第七話
 ピーンポーン・・・
インターホンが鳴った・・・そんな馬鹿な、何処に隠れとったんじゃ!?
男は身動きを止め、息を潜めた・・・。
 ピーン  ポーン・・・
男はゆっくりドアに近づきスコープから外を覗いた。
・・・案の定、何も見えない・・・。
突然、小さな窓の視界が塞がれた! いや、グレーの瞳がこちらを見つめている、
さっきの人形・・・。
思わず男は外に飛び出す衝動に駆られたが、真二の例もある。
男は部屋の真ん中に戻り、携帯を開いた。
 「おぅ、わしじゃ! 真二がやられたかもしれん・・・連絡取れる奴、
 みんな集めてワシの部屋に集合じゃ! 道具も用意せられ!」
小声で短い会話と細かい指示をした後、携帯を切り、もう一度ドアスコープに寄ってみた。
・・・もう人形は見えない。
バスルームのほうから、何かを壊すような大きな音が聞こえた。
・・・バスルームにも小窓はある。
だが、人の入れる大きさではない・・・そう思ったが、男は恐ろしい事実に気づいた。
バスルームの窓の外は、マンションの壁・・・もちろん、なんの取っ掛かりもない。
そういえば、真二の話では何者かは三階から侵入したという、
そして恐らくは隣の部屋から一度外に出て、外の壁を伝って真二のいる部屋の窓から・・・。
男は注意深くバスルームの扉の前まで寄った・・・、
電気をつけ曇りガラスの向こうを見透かそうとする。
      • 動くものはない、 そおっと扉を開けてみた。
      • 小窓が窓枠ごと破壊されていた。
この時、彼にはキッチンから聞こえてくる、小さな金属音に気づくことができなかった・・・
事前に仕掛けられていたのか、キッチンの換気扇が容易に外されてしまったことに。
彼が窓の外に注意を向けてた隙に、「それ」は部屋に侵入していた。
男が部屋の中に再び、眼を向けた・・・のは、ほぼ強制的だったといえる。
テレビが突然大音響で響いた。
彼はもはや無言で部屋に戻った・・・手に持ったナイフはいつでも反応できる。
画面ではくだらないバラエティをやっていたが、
しばらくすると、画面が乱れ始め、サンドストームになった。
男にはそれが必然的な結果であるように、自然な事と思われた。
テレビの雑音の中に、はっきりとした声が聞こえる・・・
最終更新:2007年04月13日 08:20