第八話
程なくして領主が戻ってきた、手には鞘に納められた小さな短剣を握り締めて・・・。
 「・・・待たせたな、もうおまえは外でいいぞ。」 そう言うと、領主は短剣を机に置き、
中途半端に脱いでいた上着を完全に脱ぎ捨てた。
既にマリーには余りの事に足腰が立たず、
兵士に投げ出されて領主の足元に崩れ落ちるしかない。
兵士が出て行くと、領主はいやらしい笑みを再び取り戻し、
 「もぅ、邪魔は入らないよ、マリー、さぁ、楽しもうかぁ? 」
 「・・・エルマー・・・ エルマーをどうしたのです・・・? 」
声にも力が入らない。領主に抱きかかえられながら、震える声を発するのが精一杯。
 「気分が悪いみたいだったからねぇ、部下に家まで送らせたよ、もう心配要らない。」
 「嘘よッ・・・ あの子の悲鳴が聞こえたわ、 ・・・その短剣を何に使ったの・・・?
 エルマーはどこ!? エルマーは・・・、エルマーを返してッ!!」
マリーのヒステリックな声ももはや領主には、これからの愉しみのスパイスにしかすぎない。
またもやベッドに投げ出されるマリー。もう、彼女を助けるものは誰もいない・・・。
恐慌状態に陥ったマリーは、あらん限りの力を振り絞り、
野獣となった男の陵辱に必死で抵抗する。
・・・だが衣服は引き裂かれ、身体の隅々までなぶられ穢されて、
泣き叫んでも泣き叫んでも野獣を喜ばせるだけだった・・・。
そして彼女は貫かれた・・・何回も何回も・・・。
全てに満足した領主は衣服を着始めた、その表情は満足そうだ。
マリーはベッドで、力なく裸で横たわっていた、頬に涙を垂らせて・・・。
だが、その視線は机の上の短剣に向けていた。
両腿の間には今も激痛があるが、あそこまでなら何とかなる・・・
領主がズボンに足を通した瞬間、マリーは飛び跳ねて机の短剣を手にした。
 「おおっと!?」
 「よくも・・・エルマーをッ !!」
鞘を抜いたマリーは、半狂乱になって領主に突進した。・・・だが、無情にもその刃は、
領主には届かない・・・。ヒラリと身体をかわし、あっという間に彼女から短剣を取り上げる。
 「ん〜、やはりこんな田舎の娘じゃ、わしの嫁になる資格はないか・・・。」
最終更新:2007年04月14日 01:28