201 名前:わびなつ 1[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 16:37:38 ID:/d7EthwW
俺が、この夏に抱いてきた希望。

それは、大切なあの人の喜ぶ顔が見たいという願望。あの人の笑顔は、俺にとっては夏の太陽程の眩しさを持っている。

たった一人で、たった一人のために。

あの人の元を離れ、遠い遠いあの地で必死にやってきた。
やっと夏に来るあの日の前にその光を掴み取る事が出来た。

十年かかった。時が立ちすぎて、もう俺の居場所が無くなっていたなんて…その時の俺には、知るよしもなかった。

婆ちゃんが、俺を笑って迎え入れてくれると思っていたから。

婆ちゃんが、俺を認めてくれると思っていたんだ。
他の奴らなんかどうでもいい。ただ、婆ちゃんにだけは。……俺を見て欲しい。

わかって欲しかった。

「………あんだけ怒鳴り付けれた人間がよくもまぁ、糸の切れた人形みてぇになれるよな……」

もう二度と笑顔を作る事の無いその人の傍で、ただボソリと呟いた。

俺がここに戻って来た理由。

婆ちゃんに、怒鳴られるためじゃねぇ。
婆ちゃんに、刃を向けられるためじゃねぇ。
婆ちゃんを、失望させるためじゃねぇ。
婆ちゃんと…お別れするためでもねぇ。



……………………祝福。

花束くらい、持ってくりゃ良かったんだ。



202 名前:わびなつ 2[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 16:42:14 ID:/d7EthwW
…今日はいろんな事がありすぎて、何が起きて何をしていたのか、ある程度落ち着いた今になって振り返ってみても、ほとんど覚えちゃいない。
他の奴らは、やれあれをしよう、これをしようと口々にしながらせかせかと足を動かしている。
どいつも自分にやるべき事を理解し、何をどうすればいいか考えながら、一生懸命役割を果たしているんだろう。
目的を失った俺は、奴らの中に入っていく気力もなかった。

………婆ちゃんにたくさんの愛情を注いでもらっていた奴らの中に、俺が入っていけるワケねぇんだ。

「おじさん、やっぱりここにいたんだ」

襖の開ける音に気付き視線を動かせば、遺体の傍に座っていた俺を見つけ、笑顔を見せる夏希がいた。

「よぉ、夏希。どうした?」
「えへへ、ちょっとね」

白いポロシャツにチェックのスカート姿の夏希は、俺からの挨拶に答えつつ俺の隣に腰掛け、両膝を抱えこんだ。

「…他の奴らはどうしてる?」
「おじさんおばさん達は明日のお葬式の用意で大忙しよ。でもね、やらなきゃいけない事はもう大体済ましちゃってるんだ。」
「へぇ」
「私も手伝ってたんだけど人手は充分足りてるから、夜も遅いし部屋に戻りなさいっておばさん達に言われちゃった」
「ああ、そうか。そりゃ人数はいるんだから、粗方の仕事は手っ取り早く片付けられるよな…」
「もうっ他人事みたいに!おじさんにも手伝ってってちゃんと言ってたじゃない」
「ん?悪いな記憶に無い」
「もーっ!!」

夏希がぷぅっと頬を膨らませながら俺の肩を小突いた。思わず顔が笑ってしまう。



203 名前:わびなつ 3[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 16:44:45 ID:/d7EthwW
「大体お前、彼氏はいいのか?他の男と密室で二人きりだって知ったらあいつ泣くぞ、多分」

「…二人きりじゃないじゃん」

夏希が婆ちゃんの方に視線を向ける。
つられて、俺も顔を前に向け婆ちゃんを見つめる。
安らかなその顔は、本当にただ、眠っているだけの様に見えた。
「…だから部屋に戻る前におばあちゃんに会いに来たの」
そうか、と一言だけ返す。正直、今は婆ちゃん以外の誰かが俺の傍にいるのが気に入らない。
婆ちゃんに愛されてきた人間。視界に入るだけで、ざわざわと頭の中が騒がしくなる。特に夏希、お前は特別なんじゃないか?

黒い瞳には太陽の光を反射している様に、目映い光が射し込んでいる。
その輝きを持った眼差しは、あの人のそれとよく似ていて。

……………落ち着かない。足を何度も組み換え、出ていこうかとも思い腰に力を入れた時だった。

「…………おばあちゃんとの思い出、たくさんあるよ」

不意に夏希が口にした。なんだ?と聞き返す間も無くぽつりぽつりと夏希が続ける。

「……おばあちゃんから朝顔の柄のね、浴衣貰ったんだ。お祝いだって…嬉しかった」
「…………」
「それにね。みんなでご飯食べてる時もおばあちゃんが何か一言でも言えば、みんな一斉におばあちゃんの方を向くの。当主の威厳よね、凄いなぁ」
「…………」
「私、おばあちゃんの孫で良かった。じゃなきゃあんな素敵な人、滅多に出会いそうにないもの」
「…………」
「喜んで欲しかったの」



204 名前:わびなつ 4[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 16:48:15 ID:/d7EthwW

いつの間にか、夏希の目には涙が浮かんでいた。滲んだ黒い瞳から、つぅっと一粒零れた。

「いろんな思い出、たくさんたくさんもらったの。たくさんたくさん、おばあちゃんにお礼がしたかったの」

表情を歪め、泣き崩れる夏希。手で何度も涙を拭うが、流れる涙に追い付けない。
ついには顔を両手で覆い、嗚咽を漏らす。

………健二君とかいったか。あいつなら、夏希の涙を止める術を知っているかもしれないが…。

俺にはどうする事も出来ない。
頭を撫でてやる?手を繋いでやる?適当な事を言って慰める?
俺らしくねぇよな、そんなの。
「…………っだけど、良かった…」
夏希が顔を上げ、俺を潤んだ瞳で見つめる。その瞳には、白い顔をした俺の姿が映っていた。

「おじさんが、ここに戻って来てくれて」

頭の中に、夏希のその言葉が響く。胸が何か、どす黒いものに染まっていくのが分かる。
「なんでだ」
「えっ?」

考えるより先に、自然と口にしてしまった。しまった、と思う。疑問を口に出してしまえば、抑えられていた感情が体の奥底から溢れかえってしまうから。
考えないようにしていた。他人がいる前で口にするなんてもっての他だ。頭の中を空にしていなければ耐えられそうにない、その感情。
特に夏希、お前だけには知られたくない。



205 名前:わびなつ 5[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 16:51:27 ID:/d7EthwW

「俺が戻って来て何が良かったんだよ」
勝手に唇が動いてしまう。止めようと思っても、止まらない。体もまるで動かない。
力が入らない。

「俺の居場所なんてどこにも無かったじゃねえか」

夏希は呆然としたまま、こちらを見ている。
「俺見て婆ちゃんが喜んでたかよ」

流していた涙は既に止まっている。

「他の連中なんか、明らかに俺を疎ましがってたじゃねぇか」

おじさん、と夏希が小さく呟く。

「婆ちゃん殺したの、殆ど俺のせいじゃねぇか!!」

俺は怒鳴り散らした。夏希が怯えているのが分かる。でも、止められそうにない。

「夏希」

名前を呼ばれ、夏希の肩がびくりと揺れた。
「夏希」

手を伸ばそうとすれば、夏希は座ったまま後退り、俺から離れようとする。

逃げた?
こいつ………俺から逃げんのか?

「おいっ、待てっ!!」
「痛っ!!」
がしっ、と夏希の白い腕を掴み寄せる。
腕の力の加減が効かない。みるみる打ちに、掴んだ部分が指の形に赤くなってゆく。



206 名前:わびなつ 6[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 16:52:39 ID:/d7EthwW


「おじさん、待って、落ち着いて」
「夏希、夏希お前だけなんだ」
「ねぇ痛いよ、手を離して…」
「お前、俺見付けた時すぐ駆け寄って来てくれたじゃねぇか」
「…おじさっ…!!」

体制を変え、そのまま夏希を押し倒す。その上に覆い被されば、夏希の顔がすぐ傍にある。
「っひ!!」
涙の後が残る頬に、べろりと舌を這わす。

「何するの…?ちょっと待って!!」
「受け入れてくれんの、お前だけなんだよ」「嫌!!」
「…黙ってろ」
「っ…………!」
騒がれてしまえば聞き付けた誰かがすぐここに来る。片手で夏希の口を塞ぎ黙らせる。

空いた片手で夏希の腕を抑え付ければ、夏希の細い筋肉に力が入っているのが分かった。それでももがく夏希に、もう一度顔を寄せ囁く。

「寂しいんだよ」

ぴく、と一瞬、夏希の抵抗が止んだ。

「………寂しいんだ」


207 名前:わびなつ 7[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 16:57:13 ID:/d7EthwW
もう一度頬を舐めあげれば、涙のしょっぱい味と、別の何か粉っぽい味がした。

「………お前化粧してんのか?まだ子供のくせに、色気づいてんなぁ。」
「…………」

抵抗を無くした夏希の腕から手を離し、服の中に手を差し入れ、細いなよやかな体を好きに触る。さらさらとした感触は、夏希がこの状況においても、まったく汗などかいていない事を俺に教えてくれる。

「ま、乳はでっかくなったけど」

夏希の胸に手をやれば、刺繍の施されたブラの感触と、その下の乳房のやわらかさが伝わってくる。
「………んん…」
夏希の耐える声が漏れる。
ブラごと乳を撫でまわせば、ブラも動いて邪魔をする。やっぱりこれは邪魔だ。
どうやらフロントにホックが付いているタイプのモノだ。なんとか片手でホックをぷち、と外し、邪魔なカップを脇の方にやる。

「……………!」

ブラに保護されていた乳頭が布に擦られ刺激され、ぽつ、と立っている。

「…ん、んん!!」
首を横に振り乱し、夏希が止めて、と目で訴える。散らばった黒く長い髪が肌の白さをより引き立たせる。
差し込んだ手で生乳を掴む。むにっ、と柔らかい乳房は、汗ばんだ俺の手に吸い付き、指を沈めた部分に合わせて形をかえてゆく。

「…んっ、くっ………」
夏希の顔にキスの雨を降らしてゆけば、閉じられた瞼の下から、じわりとまた涙が滲んでゆく。またそれはぽろ、と横に伝い零れた。



208 名前:わびなつ 8[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 17:00:00 ID:/d7EthwW

「んぅっ!」
頭を胸の位置に下げ、片方の乳に服越しに吸い付いた。乳房の先を大きく頬張り、舌を使い唾液を染み込ませてゆく。
「…んふ、んっ………んん…」
濡れてゆく生地に舌を這わせ、押し付ける。すればぴったりと引っ付いた生地に乳首の形が尚更浮き出て輪郭を露にする。
はぁっ、と熱を帯びた息を胸先にかければ、びくん、と夏希の体が反応し、乳房が上下にふる、と揺れた。

「なぁ夏希、もうあの彼氏とはヤッたのか」
口を塞いでいるんだ。返答は期待してない。ただ夏希は首を横に振るだけだ。
それが、問いに対するものなのか、それともこの行為に対してなのか。
「まぁ、どうでもいいけど」

膝を夏希の股に滑らせる。ぐいっ、と夏希の股関を膝で擦る。夏希の伸ばした膝がびくっと跳ねる。

掴んだ手で乳を揉みしだきながら、開いた襟元から露出している座骨に唇が吸い付く。
その時だった。

「…………」
夏希の唇が俺の手の下ではっきりと動いた。「………なんだ?」

この様子じゃ、叫ぶ気力も無さそうだ。
手の平をそっと口から離してやる。

「………もうやめて」

夏希が息を上げながら強い口調で言い放つ。
「今更?…いいじゃねぇか俺の事好きだったんだろ?」
「やめて!…何考えてるのよ、おばあちゃんの目の前で!!」



209 名前:わびなつ 9[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 17:02:29 ID:/d7EthwW


瞬間、俺の視界が真っ白になった。組み敷いた夏希も見えない。何も聞こえてこない。別の世界に連れて来られた様な気がした。

不思議で、頭だけを動かした。


…………横たわった婆ちゃんが、こちらに顔を向け、あの時と同じ視線を寄越していた。俺の方を、何か言いたげな表情で。何も口にせずに。

「………………………婆、ちゃん」

信じられない。蛇に睨まれた蛙の様に、まったく体が動かない。金縛り、そうとも言える。婆ちゃんが目を開けるのを望んでいたのに、胸には悲しみだけが拡がった。

「おじさん、わたしね」

はっ、と現実に引き戻される。婆ちゃんは顔を上に向けたまま、目を閉じ続けている。
視線を下に向ければ夏希の顔がある。
「私、ここに来たのはね、おばあちゃんに話したい事があったからなの」

組み敷かれているにも関わらず、先程まで凌辱されていたにも関わらず、いつもの黒く澄んだ瞳があった。

「これは、おばあちゃんにも、……おじさんにも伝えていなかった事」

その瞳に見詰められ、言葉が出ない。

「私、健二君の事が好きなの」



210 名前:わびなつ 10[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 17:04:58 ID:/d7EthwW

「……………」

「おばあちゃんが生きてる内には、芽生えてはいなかった感情。……だから、おばあちゃんに、伝えられなかったから」
「……………」
「それを伝えに、この部屋に来たの」
「…………」
「今…今私が一番好きな人は、…健二君なの」
「…………」
「だから、おじさん。おじさんには私抱かれない」
「…………」
「…淋しいかもしれないけど、ごめんなさい」
「…………」

何も……思い浮かばない。何も思い付かない。何も…考えられない。

ぽた、と夏希の頬に雫が落ちる。
夏希の涙とは違う。俺の流した涙だ。
今更気付いた。

俺は………泣いているのか。
なにを…………やってるんだ。

「だけど、おじさん」

夏希が、柔らかな声色で俺の名を呼ぶ。

「おじさんが一番好きなのは、おばあちゃんよね?」

夏希の、あの日射しを移したような光を宿した瞳に、涙を流す俺が映っている。

「…おじさんにもね、伝えていない事があるの」



211 名前:わびなつ 11[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 17:08:51 ID:/d7EthwW


その柔らかく、真っ直ぐなその瞳は。

「おばあちゃんはね」

俺の大好きなあの人と同じものだ。

「おじさんの事、本当に大好きだったのよ」

「………………っく…」

嗚咽が漏れる。

「だけど、おばあちゃん、その事おじさんに喋れなかった。おじさんも、おばあちゃんに言えなかった」

「……あ、……ああっ……」

「寂しすぎるから、そんなの」

夏希と、あの人の姿が重なる。

「……泣いていいんだよ。今だけ、私の胸で良ければ、…………必要として」

「……………っうあああああ!!」

夏希の胸にすがり付く。恥も忘れ、ただ大声で泣きじゃくる。
子供の頃だったら。こんな時。

大声をあげて泣いている俺の声を聞き付けて、早足で婆ちゃんが俺の傍に駆け寄ってきてくれた。
泣いている俺を胸に抱いて、優しい言葉をかけてくれる。

泣くんじゃない、男の子だろう?

そう言ってくれれば、俺はすぐ泣き止んだ。……でも婆ちゃん、すまない。

今は、今だけは。許してくれ。




212 名前:わびなつ 12[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 17:12:52 ID:/d7EthwW


「ぁぁぁぁ、うぁぁぁぁっ…!」

夏希の手が、俺の頬に添えられる。泣いていい、と小さく頷く。まるで婆ちゃんにそう言われている様に感じた。

なぁ、聞こえてんだろ、婆ちゃん。

俺、こんなに泣いてんだ。だから、今すぐ、………目を開けてくれ。

まだ話したい事があるんだ。
謝らなきゃいけないんだ。
感謝の言葉も伝えたいんだ。

生きていてくれたら。例え、足腰も弱くなって、立ち上がるのも大変だったとしても。

───それなら、俺がその手を取って。

ずっと傍に、いるつもりだった。


夏希の胸に、いくつもの染みが出来る。

熱い涙は、止まらなかった。

夏希の腕が、俺の頭を抱いた。
頭の上から、静かに泣く夏希の声がする。

その泣き声は、夏希の中の、何よりも綺麗な声なんだな、と頭の片隅で思っていた。

213 名前:わびなつ 後日談[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 17:15:26 ID:/d7EthwW

きっとこれはただの後日談。


お葬式の会場に、侘助さんの姿はありませんでした。
やっぱり、罪の意識が強いのか。悲しみの顔を見せたくないのか。

確か、昨日のお通夜にはいたと思うけれど…でも誰も話しかけれませんでした。
どんな言葉をかければいいのか、皆分からなかったのです。

出棺の時、朝顔の浴衣を羽織った夏希先輩が、下駄をカラコロ鳴らしながら走りにくそうに駆け寄って来ました。

「待って!!」
「な、夏希先輩どうしたんですか?」
「あのね、健二君……」

はぁはぁと息を切らす夏希先輩のその後ろに、みんなが一斉に顔を向けます。

栄お婆ちゃんの棺に蓋を締めようとしたまま、おじさん達がぱちくりと目をはためかせました。
「…………侘助」
「よぉ、悪いな」

ばさ、と手にした花束を肩に掲げた、侘助おじさんがいました。
大きな向日葵を何本もまとめて作られた花束は、侘助さんの色の濃いシャツに、よく映えていました。

「ああ、健二君」
僕の姿を見付けると手を上げ、頭を下げてくれました。
「……夏希の事、よろしく頼むぜ」
「えっ………!!」

後ろでウヒョー!と歓声が上がります。僕は、恥ずかしかったけど。
「はいっ!!よろしくお願いします!」
大きな声で、空にも聞こえる様に答えました。
「ああ。お前ならできるよ」
にっ、と笑う侘助おじさんがその後に胸が小さいが悪く思わないでくれ、と続けると夏希先輩がもうっ!とおじさんの背中を叩きました。



214 名前:わびなつ 後日談 2[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 17:17:28 ID:/d7EthwW


そして侘助おじさんが、おばあちゃんの棺の元へ向かいます。

侘助おじさんの頭のすぐ横に向日葵の花が合って。その後ろ姿はまるで、侘助おじさんが向日葵を抱き締めている様にも見えました。
*****************
「………婆ちゃん、待たせたな」

お祭り騒ぎでみんなに見送られるなんて、ほんと婆ちゃんらしいな。
抱えた向日葵を、婆ちゃんの胸の上に置く。
今の俺に出来ること。
何もかもが遅すぎて。
侘びの言葉も。
感謝の言葉も。
もう二度と、伝えられないというのなら。
僕から。
貴方に。
祝福の意も込めて。




……………せめて最後に、花束を。



おしまい

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最終更新:2009年08月17日 22:26