第二話
一方、こちらは拘置所・・・面会室。
「え・・・弁護士の先生・・・オレ、どうなんの?」
きれいに染め上げた髪の美形の青年は、気弱そうに面会に来た弁護士に尋ねた。
「心配はいらないよ・・・ お祖父さんやわたしが、全力で君を助ける、
気をしっかり持って欲しい。もうしばらくの辛抱だよ。」
青年の祖父に依頼された弁護士は、短い接見時間の中で、
警察の尋問での対処の仕方・注意事項・今後の方針等を事細かに伝えた。
「だいじょ〜ぶ・・・、元々合意の上なんだろう?
今のところ、被害届けは二人からしか出てないが、きっと彼女達も思い直してくれるさ・・・。」
徐々に青年・森村剛志は、持ち前の明るさを取り戻して言った。
「そうだよね! オレがこんなとこにいるの、おかしいもんね!
あ〜、早くあの生活に戻りたいよ〜!」
彼には反省する気持ちはさらさらないようだ。
しばらくして、拘置所を出た弁護士の元に、携帯の連絡が入った・・・。
「あ〜、弁護士先生ですかい? 二人のほう・・・被害届け・・・取り下げるみたいですよ・・・物分りのいい子達で・・・」
弁護士はそれを聞いて冷静に答えた、
まるで予定通りとでもいうふうに・・・。
「そう、それは良かった、そう言えば、もう一人の子は自殺したって・・・? 可愛そうに・・・。
私達には関係のない話だけどね・・・、うん、先生には私のほうから・・・」
電話を切った弁護士は、静かに高級そうな外車に乗りこみ、
その拘置所を後にした。
向かう先は、県議会議員自宅・・・。
最終更新:2007年04月13日 09:51