334 :VIP村人x:2006/11/25(土) 18:20:06.51 ID:uNpHopj80
「きゃあああああ!!かわいいー!!!!スカート似合う〜!!」
「いや…そんな……」
「ちょっとこの足見てー!!超キレ〜!!」
「あ、あ…ちょっと…」
「どう見ても女の子にしか見えないよ〜!!ねぇ胸も付いてるんじゃないの〜!?」
「ひゃうっ!!や、やめて…」

着替え終わって自習室から戻ってきた、ウェイターというかホストみたいな格好をした女子たちに
案の定友はもみくちゃにされていた。

「……おい男っ」
「なんだよ」
「友、かわいいなw」
「あ?」


335 :VIP村人x:2006/11/25(土) 18:26:05.88 ID:uNpHopj80
「いや〜男にはまったく見えないよな〜。女子にしたって、相当レベル高いよあれは」
「は? ……いや…うん…まあ、そうだな」
「俺、友みたいな子なら別に男でもいいな〜」
「な、なに言ってんだおまえ!?」
「冗談だよ冗談w ていうか、友にはおまえがいるしな」
「……おいおまえふざけんなよ」
「冗談だってw …あ、そろそろ仕事行かなきゃな」
友2はそれだけ言うと、あわてたように俺の前から走り去っていった。

……そうか。やっぱり他の男から見ても友はかわいく見えるんだな。
だったら俺が友のあの格好に興奮したのも、別に変なことではないはずだ……多分。


だが、また少し、今度は別の不安にかられた。
俺の仕事はクラスの宣伝も兼ねて、外でクラスオリジナルのフロートを歩き売りすること。
友の仕事は教室でパフェなどを作ること。
つまり、友は俺の目が届かないところで仕事をするというわけだ。


336 :VIP村人x:2006/11/25(土) 18:27:51.24 ID:uNpHopj80
友の仕事はいくら接客にはまわらないからと言って、一応客の目には入る。
あのエロティックな格好をした友を見れば、男なら誰でもそそられるのは間違いない。
もしDQNな客に友が見つかったりしたら…

…さすがにそれはないか。
だいたい男女逆喫茶だ。客だって男の格好をしたやつが女、
女の格好をしたやつが男だってことぐらいはわかっているだろう。
公衆の面前で男を口説くようなやつは、多分いないはずだ。

…多分。

なに考えてんだ俺。心配しすぎなんだよ。バカらしい。
男が男の貞操の心配したってどうにもなんねーよな。

…何度も何度もそう考えたが、頭をよぎる嫌な妄想を振り払うことはできなかった。


「キーンコーンカーンコーン」

文化祭の開始を告げるベルが鳴る。
やばい。俺もさっさと仕事に行かなきゃ…


338 :VIP村人x:2006/11/25(土) 18:40:26.72 ID:uNpHopj80
「男っ」
友が出て行こうとする俺のことを呼び止めた。

…その顔は…もしかして…俺がいなくなることを不安がってる…?

「たくさん売ってこいよ!」
ように見えたのは、どうやら俺の勘違いだったようだ。

「お、おう。おまえもちゃんと仕事しろよ」
「まかせとけーw」

「……」
「友っ!!」
「ビクッ!! な、なに?」

「なんかあったら、すぐ俺のこと呼べよ」
「……?う、うん」
「じゃあな」


339 :VIP村人x:2006/11/25(土) 18:45:42.90 ID:uNpHopj80

「げぇ〜っなんだっあいつ」
「気持ち悪りいいw」

廊下ですれ違うやつらが俺のことを見てゲラゲラと笑っている。
そう、歩き売りの俺もしっかりと女装しているのだ。
今考えたら教室で働くやつらより、単体で行動する分こっちのほうが何倍も恥ずかしい仕事なのだ。気付かなかったぜ。
……だけど、今の俺にそんなことを気にしている余裕はまったく無かった。

……友、大丈夫だろうか。

おかしいのは自分でもわかってる。それでもどうしても心配なのだ。
さっきから嫌な妄想が頭の中から出て行ってくれない。

くそっ…こんな仕事さっさと済ませて、早く教室に帰んなきゃ…

だが出てくる前に女子共から、「歩き売り部隊は自分のノルマが終わるまで帰ってくるの禁止!!」
と、きつく念を押されていた。おいそれと教室に戻るわけにもいかない。

しかたがない…

「あーんそこのお兄さん!フロート!フロートいかがかしら。おいしいわよお」
俺は恥ずかしさもプライドもかなぐり捨てて、全身全霊でフロートを売った


341 :VIP村人x:2006/11/25(土) 18:52:42.47 ID:uNpHopj80
1時間もしないうちに俺は手持ちのフロートを全て売りさばいていた。まさに快挙とも言えるスピードだろう。
最後の一個が売れた瞬間、俺はダッシュで教室までの階段を駆け降りていた。

 ガラガラガラッッ

「おいっ!!フロート全部売り終わったぞ!!くそったれ!!」
「うっそー!もう全部売り終わったの〜!?」
ホストの格好をした女が、ネクタイを締め直しながら言った。
「おらコレ見ろっ!証拠だよっ!」
「……ホントだ…全部無くなってる…」
「そんなことより友っ!!友はどうした!?」
「え…友くん?今玄関まで食材取りに行ってもらってるけど」

「食材取りに…?あの格好でか?」
「うん。着替えてる暇なんかなかったし……でもそういえば遅いわね」
「おいおいアイツはパフェだとか作るのが担当だろ?そんなことさせてんじゃねーよ」
「だって人全然足りないんだもーん。……でもさぁ、凄かったんだよ友くんw」
「凄かったって、なにが?」
「もうお客さんにモテちゃってモテちゃって」

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最終更新:2006年11月27日 20:13