323 :VIP村人w:2006/11/25(土) 17:48:29.35 ID:uNpHopj80

「ほら〜開店一時間前だぞ〜!!」

担任の教師がクラスのみんなをはやし立てる。
でも大丈夫。食材の仕込み、内装、外装……後は着替えを残して、他の準備は完璧だ。


 そう、後は着替えを残して……


「絶対覗かないでねっ!!」
そう言ってクラスの女子たちが自習室の中へと消えていった。
アホか。正直おまえらの着替えなどにはまったく興味が無い。
俺が興味があるのはただ一人。

…興味があったのは…

…友だった。


324 :VIP村人w:2006/11/25(土) 17:52:20.08 ID:uNpHopj80
きっと友が女の子の格好をしたら……学年一かわいい子になる。確信がある。
あのサラサラの髪や大きな瞳、透き通るような肌は…どんな女子にも負けるもんじゃない。

楽しみだなぁ……

…と、そこまで考えて正気に戻った。…そして少し…ゾッとした。

なに…考えてんだ?俺……

おまえ、あいつは……友はいくらかわいいって言ったって男だぞ?
いくら性格がよくて笑顔がキュートで小っちゃくて肌が白くてモロ好みのタイプだからって男だぞ?
おまえ、男の女装姿に欲情するとか気持ち悪すぎるぞ。変態じゃねーか。

ホモじゃねーか。

……そう考えると少し冷めた。何考えてたんだ俺……

…なんであいつ、女に生まれてこなかったのかなぁ…
そんな考えが一瞬頭をよぎった。


326 :VIP村人w:2006/11/25(土) 17:54:57.30 ID:uNpHopj80
「ほらっ!何やってる男!!さっさと着替えろ!」
「あっ、はい」

そうだった忘れていた。俺自身もこの制服に着替えなきゃいけないんだ。
ドンキホーテで買ってきたとかいうコスプレ用の、テカテカしたエロティックなミニスカメイド服。
まったく…なんで俺がこんなもんを…

…そう思っていたが、着替え終わって鏡に映る自分を見たら、まんざらでもない気分になってしまった。
なるほどね…これがスカートか…ふ〜ん…スカスカしてて気持ち悪いけど…
…ちょっと楽しいかも…
ゲイバーで働く世の男どもの気持ちが、少しわかった瞬間だった。

あれ。
ところで、友はどこに行ったんだろう?

327 :VIP村人w:2006/11/25(土) 17:58:10.02 ID:uNpHopj80
「おーい友…あ」

カーテンの裏からひょっこりと覗いてる足が見える。
あの白さと細さは、友しかいない。

「なーにやってんだ友!男のくせにそんなとこでコソコソ着替えて…」

シャッッ!

「っ!!!」
「わっ、わあっ!見んなバカッ!!」

 ボカッ!

「……」
「……今終わるからちょっと待ってよ」

「………」


330 :VIP村人x:2006/11/25(土) 18:07:13.74 ID:uNpHopj80
 シャッッ

「よいしょっと」
カーテンの裏から、やっと着替えが終わった友が出てきた。

 こ…これは…

「はあ…スカートってスカスカして気持ち悪い…やだなあオレこんな格好して働くの…」
「……」

 かわいい…

「……?何?」
「えっ?あっ……い…いや別に…」
「あははははw 男のウェイトレス姿似合ってないなーっ」
「そ、そうか?」
「うん……ぷくくく」
「…で、でも、ゆ…友は…」
「ん?」
「友は…似合ってるよ、それ」
「……は?」


331 :VIP村人x:2006/11/25(土) 18:13:26.82 ID:uNpHopj80
「…き、気持ち悪いこと言うなよ…」
「え…?いや、ホントだって…」
「あーやだやだっ。オレ絶対接客やんないかんね!」


想像以上だった。
リボンを付けた友の顔や、ミニスカートから伸びる真っ白くきれいな足はとても男のものだとは思えない。
男だってのが信じられないくらい……
見事に変身した友に、クラスにいた男子たち全員が息を呑んだ。

 ぎゅっ…

「!?」
「……お、男?…な、なんか…みんなに見られてる気がするんだけど…」
「……」
すぐ眼前にある友の頭から、シャンプーのいい香りが漂ってくる。
た、頼むからそんなにくっつかないでくれ…

起き上がってこようとする自分の息子を、俺は前かがみになりながら必死に抑え込んだ。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2006年11月27日 20:06