第0話「京都に蠢く懲りない面々」
桐野 利秋「・・始まったか。」
???「あぁ,始まったな。」
桐野 利秋「後は同志たちの報告を待つばかりか」
???「しかし,良いのか?こうも部下を分散させて」
桐野 利秋「ん?」
???「効率の良い配置とは思えん箇所がいくつかあってな。御主らしくもない」
桐野 利秋「そう,思うか?」
???「ああ,只でさえ少ない手勢だ。それを更に分散してどうする?」
桐野 利秋「だからこそだ。」
???「ん?」
桐野 利秋「数の劣勢は覆らぬ。故に切り札に繋がる策を数多く蒔く。幾つかは摘まれるだろうが,構わぬ。
残ったカードで状況を作り上げるだけだ。」
???「溺れるなよ?」
桐野 利秋「策に溺れるのは一つの策を練りこむ故だ。どれ程練ろうと,不確定要素を排除できない以上,最後は運。
ならば,可能性の有る策を多量に蒔けばよい。状況は必ずこちら向きに動く。」
???「・・・」
桐野 利秋「種籾は蒔かれた。後は芽吹くのを待つのみ・・だ。」
???「進めー五郎ー次はあっちじゃー!」
藤田 五郎「・・・」
???「ほれ,何をしておるか,まだまだ敵は山ほどおる!次に行くぞ!」
藤田 五郎「・・・」
???「どうした?浮かない顔をしおって。ただでさえ陰険な顔がより暗くなっておるぞ?」
藤田 五郎「・・・何故こうなった・・?俺はただ騒ぎのあった寺に急行しただけのはず・・」
???「何じゃ,わらわのような美女とおるのに何が不満じゃ?」
藤田 五郎「とりあえず頭の上から降りろ。それから,もう雑魚は斬り飽きた。」
???「ふむぅ・・。そうじゃ!」
藤田 五郎「・・・今度は何だ。聞きたくないが言ってみろ。」
???「ではボスを斬りに行くぞ!」
藤田 五郎「・・・は?」
???「は?ではないわ!古来よりボスは高い所を好む!すなわちあの城の上じゃ!いくぞ!五郎!」
藤田 五郎「・・・orz」
???『どうしましたか?Br.マタイ?先程から上の空のようですが?』
Br.マタイ『いや,少し疲れたらしい。見るはずのない者を見た気がする。』
???『それはいけませんね。計画はこれからなのです。しっかりしていただかなくては。』
Br.マタイ『ああ。』
???『この国は急速に我々の技術を吸収しています。しかし,精神は未成熟,野蛮なまま。
正しき教えを広める事で,初めてこの国は独り立ちができるのです。』
Br.マタイ『わかっているさ,Br.シモン。子供におもちゃを与える者は,同時に教育する義務を負う。』
Br.シモン『その通りです。Br.マタイ。それでは聖務の後,またお会いいたしましょう。』
Br.マタイ『ああ。その時は例の件,頼むぞ。』
Br.シモン『ええ。必ず。』
壱話へ続く
最終更新:2010年06月08日 22:34