だいななわ
 「あ! 姐さん、ありました。あの家ですよ、白羽の矢が刺さってます!」
 「よっしゃ、・・・ならやってまうで? 準備はえーな?」
 「いつでもオッケーです! 姐さん!」
さて、いよいよ最恐のゴスロリ少女うりぃ・めりーのお仕事の時間です。
・・・今までもちゃんとやってたんですけどね。
時刻は草木も眠る丑三つ時・・・、うりぃと犬は、その一軒の農家の庭先におりました。
おもむろに犬が前足を掲げ、その家の納戸を足で軽く叩き始めました。
 バタン、バタン、
犬は何度か同じ動作を繰り返します。その内に、この家の主人が目を覚ましました。
 「・・・? な、なんだぁ? ・・・風じゃねー・・・よな? 誰かいるのか?」
 バタン、バタン、
 「おい・・・誰かいるのかぁ?」
   あ け て・・・ん か ぁ 
 「誰だ!?」 ガラッ!!
・・・主人が納戸を開けたのですが、そこには誰もおりません。
ただ主人の視界には、一匹の白い犬がその場から立ち去るのが映りました。
 「えっ? い・・・犬だったのか? でも声が聞こえたような・・・?」
その時、主人は、自分の背後の暗闇に、何かの気配を感じました。
 「・・・ウチや・・・、アンタの後ろにおるで・・・?」
家族の誰とも違うその声に振り向いた時、主人の胸には錆付いた草刈り鎌が刺さってました。
 「・・・これも仕事なんや、堪忍な?」
鎌は正確に心の臓を貫いてました・・・、ほぼ即死に違いありません。
うりぃは鎌をぐいっと抜いて、その場から立ち去ります。
こんな夜中です、男の家族も気づかないままでしょう。
うりぃは庭で隠れている犬と合流しました。
 「姐さん、首尾はどうです?」
 「は、どーということもないわ、今日も楽やったわ。」
うりぃの右手には、朱く染まった草刈り鎌があります。
今日も、無事に仕事を終えました。
二人は寝床の八幡さまに帰ります・・・。


最終更新:2007年04月15日 01:30