・・・マーゴの教えてくれた二つの事件と同じパターンになった。
ほんのわずかな不安・・・現実には起こりえないと思える程度の可能性が、
まさか目の前で起きてしまうとは・・・。
義純は体中に鳥肌が立っていくのを感じていた・・・。
まさか・・・本当に人形・・・自分が目撃したあの気味の悪い「物体」が、人を殺したというのだろうか?
・・・彼が事務所にようやく戻った時、既に日付は変わっていた。
しかしまだ、マーゴへの報告という仕事が待っている。
第十七話
『もしもし? ヒ〜ウ〜ラ〜? それでどうしたのぉ?』
夜更けに沁みるマーゴの声。
彼女は声だけでも魅力的だ、気を抜くとさしもの義純でもメロメロになりそうだ。
騎士団は元々カトリック系の厳格な流れを汲んでいる。
こんな女性が、騎士団内を大手をふって歩いているのはある意味犯罪だ。
「む〜、遅くなってすまない。結論から言うと県議会議員の時と同じ、
生存者はいるが、目撃者はいない。恐らく目撃したものは全てバッサリ。
ただ殺されたのが誰なのかは、僕が警察に聞かれた段階では判別つかないとの事。
ま、幹部で消息が判明してる人はいないそうだから、被害者は・・・容易に想像できるけどね。」
『えぇ? ヒウラは大丈夫なのぉ!? あなたは一瞬でも姿を見てるんでしょお!?』
「やめてくれよ、脅すのは。(それから甘ったるい声もやめて!)」
『だって、いくら貴方が戦闘のプロでも、相手が人間でなければ勝手が違うわ、危険よ。』
「待ってくれよ、まだその『メリー』がやったと決まったわけでも、
相手が人形と決まったわけでもないだろう?」
『・・・んーそれはそうだけど〜、心配は心配だしぃ〜。』
「いずれにせよ、明日また警察に行かなきゃなんない。
勿論、騎士団や依頼内容は伏せとくけど、
恐らくその猟奇殺人のファイルはまた一件情報が追加されるかもな。」
『・・・最近、多いわ。』 マーゴの駄々っ子のような喋り方はまだ続く。
「・・・多いって、猟奇殺人や大量虐殺のことかい・・・?」
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最終更新:2007年04月17日 12:49