「・・・それって何? 殺し屋のようなものがいるってことかい・・・?
大体、石膏の破片て、どっからそんなものが・・・?」
『そのあたりはなんとも言えないわね、ただ、議員殺害に関しては、添付資料に、
地元の都市伝説の注釈があるわ。
人間を"死神の鎌"で切り裂く、メリーという名の"人形"の話が伝わっていると・・・。』
「 『 に ん ぎ ょ う 』 ・ ・ ・ !? 」
第十五話
思わず義純の口から言葉が漏れる。
人形・・・?
(オレがあの帰り道で見た物は・・・まさか・・・?)
再び彼の脳裏に、ほんの一瞬だけ目撃した不気味な姿が浮かび上がった。
『もしもし? ヒウラ、どうしたの?』
これまで数々の修羅場をくぐり抜けた義純がうろたえている・・・。
「・・・マーゴ、『人形』って言ったか? 僕は・・・それを見たかもしれない・・・。」
『何ですってッ!?』 今度驚いたのは彼女の方だ。
「いや、判らない・・・、けれど帰り道で見た変な生き物・・・
もしかすると、『人形』に見えたかも・・・。」
『・・・それは大きさはどのぐらい? 人間にも動物にも見えないの?』
「大きさは人間並みだ・・・小柄な少女にも見える・・・でもその動きは人間のものじゃない・・・。
長い金属のような物を持っていた・・・。
林から道路を突っ切って・・・教会本部のある方角へ駆けていった・・・。」
しばらくお互いの間に沈黙が流れた・・・。
ようやくマーゴが口を開く。
『ごめんなさい、さっき・・・、教会に戻った方がいいと言ったけど、
事によっては・・・、かなり危険かもしれないわ・・・。
そこいらの殺し屋程度なら、騎士団生え抜きのあなたの敵ではないと思うけど・・・、
どちらかというと、私が扱うべき領域かもしれない・・・。』
義純はその言葉にハッと我に返った。自分の役割と責任を思い出したのだ。
「何をおっしゃる。これは僕の役目だ、あくまでも調査だしね、君の言うとおり、
一度これから戻ってみるよ。実際、何もないと思うけどね、帰ったらまた報告するよ。」
『気をつけてね、ヒウラ、あ!
今度イギリス来たらディナー誘ってね? ね?
わたし綺麗になったわよぉ〜。』
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最終更新:2007年04月17日 12:24