133 :VIP足軽t:2006/11/24(金) 17:01:44.76 ID:C8gdxjMz0
新学期。
クラス全員初めての顔合わせのときから、そいつは他のやつとは一人違っていた。
小さくて細い身体、真っ黒くサラサラな髪、大きな目、白い肌…
男子の制服は着ていたけど、そいつはクラスのどの女子よりもかわいかった。
だけど、
「なんだこいつ、男のくせに気持ち悪りぃ」
俺の友への第一印象は、そんな程度のものだった。
134 :VIP足軽t:2006/11/24(金) 17:02:35.95 ID:C8gdxjMz0
友と初めてしゃべったのは新学期が始まって1ヶ月ほど経ってからだった。
文化祭の出し物の原案を出す係として、俺と友が選ばれたのだ。
オレは鬱陶しくてしょうがなかったけれど、くじで決められたものを嫌がって、いきなりクラスに敵を作りたくもない。
最初に話しかけてきたのはむこうの方だ。
「…ヨロシクお願いします」
「…ああ」
「…ついてないねお互い。くじでこんなことやらされるなんてw」
「うん…」
「…何にしよっか、出し物」
「なんでもいいんじゃない」
「なんでもいいって…例えば?」
「わかんね」
「……」
「悪いけど俺用事あるから、先帰るわ」
「あっ、ちょっと!」
めんどくさかったのもあったが、何より友といっしょにいるのが嫌だった。
こんな女っぽいやつといるのを、他の誰かに見られるのが恥ずかしかったんだ。
135 :VIP足軽t:2006/11/24(金) 17:04:14.31 ID:C8gdxjMz0
「なぁおいちょっと」
一週間逃げるように帰っていた俺に、ついに友が文句を言ってきた。
「なあ、なんでおまえいっつもすぐ帰っちゃうんだよ。なんか用事でもあるの?」
「…べつに」
「じゃあいっしょに出し物考えようよ。ほら、もうあんまり時間もないし」
「…」
「ねえ…」
「…うるせーなあ」
「……!」
「オレ、おまえといっしょにいたくないんだよ」
「……な…」
ハッキリ言ってやると、友は青い顔をして黙り込んだ。
「……な…」
「……」
「なんでだよ…」
「…おまえといっしょにいるとこ他のヤツに見られるの、恥ずかしいんだ」
「……」
143 :VIP足軽t:2006/11/24(金) 17:30:07.82 ID:C8gdxjMz0
「……」
「…俺だって…」
「?」
「俺だっておまえといっしょにいるのなんかごめんだよっ!!」
「っ!!」
「ふざけんなっ!!おまえみたいなヤツに手伝ってもらうのなんてこっちからお断りだっ!!
もう俺一人でやるからいいよ!!ほら、さっさと出てけっ!!」
「おっ、おい…」
「出てけーーっ!!」
ガラガラガラッ ピシャッ!!
いきなり切れた友に、俺はかなりビックリしていた。
友は俺のことを無理やり締め出しすと、それきり教室の中に閉じこもってしまった。
なんだよあいつ…
俺はちょっとの時間の間、呆然としたまま立ち尽くしていた。
145 :VIP足軽t:2006/11/24(金) 17:30:44.56 ID:C8gdxjMz0
「……」
なんだか友の様子が気になって、俺はドアの窓から教室の中を覗いて見た。
「……あ……」
友は窓際の方で小さくなりながら、袖で目をこすっていた。
「…グスッ…グスッ…」
…泣いてる…
こうなると、さすがに悪いことをした気がしてくる。
言い過ぎたな…
べつにアイツが何をしたわけでもないのに、偏見でものを考え過ぎてた。
…ここは素直に謝っておくべきかな。
最終更新:2006年11月27日 18:55