55 名前:オナニー指導1/9[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 02:07:45 ID:???

「ぜったい行かない」

佳主馬くんの断固とした拒否の声が、角のところで聞こえた。
日も暮れかけた今、僕は着替えを持って居間…だった場所に
集合しようとしていたところだ。
あらわしが落ちて(幸いにも怪我人はゼロとは言え、家は酷い有様だ)
屋敷の被害を確認したところ、どうやらガス関係がやられていたらしい。
台所も使えないし(たとえ無事だったとしても、ご飯を作る気になんて誰もなれなかっただろうけど)、
お風呂にも入れない。
みんな埃まみれで疲れ切っていた時、街の方まで降りていこうと誰かが言い出した。
皆で銭湯に入って一日の疲れを流して――その後、陣内家ご用達の、
ちょっとお高めの小料理屋さんでご飯でも食べて疲れを労おうじゃないか、ということになった。
僕もありがたくご相伴に預かることにして、
いそいそと着替えを持って(僕が使わせてもらっていた部屋も砂埃がひどかった)
戻るところだったんだけど。
薄明かりの廊下で、佳主馬くんと聖美さんが何事か言い争っていた。
お腹の大きな聖美さんが佳主馬くんに着替えらしき荷物を渡そうとすると、
佳主馬くんが腕を組んでぜったいに受け取らないと意思表示する。
佳主馬くんはとっつきにくそうに見えて(ごめんね)、
本当はお母さん想いのいい子だということは短い付き合いでよく分かっていたので、
その佳主馬くんがお母さんに困った顔させるなんて、
これは相当の事態じゃないのかなと思った。


56 名前:オナニー指導2/9[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 02:09:09 ID:???

「佳主馬くん、どうかしたの?」
親子喧嘩(というほどでもないけど)に口を出すなんて、
数日前の僕ならぜったいにしないだろう。
嫌なところ見られたという顔の佳主馬くんと、あら助かったという顔の聖美さんがいっぺんに僕を見た。

「もう、この子ったら行かないってワガママ言うのよ」
「ワガママじゃない」
「健二さんからも何とか言ってやってちょうだい」
「お兄さんには関係ないでしょ」
「埃まみれの汗まみれで、お風呂に入らないなんて汚いでしょ」
「別に入らないなんて言ってない。水が出るんだから十分」
「あなた碌に乾かさないんだからダメよ。何でそんなに行きたくないの?大きいお風呂、気持ちいいわよ?それにご飯はどうするつもり?」

僕は仲裁するつもりで声を掛けたにも関わらず、
情けないことに一言も挟むことも出来ない。
ただおろおろと視線を2人の間を行ったり来たりさせるだけだ。
しかし佳主馬くん、残念だけど君の分が悪い。
矢継ぎ早に行くべき理由を述べられ、佳主馬くんが窮地に陥った時。

「あれ、まだ用意してないの?」

万作さんが通りかかった。
困った顔の聖美さん、むっと口を結んだ佳主馬くん、
そして2人の向こうに突っ立っている僕を見て、不思議そうに首を傾げた。
墜落の衝撃で眼鏡が少しずれて、酔っぱらっているみたいに見える。
「ほらほら、さっさと準備する。おじさんが息子の成長具合を見てあげるから」
そう言って佳主馬くんの肩にぽんと手を置いた。
意味が分からなくてぽかんとする僕ら3人に、「あれ、分かりづらかった?」と
よせばいいのに万作さんが頭を掻きながら続ける。

「息子さんの息子の成長具合を…ね?」

万作さんはうひひひ、と笑うと、下の毛がどうとかいった下品な替え歌を歌いながら、
ふらふらと歩いていった。
…やっぱりもう酔っているのかもしれない。
言うだけ言って去ってしまった万作さんの背中を見ながら、
何で佳主馬くんが親戚みんなでお風呂、を嫌がっているのかがよく分かってしまった。
同じく理解した聖美さんが、あちゃあ、という感じで額に手をやる。
わなわなと震える佳主馬くんが、珍しく大声で叫んだ。

「ぜーったい、行かないからね!」


57 名前:オナニー指導3/9[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 02:10:12 ID:???

結局、佳主馬くんと一緒に僕も残ることにした。

「健二くん本当に行かないの?」
「まあ鍵も掛からない状態で無人にするのもアレだし、助かるけど」
「佳主馬も行かないってさ」
「なんだよ、侘助も行っちまったし、今日の功労者がいないじゃないか」
「みんな頑張ったんだからいいじゃねぇか!」

ざわざわと玄関に集まった一同の前に、僕は見送りに立った。
その家の住人たちを客人である僕が見送るというのは変な感じだ。
「あの子、ああなったら聞かなくて。迷惑かけてごめんなさいね。健二さんまで巻き込んで、本当にもう」
「いえ、僕が自分で残ったんですから。気をつけて」
せっかくの郷土料理に未練がないと言ったら嘘になる、けれど。
申し訳なさそうな聖美さんに手を振り、暗い屋敷の中を戻る。
寝静まった深夜と違って、本当に人がいない広大な屋敷はなんだか怖い。
ぼんやりとしたパソコンの灯りを見つけて、自然と早足になる。

「…僕に気なんか遣わないで、行けばよかったのに」

引き戸の先では、佳主馬くんがちょっとだけ気まずそうに口を尖らせていた。
納戸の中は、何かが壊れたりはしていなかったけど、
棚から落ちた本で床が埋まりそうだ。
佳主馬くんは自分の使うスペースだけを片付けたらしい。
「ち、違うよ。その、大勢でお風呂って、実は少し苦手なんだ」
「…ふうん」
僕はちょっとだけ嘘をついた。
大勢で食べるご飯にも馴染めたように、
皆でお風呂に入るのもきっと楽しいんだろうなと用意しながらわくわくしていた。
熱いお風呂も美味しい食事も、ここの人たちと共有する最後の夜には相応しく思えて、
非常に魅力的だったんだけど。
人の温もりに満ちたこの家で、ひとり過ごす佳主馬くんを想像したら、
それは嫌だな、と思ってしまったんだ。


58 名前:オナニー指導4/9[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 02:10:58 ID:???

言ったきり、パソコンに向き直ってしまった小さな背中に拒否されていないことを
感じとって、自分の判断が間違っていなかったと知る。
「ねえ、とりあえずそこ閉めて」
「あ、うん」
引き戸を締めれば、そこはもう完璧な密室だ。
迷子になるほど広い屋敷で、小さなこのスペースだけに人がいる。
なんだか不思議な感じだ。
「…さっき」
「うん?」
「カッコ悪いとこ、見られた」
「そんなことないよ」
「あるよ」
佳主馬くんは頭を掻いて、軽くこちらを向いた。
分かりづらいけど、どうやら僕にかまってくれるらしい。
じゃあ遠慮なく、と僕も本を掻きわけて佳主馬くんの近くに腰を下ろす。
佳主馬くんは「万作おじさんのこと嫌いじゃないけど」と前置きして、
呟くように話し出した。

「…ああいうの、ホントいや」
「うん、分かるよ」
「長さがどうとか色がどうとか生え具合がどうとか」
「それは…嫌だね」
「一緒にお風呂なんか入ったら、絶対なんか言われるに決まってる!」
「ああ…言いそうだね…」

というか、間違いなく言うだろう。
そして風呂中に響く声で高笑いする万助さん、
言葉の意味も分からず乗ってくるチビッコギャングたちが容易に想像できた。
デリケートな中学生には、拷問だ。


59 名前:オナニー指導5/9[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 02:12:01 ID:???

「…こんなことで、って思う?」
立てた膝に頬を乗せた佳主馬くんが、ちろりとこちらを見上げた。

「思わないよ、全然。僕、中学生の時、林間学校で同じクラスの奴と入るのも嫌だったもん」
「ホント?」
「ホントホント。僕、クラスの中でも小さい方だったからコンプレックスでさ。
なのに大きい奴は大人みたいな体してるから、並びたくなかったなあ」
「そうなんだ」

佳主馬くんは斜めだった顔を起こして、
大きい目をまんまるくして僕を見た。
分かり合える奴を見つけた、みたいな、ほっとした顔をしている。
佳主馬くんはキングカズマだし現実でも格闘技を習ってたりしてすごい子けど、
中学生にしちゃ、その、かなり小柄だ。
平均よりも体格のいい陣内家の男たちに囲まれて、
思うところもあったんだろう。

「でも、成長期が来たら気にならなくなったよ。
陣内家の人たちみんな大きいから、佳主馬くんもきっとすごく伸びるんじゃないかな」
「成長期っていつ来るの?」
「うーん、そりゃ人によるけど…僕は中1の終わりごろから伸びたなあ。
佳主馬くんも、すぐに僕なんか抜かしちゃうよ」

僕の話にほっとしたような顔をする佳主馬くんは、昼間の活躍が嘘のように、
年相応の子供らしい顔だ。きつめの目元が緩んで、可愛いなあとさえ思う。
弟がいたら、こんな感じだろうか。

「…じゃあ、さ」

その奥にあるものを窺うように僕の顔をじっと見つめた佳主馬くんが、
非常に言いづらそうに、口を開いた。
歯切れが悪い佳主馬くんなんて珍しいんじゃないだろうか。
「なんでも聞いてよ」
薄い胸をどんと叩く。
OZでキングとして君臨する少年に頼られることが、ちょっぴり誇らしかったのだ。

「お兄さんは…いつごろ生えてきた…?」


60 名前:オナニー指導6/9[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 02:12:59 ID:???

「…え?」
「だ、だから…その…、下の、話」
「え、えと、…下の毛の、こと?」
「そうだって言ってんじゃん」

ぷうと頬を膨らませた佳主馬くんが、恥ずかしそうにそっぽを向いた。
パソコンの弱い灯りでも、その耳が真っ赤なことが分かる。
予想外の質問に一瞬びっくりしてしまったけれど、
思い切って聞いてくれた佳主馬くんの信頼に答えるためにも、
ここで引いたらいけないんだ!と腹を括った。

「その…、まだ、生えてないんだ?」

少しの沈黙の後、佳主馬くんはこくんと小さく頷いた。
日に焼けて健康的な頬に、さらりと髪がかかる。
佳主馬くんは随分とそのことを気にしているらしい。
そうだろうな、と納得したことは黙っておこう。
だけどこんなに気にしているんだったら、あのオープンな親戚たちと一緒には
尚更入りたくないだろうなと僕は同情した。

「やっぱり、遅い?」
「そんなことないよ。僕は中1の秋だったもん」

ごめんなさい神様、僕はまた嘘をついてしまいました。
中1の春には、産毛が濃くなり始めていたのを覚えているのだ。
だけど、「こんなこと恥ずかしくて誰にも言えないけどどうしても気になる」と顔に書いてある佳主馬くんの思いつめた表情を見たら、
たとえ少しの嘘を混ぜたって、佳主馬くんを励ますことを優先すべきだと思ったんだ。

「秋?」
「そ、そう、秋頃。佳主馬くんもこれからだって」
「…ちゃんと生えてくるのかな」
「大丈夫だよ。みんなそうやって…」
「ねえ、最初はどんな風に生えてきた?」
「え、えっと…なんていうか、産毛がこう…」


61 名前:オナニー指導7/9[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 02:14:03 ID:???

目の前では佳主馬くんが、二度目にラブマシーンと対戦する前の打ち合わせみたいな
大真面目な顔で僕の陰毛の話を聞いている。
弟みたいな佳主馬くんのため、佳主馬くんのため、と自分に言い聞かせながら
僕は必死で自分の毛が生えてきた時のことを話した。
一本だけ普通の陰毛が生えるチョロ毛派と、
産毛が段々濃くなる産毛派がいることまで話した。
こんな性的にプライベートなことを他人に打ち明けるのは初めてで、
正直、恥ずかしくて死にそうだ。

「…だ、だからね、佳主馬くんも今そんなに気にすることない、と思うよ…」
「ふうん」
「あ、そうだ、たぶん佳主馬くんも産毛派じゃないかな」
「…お兄さんと一緒?」
「そう、髪の質が…」
「じゃあ、見せて」
「え?」
「お兄さんの、見せて」
「へ?」

馬鹿みたいに返す僕に焦れたのか、佳主馬くんが斜めだった体をきっとこちらに向けた。
正面から向き合うと、思っていたより2人の距離が近い。

「だから、お兄さんの…見せて」

その指の先をてんてんと視線で辿ると、僕の下腹部に行きつく。
「…あの、佳主馬くん、まさか…」
いやまさかね。そんな、いくらなんでもそんなものを見せろだなんて。
君はクールで分別を持った常識的な人間だと信じていたのに。
「だ、だってお兄さんと同じタイプなんでしょ。産毛が濃くなるって。
その後、ちゃんと大人みたいに生えていくのか、分かんないもん」
だから確認させて、とは言うけど佳主馬くん、それはちょっと承服しかねるよ。
自分の要求が無茶なことは分かっているのか、
佳主馬くんは顔を真っ赤にして怒ったように言う。
だからってそれはおかしい、おかしいよ佳主馬くん、
そんなところ、お風呂に入る訳でもないのに他人に見せたらいけない。
佳主馬くんはきゅっと眉を寄せて、じっと僕を見つめている。
キングカズマと同じ意思の強そうな瞳は、一度決めたらまったく揺らぎそうになかった。
ダメ押しのように一言。

「ねえ、見せてよ」

うう…。

「ちょ、ちょっとだけだよ…」

何がちょっとなんだ、僕。


62 名前:オナニー指導8/9[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 02:15:45 ID:???

チャックを下ろす音がやたらに響く。
佳主馬くんは大真面目な顔で、僕がごそごそとズボンを下ろすのを見ている。
分かっているよ、君はちっともふざけてなんかいなくて、真剣そのものだってことは。
だけどそのまっすぐな眼差しは、パンツ1枚で受けるにはあまりに強い。
「………」
そろそろと、パンツをずらしていく。
その、毛の生えている部分さえ見れば佳主馬くんは満足なんだから
全部下ろす必要なんてない、はず。

「何、もったいぶってんの。さっさと見せてよ」

焦れた佳主馬くんが促してきたけど、それはあんまりな言い草じゃないかな。
というかお願いしていたのは君で、僕はそのお願いを聞いてあげる立場のはずだけど
いつの間にか力関係がおかしなことになっている。
なんだか反論する気にもなれず、黙ってパンツを腰骨の下までずらした。

「これでいい…?」
「…へえ」

へえって何、へえって。
現れた茂みを、佳主馬くんがまじまじと見つめた。
後ろで出ている尻の割れ目がすーすーする。
中腰でパンツをずらして下の毛を見せながら、
僕は何をやっているんだろうとつくづく思った。
誰もいない広すぎる家の、ただひとつの密室に僕らはいる。
この家で呼吸しているのは僕と佳主馬くんだけで、そして僕は今、
その子に頼まれて下半身を晒しているのだ。
なんだこの状況。どう考えたっておかしい。

「わひゃっ!?」
「ちょっと…お兄さん、変な声出さないでよね」
「あ、ゴメン…って佳主馬くん、近いよ…」

身を乗り出した佳主馬くんの生温かい吐息が下腹にあたって、
変な声が出てしまった。佳主馬くんが「真面目にやってよ」とじろりと睨んできた。
そんな際どいところに湿った息を感じたら変な声の1つや2つ、そりゃ出るよ。


63 名前:オナニー指導9/9[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 02:17:37 ID:???

「ふーん…、父さんや師匠より全然少ないけど…こんなもんか」
「まあ、こんなもんだと思うよ…」
君は僕にもプライドとかそういうものがあるってこと、理解しているんだろうか。

「ねえ、触っていい?」
「だっ、だめ!それはぜったいダメ!!」

言うが早いか手を伸ばそうとした佳主馬くんから、慌てて体を捻ってガードした。
それはさすがに、いろいろまずい。しかし佳主馬くんは口を尖らせて不満気だ。
「ケチ」
「ケ、ケチって君ね…」
ここまでしたのに何という言い草だ。僕はちょっとむっとして、それから少し、
意地悪な気持ちになった。

「佳主馬くんのも、見せてよ」
「え?い、いいよ、僕は」

まさか自分に振られるとは思っていなかったらしい佳主馬くんの動揺に、
意地悪な気持ちがむくむくと大きくなる。

「僕だってこんなところ見せてるんだから、男同士、お互い様だよ」
「で、でも…」

恥ずかしいなんて言えないよね。僕に同じことさせておいて。
それまで、自分の城でまさしく王様然としていた佳主馬くんが目に見えて
慌てている。なんとか回避できないかと、うまい返しはないかと、
視線を崩れた本にやったりパソコンにやったり。
そうしていると、年相応なんだけどな。
佳主馬くんはタンクトップを心細げにくしゃりと掴んで、
珍しく頼りなさげな声で呟いた。

「…まだ、何もないし…見たって、しょうがないでしょ」
「もしかしたら、自分じゃ見づらいだけでもう産毛生えてるかもよ。せっかくだから、見てあげる」
「う……」

ぐっと詰まった佳主馬くんが、そろそろとハーフパンツに手をかけた。

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最終更新:2009年09月12日 08:27