660 名前:目隠し1[sage] 投稿日:2009/09/12(土) 03:05:47
ID:???
(なんていうか・・・お兄さんって本当にヘンタイだよね)
彼、池沢佳主馬はしみじみとそう思いながら溜息をついた。
座ったまま足をぶらぶら揺らすと安物のベッドが
ギシギシと軋んだ。
部屋には佳主馬独りきりだった。
「お兄さん」は先程何か取ってくると言って部屋を
出て行ったきりなかなか戻ってこない。
(…トイレかな?)
両足を投げ出した姿勢はかなり行儀悪かったが
今この部屋には自分しかいないのだから気にすることは
なかった。ちらりと壁掛け時計に目をやる。
午後三時。
学校の友達と会うからと家を出てきたが
まだまだ帰宅までの時間に余裕はある。
(けどあんまり放置されてるのも面白くないな)
この状態じゃ暇潰しも出来ない。
両目を覆う柔らかな布の端を引っ張って佳主馬は
再び軽く溜息をついた。
「今日は、軽くソフトSMプレイっぽいのやってみない?」
と提案したのは「お兄さん」だ。
ばかなの?とは言わなかったけれど、それを聞いた
佳主馬の表情を見たお兄さんの例えようもない表情が
妙に心に引っかかった。
・・・だからうっかり言ってしまったのだ、僕と勝負して
勝ったらしてもいいよ。なんて。
そして佳主馬は忘れていた。
こういう時だけお兄さんは「よーし張り切っちゃうぞー!」
と無駄な実力と運の強さを発揮する事を…
そうして今現在この状況にある訳だが。
661 名前:目隠し2[sage] 投稿日:2009/09/12(土) 03:07:34 ID:???
「・・・ッ、遅い!」
佳主馬は小さく悪態を吐き捨てる。
残念ながら放置プレイは彼の好みではない。
始終べったりくっつかれるのは好きではないが、多少なりと
「そういうつもり」で来ているのに放っておかれるのは
もっともっと嫌なのだ。
「…もう外しちゃおうかな、これ」
腹立ち紛れにぐっと目隠しに手をかけたその時、
佳主馬はようやくドアの向こうに人の気配を感じた。
「・・・遅いよ」
少しほっとしながらも素直に喜ぶ気にはなれなくて
佳主馬はベッドにうつ伏せに顔を背けて寝転んだ。
キィ…
静かにドアが開いてこちらに歩いてくる気配を
無視して枕に顔を埋める。
(・・・あ、お兄さんの匂いだ…)
そう考えた途端に佳主馬の心臓の音は早くなるが
気付かないふりをする。
年下らしくたまには素直に甘えてみたい気もする
けれどそんなキャラじゃない(…と自分は思ってる)
から何も気付いてない振り。
(僕を放っておいた分、しっかりいじめてあげるからね)
フローリングの床にこちらへ歩んでくる足音が響いて
ギシッ・・・重みでベッドが音を立てた。
寝転んだ自分の隣にもう一人の存在を感じる。
目隠しの下、佳主馬は目を閉じた。
(これからお兄さんは絶対ごめんって言うでしょ?
けど僕は暫く返事してやらないんだ)
お兄さんの考えてることなんか、手にとるように解るんだから。
そう佳主馬は確信していたのだがー・・・
(・・・え・・・?)
するり、無言のままタンクトップの裾が捲られ二本の手が
滑りこんできた。
薄い佳主馬の腹を確かめるようにやわやわと満遍なく
撫でてゆく手に佳主馬は息を飲んだ。
662 名前:目隠し3[sage] 投稿日:2009/09/12(土) 03:09:24 ID:???
「・・・ん」
(お兄さん・・・?)
隣の影は無言だ。無言のまま寝ている佳主馬を愛撫してゆく。
腹から胸へと移動してきた指先が胸元をくすぐり
未だ柔らかな突起を捕らえた。
「ぅ・・・ん」
それは決して強い刺激ではなかったが、途端にひくりと
佳主馬の身体は反応する。
乳首は彼の性感帯のひとつだった。
少し前まで佳主馬は自分がそこで女の子のように
感じてしまうとは知らなかった。
「・・・あ、・・・ッ・・・」
しかし「お兄さん」に開発された今ではそこを軽く
弄られただけで次の快楽を期待して無意識に身体が
開いてしまうようになっていた。
「ん…あ…あぁっ・・・」
ざらついた皮膚で摘まれて分厚い男の指の腹で押し
潰される感触がたまらない。
刺激を与えられる度にキュン、と快感が背筋を走り
佳主馬の下腹部に血流を溜めてゆく。
「ぁ・・・あ、ん、んン・・・」
(ヤバ・・・声、出る・・・っ)
まだお兄さんを許してないのに!
これ以上声を漏らすまいと羞恥に耳まで熱くしながら
佳主馬は必死に両手で口を押さえた。
捲られたシャツが更にたくしあげられ胸元が晒される。
・・・そういう感触がした。
目隠しをしたままの佳主馬には肌で知るしか状況を知る
手段がなかったのだ。
ふ、と熱い吐息が胸にかかる。
(・・・あ・・・見られて、る、かも)
きゅぅん。
視線を感じた両乳首がピンと固く屹立してゆくのを佳主馬は
感じた。目隠しをしているからかそういった感覚が
普段以上に研ぎ澄まされているのがわかる。
「お兄さん・・・」
返事はない。
「あ!」
代わりに舌で片方の乳首を押し上げるように舐め
あげられて佳主馬は悲鳴をあげた。
663 名前:目隠し4[sage] 投稿日:2009/09/12(土) 03:10:42 ID:???
「あ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・っ」
部屋の中には佳主馬の甘い喘ぎ声と湿った水音だけが
響いている。
「んぅ・・・お、お兄さん、やだ・・・ッ、それやだぁ…」
ぐちゅ、ぢゅっぢゅぢゅぅ・・・
(頭おかしくなりそう・・・!)
懸命に首を振り少しでも快感を逃そうとする彼の
目には未だきっちりと布が巻かれたままだ。
そして「お兄さん」は相変わらず何も喋らないまま
佳主馬を愛撫し続けていた。
上半身から下半身へ愛撫は移り佳主馬は今、下着を
つけたまま陰部を舌で存分にねぶられていたところだ。
直接に触られることはなくそれはあくまで衣越しの
愛撫だったが、目隠しのせいで普段より感じやすく
なっていたのか・・・佳主馬はすぐに硬く性器を張り詰め
させてしまった。
薄手のボクサーパンツが布を限界まで押し上げている。
それを「お兄さん」は楽しそうにねぶり続けた。
ちゅうちゅう・・・
「や…キツ・・・っ、お兄さ、脱がせて・・っ!」
”許してあげるまで話してあげない”
ー・・・最初に決めた誓いなど既に佳主馬の頭の中になかった。
もどかしい快楽に下着に手を伸ばそうとすると強い力で
止められる。
「何で・・・?」
荒い吐息を漏らす佳主馬に対する返答は下着の上から
陰嚢と会陰を強く吸われる事だった。
「ひぁ!あ、あ・・・ッ」
(・・・なんだか、変だ・・・ッ!)
喘ぎながらもふと佳主馬の胸中に疑問が沸き起こる。
今日の「お兄さん」は何だか変だ。
いつもなら「可愛い」だの、「やらしい」だの、うるさい
くらいに囁いてくる癖に今日はまだ何も言ってこない。
言ってくれない。自分の言うことも、聞いてくれない。
・・・この人は本当に「お兄さん」だろうか・・・?
ふと浮かんでしまったその考えに彼はぎくりと身体を
強張らせた。
664 名前:目隠し5[sage] 投稿日:2009/09/12(土) 03:12:40 ID:???
(そんなはず・・・)
ない。と言い切りたいのに。
一度沸いた疑念はなかなか去ってはくれない。
お兄さんの愛撫はいつもこうだった?
「お兄さん」
ー・・・返事はない。
「やだ・・・っ」
声が聞きたい、せめて姿を見て安心したい・・・!
慌てて目隠しに手をかけると腕を捕まれベッドに
縫いつけられる。
「!」
更に新たにきゅっと、両手を長い布で縛られて彼は
悲鳴をあげかけた。
「ひっ・・・(怖い・・・!)」
ぐいと膝裏に手をかけられ足を強く押し広げられてしまう。
臀部を相手に丸見えにするような赤子の体勢を無理矢理
取らされ佳主馬は羞恥に身が焦げる思いがした。
その体勢のまま再び陰部に吸い付かれ舐められる。
湿った感触は佳主馬に鈍い快楽を与えたがそれ以上に・・・
「・・・うぅ・・・」
じわっ・・・
「・・・・・・!」
・・・相手の動きが止まった。
「う、ひっく・・・うぇっ・・・」
じわじわと、目隠しに染みが広がってゆく。
「やだ・・・お兄さんが見えないのやだ、怖いよ・・・」
ぐすぐすと本気で泣き出してしまった佳主馬に
相手が途端に焦り出す。
あわあわと慌てて顔に手を延ばし
「お兄さん・・・」
・・・佳主馬の視界に光が戻った。
すぐ目の前にあった「その顔」にほっと安堵し、
そしてー
「・・・馬鹿!やりすぎだよ!」
こみあげた怒りに佳主馬は足を真上に蹴り上げた。
665 名前:目隠し6(終)[sage] 投稿日:2009/09/12(土) 03:13:06 ID:???
ボクッッ!!・・・クリーンヒット!
見事急所を蹴り上げられた「お兄さん」はベッドの上で
悶絶した。佳主馬は未だ涙の浮かぶ赤い目でその姿を
冷たく見上げる。
「自業自得なんだからね。解ってる?」
すみません調子に乗りました。
こくこくと必死に頷く「お兄さん」。
前屈みでのたうちまわり受けた衝撃に耐える、一転して
みっともない姿を存分に堪能した後に佳主馬は漸く
口を開いた。
「こっちも外して」
震える手で両手の拘束が外される。
若干痕のついた手首を擦り、佳主馬は眼前の首に腕を回した。
「佳主馬ーーー」
「僕、こういうのはされるよりする方が好きみたい」
抱きついて深呼吸して佳主馬はもう一度深く安心する。
うん、ちゃんと僕の「お兄さん」だ。
結構感じてたみたいだけど・・・
「うるさいな。もう・・・黙って」
後は普通にしよう?
「・・・SMはまた今度、ね?」
懲りず減らず口を叩く「お兄さん」の口を佳主馬は
自分の口で塞いでみせた。