485 名前:しょたえろ1[sage] 投稿日:2009/08/31(月) 12:02:06
ID:???
何でこんな状況なんだろう、と僕の下で唇を噛み締める佳主馬くんを見下ろして考える。
頭のなかがぐちゃぐちゃでぐるぐるで、冷静に物事を考える事が出来そうにない。
佳主馬くんの首筋って色っぽいなぁとか、日焼けの跡がちょっとエッチだなぁとか……そ、そんな事を考えてる場合じゃないってば、僕!
「……胸、痛いから。手ぇどけてよ」
佳主馬くんが呻く。
「わわっ……ごめん、その、わざとじゃなくて、えと……」
「分かってるから。どいてって」
「う、うん」
某大ヒットアニメの1シーンみたいに、佳主馬くんの胸に思い切り手をついて押し倒してしまった僕は、あわてて佳主馬くんの上から飛びのいた。
相当勢いついていたから、アザくらいにはなっちゃってるかもしれない。
佳主馬くんは苦々しげに顔を歪めて、胸を押さえて俯いている。
すっごく、気まずいんだけど……。
486 名前:しょたえろ2[sage] 投稿日:2009/08/31(月) 12:06:05 ID:???
「本当ごめんっ! アザとか、なってないよね?」
「大丈夫だよ」
なんていいつつも、佳主馬くんは全然平気じゃなさそうで、冷や汗なんか垂らしてて……。
ど、どうしよう?!
佳主馬くんに怪我なんてさせたら、何て言われるか……夏希先輩に合わせる顔だってない。はなってないみたいだ……けど。
うーん、なんだろう。何だか違和感が……あ、あれ?
「か、佳主馬くん、胸がっ!」
「……だからイヤだって言ったじゃん」
拗ねるように言って、佳主馬くんは背中を向けてしまった。
さっきなんかよりもずっと、僕は混乱していた。
佳主馬くんは男の子だ。なのに、なんで。
胸が――あった。
あるって言っていいものか分からないくらい小ぶりだけれど、たしかにそれは胸だと認識できるほどのもので……
な、なんで? どうして? 実は佳主馬くんは女の子だったとか?!
だとしたら僕、なんてことを……っ!
「なんか変な勘違いしてるみたいだけど、違うからね」
真っ赤になっておろおろしている僕をちらりと振り向いて、佳主馬くんは言った。
だ、だよね! 身体つきとか、まだ丸みを帯びてるって言っても筋肉もちゃんとついてて男の子だったし! 腕とかわき腹とか腰とか、すっごい綺麗でしなやかなラインで……って、僕はまた何を考えてるんだっ
487 名前:しょたえろ3[sage] 投稿日:2009/08/31(月) 12:13:39 ID:???
「……気持ち悪い?」
「えっ?」
「思春期にはこうなる事あるらしいけどさ、やっぱり……」
ほんの少しだけ、掠れた声だった。
思春期にホルモンバランスが崩れて一時的になってしまうものらしいけど、佳主馬くんは相当気にしているみたいだった。
何しろ僕にはその経験がなかったから何て言ってあげたらいいかもわからないし、慰める言葉も何も浮かんでこない。
プライドの高い佳主馬くんのことだから、下手な言葉をかけたら怒らせたり余計に傷つけたりしそうだし、ああっどうしよう。数学チャンピオンになりそこねた、ことしか特徴のない僕にはこんな時に何て言ったらいいか分かりません!
「そう、だよね」
黙ったままでいる僕の様子に勘違いしたのか、佳主馬くんの声のトーンがいっそう低くなる。
「き、気持ち悪くなんてないよ!」
「……ほんと?」
「本当だよ! 佳主馬くんの事を気持ち悪いなんて思うはずがないし、それにさっきだってちょっと興奮しちゃったくらいでっ! むしろ触ってみたいとか思っちゃったり……も……」
と、そこまで言って佳主馬くんがちょっと引いてることに気づく。