283 名前:佳主馬とカズマ1[sage] 投稿日:2009/09/08(火) 00:50:43
ID:???
まだキング祭り間に合いますか!
キングと佳主馬でちょっとエロ
キングがまるっきりケモノなので、苦手な方気をつけてください
ちょいホモくさいです。もふもふ。
白い。
ふわふわとした流れの中に少年は居た。
瞳を開けると、少年は何かの流れにのって空を飛んでいた。
目の眩むようなスカイブルーにおもちゃのブロックのような雲。
世界はパステルカラーに彩られていた。
「ここ……OZ?」
漂っているうちに世界の全貌が明らかになり、ココは夢の中だと確信する。
少年が英雄で居られる場所――大好きな世界。OZに、そっくりだ。
それまでどろどろとしたスライムのようなものだった少年は、ようやくここでの姿を手にいれた。
本来――現実世界での――池沢佳主馬の姿に、ふっくらとした大きなまるい耳。テンガロンハット
。長いスカーフ。
どこかで見たOZ初心者向けのプロモーションビデオの案内役のクマアバターにそっくりだ。
(あれに影響されたのかな……)
佳主馬は夢見がちな方ではない。けれど、OZの世界に本当に行けたらいいのに、と思ったことは
ある。
でもまさか、夢に見るほどだとは佳主馬自身思っていなかった。
(うん、でも夢だし。どうせなら楽しまないとね)
くるり、と奇妙な塔を旋回すると佳主馬は高く飛翔した。
284 名前:佳主馬とカズマ2[sage] 投稿日:2009/09/08(火) 00:51:19 ID:???
当て所なくOZの世界を飛びまわるのも楽しそうだけれど、佳主馬には目的があった。
ココがOZの世界ならば佳主馬の憧れであり、唯一無二の存在がいるはず。
その存在に会ってみたかった。いや、一目見るだけでもいい。
彼ならきっと、あそこに居るはず……。
可愛らしいアバターも、魅力的なコミュニケーションエリアも通り抜けて、佳主馬はOMCのバト
ルフィールドを目指していた。
ほどなくして、佳主馬は目的のフィールドに辿りつくことができた。
競技期間ではないのだろうか。そこに人気はなかった。
見慣れている筈のバトルフィールドはアバターサイズで訪れてみるとずっと大きく、なんだか気圧
される。
フィールドの真中に降り立ち辺りをきょろきょろと見渡すが、目的の彼の姿は見えない。
「ボクの夢なんだから……出てきてくれてもいいじゃん」
そう、独りごちた時だった。
285 名前:佳主馬とカズマ3[sage] 投稿日:2009/09/08(火) 00:51:53 ID:???
「うわ!」
目も眩むようなスポットライトが佳主馬を照らす。
よくよく見れば、フィールドの外はたくさんのアバターで埋まっていた。
「何コレ……」
『おおっと、突如フィールドに可愛らしい小熊ちゃんが迷い込んできたぞ! 彼の正体は一体――?
!』
聞きなれた声で囃し立てられ、佳主馬はむっとするが、会場のボルテージはどんどん上がっていっ
た。
『ここで今日のチャレンジャー……』
少し離れた地面に大きな穴が開いたと思うと、そこから黒い影が発現する。
はじめ丸かったそれは鬣をたくわえ、大きな爪を生やし、ガタイの良いライオン人間へと形を変え
た。
『岩をも噛み砕くと言われている――ライオン人間だぁっ! さぁてどうする、キュートな小熊ちゃ
ん。ライオン人間は見つけた獲物は決して逃がさないぜっ』
その声に動揺する間もなく、ライオン人間は佳主馬を睨み付けると物凄い跳躍を見せた。透明な壁
を蹴り、そのままこちらに突進してくる。
あんなモノに突進されたら……ひとたまりもないだろう。
「む、無理だって……!」
逃げなければ、と頭では思っているのだが、腰が引けて動けなかった。
……情けない。どうして自分は、こういう事態に弱いんだろう。
ぎゅっと目を瞑る。夢だと分かっていても、怖かった。
ライオン人間の風を切る音が近づいてくる。
もう、ダメだ……。
286 名前:佳主馬とカズマ3[sage] 投稿日:2009/09/08(火) 00:52:31 ID:???
「あれ?」
衝撃を覚悟していたのに、何かふかふかとしたものに抱きかかえられて佳主馬の身体はふわりと宙
に浮いた。
恐る恐る目を開けると――
白いふくふくとした耳。細長い体躯。強い意思を持った赤い瞳。赤いダウンジャケット。大きい、
ふわふわの手のひら。
「キング!」
紛れもなく、佳主馬の探していた存在。キング・カズマであった。
『孤高のキング・カズマは心根まで優しいらしいぜっ! 迷える小熊ちゃんをライオン人間の魔の手
から救い出し――って、何処にいくんだい? キィィィングッ!』
ライオン人間を蹴り飛ばし、その勢いのままでキング・カズマはバトルフィールドを飛び出した。
キング・カズマがバトルから中途半端に逃げ出した事は一度もない。
驚きの声や心優しきキングを称える歓声がどんどん遠ざかっていく……。
287 名前:佳主馬とカズマ4[sage] 投稿日:2009/09/08(火) 00:53:41 ID:???
人気の無いところまでやってくると、キングはいたわるように佳主馬を降ろして傅いた。
「あ、ありがと……キング」
ふるふると首を横に降る。
よく見ると、キングの尻尾が静かにゆさゆさと揺られていた。
キング・カズマの尻尾が揺れるのは、強い相手に打ち勝った時など本当に嬉しい時だけ。
普段キングを操作している佳主馬が一番よく知っていた。
もしかして。
「キングも、ボクに会えて嬉しいの?」
頷く。一緒に耳がぱたぱたと揺れた。
「そっか。ボクもすっごく嬉しいよ」
思わず微笑むと、キングは嬉しそうに身をすり寄せてきた。
もふもふの柔らかい毛が少しくすぐったいけれど、それだって心地いい。
288 名前:佳主馬とカズマ5[sage] 投稿日:2009/09/08(火) 00:54:13 ID:???
「キングって、意外と甘えん坊なんだね」
鼻の頭を撫でてやると、キングは目を細めて喉を鳴らした。
肌寒さを感じて佳主馬はキングにぎゅっと抱きつく。
(そういえばこのアバター……スカーフ意外なんもつけてないじゃん)
さっきは夢中で気にしなかったけれど、まるで露出狂のような格好で大勢の前に出てしまったこと
を思い出して佳主馬は顔を真っ赤に染めた。これは夢なんだから、と言い聞かせてみても恥ずかしい
ものは恥ずかしい。
(変態みたいで、やだ……)
ぎゅう、とキングを抱きしめる腕に力を込める。優しく抱きしめ返してくるキングの体温が快い。
289 名前:佳主馬とカズマ6[sage] 投稿日:2009/09/08(火) 00:55:08 ID:???
「ん。なんか、」
固いモノが当たってる気がする。
「キング?」
ふい、とキングが目を逸らした。
Gパン越しに固くなったモノの正体を感じ取ると、佳主馬はそれを膝でグリグリと弄ぶ。
ぴくん。と全身をはねさせ、キングは俯いた。
「……えっち」
物凄い勢いで首を振ってるけれど、身体が正直に反応しているからバレバレだ。
分身である筈の自分に欲情するなんて――。
(そういえば、ウサギは性欲が強いってどっかで読んだことがある……)
自分がそういう目で見られたのは初めてだった。ましてや、それが自分の分身で、憧れの存在であ
るキング・カズマだなんて。
言い様のない背徳感が佳主馬を襲う。
それでも何故か、佳主馬は嬉しかった。寡黙的でポーカーフェイスのウサギ戦士が自分に欲望を露
にしてくれた事が。
290 名前:佳主馬とカズマ7[sage] 投稿日:2009/09/08(火) 00:56:15 ID:???
悪戯っぽく笑うと、佳主馬はキングのズボンを外側からゆっくりと撫ぜつけていく。
目をまんまるにして驚いているキングと視線を合わせて、佳主馬はキングの胸にキスを落とした。
戸惑っているのか、キングは眉をたらして首をかしげている。
「大丈夫だから。じっとしてて?」
ファスナーを降ろして、その内側をまさぐる。
キングだと思うと、全てが愛しかった。
「ボクがなんとかしてあげるから、ね?」
こくん、と頷く。
キングが力を抜き、自分に身を任せてくれたのが分かって佳主馬は自分が何かに目覚めるのを感じていた。