206 名前:キンカズ1[sage] 投稿日:2009/09/07(月) 14:04:21 ID:???
ゆさゆさ。
ぽんぽん。
…ペロッ。
「…ん」
くすぐったい。頬に濡れた感触がしてそれで目が覚めた。
ぺろぺろ。
「もういいよ、起きた」
目を開けるとそこには予想通りこちらを覗きこんでいる細身の長躯。真っ赤な目。
長い耳がぴこんと動く。
腕を伸ばしてぎゅっと胸元に抱き込めばもふもふした毛の感触に
思わず口元が緩む。
「…おはよ、キング」
おはようカズマ。
声にならない挨拶代わりにキングがボクの顔をもう一度舐めた。

突然OZアバターが現実世界に出現する現象が起こってから3ヶ月、
未だ原因解明には至っていないが人々は既にこの状況に順応しつつあった。
実際ボクもそうだ。最初は驚いたもののキングは物静かで大人しく
基本的に人に対して従順だった事もあって、すぐに一緒に居る事に慣れた。
基本的に、と言ったのは理由がある。
一度だけ。
学校からの帰り道、変質者に襲われそうになったボクを
こっそり迎えに来たキングが裏拳一発でのしたことがあるからだ。
それですっかり騒ぎになってしまって(元々知名度もあったから)
面倒を避ける為にキングは普段ずっと
家でお母さんの手伝いをしてる。
OMCチャンピオンキングカズマが、と思うとちょっと面白いけど
本人に余り疑問はないみたい。
それより彼にとってはボクと一緒に居れないことの方が余程不満らしかった。
登録者と共に居たいと思うのはアバターの本能なのかも知れない。
と、周りを見てボクは思う。
だからこそこういう時、ボクと2人で誰も近くにいない時は
目に見えて甘えてくるんだ。
雛鳥みたいにボクの行くところ、どこにでもくっついてきては
犬猫みたいに擦り寄って舐めてくる。
若干鬱陶しい時もあるけれど、無防備に直球の愛情表現を
されるのは嫌じゃない。…ちょっと恥ずかしいけれど。

…だから、キングは悪くない。
悪いのは、こんなことを覚えさせてしまったボクなんだ。



207 名前:キンカズ2(完)[sage] 投稿日:2009/09/07(月) 14:05:52 ID:???

「キング」
優しく名前を呼んで両耳をすりすりと撫でてあげると
キングの目が気持ち良さそうに細まる。
きゅう、と喉から小さな音がした。
喋らない彼が唯一出す声がこれだ。
きゅ、きゅう。
撫で続ければますます目がトロンとして鼻先をこちらに摺り付けてくる。
その状態になってからボクはキングに囁いた。
「キング、…舐めて?」
ぴくりと片耳が動き(多分返事だ)、キングは嬉しそうに
すぐさまボクの命令を実行に移した。
「…んっ…」
ぺろぺろ。ぺろぺろ。
キングの小さな舌がボクの体を這ってゆく。
顔、うなじ、耳、全身どこにでも。言われるままに。
下半身、にだって。
「あ、あっ…ん…」
キングは悪くない。
キングにとってこれはボクとの親密なスキンシップの一種なんだ。
悪いのはボクだ。
これは自慰の延長で、それにキングを突き合わせてる。
する度にちょっとだけ罪悪感がこみあげて…
だけど気持ち良くて止められない。
「ん?」
気が付くとキングの動きが止まっていた。
きゅう…。
耳が垂れ下がり心配そうにこちらをじっと見ている。
何だか胸がきゅっとしてキングの頭をたくさん撫でた。
「ん…大丈夫、心配ないから。なんでもない。」
本当に?と首をかしげる彼の顎の下をくすぐってやる。
「だから続けて…」

ボクがイったのは程なくしてだった。

放たれた白い精液をキングはやっぱり嬉しそうにちろちろと舐めとってゆく。
ご飯も食べないアバターが(お母さん曰く、「充電」が食事代わりだそうだ)
それを飲み込んでどうする、どうなるのかはよくわからないんだけど。
ぺろっ
「…嬉しそうだからまあいっか…」
全部をキレイにしたキングが満足そうに伸び上がり、
ボクに頬擦りして抱きついた。
人とは全然違う、柔らかいその抱擁に妙に安心するボクがいる。
「はまりそう」
アバターは自分の分身。
このまま行くとそれ以上の存在になってしまいそうだ。
「…その時はその時かなあ」
ぺろりとまた舐めたキングにボクはお返しのキスをした。

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最終更新:2009年09月12日 08:34