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「お出掛け」




梅雨に入り、毎日じめじめとした気温の日々。
伊吹はいつものように景色を眺めていた。
何をするわけでもなく、ただ見ているだけ。

「…行くか。」

しばらくした後、ぽつりとつぶやき、どこかへと歩き出していった。




「わう…」

じめじめした空を眺めながらいちごあめは寂しそうにつぶやいた。
ほこらの精霊石に視線を移す。
この石がある限り、一人ではどこへも行けない。
お花を摘みに行くことも、遊びに行くことも。
壊したくても、触ることすらできない。

「こんな石…なかったらいいのに。」

しゅん…とうなだれ落ち込む。
ふいにポン、と頭を触れる大きな手の感覚。
この手はよく知ってる。いつものあの手。
振り向くとそこには伊吹が立っていた。

「どこかへ行きたいのなら、連れて行く。」

伊吹は持ってきた苺飴を手渡し、精霊石を手に取った。
相変わらずの素っ気ない言い方。でももう慣れっこ。

「綺麗な花が摘みたい…わう…行ったことないから向こうに歩いてもいい…?」
「好きな場所に行けばいい。」




ゴロゴロ…

あれからだいぶ歩いたが、野原ばかり。
雑草などは生えているが、花は見つからなかった。
天気もかなり悪くなって、今にも降りそうな雲行きだ。

「うぅ…見つからない…。そろそろ戻ったほうがいい?」

いちごあめが申し訳なさそうに言った瞬間、雨がぽつりぽつりと降り出した。

「あ…雨…。」
「…大降りになるな。」
「わうっ…?」

伊吹はいちごあめの手を引っ張り、近くの森に走った。
森に着いた瞬間、一気に土砂降りになる。
そのまま森の中へ避難する。
すると急にひんやりとした気温になり、雨音が止んだ。

「…音が止んだ?」

ふと伊吹に視線を向けると、真剣な表情で森を見渡していた。

「………そうか、ここは通サズノ森か。」
「通サズノ森…?」
「神聖な森だ。何かを守っている森と聞いた。化け物が住む森とも聞いたが。」
「わう…!?早く出よう…!」

今来た方へ向き直り、いちごあめは目を疑った。
森に入って数十歩程しか歩いていないのに、外の景色は一切見えなかった。
四方八方、どこまでも薄暗い森が続いている。
伊吹が落ち着いた様子で言った。

「入ったら出られないとも…な。」
「わうう!?」



伊吹はしばらく考えるような顔をした後、真っ直ぐ歩き出した。

「!歩いたら危ないよ…?」
「…耳を澄まして進め。」

耳を澄まして…?化け物の声を聴く為…?
よく分からないまま、いちごあめは頷いた。

2人はどんどん奥に進んで行った。

『―――化け物が住む森とも聞いた』

先程の伊吹の言葉が不安が強くする。
すると、どこからか三味線の音色が聴こえた。

「音色…?誰か人がいるの?」
「…こっちだ。」

音のする方へ向かうと、そこは不思議な湖だった。
空中には不思議な淡い光が無数に浮かんでいる。
周りには結晶の木や花が立ち並ぶ。

「わぁ…綺麗…!」

そんな幻想的な場所で一人、三味線を奏でる緑髪の男がいた。

「來鳴。」

伊吹はその男に話しかけた。
男は演奏を止め、表情を変えずにこちらを見る。

「…そなたか。…なぜここにいる…?」
「知り合いなの…?わう…?」
「來鳴。楽器が好きな森の番人。」

簡潔な答えが返ってきた。

「出口を教えてほしい。」
「…迷ったのか?」
「ああ。」
「…そうか。…そなたは何者だ?」

來鳴はちらりといちごあめを見る。

「……いちごあめ…わう…」

伊吹に隠れ、オロオロしながら答える。
伊吹はじっといちごあめの様子を見て言った。

「來鳴、少し休んでもいいか?」
「…構わない。」





「綺麗…。」

水遊びをしながら、結晶の花や光を眺め、いちごあめは嬉しそうに尻尾を振った。

「あの…お花…摘んでもいい…?」
「…構わない。そなたが必要な分だけなら。」

いちごあめは二輪だけ摘み取った。
少しピンクがかったのと、黄緑がかった水晶花。
木にもたれかかっていた伊吹が側に寄ってきた。

「癒えたか?」
「えっ?」
「疲れていただろう。」

…あ。もしかして…気遣って休みを入れてくれた?

「ありがと…わう…」

無言で頷き、來鳴に出口を聞きに行ってしまった。
…優しい、な。


「…この道を真っ直ぐに行けば森を抜けられる。」

來鳴が教えてくれた道を2人は黙って進む。
いちごあめは伊吹の斜め後ろを歩いた。

「雨…止んでるかな。」
「…さぁな。」

太陽の差し込む光が遠くに見えた。
もう雨が止んで、温かくて晴れた空があそこにはあるんだろうな。
もうちょっとだけ、一緒に歩けるといいな。





~お子様お借りしました~
いちごあめちゃん (ぽて宅)

きいちご美味しい(●^p^●)
オチが浮かば無さ過ぎて中々UPできなかったねwwうんww
いちごあめちゃんはもっともっと伊吹に頼ってもいいと思うの。
伊吹はお面の子だから感情はあまり見せないけど、いちごあめちゃんのことを大切に思っているはず!
ぽてキャラの安定の誘拐☆書くの楽しかった!

また勝手にお借りしまーs←←
最終更新:2012年09月19日 19:52