何度生き返ろうとも、ヤツの主人のいる冥府に送り返してやるともぉ!
その為にはぁ このわたしも生き続けるぅ! そこで死んでいる小娘共のように、
生命力を吸い取ってぇ、まだまだ生き続けてやるぞぅ!!」
第三十話
この男の話が正しければ、彼は百数十年も生きている事になる。
人間にそれが可能なのだろうか?
かつて、「暗い夜の森の魔女」 がそうであったように、
彼も人間の生気を吸い取って若返っているのだろうか?
・・・実際、ホーリークルセイダー達を日浦義純の目は20代中ごろと見ていたが、
本当の彼女達の年齢は、・・・まだ17、8の少女であったのだ。
そしてその代価として、この男の強大なパワーとエクスタシーを与えられていたとしたら・・・。
「・・・エミリ〜ぃ! わたしの作り上げた教会をぶち壊してくれたねぇ〜?
でも・・・許してあげるよぉ〜! 君がいれば何も要らないんだぁ、
さぁぁ、こぉれからはいつまでも一緒だよぉぉ!
わたしと共にぃ無限の時を過ごそうじゃぁないかぁぁ!?」
・・・このおぞましい男が喋り続ける間、メリーは必死にここから逃れるすべを考えていた。
既に彼女の殺戮衝動は消されてしまっていた・・・。
恨みのエネルギーより、彼女の悲惨な恐怖の記憶の方が余りにも巨大すぎたのである。
学術的に「生き物」かどうかはともかく、思考し行動する生物としての彼女の生存本能は、
この状況から脱出できる手段を死に物狂いで模索していた。
(わたしは・・・エミリー? マリー・・・? わたしは・・・? わたしは・・・ )
歓喜に震える赤い男は、メリーの白い頬を押さえ、色素の薄い目を気味の悪いほど大きく広げ、
人形のメリーの薄く開いた唇に、自らのそれを重ねようとする。
メリーのグレーの瞳は恐怖と拒絶の色を浮かべて小刻みに動く・・・。
どうにもならない・・・!
( ・・・違う・・・わたしは・・・マリーでも エミリー でもない・・・わたしは わたしは・・・
そうだ、わたしは与えられた・・・、
天地の法が 破れた時、それを犯した者を 断罪する 鎌を・・・。
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最終更新:2007年04月18日 09:02