『ええ、さっき送ってもらったメールを読んだところよ、お昼食べながらね。』


第十二話
(大丈夫かな・・・? 彼女? ほんとに貴族の娘かぁ?) 
いろいろ突っ込みたいが、義純はあきらめて話を続ける。
「・・・なら、状況はつかめてると思うけど、この教会は日本では時々有りがちな形態で、
信者を集める手段は至って単純。教祖とナンバー2が、女性信者に快楽を与え、
それをエサに男性達を釣り上げる・・・という方式さ。
男性達も教会内のステータスを上げれば、女性たちに性的快楽を与える立場になれるしね。」
『・・・やっちゃえる・・・てわけ? ヒウラもその儀式で興奮しちゃったんじゃあなぁい?』
コーヒー噴きそうになる。
「・・・あのですねぇ! あなたは仮にも最高指導者の娘なんですから・・・もっとこう・・・!」
『怒んないでよ! もぅ、固いんだからぁ。 イヴァンやケイ叔父様はもっと優しいわよ?』
あいつらが甘やかしてんのかぁ! 
彼らは義純と同格の団員メンバーだ。
今のところ彼らの名前を覚える必要はない。
「・・・ま、実際男性幹部はそうだろうね、以前テレビ局がインタビューしてたけど、
教会では性行為はタブーじゃない。むしろ聖なる行為だと奨励している。
勿論、信者には強制させてはいない、と言ってたけど。」
『で、どうなの? 教会の危険性は? 騎士団が動く必要性は・・・?』
ここが彼らの最大の懸案だ。
「危険性は・・・大きい。ファイルにもあるが、彼らの教義では、
終末戦争に向けて軍事的な準備も必要不可欠である、と書いている。
テロ組織にしてみれば都合のいい隠れ蓑になりえる。
 ・・・最もこのやり方は、アニメ全盛の日本でしか通用しないと思う。
信者にしても、本気でやってるのはごく一部じゃないかな?
事件はいろいろ起きているけど、騎士団が動く必要性は、今のところ存在しない、
というのが僕の判断だ。」
『・・・そう、私としては、・・・この教祖が行った儀礼・・・口を開いただけで、
女性信者がエクスタシーを得てしまうってのが気になるわね?
薬物やトリックの可能性は・・・?』
「もちろん、そう考えているが、どんな仕掛けなのか見当もつかない。」
最終更新:2007年04月17日 11:52