第二話
彼の表向き職業は探偵である。
普段は浮気調査、人探し、時にはストーカーからの護衛なんてのも引き受ける。
仕事場には、アルバイト含めて5人だけのこじんまりしたものだ。
では、彼の本当の仕事とは何なのか?
ここでは話がそれてしまうので、最低限のことだけ皆さんに説明するが、
彼の雇い主は、イギリスを本拠地とする非公式の財団である。
それは何百年もの伝統に支えられた、宗教的秘密結社といっても差し支えない。
メンバーは王族・貴族・宗教関係者・財界人など、
数は少数だが、国内・国外問わず各方面に多大な影響力を有する集団なのである。
・・・今、雇い主といったがそれは正確ではない。
この日浦義純も、そのグループの重要なポストに就いているのだから・・・。
日本国内にいるそのメンバー数十人のまとめ役・・・、
その集団、とりあえず「騎士団」と呼んでおこう、その騎士団の極東支部支部長・・・、
それが、探偵日浦義純の本当の肩書きである。
騎士団本部から受けた日本での活動指針の一つに、今回のような、
カルト宗教の調査・分析が含まれている。
何故、そんなことを調べているのか?
・・・といった声には、追って説明させていただく。
さて、現場に話を戻してみよう・・・。
・・・照明が暗くなってゆく。
会場には舞台が作られており、壇上には演説台といくつかの椅子が用意されている。
「まるで学芸会だな・・・。」 実際に学校のイベントといった手作り感丸出しである。
義純は自分の左右を見渡して、ため息が出そうになった・・・。
(うわぁ、いかにもって感じのデブオタヒッキー・・・後は気の弱そうな青年・・・、
オレもおんなじように見られてんのかなぁ?)
華やかな信者と一般参加者のギャップが凄い。原因は予想がついている。
この教会の「特色」はネットやニュースで話題になっている。
ここに来ている者の半数は「それ」が目当てで来てるに違いないのだ。
「皆様、お待たせしました! 『ダイナスティ』 11月度受光式、これより開催したいと思います。
まずは、我らが守護戦士『ホーリークルセイダー』 の開戦の舞踏を披露いたします。
登場と同時に、拍手を以ってお出迎え下さい。
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最終更新:2007年04月15日 02:19