316 :VIP村人w:2006/11/25(土) 17:22:31.00 ID:uNpHopj80
翌日。
俺と友の二人で話し合った結果、結局出し物は喫茶店で妥協することに決まった。
「やっぱり奇抜だからいいってもんじゃないよね」
「そうそう。シンプルイズベストだよな」
という結論が出たからだ。ま、時間が無かっただけなんだけど。
でも、前日の事件のおかげで俺と友の間に緊張はすっかり無くなっていて、笑いあいながら話しをすることができた。
「別に喫茶店はいいけどさ〜やっぱりただそれだけじゃつまんないよね」
学活の時間に俺と友がこのことを言ったら案の定女どもが文句を言ってきやがった。
クソ、それなら最初からおまえらが考えろってんだボケが。
「……だったらメイド喫茶でもやるか?」
「それもなんだかなあ〜。ありきたりだし」
「じゃあいったい何がいいってんだよ、もう!」
317 :VIP村人w:2006/11/25(土) 17:29:49.13 ID:uNpHopj80
「ん〜それじゃあ……男女逆メイド喫茶ってのは?」
「は?」
「男子が女子の格好して、女子が男子の格好して喫茶店やるの!よくない!?」
「いいねそれぇ!!」
…はあ……なんで女ってのはこう…
頭の悪いやつが多いのか。そんな意味の無いくだらないことをしなくても、
文化祭なんて無難にこなしておけばいいだろうが。
「……女さんから男女逆喫茶はどうかという提案がでましたが…一応聞きますが皆さんはどう思いますか」
「いいと思いま〜す!」
いいと思ってんのはおまえらだけだっつの…
…と思っていたが、別に男子もだれも反対してない。反対するのがめんどくさいだけかもしれないが。
…ま、みんなが賛成ならいいか。どうせ女に何言っても無駄だし。この程度ですんでくれれば。
これ以上女子が何か注文つけてくる前にさっさと決定してしまおう。
318 :VIP村人w:2006/11/25(土) 17:32:32.65 ID:uNpHopj80
「それじゃあ……」
と……後ろからクイクイと袖を引っ張られた。
友だ。
「な、なあちょっと……ホントにこれで決定しちゃうの…?」
「え?うん……別にいいんじゃない?だってほら、反対もいないし…」
「俺……やだよ、そんなことするの…」
「? なんで?いいじゃんおまえかわいいし。きっと似合うよ」
そう言った瞬間、友にキッと睨み付けられて、俺はたじろいでしまった。
……なんか、いつのまにかすっかり友に弱くなってるな、俺……
「……ごほん。あー、友くんがあんまり気乗りしないという意見なんですが…みなさんどうでしょうか」
320 :VIP村人w:2006/11/25(土) 17:40:03.31 ID:uNpHopj80
「えぇなんでー!?友くんなら絶対似合うよ〜!?」
「てゆーか友くんのために言ってあげたのにい!!」
女子共がまたギャアーギャアーと騒ぎ出してしまった。
余計なお世話だよ……と、後ろで友が小さくつぶやくのが聞こえた。
「でも、友くんには悪いけど、反対一人だけなら認められないよね〜」
「大丈夫だよー友くんなら絶対かわいくなれるから!!」
「あたし友くんが女装してるとこ見たあい!!」
女子の反対にあって、友がまた泣きそうな顔をしながら俺の顔を見た。
……そんな目で見つめるなよ……
「あ…その…まあ…みんなもこう言ってるし…な?
大丈夫だって!ほら、接客とかしなきゃそんなに目立つこともないし…」
「……」
「……うん……」
ほっ…
321 :VIP村人w:2006/11/25(土) 17:45:03.94 ID:uNpHopj80
何をやるかが決まった後、とんとん拍子に準備と時間は進んだ。そして、気がつけば文化祭の前日。
俺たちの教室の喫茶店は、なかなかにいい感じに仕上がっていた。
俺と友の係りはもうとっくに終了していたけれど、その後も俺たちはいつもいっしょに行動していた。
と、言うより、俺が友のそばをくっついて離れなかった。
友といっしょにいたかったから。
…どうしてかはわからないけど、友のそばはとても居心地が良かった。
友の声を聞くと、なぜか心が安らいだ。
いっしょにいると、幸せな気分になれた。
それは……不思議な感情だった。
最終更新:2006年11月27日 19:45