99 名前:70[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 19:05:22 ID:x9OtmoGB
栄おばあちゃんのお葬式が終わった、次の日。
お母さんがたはご飯を作り、男連中は葬式の片付けをしていた。
子供達は了平と佳主馬が一緒に野球をしている。
健二は野球か片付けかどちらでも良いと、言われたが自分から片付けを手伝わせて、と言った。
送られて来た花を片付ける健二。
しかしその量の多さに体はすでにヘトヘトだった。
つい、縁側に座ってしまった。
「よう健二。大丈夫か?」
「あ、将太兄ぃ。まあ、なんとか・・・。」
「じゃあサボってんじゃねえよ。さ、動いた、動いた。」
勘弁してくれよ。
とか思いながらも、なんとか立ち上がる。
と、そこで携帯が鳴った。
表示される名前を見る。
佐久間だ。
ラッキー。
ありがとう、佐久間!
将太兄ぃに、電話だと教え、また縁側に座る健二。
昨日、夏希先輩にキスされてから、将太兄ぃはどこか、健二に優しくない。
怒ってんのが見え見えだ。
そして電話に出る健二。
101 名前:70[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 19:27:00 ID:x9OtmoGB
「何?佐久間。」
「よう。モテモテ数学オリンピック代表(なりそこね)。」
「うるさい。なんの用だよ。」
「愚痴りたくてさ。こっちは大変だよ。アバター盗られた奴が、どうやったら戻ってくんのかって、相談殺到。お前の婚約者さんが全部取り戻してくれたってのに・・・。」
「こ、婚約者って!」
「実際そんなもんだろ?で、どうなんだ?もうヤったのか?」
こいつ!いきなり何を!!
「んなこと出来るか!親戚さんがいっぱい居るのに!」
「そんなこと言ってたら、何時までたっても童貞のまんまだぞ。キスしたんだから、次まで行っちゃえよ。」
「キスって言ったって、頬っぺたにチュッってやられただけだし・・・。」
「じゃあ、次はちゃんとキスだな。」
「だから無理だって!!」
その時だった。
「何が?」
「夏希先輩!?」
104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 19:43:50 ID:x9OtmoGB
「お?夏希先輩、そこに居んのか?そりゃすまん。邪魔したわ。んじゃ。」
「ちょっ!待て!佐久間!!」
プツッ。ツーツー。
切りやがった。
後ろからやってきた夏希先輩。
健二の隣に座る。
ち、ちかい・・・。
「電話。佐久間君だったんだ?何話してたの?」
「いえ。何も・・・。」
近寄ってくる夏希に、逃げるように体の向きを変える健二。
「本当に?結構声大きかったよ。」
マジかよ。我ながら不覚・・・。
「まあ、何でも無いんなら別に良いけど・・・。それでさ、暇ならちょっと手伝ってくれない?」
「あ、別に良いですけど。」
「そっ?じゃあ、一緒に来て。」
がしかし将太兄ぃがめざとく聞きつけやってきた。
「俺も手伝うぜ!夏希!」
「あー。ゴメンね。将太兄ぃ。募集人員、一人なんだ!」
105 名前:70[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 20:29:14 ID:x9OtmoGB
遅くてすいません。
↓本編
夏希先輩に連れてこられた場所。
そこは母屋から離れた倉のような場所だった。
手伝って欲しいこととは倉の中の物を取って欲しかったらしい。
高くて取れないらしい。
背伸びをしてなんとか取れないらし取る。
取ったものを先輩に渡す。
すると先輩はちょっと目を伏せ、申し訳無さそうに呟いた。
「ゴメンね。こんな事、手伝わせちゃって・・・。」
いきなりどうしたんだ?
「何、言ってんですか!全然大丈夫ですよ!」
「そう?元はと言えばあたしが健二君をバイトに誘っちゃったばっかりに・・・。」
「本当にどうしたんですか?楽しいですよ、ここの生活は。親戚の方達も皆楽しくて良い人ばっかりだし・・・。」
「本当に?迷惑じゃない?」
「はい。全然迷惑じゃありません。さっきからそう言ってるじゃないですか~」
夏希先輩の顔はすでに泣きそうだ。
106 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 21:49:57 ID:x9OtmoGB
「あの、先輩。本当にどうしたんですか?泣きそうですよ。」
夏希先輩が顔を上げて健二の目を見つめる。
その余りの可愛さに健二の下半身は見事に反応した。
「健二君・・・。私の事・・・・。好き?」
その時、健二の鼻から真っ赤な液体が噴水のように飛び出る。
慌てて鼻を抑える健二。
夏希先輩もビックリして、思わず駆け寄り鼻を抑える。
「何でそんな事聞くんですか?」
持っていたティッシュを鼻に積み込みながら聞く。
ピタッと夏希先輩の動きが止まる。
何かを考えているようだ。
しばらく黙っていた。
そしてゆっくりと喋り出した。
「私ね・・・。」
107 名前:70[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 22:44:17 ID:x9OtmoGB
話し始める夏希先輩を見つめる健二。
「私、いろんな人から告白されるの。同級生、先輩、後輩、本当に色んな人から・・・。でね、たまに付き合ってみるんだけど、皆、私の家族の話を聞くと別れちゃうの・・・。」
ゴクッと唾を飲み込む健二。
「特におばあちゃんの話になると皆怖がるように逃げてく。だからね、私、おばあちゃんをそういう人達に会わせてみたかったの。本当はとっても優しいおばあちゃんなんだって。」
言葉を探すように喋る夏希先輩。
そんな先輩を健二はただただ見つめることしかできなかった。
「そしたらおばあちゃんの調子が悪いっていうから、つい彼氏を連れてくって言っちゃって・・・。それで健二君をここに連れてきて・・・。健二君はとっても良くしてくれた。親戚の皆の事も認めてくれた。私の事も大好きって言ってくれた。」
昨日頬っぺたにキスされた事を、思い出しまた鼻血が出て来そうになった。
109 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 23:48:13 ID:/WVRTbJG
書き手の文章を消費してるだけの身で注文をつけるのは心苦しいのだが
最後まで書いてから載せてくれ。これでは生殺しだ
110 名前:70[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 00:27:26 ID:FkVie8J7
「でもね、それが逆に健二君に迷惑かけてんじゃないかな?って・・・。気を使ってくれてるんじゃないかな?って・・・・。」
しんみりとした倉の中。
なんて声をかけていいかわからない。
こういう時、己の恋愛経験無し=年齢を呪う。
「あの、先輩・・・。」
「だから!迷惑だったら言って!帰りたかったら帰っても良いんだよ?」
「先輩・・・・。」
「私なんか好きじゃないよね?昨日、大好きって言ってくれたのは、皆に無理矢理言わされたからだよね?もう!私ったら!」
「先輩!!!」
無理矢理肩を掴んで、こっちを振り向かせる。
「なんか勘違いしてるみたいですんで言います。僕があのバイトを受けたのは先輩だったからです!学校一のマドンナって言われてる先輩と旅行してみたかったからです!」
もはや嫌われても良い。
「最初はいきなり恋人役なんて面倒くさいと思いました。たくさんの人と話すのは慣れてなかったし、それに嫌でした。」
「でも親戚の皆さんと話してて、親戚の皆さんと食卓を囲んで、栄おばあさんとも花札をして、佳主馬君たちとOZを救って、こんなに人と接することが、家族とのふれあいが楽しいんだって。」
「それを分からしてくれたのは、先輩です。先輩が僕を変えてくれたんです。」
一気に喋ったので一呼吸置く。
ティッシュが取れて鼻血がたれているのが分かるが、そんなこと気にしない。
とにかく健二はこの想いを伝えたかった。
「僕は、先輩が、いえ、夏希さんが好きです。大好きです。」
今ならいける。
健二は夏希に顔を近づけ、そして、
キスをした。