・・・そして何事も無かったかのように車を動かし、教会の外へと走り去ってしまったのである。
町の方からは、サイレンの音と共に何台かのパトカーがやってき始めた。
「・・・わたしはあきらめないよぉ、エミリ〜ィ、必ずぅ・・・おまえを迎えに行くからねぇ〜・・・。」
数分後、警察がこの建物に乗り込んできた時、
赤いローブの教祖、小伏晴臣の姿はどこにも見当たらなかった・・・。
第三十二話
(・・・そうだ、わたしは あそこから飛び降りて・・・ では ここは 何処なのか・・・?)
そして話は現在にと戻る。
メリーは赤い車の後部ドアを押し上げた・・・、ロックはかかっていなかったようだ。
目の前に自分の鎌もある。
彼女はゆっくりカラダをずらしながら外に出る。
そこは日本の何処でも見られる普通の一般家庭の庭だった・・・。
塀のある、普通の庭・・・ちょうど車二台分でやっとというところか?
陽は傾いていた・・・。
メリーはその目に映る物の情報を全てを読み取ろうとした。
その時である、メリーに向かって若い女性の声がした。
「気がついた・・・?」
・・・これも、遠い昔にどこかであった出来事のようだ・・・。
まだ混乱しているのか?
メリーはその声を発する方向に振り返り、その女性から観察することにした・・・。
少なくとも命を奪う対象ではない・・・、そのエネルギーもない・・・。
「・・・驚いたわ、一日足らずでカラダが元通りになっているのね?」
その言葉にメリーは自分のカラダを確認する。
感情からメリーの活力に変換されるエネルギーは、自動修復する分には正常に働いていたようだ。
また、そのメリーの仕草で、女性の方も自分の言葉が通じていることを悟ったようである。
しばらく無言の状態が続いたが、メリーの方から切り出した・・・。
「 わたしを助けたのは・・・何故・・・? 」
女性の方は表情も崩さない、・・・彼女の綺麗な肌も白い・・・。
遠目に誰かがこの光景を見れば、どちらが人形か判別つかないかもしれない。
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最終更新:2007年04月18日 09:29