「初雪」
朝、目を冷ましカーテンを開ける。
どんよりとした灰色の曇り空。
庭に出ると空気は冷たく痛いほどだった。
今日はきっと、雪が降るだろう。
今年も冬がきた。
「きょーちゃん、今日はスープがあるからこの入れ物?」
とたとたと朝ご飯の支度を手伝う桃色髪の少女。
この子はロココ。身寄りがなく、今はこの家で同居をしている。
自分に娘がいたらきっとこのくらいの年齢なのだろう。
あぁ、と頷き入れ物にスープを注ぐ。
今日はコーンポタージュを作った。
寒い日はこれが一番だ。
あったかぁい、と無邪気な笑顔で美味しそうに飲むロココ。
パンも美味しそうにたいらげる。
「ごちそうさまでした!」
「…今日は雪が降るかもしれないな。」
「ほんとう?じゃあ雪だるま作るの!」
昔にもこんな笑顔を見た気がする。
そう思いながら新聞を広げ、コーヒーを飲みながら記事を読み始める。
ある記事に目が止まった。
“『
W-PERIODの新薬完成 不治の病に希望の薬』”
“研究長の朧氏は該当患者に無償で寄付と発表。”
…きっと、こいつの笑顔だ。
医療研究機関W-PERIODのボス、朧。自分の弟だ。
本名は…いや、あいつが朧と名乗るならそれでいい。
―――数十年前。小学校低学年の頃。
「兄さん、見て!すごい雪だよ!」
強く起こされ、眠い目をこすりながら外をみるとそこは一面銀世界だった。
明日降ると予報があり、幼い自分と弟は楽しみにしながら寝付いたのだ。
「兄さん、雪だるま作ろ?」
ワクワクした顔で厚着をし始める弟。
この頃の弟はよく笑っていた気がした。
いつからだろう、溝ができはじめたのは。
彼女のことが起こる前から少しずつできていた気がする。
「きょーちゃん!」
ふいに大きな声をかけられ、現実に戻る。
ロココが窓の外を見ながら嬉しそうに言った。
「雪降ってきた!」
窓に近づき外を見ると白い粉がぱらぱらと降っていた。
「…明日は積もるな。明日なら雪だるまが作れるだろう。」
「じゃあ、明日ろここと一緒に作ろう?」
“兄さん、雪だるま作ろ?”
「………そうだな。」
過去に囚われているのはあいつだけで十分だ。
テーブルに戻り、一通の封筒に目をやる。差出人は
Limit.B本部。
極秘と書かれた赤文字が内容を予想させた。
そして、もう一通の封筒に目をやる。
差出人は仕事仲間の信頼できる情報屋だ。
ある情報を聞くために先日、手紙を送っていたのだ。
“該当する人物の情報を探したが、見つからなかった。
その少女の母親の生死も不明だ。何か情報があれば報告する。”
やはり、そう簡単には見つからないか。
ロココに見つからないようにそっと手紙をしまう。
数人の情報屋に同じ手紙を送っているので、他の情報屋が何か掴んでいるかもしれない。
はじめから何か情報があるとは思っていなかったし、落ち込むこともなかった。
時間はたっぷりとある。じっくり探して行こう。
~お借りしたキャラ~
ロココちゃん (ぽて宅)
完全に最後グダった気しかしない!(笑)
最終更新:2012年11月25日 16:03