『ええ、そう、元々私が昼間の電話で(日本は夜)"メリー"の話を思い出せたのも、
私がしばらく異状殺人のことをかかりっきりで調べていたからよ。』
それは義純にとって初耳だ。
「・・・そうだったのか? それは世界規模で・・・?」
『ええ、犯人が見つからない、手口が異常、殺害手段が不明・・・。
そういうのを中心にね。』
「おいおい、それも怖いなぁ、日本にもそんなグローバルな殺人があるのかい?」
『あるわよぉ、代表的なのは、妻子ある働き盛りの男性が殺される事件・・・。
共通するのは家族構成のみ、殺害方法は、体中の血液を抜かれていたり、
頭部を存在し得ないはずの獣に噛み砕かれていたり、体中の骨を折られていたり・・・。』
第十八話
「うぇっ、そんな事件あるのかい?全く知らなかった。」
『まぁ、ニュースでは残虐な手口については伏せるでしょうからね、ちなみにこれは、
件数そのものは少ないけど、かなり昔から報告されているわ。』
「騎士団の監視対象になっている・・・?」
『ううん、まだ、そこまでは。 ただ私は注目している。 そのうちヒウラに調査頼むかも?』
「あんまり関わりたくないな・・・、それに今はこちらがメインだしな・・・。」
『そうね、何度もいうようだけど、身の周りには気をつけてねっ?
・・・あ、やだ、私、大事な事言うの忘れてた! 県議会議員の事件の時だけどね、
現場に居合わせたルポライターの住所と名前、調べておいたわ、
東京西部だから、あなたの事務所から遠くはないと思う・・・。
メールで送っとくわね。』
「お、さすがは『ウェールズの・・・』、いや、何でもない! とにかく仕事が速いね。
ありがとう。今度会ったらランチをおごろう!」
『え〜ランチぃ〜!? グレード落ちる〜ぅ・・・でもいいわ、嬉しいッ ありがとう!』
まぁ、それぐらいなら彼女の毒にはあてられまい。
しかし、確かに仕事のパートナーとしては有能だ。彼女の力量は騎士団の誰もが認めている。
勿論、専門分野は限られているが、「魔女」と呼ばれるだけあって、
特に薬物・化学・心理学・に関しては、騎士団内で多大な功績をあげている。
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最終更新:2007年04月17日 12:57