はじめてのアスガル語・その3
リア : Þe ßeh juv. 教師役のリアンチリャインプだ。
ハク : こんちには~。生徒役の稲葉ハクトです。
リア : このアスガル語講座も今回で三回目となったな。第一回の講座はアスガル文字についてだった。ではハクト、前回の講座では何を教わったかね? 内容を端的にまとめてくれ。
ハク : 語順の話だったね。形容詞には二通りの並べ方がある。一つは「形容詞+名詞」、もう一つは「名詞+sa+形容詞」っていう順番。あと動詞は「þe+名詞」で作る。そして文全体は「主語+動詞+目的語」って並ぶ。
リア : ふむ、理論はよく覚えているようだ。では実践はどうかな? というわけで問題だ。
「与える」はla paesという。リンゴはpöpだ。では「ハクトは兎にリンゴを与える」は?
ハク : ええっと、名詞を動詞にする前置詞は前回þeが出てきたけど、laっていうのはþeとはまた違うの?
リア : お、良い所に気が付いたな。アスガル語の動詞には自動詞と他動詞の区別があり、前置詞もそれによって使い分けるんだ。自動詞はþe ~、他動詞はla ~という形になる。
ハク : そうなんだ。って、あれ? þe lüp ~で「~を照らす」だったよね? あれって自動詞だったの?
リア : 自動詞だ。「~を照らす」に違和感があるのであれば「(光が)~に届く」とでも覚えておけ。
ハク : ドイツ語でも「~を助ける」の「~を」がなぜか対格でなくて与格だったりするけど、それと似たような感じなのかな? アスガル語にもそういうのがあるんだね。
リア : そういうことだ。日本語で「~に」なら自動詞、「~を」なら他動詞と決まっていれば話が早いんだが、なかなかそうもいかん。注意が必要だな。
さて、それではそろそろ閑話休題といくぞ。作文の続きに戻れ。
ハク : わかった、続きだね。ええっと、「主語+動詞+目的語」だからFakuto la paes pöp,¨¨ あれれ? 「兎に」ってどういうんだろ?
リア : 「~に」や「~へ」のように「相手」や「目標」を指すときにはviを使う。だからvi laïpで「兎に」になるな。作りかけの文につなげてみろ。
ハク : 英語のto rabbitと同じ語順かぁ。viって前置詞みたいだね~。じゃあ答えはFakuto la paes pöp vi laïp.ってことだね。
リア : おおむね正解だが、あと一つ抜けているものがある。アスガル語は英語とは違い、固有名詞に冠詞が必要なんだ。男性の場合はdoなのでDo fakuto la paes pöp vi laïp.が本当の正解だな。
ハク : 英語だとthe Johnとか言わないのに、アスガル語は違うのか~。って、んにゅ? 男性の場合は? えっと、じゃあ女の人ならどうなるの?
リア : 女性ならdaだ。だから「リアンチリャインプは兎にリンゴを与える」ならDa liäclaïp la paes pöp vi laïp.となる。ちなみに中性はdiとなる。
ハク : ふ~みゅ、「りゃいんぷ、りゃいんぷ」って二回出て来たねえ。
そういえば、リアンチリャインプっていう覚えにくい名前、ひょっとしてそのまんま「白い兎」って意味だったりするの?
リア : (面と向かって人の名前を「覚えにくい」とか普通言うか? まったくこいつは……)
私の名前の綴りはliäc laïpではなくliäclaïpだ。一つの複合単語だな。だから日本語に訳す場合は「白い兎」でなく「白兎(はくと)」とした方が近いだろう。もっとも、そもそも固有名詞を訳すべきではなかろうとは思うがな。
ハク : そうだったんだ~。あれ? それってじゃあ、僕とお揃いだね?
リア : ふむ、そういう事になるかもしれんな。面白いものだ。
さてと、それでは今回の講座はこのあたりで終了としよう。諸君も次回の講座まで復習を怠らないように。
以上、解散。
ハク : みんな、またね~。
リア : Þa lut.
最終更新:2009年11月29日 05:43