642 名前:姓名判断をしよう!(健二×夏希)1[sage] 投稿日:2009/09/07(月)
00:47:04 ID:S+LP+DE6
とりあえず、エロは他の人に任せて、場つなぎSSなんぞを。
健二×夏希で非エロ。なんか普通の日常話です、すみません。
姓名判断をしよう!
休日、夏希が健二の部屋に遊びに来ていた。
しばらくは他愛もない話をしていたが、やがて話題も尽き、
お互いのんびりと部屋の中でくつろいでいた。
「へぇ、健二君て画数なかなかいいね」
携帯をいじりながら夏希が呟く。
「へ?何ですか?カクスウ?」
健二は数学の参考書から目を離して、夏希の言葉をなぞる。
「画数よ、画数。今ね、姓名判断やってたの」
「あ、そういうことですか」
「うん。でね、健二君はフルネームで33画でしょ。これって結構いい画数なんだって」
「そうなんですか?何かいい事書いてあります?」
「えーっと、『自己顕示欲強く、大成功を掴むか悲運か人生両極端。社会運強く晩婚傾向』だって」
「…本当にいい画数なんですか?」
「他にはね、『独立心強く、一人で試行錯誤の天才肌。困難を押し切る力強さで成功』。
これってまさに、天才的数学力でOZを倒した健二君の事じゃない?」
「いや…かなりこじつけですよそれ」
「それから、『積極性が良い方向に働く。広い人脈が運を呼ぶので新しい環境を』。
…ひきこもってないで、外に出なさいってことかな」
「何で自分の名前に説教されなきゃいけないんですか。
というか、僕の性格と当てはまる箇所が全然ないんですけど」
「じゃあ次わたしの名前でやろっと」
聞いてない。
「って、先輩、何で僕の名前から先にやったんですか。そういうの、普通自分の名前からでしょ」
「そりゃあ、ほら、いつも健二君の事ばっかり考えてる・か・ら♪」
「う……だ、騙されないですよ!自分の名前から見るのが怖いから、先ず僕から見たとか
そんなんじゃないですか」
「違うってばぁ。そんな健二君をいけにえにするような事、するわけないじゃない」
人をだまして、とんでもない設定の恋人としておばあさんの前に差し出したのは、どこの誰でしたっけ?
643 名前:姓名判断をしよう!(健二×夏希)2[sage] 投稿日:2009/09/07(月) 00:49:39
ID:S+LP+DE6
「あ、私の姓名判断出た。えぇ~、画数あんまよくない…。それに内容もわたしの性格じゃない」
「内容、どんななんですか?」
「『特異の才能を持つが、精神構造も特異。築き上げたものを失いやすい』だって…。
これってどっちかっていうと侘助おじさんのことだと思うな」
「さらっと酷い事言ってますよ、先輩。他には?」
「『好きな物には熱中、それ以外はいい加減。影響されやすい。博打傾向』」
「…えと、あたって…るんじゃ…」
「なぁに?」夏希が眉を吊り上げ、健二に微笑みかける。
「いいえ、何でもありません」
他にも、『積極的、魅力があり、頑固運がある』『派手好みで前衛的。注目を浴びる家柄』等が、
夏希の姓名判断として挙げられていた。
「いい事も書いてあるじゃないですか」
「でも、総画数で見ると、やっぱりあんま良くない」
「気にすることないですよ、占いなんて」
「あ、そうだ、これならどうかな」
そう言って、夏希が再び名前を入力し始める。
健二が夏希の携帯を覗くと、「姓:小磯 名:夏希」と打ち込まれていた。
「なああぁっ…!!」
健二の顔が一瞬で赤くなる。
「ほら、健二君、結果出たよ。さっきよりもかなりいいとこ来てる。
『独立心強く、誠実で努力家。周囲の信頼を得て成功をつかむ。家庭運○』。
『個性と積極性で社会的成功を収める。自我が強い。焦りは禁物』。ほらほら、どう?」
「ど…どう、と言われましても…えと、はい」
「はい、じゃなくて…どしたの健二君、顔赤いよ」
「す、すみません、ちょっと暑くて…」
「そう?んー確かにちょっと暑いかも。何か飲み物買いに行く?」
「い、いえ、冷蔵庫にジュースあるんで、と、取ってきます!」
健二は立ち上がり、急ぎ足で台所へと向かった。
部屋のドアを閉め、夏希の視界から外れると、大きく息を吐く。
「何かもう、先輩は心臓に悪い…」
まだ顔が赤いのが自分でもわかる。心拍数も上がったままだ。
落ち着く為に、健二はわざとゆっくり飲み物の用意をしながら、調和数を数える。
「1、6、28、140、270、496、672、1638、2970、6200、8128、それから…えーと、ああダメだ」
調和数を諦めて、別の数字を考える。
「レピュニット素数…友愛数…婚約数……婚約…結婚…」
逆効果だった。
644 名前:姓名判断をしよう!(健二×夏希)3[sage] 投稿日:2009/09/07(月) 00:53:24
ID:S+LP+DE6
健二は数値の世界に入るのをやめ、自分の部屋に戻った。
ドアを開けると、夏希が健二の方を一瞬見て、慌てて顔を背けるのが目に入った。
心なしか、顔も赤い。
健二は飲み物をテーブルに置き、夏希の対面に腰かけた。
「?どうしたんですか、先輩」
「なななな何でもない」
「…うん、いや、あからさまに態度変ですよ?もしかして、ゴキブリが出たとか」
「ううんううん!出てない違うの気にしないで」
気になる。
「先輩、何隠してるんですか?」
「う……。…あ、あのね、健二君」
「はい」
「違うの」
「え?」
「そんな意味じゃなくて、そうじゃなくて…」
「はい?先輩良く意味が」
「別に他意はなかったの。ただ、最初に健二君の名前で、次に私だったから、
試しに組合わせてみただけで……そしたら健二君様子おかしいから、何だろうって考えてたら…
その、気付いて、それで、凄く恥ずかしくなって…あぁ、もおぉぉぉぉ!私のバカぁぁぁぁ…」
言いながら夏希は体中真っ赤にして、うずくまってしまった。
健二も事を察したが、何といえばいいかわからなくて戸惑っている様子だ。
「せ、先輩、すみません」
「何で健二君が謝るのよ…」
「いや、何でかはわかんないですけど…」
「何よそれぇ…」
「す、すみません」
「…ううん、こっちこそ、ごめん。考えなしで」
「いやいやいやいや!先輩が謝るのも変ですって!ホント、気にしないでください。
そりゃ勘違いしちゃいましたけど、でも別に嫌だったとかじゃなくて、むしろ…!」
「…むしろ?」
夏希がいつの間にか体を起こし、健二の方を見ている。
「………………あの、察してもらえると、ありがたい、です」
「あ、ずるい」
「………」健二は黙秘権を行使した。
「もう。わかった、じゃあこれで貸し借り無しってことにしましょ」
どんな貸し借りがあったのかは良くわからないが、夏希の追及がない事に健二は内心ほっとした。
645 名前:姓名判断をしよう!(健二×夏希)4[sage] 投稿日:2009/09/07(月) 00:54:19
ID:S+LP+DE6
「あ、健二君、お手洗い借りるね」
夏希は立ち上がり、部屋の外へと向かう。
そして部屋のドアを閉める直前、健二に背中を向けたまま、
小さく、言った。
「小磯夏希って、いいかもね」
ドアが閉まる。健二が残る。…ぽかんとしていた。
ああ、さっきの姓名判断の結果ね、と思うほど健二もバカではない。
せっかく落ち着いてきていた心臓の鼓動は、また大きくなり始めてきた。
「…やっぱり、心臓に悪い」
貸し借りありまくりじゃないですか、と健二は夏希を責め、
それ以上にそんな夏希を可愛いと思ってしまう自分を責めた。
さて、次はどんな数を数えようか?
~完~