半身を持ち上げようとするエピオンをいたぶるかのようにヴァルシオン改はその身体を踏みつけ、踏みにじる。 「ぐっ!ぐううっ!」 『往生際が悪いっての!サクッと殺してやるから、動くんじゃねぇよ!ヒャハハハハッ!』 「く…くっそおおおおッ!」 目の前の機体がその凶悪な目を光らせ…刹那、閃光と轟音がそれを吹き飛ばす。 『な…何ぃぃぃぃっ!?』 ABフィールドを持っているらしく幾らかは減衰されてしまったようだが、それでもその攻撃は十分な威力を持っていた。 右腕を吹き飛ばされ、肩口から火花が飛び散っている。突き抜けた光はそのまま辺りのビル群を薙ぎ払い、地を抉っていた。 「す…すげぇ…」 呆気にとられていると、あのパイロットとは違う方から通信回線が繋がった。 『そこの機体のパイロット、聞こえますか! 僕はリョウト=ヒカワ!これよりそちらを援護します!早くこの場から離脱してください!』 言いながらリョウトと名乗った少年の駆る白い機体は弾幕でヴァルシオン改の視界を塞ぐ。 「す、すまねぇ!助かるぜ…こちらはアラド=バランガ!援護の申し出、感謝する!」 ダウンしたシステムを一切切り離し、サブカメラに切り替える。多少不鮮明ではあるものの、なんとか視界は確保できた。 「損傷度チェック…よし、まだ動ける! これよりこの場から離脱する!リョウトさんも早く脱出してください!」 『分かりました!…このッ!』 ウイングゼロがビームサーベルでヴァルシオン改の頭部を横に薙ぎ、 よろけた所を至近距離からあの高出力のビームライフルで追撃する。 流石に損傷度が溜まってきたのか、ヴァルシオン改の動きが一瞬止まる。二人には、その一瞬で十分だった。 二機とも即座に高機動形態に変形し、ヴァルシオン改の元から離れていく。 かつては雌雄を決するべく戦った二機が連れ立って飛んでいくその姿の、なんと皮肉なことか。 だがしかし、その事実を知るものはここには居なかった… 【リョウト=ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)  パイロット状況:肉体・精神共に若干の疲労  機体状況:良好  現在位置:C-8→B-8へ移動中  第一行動方針:ヴァルシオン改の索敵範囲外への離脱  第二行動方針:仲間を探す  最終行動方針:未だ決めかねている(恐らくゲームには乗らない?)】 【アラド=バランガ 搭乗機体:ガンダムエピオン(新機動戦記ガンダムW)  パイロット状況:肉体・精神共に若干の疲労  機体状況:頭部破損、それに伴いレーダー類の一部及びメインカメラ使用不能  現在位置:C-8→B-8へ移動中  第一行動方針:ヴァルシオン改の索敵範囲外への離脱  第二行動方針:仲間を探す(ゼオラ優先)  最終行動方針:ゼオラや他の仲間とともにゲームからの脱出】 【テンザン=ナカジマ 搭乗機体:ヴァルシオン改(スーパーロボット大戦シリーズ)  パイロット状況:肉体・精神共に良好  機体状況:右腕を失う。それに伴いディバイン・アームは左手で持つことに  現在位置:C-8  第一行動方針:とりあえず敵を殺す  最終行動方針:このゲームを楽しむ】 ---- | 前回| 現在| 次回| | 第10話「[[信頼以上恋未満]]」| 投下順| 第12話「[[駆け抜ける武人]]」| | 第10話「[[信頼以上恋未満]]」| 時系列順| 第12話「[[駆け抜ける武人]]」| | 前回| 現在| 次回| | -| リョウト・ヒカワ| 第52話「[[大切な人]]」| | -| アラド・バランガ| 第52話「[[大切な人]]」| | -| テンザン・ナカジマ| 第52話「[[大切な人]]」| ----
*&color(red){二人のACE ATTACKER} 「XXXG-00W0…ウイングガンダムゼロ、か」 操作マニュアルを片手に、リョウト=ヒカワは自分に支給された機体を見上げた。 目の前にそびえ立つのはトリコロールカラーが目に鮮やかな鋼の巨人…否、むしろこの形状は天使と形容するに相応しいか。 その優美な外見とは裏腹に、随分と凶悪な機体のようだ。 コロニーをも貫く高出力のビームライフルが二丁、更に搭乗者に未来を見せるというインターフェース「ゼロ・システム」。 果たして、自分に扱うことが出来るのだろうか。 (…とにかく、戦わずに済むのならそれが一番いいんだけれど…) 甘い考えだと、内なる自分が囁く。 首もとから伝わる冷たい感触。これがある限り、逃げることは叶わない。 それに、恐怖に駆られて殺戮に身を落とす者も居るだろう。 「一体、どうすれば…」 その時、轟音と地鳴りがリョウトを襲った。 揺れに必死に耐えながら辺りを見回すと、少し離れた所で既に戦いは始まっていた。 片方はゼロに何処となく姿形の似た赤い機体、そしてもう片方は… (そんな…ヴァルシオン改!?) そう。ビアン・ゾルダーク博士が造り上げた究極ロボ「ヴァルシオン」の量産型、「ヴァルシオン改」。 かつてL5戦役で仲間達と共に辛くも打ち破ってきた機体が、そこに居た。 対峙する赤い機体は回避行動をとりつつ隙を突いて攻撃を加えようとしているのだが、 ヴァルシオン改から放たれるクロスマッシャーの雨がそれを許さない。 あのままではいずれ限界が来て撃墜されてしまう。 目の前で人が死んでいく。そんなの…いくら怖くたって、放っておける筈がない。 (…助けなきゃ…!) リョウトは、覚悟を決めた。 「うわっ!うわわっ!?」 赤い機体、OZ-13MS「ガンダムエピオン」のパイロット、アラド=バランガは焦っていた。 気がつけば巨大な戦艦の中で「殺し合いをしてもらう」と言われ、わけも分からぬままに戦場にこの機体と共に落とされ、 操作マニュアルを読んでいる途中に巨大なロボットに一方的に戦闘を吹っかけられ今に至る。 『ヒャハハハハッ、落ちろっての!』 更に悪いことに、機体もそうだが相手もなりと性格はともかくロボット乗りとしては相当の猛者のようだ。 これはまずい。非常にまずい。 「なんとかして戦況をひっくり返さないと…クソッ!」 どうやら機体の反応速度は高いらしく、自分の下手な操縦でも未だ致命傷は一つも負っていないし、武装も自分向きである。 何とか反攻に転ずることが出来れば自分にも勝機はある…筈。 しかし、現実はそう甘くはなかった。 「ぐあああっ!」 ついに避けきれずにクロスマッシャーが頭部に直撃する。そのまま後ろに倒れこみ、衝撃がアラドを襲う。 慌てて損傷度を確認すると、メインカメラが諸々のセンサーの類と一緒に吹き飛ばされたらしい。最悪だ。 たちまち正面に砂嵐が走り、一瞬パニックに陥ってしまう。それが、命取りだった。 『ホッ、鬼ごっこはもう終わりだっての!死ねや!』 目の前には、エネルギーチャージを終了したヴァルシオン改。ロックオンされている事を知らせる警告音が虚ろに鳴り響く。 (俺…こんな所で死ぬのか…?) これまで、よく持った方だと思う。自分より強い相手と戦うことの方が多かったが、それでもなんとか生き残ってこれた。 だがその悪運もこれまでらしい。絶体絶命、もう助かる方法はない。諦めるしか、ないのか。 (ごめん、ゼオラ…お前との約束、守れそうに…守れ、そうに………) …否。まだ、諦めるわけにはいかない。 自分は見たのだ、あの巨大な戦艦の中で不安そうに辺りを見回している自分の相棒の姿を。 がさつで、乱暴者で、世話焼きで、そして脆い一面を持った自分の姉、守るべきものの存在。 「そうだ…俺は、まだこんな所で終わるわけにはいかないんだ…!動け、動いてくれエピオン!」 何とか上半身を持ち上げようとするエピオンをいたぶるかのようにヴァルシオン改はその身体を踏みつけ、踏みにじる。 「ぐっ!ぐううっ!」 『往生際が悪いっての!サクッと殺してやるから、動くんじゃねぇよ!ヒャハハハハッ!』 「く…くっそおおおおッ!」 目の前の機体がその凶悪な目を光らせ…刹那、閃光と轟音がそれを吹き飛ばす。 『な…何ぃぃぃぃっ!?』 ABフィールドを持っているらしく幾らかは減衰されてしまったようだが、それでもその攻撃は十分な威力を持っていた。 右腕を吹き飛ばされ、肩口から火花が飛び散っている。突き抜けた光はそのまま辺りのビル群を薙ぎ払い、地を抉っていた。 「す…すげぇ…」 呆気にとられていると、あのパイロットとは違う方から通信回線が繋がった。 『そこの機体のパイロット、聞こえますか! 僕はリョウト=ヒカワ!これよりそちらを援護します!早くこの場から離脱してください!』 言いながらリョウトと名乗った少年の駆る白い機体は弾幕でヴァルシオン改の視界を塞ぐ。 「す、すまねぇ!助かるぜ…こちらはアラド=バランガ!援護の申し出、感謝する!」 ダウンしたシステムを一切切り離し、サブカメラに切り替える。多少不鮮明ではあるものの、なんとか視界は確保できた。 「損傷度チェック…よし、まだ動ける! これよりこの場から離脱する!リョウトさんも早く脱出してください!」 『分かりました!…このッ!』 ウイングゼロがビームサーベルでヴァルシオン改の頭部を横に薙ぎ、 よろけた所を至近距離からあの高出力のビームライフルで追撃する。 流石に損傷度が溜まってきたのか、ヴァルシオン改の動きが一瞬止まる。二人には、その一瞬で十分だった。 二機とも即座に高機動形態に変形し、ヴァルシオン改の元から離れていく。 かつては雌雄を決するべく戦った二機が連れ立って飛んでいくその姿の、なんと皮肉なことか。 だがしかし、その事実を知るものはここには居なかった… 【リョウト=ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)  パイロット状況:肉体・精神共に若干の疲労  機体状況:良好  現在位置:C-8→B-8へ移動中  第一行動方針:ヴァルシオン改の索敵範囲外への離脱  第二行動方針:仲間を探す  最終行動方針:未だ決めかねている(恐らくゲームには乗らない?)】 【アラド=バランガ 搭乗機体:ガンダムエピオン(新機動戦記ガンダムW)  パイロット状況:肉体・精神共に若干の疲労  機体状況:頭部破損、それに伴いレーダー類の一部及びメインカメラ使用不能  現在位置:C-8→B-8へ移動中  第一行動方針:ヴァルシオン改の索敵範囲外への離脱  第二行動方針:仲間を探す(ゼオラ優先)  最終行動方針:ゼオラや他の仲間とともにゲームからの脱出】 【テンザン=ナカジマ 搭乗機体:ヴァルシオン改(スーパーロボット大戦シリーズ)  パイロット状況:肉体・精神共に良好  機体状況:右腕を失う。それに伴いディバイン・アームは左手で持つことに  現在位置:C-8  第一行動方針:とりあえず敵を殺す  最終行動方針:このゲームを楽しむ】 ---- | 前回| 第11話「二人のACE ATTACKER」| 次回| | 第10話「[[信頼以上恋未満]]」| 投下順| 第12話「[[駆け抜ける武人]]」| | 第10話「[[信頼以上恋未満]]」| 時系列順| 第12話「[[駆け抜ける武人]]」| | 前回| 登場人物追跡| 次回| | -| リョウト・ヒカワ| 第52話「[[大切な人]]」| | -| アラド・バランガ| 第52話「[[大切な人]]」| | -| テンザン・ナカジマ| 第52話「[[大切な人]]」| ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: