48 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:45:06.18 ID:Mpa3D+CA0
さわやかな日曜だというのにこいつと来たら・・・・・・、
「うわーーーーーん!!!ドライもん、聞いてよー!!ヂャイヤンったら、僕を野球に混ぜてくれないんだ!!!
゛のぴたと一緒に野球するとヘタクソがうつる"なんてゆうんだよーー!!!わーーん!!!!!」
この、ピーピーわめいている奴は”のぴた”。
勉強もスポーツもてんで駄目、しかも単純バカで優柔不断なお先真っ暗、小学5年生だ。


49 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:45:57.63 ID:Mpa3D+CA0
「僕、悔しくてさー!!分かる?ドライもん。」
「んー・・・・」
くだらない事には干渉したくない。
俺は適当に返事を返し、愛読書の”成り上がり(永ちゃん著)”に視線を戻す。
「だからさぁ、何とかしてよドライもん!」
はじまった、さあはじまった、困った時はいつもこれだ。


50 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:47:52.05 ID:Mpa3D+CA0
確かに俺はあらゆる未来の道具を出す事が出来る。
その気になれば世界征服も可能であろう。が、それはこの時代だからこそなのだ。
そんな事をしたら、時空パトロールによって逮捕されるだろう。
なぜなら俺は22世紀から、今この目の前にいるのぴたの孫せわじによって送り込まれたからだ。
目的は、成長過程における人格形成の補助及び人間関係維持と、
肉体的外傷の抑止と聞いていたが実際のところはせわじの小遣いを30円に上げるのが目的だった。


53 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:49:56.98 ID:Mpa3D+CA0
懸命なる読者は既にお分かりだろうが、俺は未来ののぴたの孫せわじが、
自分の満足の為だけに送った猫型ロボットなのだ。
せわじは、自分の小遣いが上がれば万々歳と踏んでいたのだろう。
だが、ここで誤算が生じた。俺には高性能の”AI”が組みこまれていたからだ。
俺の知能は、もちろん小学生のそれの比ではない。


54 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:50:40.54 ID:Mpa3D+CA0
その俺が、せわじの言いなりになるわけも無く。のぴたを助けもしない。
助けるどころか、むしろ主導権は俺が握っているのだ。
そもそも、自分の事を他人に何とかしてもらうなんて発想がおかしいのだ。
「ねえ、ドライもん!!!」
まだ、のぴたは道具をねだっている。
俺はその甘えきった顔に、信じられないほどの殺意を覚えた。


55 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:52:40.65 ID:Mpa3D+CA0
「そろそろ潮時だな・・・」
俺は、おもむろに四次元ポケットに手を入れた。
のぴたは待ってましたとばかりに、満面の笑みで俺が道具を出すのを待っている。
俺はその、アブラびかりするめがねにまたも殺意を覚えた。
「これを持っていきな・・・」
ドスッ
畳の上の埃が舞う。


57 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:53:51.76 ID:Mpa3D+CA0
「こ、これは?」
のぴたの目の前には・・・・・・一丁の拳銃が置かれている。
俺はバカでも分かるようにゆっくりそして嘘の説明をしてやった。
「これはなヘタヘタ鉄砲といってこいつで撃たれた奴はな、野球がヘタクソになっちまうんだ・・・」
もちろんそんな物ではない拳銃はトカレフだった。
小用で新宿に行った時に歌舞伎町でチャイニーズマフィアから買った物だ。


58 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:55:51.68 ID:Mpa3D+CA0
だが、のぴたは俺の言った事を信じきっている。
「わーーい、ありがとう!!!これでヂャイヤン達を懲らしめてやるぞ!!」
「そうだとっちゃれ、とっちゃるんやーーー!!!」
そう言って俺は、ハッと我に返った。
まずい調子に乗ってしまった、そう思いのぴたを見る。
「へい、頭!!!とってきやす、わしとってきやすけん!!!!!」
奴はバカだった。



59 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:56:56.59 ID:Mpa3D+CA0
そう言うとのぴたは、トカレフ改めヘタヘタ鉄砲片手にダッシュで飛び出していった。
「ふう・・・」
奴はあれでヂャイヤンを撃つだろう。
光線ではなく金属の玉が出るとも知らず。
奴は捕まる。
「終わりだな・・・」
そう言うと俺は、自分の部屋の片付けを始めた。


60 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:58:22.05 ID:Mpa3D+CA0
荷物を四次元ポケットにつめはじめる。
愛読書の成り上がり、スターリンのLP、ガンダムのDVD・・・・・
いくつかの物をしまい終えると、不意に手の先に触れる物があった。
「これは・・・」
それは今朝隠したばかりのどら焼きだった。


63 VIP村人n New! 2006/11/27(月) 02:59:52.06 ID:Mpa3D+CA0
「しばらく会えなくなるな・・・」
そう言って俺は、どら焼きを口の中に放り込む。
噛み締めるたびに口の中に広がる甘味に、俺は打ち震えた。
そして俺は泣いた。
今までの人生を振り返り、泣いた。
「ドレミ、すまない・・・兄ちゃんは・・・・」
そこまで言って俺は言葉を飲み込んだ。
どら焼きと一緒に飲み込んだ。


64 VIP村人o New! 2006/11/27(月) 03:02:15.10 ID:Mpa3D+CA0
泣き言を言っていても始まらないんだ。
始まりはこれからなのだから。
俺は時空パトロールに追われるだろう。
なぜなら、犯罪に加担したのだから。
だが、後悔なんてしていないさ。これからは自由なんだから。
「俺は時空をさまようストレンジャー、俺を捕まえたけりゃ、捕まえてみな。
誰も俺を捕まえられはしないさ、何故なら俺は自由の羽を持った天使だから・・・」

おわり





66 VIP村人o New! 2006/11/27(月) 03:02:52.99 ID:Mpa3D+CA0
次回作にご期(ry

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最終更新:2006年11月27日 20:05