827 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 1[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:01:01 ID:6S35NYzz
「午後から健二君の家に行ってもいい?」
ある冬の日曜日、午前中は自宅で勉強していた夏希だったが、急に健二の顔を見たくなった。
いいですよ、との快い返事。今日は家に一人なんで、手持ち無沙汰だったんです、とのこと。
「今日は私の受験勉強と、”健二君の苦手科目克服の会”を開きまーす!」
電話の向こうで、そんな…というため息が聞こえたが、夏希はそんなことにはお構いなしだ。
「じゃあ午後の二時にお邪魔するね。」
電話を切ると、早速着ていく服選びを始めた。

健二は自宅の最寄り駅まで夏希を迎えに来ていた。
健二くーん、と手を振る夏希。
えらいえいらい、こっちが何も言わないのにちゃんと迎えに来てくれたね、と笑顔を向ける。
歩いて十分ほどで健二の自宅に到着した。
健二は玄関のドアを開け、どうぞ、と夏希を促す。
夏希が健二の家に来るのは今日で何度目だろう。
それにしてもいつも整理整頓の行き届いた部屋だな、と彼女は部屋を見回した。
勉強机にパソコン、書棚は数学の本でびっしりと埋め尽くされていた。
書棚を見ながら”へんな”本はないのかな、とつい悪戯心が湧き起こってしまう。
高校生の男の子なんだから…と思うのだが、彼女を部屋へ招く時にそんな失態は
さすがに演じないだろう。だがきっとそれはハードディスクに収められているに違いない。


828 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 2[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:02:32 ID:6S35NYzz
リビングにテーブルを用意すると、二人は向かい合って勉強の準備を始めた。
「いつも健二君は数学ばっかだよね。だから今日は…」
そう言って夏希は現代文の教材を健二の前に差し出す。
学校と塾の教材、そして市販の過去問が彼の前にうず高く積み上げられる。
「私は数学をじっくりとやるから、健二君はこれをやってね。」
「ええ~?すごいボリュームですよ!それにこれ、三年生の範囲じゃないですか?」
泣き言を言う彼を脇目に
「それ全部コピーだから心配しなくてもいいよ。それに国語をきちんと勉強すれば、行間が
読めるようになるからね。行間を読める男の子ってかっこいいけどな~?」
夏希にそう言われると健二は渋々問題に取り組み始めた。

829 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 3[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:05:12 ID:6S35NYzz
五十分経ち、一時間が過ぎ、一時間半が経とうとしていた。
二人は互いに無言で勉強を続ける。時計の秒針とシャープペンを
走らせる音しか聞こえない。
一息入れようかな、と思ってふと向かいにいる健二の顔を見た。
集中力を研ぎ澄ませた真剣そのものの表情。
どきりとした。
いつもの優しい、少し情けない表情とはうって変わった男性の表情。
夏希は彼のこの表情が好きなのだ。
彼女は問題を解く手を止め、微笑みながら健二を見つめていた。
「ねぇ…」
夏希は彼の手に自分の手をそっと添える。
「ちょっと休憩しよっか?」
「ああ、こんなに時間が経ったんだ…先輩、お茶入れますね!
えっと、甘いもの好きでしたよね…」
そう言って健二はお茶の準備を始めた。
手伝う?と聞くと、いえいいです、との返事。
「じゃあお言葉に甘えて。」
しばらくして健二は飲み物と菓子類を持って来た。
彼と付き合いだしてから知ったことだが、彼はコーヒーや紅茶の淹れ方が
上手い。特にコーヒー豆にこだわりがあるらしく、デートでコーヒー店
めぐりをしたこともあった。
「数学を解くとき、コーヒーは欠かせないんです。あっ、でも今日は
現代文ですけど。カフェインと糖分で頭がしゃんとするんですよ。
でも飲みすぎるとかえって興奮しちゃいますけど…」
夏希は紅茶を飲みながら彼の話に耳を傾ける。
屈託のない笑顔で話す彼を、今、独占しているのは自分なのだ。
普段はおとなしい彼だが、自分の得意なことを話す時は本当に楽しそうな顔をする。
そんな健二を見ていると、ふと悪戯心が芽生えた。

830 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 4[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:07:34 ID:6S35NYzz
「健二君、そういえば私関西の大学に行こうかなって思ってるんだ。」
えっ、と健二はやや動揺した表情を見せる。
「あっちの大学でどうしても行きたい学部があるの。で、調べたらなんか
キャンパスもいい感じでさ~。あっ、それに剣道の全国大会で知り合った
友達も近くにいるしね!関西に行ったら私関西弁になっちゃうかも?
久しぶりに健二君に会ったら”もうかりまっか?”ってね~。」
別に本当に関西の大学に進学するつもりはなかった。夏希の行きたい大学は
関東圏だ。
恋人が離れてしまうかもしれないという状況に置き、彼の気持ちを確かめたくなったのだ。
「夏希先輩がそう選んだのなら僕は……止めません…」
今度は夏希が、えっ、という表情をした。
なんでなんで、止めないの、と困惑の表情を見せる。
正直言ってがっかりだ。いくら不器用な彼でも、いや彼なりにもっと
引き止める姿勢を見せて欲しいと思う。
「いいの?私関西に行くかも知れないよ?ねぇ、本当に…」
「どこに行くかが問題じゃないんです。ただ、夏希先輩の人生……
すいません、なんかおおげさですけど…それが台無しになることのほうが
辛いんです。だから先輩、先輩は自分の行きたい方向へ進んでください。
関西に行っても僕は先輩に会いに行きます。デートができるようにバイトも
がんばります!先輩といつも繋がる努力をします!」

831 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 5[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:10:30 ID:6S35NYzz
健二の必死さに夏希は圧倒されてしまう。
ちょっとした悪戯が彼をここまで本気にさせてしまうなんて…
と夏希は嬉しさと罪悪感で一杯になった。
「健二君、ゴメン。関西に行くっていうのは嘘…心配させてごめんね。
健二君の気持ち嬉しかった。」
健二は呆然として目をしばたいている。そして半泣きになって言った。
「ひどいですよ先輩!本当に不安になりました!」
「ごめんごめん。本当にごめん。」
夏希が手を合わせて懸命に謝ると、健二も渋々納得してくれたようだった。
しばらくおしゃべりを続けていたが、やがて二人は勉強に戻った。
そろそろ勉強の切り上げ時かな、と夏希は時計を見る。
時刻は午後6時前。冬の日の入りは早い。すでに夜の帳が下りていた。
「健二君、そろそろやめよっか?」
休憩の後、今度は歴史の問題をあてがわれていた健二は、問題との格闘から
顔を上げた。
そうですね、と健二。

それから二人はテーブルの上を片付け始めた。
お茶を淹れてもらったんだから食器洗いくらいはしないとね、
と夏希は洗い物を手伝う。
洗い物をしながら、
「今度親戚で集まった時、健二のコーヒーをみんなの前で淹れてもらっていいかな?」
「も、もちろんです!でもいいんですか?僕の淹れるコーヒーでも?」
「大丈夫、大丈夫。私のお勧めなんだから。健二君の淹れるコーヒーって
最高だよ。」
へへへ、と頭に手をやりながら健二は照れ笑いをする。
「そういえば、佳主馬君ってコーヒー飲めましたっけ?」
「うーん、どうかな?コーヒー飲んでるところ見たことないけど…
でもきっとあの子なら”………ブラックで”ってかっこつけるかも
しれないね。」
夏希が佳主馬の真似をすると、二人は大笑いした。

832 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 6[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:12:50 ID:6S35NYzz
今日は本当に勉強がはかどったと夏希は思う。
健二とのおしゃべりも楽しかった。
また来てもいい?今度はおばさんにちゃんと挨拶しないとね、
と次の勉強会の約束をする。
健二と勉強するのは本当に楽しい。適度に緊張感が抜けて集中できるからだ。
もちろん、一人で勉強することにもメリットはある。
静かな部屋で勉強をしていると、一時間など瞬く間に過ぎる。
ひたすら勉強に集中する一人の時間。
でも勉強を続けていると、煮詰まる時が必ず出てくる。
そんな時は健二や女友達と携帯で話すことで息抜きをする。
しかし、夏希には他人には言えないリラックスの仕方があった。
机の教材を片付けながら、夏希はそのリラックスの仕方を覚えた時の事を思い出していた。

833 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 7[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:14:37 ID:6S35NYzz
その日は学校の課題と普段の受験勉強が溜まり、夜中の十二時を過ぎても
キリが付かなかった。
なお悪いことに、夏希の苦手な数学の問題が山積みだった。
ここはどうやって解くのかな?もう少しで分かるんだけど…
夏希は頭を抱えていた。
こんな時、健二君が隣で教えてくれたら…健二君……
ふと健二のことを思い浮かべた。彼と話したいと思ったが、さすがに
この時間に電話をしたら迷惑かな、と思い携帯に伸びかけた手を引っ込めた。
健二君、健二君…いつしか夏希は女性器を愛撫していた。
雑誌やOZで仕入れた知識はあったが、意図して行うのはその日が初めてだった。
気持ちがいい。
しばらく女性器を愛撫していると、夏希を快感が襲った。
あぁ、はぁ、あぁ、とため息のような喘ぎを繰り返す。
興奮してクリトリスが普段の倍ほどの大きさになり、本来なら彼のペニスを
受け入れるためのバルトリン腺液が出てくる。
健二君、ああ健二君、そばにいて…
健二とのキスや手をつないだ時の温もりを思い浮かべると、より快感が増した。
膣の入り口がぎゅっと締まり、子宮が引きあがるのを感じる。
健二の笑顔、健二の匂い…もう自分がどうにかなりそうだ。
夏希は健二に後ろから抱かれるシーンを想像した。
―しっかりと彼女を包む腕、その腕に自分の手を重ねる。
夏希…愛してる…耳元でそっとささやかれる。―
ああっ、あっ、はぁ、と深いため息のような声が漏れ、夏希は絶頂に達した。
膣と子宮が規則的に収縮し、その痙攣が全身に伝わる。
張り詰めた緊張感が一気に解き放たれた。
激しい快感に身を委ねる。
椅子に座ったまま呆然とした状態で快感の余韻に浸る。
ああ健二君、ありのままの自分を見せられる男性。自分を受け入れ、支えてくれる人。
行為を終えると、さっきまでのイライラが馬鹿らしくなるほどだった。
それ以来夏希は、受験勉強のイライラ緩和にオナニーをするようになった。
無論、男性ほどの頻度ではないが…

834 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 8[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:17:07 ID:6S35NYzz
夏希は教材の片づけをしながら、自分の”リラックス法”を思い出すと、
顔が赤くなり口元が弛んでしまった。
「どうしたんですか先輩?顔が真っ赤ですよ?」
健二が夏希の顔を覗きこむ。
「ななな、なんでもない。なんでもないって。」
不意に健二に声をかけられ、いつもなら彼がするようなリアクションを
取ってしまった。
そして彼の肩を軽くこずく。健二の顔に大きく疑問符が浮かんだのが見えた。
付き合い始めてからも自分のことを”先輩”と呼ぶ年下の彼。
自分を”夏希”と呼び男性的な行為に及ぶのはまだ先なのかな、
と期待と安心の入り混じった不思議な気持ちになった。

「それじゃ、おじゃまし…」
そう言って靴を履こうとした時のことだった。
「先輩、お話があります。」
健二が緊張した面持ちで後ろから呼び止めた。
ただならぬ雰囲気を感じその場に立ち尽くす夏希の手を取り、健二は
彼女を自分の部屋へ招き入れた。
どうぞ、と夏希を部屋の中央へ促し、正座をして姿勢を正す健二。
夏希も反射的に正座をして姿勢を正す。剣道で身に付けているだけに、
彼女の正座の方が”さま”になっていた。
正座をし、お互いに向き合う。気まずい沈黙が訪れる。
先に口を開いたのは健二の方だった。夏希の目を見つめながら切り出した。

835 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 9[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:20:00 ID:6S35NYzz
「先輩………大好きです。」
その言葉を聴いた途端、夏希の顔が真っ赤になった。
「も~健二君ったら。そんなことわかってるって………わかって、ます。」
彼から自分のことを”好き”と、はっきり言ってくれたのは
大おばあちゃんのお葬式の時以来だな、と夏希は思った。
それにしても目を見つめながら、こうもはっきりと言われると照れてしまう。
でも付き合っている仲なんだから、もっと頻繁に言ってくれればいいのに…
おとなしい彼にそれを求めるのは難しいのかな、と夏希は思った。
「私も健二君のこと大好きだよ。」
夏希も健二の目を見つめながら応える。
「う、嬉しいです、先輩………と、ところで、僕、先輩と、しししし、したいです!」
健二は顔を赤らめ拳をにぎり、目をぎゅっと閉じながら叫んだ。
「え?えぇ~?」
夏希は恥ずかしさと笑いが同時にこみ上げ、両手を口に当てた。
なんてストレートな表現、なんて彼らしい伝え方なの!
「しょうがないな~。」
夏希は足を崩し、顔を健二に近づけた。そして彼からのキスを
待とうとした時だった。
「…違うんです先輩。僕が、その、したいのは、セッ…エッ……セックスです!」
そう言うと健二は夏希の両腕を掴み、彼女を抱き寄せた。
人間、あまりに不意を付かれると声も上げられないということを
身をもって味わった。
―オナニーの時に思い浮かべていたことが、今本当に起きるなんて。
どうしよう、心の準備が…しまった、もっとかわいい下着にしてくるんだった…
それにムダ毛の処理も…シャワーも浴びたいし…歯も磨きたい…
ちゃんと避妊してくれるかな…健二君、ちょっと突然すぎるよ…―
夏希の頭の中であらゆることが浮かぶ。
今に押し倒されるんじゃないかとドキドキしていたが、どうも一向にその様子がない。
どうしたの?と聞こうとした矢先のことだった。

836 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 10[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:22:20 ID:6S35NYzz
夏希を抱きしめる力が緩み、健二は夏希の体を自由にした。
「はあ、はあ…」
何かを堪えている?それとも迷っている?健二の息遣いと拳を
握り締めている様子を見て、夏希は心配げに彼の様子を伺う。
「健二君、どうしたの?」
「先輩……僕は先輩とひとつになりたいです。でも…こんなに強引じゃ
先輩を傷つけてしまう。それに……今、コンドームを持ってません。
避妊もしないでセックスなんてできない…
したいです!したいけど……先輩のこと大切に思うから…ううっ。」
そう言って健二は床に突っ伏してしまった。
夏希は健二の両脇を抱えると、健二の顔を自分の胸に埋め、優しく頭を撫でた。
「優しい…健二君は優しいね。」
おとなしいとはいえ、健二だって男性である。
射精欲へ突き進み、夏希を力ずくでねじ伏せることだって出来たはずだ。
だが健二は自分の欲望よりも夏希との絆を選んだ。
今にしてみると、大おばあちゃんは健二の良いところを見抜いていたんだな、
と夏希は思う。
”必ず、命に代えても幸せにする”。その時はバイトの演技だとばかり思って
いたけど、健二の本心だったのだ。
しばらく健二の頭を撫でていると、彼は落ち着きを取り戻したようだった。
「先輩、突然こんなことしてごめんなさい…」
「ううん、いいの。いいよ…」
そう交わすと二人は無言で俯いた。

837 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 11[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:24:56 ID:6S35NYzz
夏希は思案していた。
―うーん、気まずいっ…えっと、するんなら今からコンドームを
買いに行けば…ダメダメ。 それじゃ健二君の我慢を台無しにしちゃう。
それとも今日はこのまま帰る?それもダメ。 なんかしこりが残りそう―
逡巡した挙句、以前OZで”興味本位で”見た”手コキ”を健二にしてあげようと思った。
「健二君、その…今日はセックスの代わりに、手でしてあげても……いいよ。」
「え?手?」
夏希は顔を赤らめながら、何かを握って往復運動する仕草を見せた。
「うっ…」
健二の鼻から血が流れ出た。
ちょと大変!と夏希はすぐにティッシュを彼の鼻にあてがう。
健二は今度は仰向けで夏希の膝枕にお世話になった。
「健二君さ~…さっきはあなたからのプッシュだったのに、
私からのプッシュだと鼻血なの?」
「はさけ(情け)ないへ(で)す…」
しょうがないなあ、と夏希は苦笑いをする。
「じゃ、もう少し休んでから、ね?」

緊張したらトイレに行きたくなりました、という健二を夏希は待つ。
それにしても長い。緊張してお腹でも痛くなったのかな、と心配していると、
微かにシャワーの音が聞こえてきた。行為の前にちゃんと洗ってくれてるんだ、
夏希は感心した。
夏希の横にはボックスティッシュとローションが置かれている。
「このローションは佐久間からもらったんです!
僕が自分で買ったんじゃありません!」
と健二は言っていたが、本当のところどうなんだろうと夏希は思う。
暫くすると健二がTシャツとトランクス姿で現れた。
夏希は思わず顔を俯けてしまう。
いや、気を確かにしないと、これからするのはもっと生々しいことなんだから…
と自分を奮い起たせる。
どんな体勢でしようか二人で話し合った結果、健二がベッドの端に座り、
夏希がその前にしゃがんでしようということになった。
ベッドが汚れないようにするため、健二は自分の座るところに大き目のタオルを敷いた。

838 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 12[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:26:51 ID:6S35NYzz
「先輩、それでは…おおお、お願いします。」
健二は意を決したかのようにトランクスを脱ぐ。
はぁっ、と夏希は息を呑む。
ふさふさした陰毛の間から見える、なかなかの一物。
大人(健二は少年と成年の間だが…)の本物の男性器を見るのは何年ぶりだろう?
幼稚園に入る前にお父さんと一緒にお風呂に入った時以来だな、と夏希は思った。
「じゃ、じゃあ、始めます…」
夏希は健二の前で片ひざを付き、手のひらにローションを取る。
半勃ちになっている健二のペニスを優しく握り、ゆっくりとしごき始めると
じきにペニスの硬度は増し、いきりたった姿を見せた。
手で摩擦を繰り返すたびにクチュクチュと粘液が音を立てる。
「健二君……どう?」
夏希は健二の顔を見上げながら、恐る恐る尋ねる。
「ぁあ、ふぅ、先輩の手…柔らかくて気持ちいいです。ん?!!」
その答えが返ってくると同時に、ペニスの硬度が更に増したように感じた。
ふと夏希は健二が何かを凝視していることに気づいた。
今まで緊張で気づかなかったのだが、ミニスカートで片ひざを付いているため、
太ももと下着があらわになっている。
「先輩…見えてます…んっ、ふぅ…」
「な、何見てるの!健二君の目線、いやらしい!」
「んんっ、…いやらしいって…あぁ、今僕たち、はぁ…
いやらしいことをしてるじゃないです…か?ふぅ…んっ」
健二にそう言われると夏希は可笑しくなった。
「ははっ。そうだね、ごめんごめん。」
笑うことで適度に緊張感がほぐれた。
少し余裕が生まれたおかげか、彼の表情や息遣いに意識を向けることができるようになった。

839 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 13[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:28:34 ID:6S35NYzz
荒いため息のような息遣い。
快感に身を委ねながらも、それを表にだすまいと必死に堪えているような表情。
けれど夏希が彼の目を優しく見つめると、その我慢も崩れ、無防備なあどけない表情を見せる。
「ふっぅ、あぁ…気持ち…いい……先輩………夏希……夏希っ!」
愛しい男性を自分の手で弄び、快感に身悶えさせているんだと思うと、
夏希の胸は高鳴り、体が火照るのを感じる。
胸の高鳴りは彼女の子宮や膣にも伝わり、女性ホルモンが大量に分泌される。
バルトリン腺液がにじみ出て、彼女の下着を濡らしていく。
「健二君…」
夏希の目が潤みペニスを摩擦するスピードが速くなる。
「夏希っ…夏希……な………ぅあぁ!あぁっ!あぁ、あぁ、はぁ、はぁ……」
射精する直前、健二はそばにあったティッシュを自分のペニスにあてがった。
ペニスの躍動と放出された精液の温かさが夏希の手に伝わる。
健二の射精後、ほんのしばらくペニスの摩擦を続けていたが、
手を休め彼を窺い見る。
絶頂の余韻を味わっているのだろうか、荒い息を整えながら目を閉じてうなだれている。
「ねえ健二君……よかった?」
夏希に問いかけられると、健二はおもむろに顔をあげる。
「あ、はい。すごく、よかった、です…あっ!」
夏希の手がローションと精液まみれになっていることに気づくと、
健二はティッシュで優しく拭った。
「すみません、先輩。こんなに手を汚してしまって。一緒に洗いましょう。」
そんな彼の言動を夏希は微笑ましく思う。

840 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 14[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:30:51 ID:6S35NYzz
「健二君はやっぱり優しい。ねぇ、ところでさ、さっき”夏希”って
名前で呼んでくれたよね?」
「え?そうですか?そうだっけ?」
健二は照れ笑いをする。
「も~、ごまかさないでよ。ね!もう一回名前で呼んで!」
「じゃあ…なっちゃん!」
夏希は健二の肩を小突く。
「ちょっと、砕けすぎ…なんか健二君のイメージじゃない。」
それでは、と健二は夏希の目をまっすぐ見つめた。
「夏……希…夏希さん。」
「もう一回。」
「夏希さん。」
「よくできました!」
夏希は健二の頭をよしよしする。
「それからね、敬語で話すの止めようよ。これからはもうちょっと砕けた話し方をしてね。」
「はい…うん!」
二人で行為の後処理をし、夏希が帰ろうとすると健二の母が帰ってきた。
こんな時間だから食べていったら、という健二の母の言葉に甘えさせてもらった。
健二は夏希を近くの駅まで見送り、別れ際に”じゃあね、夏希…”と手を振った。
帰途にて、夏希は今日の出来事に思いを巡らせた。
大好きと言ってくれたこと、自分の欲望より夏希が大切だと言ってくれたこと、
それに…気持ちがいいときの表情と声。
すべてが夏希の宝物になりそうだ。

健二とのセックスについても真剣に考えないといけない。
彼からはっきりと求められたのだから、すぐに答えるべきだろうか?
いやでも…
そういえば…と、健二と付き合い始めた時、直美から貰ったアドバイスを思い出した。
「パートナーの気持ちを繋ぎとめておくには、体を許しすぎないこと。」
そうだ。健二とセックスを重ね、すぐに飽きられてしまう仲にはなりたくない。
時間をかけて絆を深めていきたい、そんな特別な人なんだ、と夏希は思った。

841 名前:健二×夏希(日常+微エロ) 15[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:33:03 ID:6S35NYzz
十年後…


「おめでとう小磯さん。これであなたたちもお父さんとお母さんですね。」
産科医の言葉に二人は手を繋ぎ見つめ合う。
愛の結晶が確認された瞬間だった。

「夏希、これからは無理をしないで。家事の分担、僕に多く回してよ。」
自宅への帰途、二人はこれからのことを話しながら歩いた。
「いいよ、まだ動けるし。それに健二さんも研究で忙しいでしょ?なんか負担を増やすのは
悪いよ…」
夏希は健二に大切にされているなあと感じる。
「健二さん……これからしばらく、できないね。」
「な、何だよ。こんな日中から!」
突然の振りに健二は慌て、周りに人がいないか確かめる。
はははっ、と夫の慌てぶりを笑う夏希。
「じゃあね、健二さん。手で愛してあげる…」
夏希のその言葉を聞くと、二人で高校生の冬の思い出話を始めた。


終わり

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最終更新:2009年10月07日 23:55