はじめてのアスガル語・その4
リア : Þe ßeh juv. Yo taut ßu ok qu? 教師役のリアンチリャインプだ。
ハク : みなさんこんにちは~。生徒役の、可憐な男の娘ハクトです。
このアスガル語講座も四回目まで来たね~。では先生、今日のテーマは何ですか?
リア : 今日は、いわゆるBe動詞について教える。これは、今までの講座で出て来た「前置詞+名詞」という形のものとは違い、単語一つだけで成り立つ動詞だ。
ハク : Be動詞かぁ。そういえばまだだったね~。
リア : 具体例を挙げていこう。例えば「これは兎です」はKu ßa laïp.となる。
ハク : laïpは兎だね、前にも出てきたよ。アスガル語は主語が最初に来るから、kuが「これ」で、ßaがBe動詞かな?
リア : そうだ、ßaがBe動詞にあたる。Ku ßa ket.ならば「これは猫です」だな。
ハク : ketのところに形容詞は来れるの?
リア : その場合はßaではなくßuになるな。Ku ßu vuh.で「これは大きいです」といった具合だ。英語では一つのBe動詞で広い範囲をまかなうが、アスガル語では場合によって複数の動詞を使い分ける。
ハク : 名詞か形容詞かで形がかわってくるのかぁ。めんどうだな~。
リア : 逆に考えるんだ、そのおかげで名詞形と形容詞形が違う語がアスガル語には無いんだと。だからむしろ、楽をする為にある規則だと言えるのではないか? それにある程度言語に習熟してくると、意味の広い語の方が余程面倒に感じるようになる。
ハク : ものは言いようって気もするけど…… (- -;
まあいいや。え~っと、他にもそういうバリエーションはあるの?
リア : アスガル語で「その単語だけで動詞」となる物は全部で五つ。具体的にはßa、ßu、ke、te、tuだな。
ハク : 英語だと同じBe動詞なのに、5つも!? っていうか、Be動詞の意味にそんなに色々とあったかなぁ……?
リア : 説明の便宜上「Be動詞」という語を例えに使っているが、これら5つの語の守備範囲を合わせたものと、英語のBe動詞の守備範囲が同じであるわけではない。単に5つの重要単語を覚えるつもりでいれば構うまい。どれもそれほど複雑な用法ではないし、すぐに覚えられるだろう。
ハク : まぁそうだね、まずは具体的な使い方を聞かないと。ええっと、ßaとßuはわかったから、その次のkeっていう動詞の使い方から教えてよ。
リア : keは「いる、ある」を表わす動詞だ。例えばFe ke mais.で「彼女は家にいます」となる。
ハク : 「彼女」がfeで、「家」がmaisか。そして「~が…にいる」が~ ke …と。これって英語にするとShe is at home.とかそんな感じだよねぇ。なるほど、たしかにこれもBe動詞だ。って、あれ? このatを訳した言葉はいらないの?
リア : 要らない。ke ~だけで「~(という場所)にいる」という意味を含んでいるからな。
ちなみに、このatのように場所を表わす前置詞をアスガル語ではböという。今は覚えておく必要は無いが。
ハク : ke ~で「~にいる」と。うん、覚えたよ。じゃあtuっていうのは?
リア : tuは英語的な感覚ではBe動詞と呼びづらい面があるな。日本語の「~は…です」と訳す分には問題無いんだが。
ハク : んみゅみゅ~? どういうこと?
リア : そうだな、例えば何人かで食堂に出掛けたとしよう。そこに知人が現れ、何を頼んだのかを聞かれた。ハクトは「僕はウナギだよ」と答えた。……どうだ、何か不自然な点はあるか?
ハク : 不自然な点? 別にどこにも無いと思うけど……
リア : ではその知人が英国人だったとしよう。ハクトは先程と同じ流れでI'm an eel.と答えた。これならどうだ?
ハク : それは明らかに変だよ~。だって僕、ウナギじゃないもん。
リア : ほほう、どうしてだね? 先程は「僕はウナギだよ」という台詞は不自然ではないと言ったではないか。 (・∀・) ニヤニヤ
ハク : え、え~とそれは…… う~ん、よくわかんないけど、日本語と英語は違うの! それでいいじゃない。
リア : ふむ、まあ確かにこの際、理由はどうでも良いな。問題は「違う」という事をちゃんと認識出来ているか否かだ。
ハク : あ、そうか…… ひょっとして、そういうこと?
リア : その通りだ。tuはこのように、日本語の「~は…です」とは訳せるが英語のBe動詞では訳せない場合に用いる。例えば先程の「僕はウナギだよ」はJa tu quih.となる。
ハク : jaが「私」で、quihが「ウナギ」だね。そして、「Ja tu quih.=私はウナギです」ではあるけれど、「Ja tu quih.=I'm an eel.」ではない、と。
リア : そういう事だ。こういう文を「ウナギ文」と呼ぶ。私が勝手に名付けたわけではないぞ。
ハク : へぇ、ホントにそんな名前がついてるんだ。面白いねぇ、後でグー●グル先生にきいてみようっと。
さ~て、じゃあ残ったのはteかな。いよいよこれで最後だねぇ。
リア : これも英語のBe動詞では訳せない語だな。むしろ代動詞のDoに近いかもしれん。具体的には「前述の動詞を受けて同じ内容を示す動詞」だ。日本語に訳す場合は「そうする」あたりが近いかな。
ハク : じゃあ、例えば誰かの「私は海に行く」という台詞に続けて「僕も」っていう場合はJa te.だけでよかったりするの?
リア : そうだな。Ja þe vët naëc.に続けてJa te.と言ったとした場合、teが直前のþe vët naëc(=海に移動する)を受けたと解釈すれば、それだけで充分に通じる。
ハク : すると、英語だとどっちかっていうとMe too.みたいに訳した方がいいのかな? こっちは動詞じゃなくて副詞だけど。
リア : 状況によるが、そういう場合も少なくはなかろう。だがそうだな、具体的な使い方は、一通り基本的な文法を済ませてからまた教えるとしようか。今回はこのあたりで講座を終えておこう。
ハク : わかりました~。お疲れさま。
リア : それでは諸君、次回の講座までに怠らず復習を済ませておくように。
以上、解散。
ハク : それじゃーまたね~、バイバ~イ!
リア : Þa lut. Ju þa koetceov.
最終更新:2009年11月29日 06:15