431 :VIP村人q:2006/11/28(火) 08:11:46.65 ID:lHgEg1QX0
おk。じゃ、第三部


432 :男:2006/11/28(火) 08:12:18.82 ID:lHgEg1QX0
文化祭が終わってから一ヶ月が過ぎた。


「おーい友~!!おーいおーい待って~っ!!!」
「わっ!! …なんだ男か…ビックリさせるなよ…」
「おはよう!!」
「……おはよう」
「いっしょに学校行こうぜ!! なっ!!」
「う…うん別にいいけど………なんか男、最近テンション異常に高いね」
「そうか?前からこんなもんだったろ」
「いや……前はもっとこう…ほら、クールっていうか」
「そんなことないって!!いや~友は今日もかわいいなー!!」

 だきっ

「うわっ!!!」


433 :男:2006/11/28(火) 08:13:01.92 ID:lHgEg1QX0
「は…離せってバカ!気持ち悪いだろ!!」
「なんで?いいじゃん友達だろ?」
「………」

友はこう言われることに弱い。友達というセリフを出すと、すぐに黙り込んでしまう。
だからこっちは触り放題だ。

「ああ~……いい匂い……」
眼前にある友の頭のつむじに、顔を埋ずめる。
サラサラの髪と、香水なんかを使ってるわけでもないはずなのに漂う自然な香りが心地いい。
なんでこいつ男のくせにこんないい匂いがするんだろう。

すーっ、と鼻で匂いを嗅ぐと、抱きしめた友の背筋がゾクゾクッ、となるのを俺は後ろで感じた。

「や、やめろってばもう!!」
「ん~……」
「ほら、早く行かなきゃ学校遅刻するだろ!!」


434 :男:2006/11/28(火) 08:15:07.69 ID:lHgEg1QX0
あの屋上でハッキリと自覚した、俺は友が好きだということ。
そう気付いてからの毎日は、とても新鮮で幸せだった。
好きな人と毎日いっしょにいられる……なんて素晴らしいことなんだろう。
たとえそれが、女じゃなかったとしても。

……こんな気持ちになったのはいつ以来だろうな。

今までだって何度も人(女ね)を好きになったことはあるし、付き合ったこともある。
だけど、いつも気持ちが冷めてしまう。
そしていつの間にか、女と付き合うこと自体がめんどうになっていた。

……だから、いっしょにいるだけで、
こんなにフワフワして、地面に足が付かないような感覚になるのは…初めてかもしれない。

いや、そういえば昔にも、一度だけこんな気持ちになったことがあった。
小学3年の時、担任の女教師を好きになった時。
あの時の感情に、今の気持ちは似ていた。

かなわない恋……そんな時に人は、こんな気持ちになるのかな、とか考えていた。


435 :友:2006/11/28(火) 08:19:20.66 ID:lHgEg1QX0

─────

最近、男が変だ。

いや、前からもたしかに少しおかしなところはあった。
でも、最近その勢いが増してきている。
気のせい……じゃ、ないと思う。

いつからだろう……
多分、学校祭が始まったあたりくらいから……?
性格も変わった気がするし、オレに急に抱きついてきたり。

……いったい何があったんだろう。

後ろでニコニコ笑いながら歩いている男の気持ちは、オレにはさっぱり分からなかった。


436 :友:2006/11/28(火) 08:20:29.18 ID:lHgEg1QX0
学校についてもオレ達一年生には、まだ四階まで上る作業が残ってる。
散々学校までの昇り坂を登ってきた後、さらにこの階段を上がらなきゃいけないというのは、
学校が始まって四ヶ月くらいたった今でもまったく慣れない。

でも、急がなきゃ遅刻する……

そう思っていたら、後ろから男が背中を押し上げながら走って上ってくれた。
おかげでオレは全然疲れずに、1-1の教室まで着くことが出来た。

「ありがとう……男」
「はぁ…はぁ… なになにw」

息を切らしながら笑う男の笑顔がおかしかった。


437 :友:2006/11/28(火) 08:21:08.53 ID:lHgEg1QX0

 ガラガラガラッ

「あ、おはよう。友くんに男くん」
「あ……お、おはよう、優さん」
「はよー」

優さんがクスッ、と笑った。

……よかった。今日も挨拶してもらえた。

そう思った後、自分のこの態度が顔に出ていないか、他の誰かにばれていないかが、急に気になった。
でも、辺りを見回しても、誰もこっちを疑わしげな目で見ている人はいなかった。
もちろん、後ろにいる男も。

「………」
「……ん、どうした?友」
「あ、いや……」

……男にだったら、話しても大丈夫だろうか……


438 :友:2006/11/28(火) 08:21:58.97 ID:lHgEg1QX0
優さんのことを好きになってしまったのは、ちょうど一ヶ月ほど前のことだ。
文化祭の最終日、パフェの材料をオレがまとめて床にこぼしてしまった時。
みんなは白い目をしてこっちを見てた。男はその時教室にいなかった。

クラスの全員に謝って、一人ででも全部片付けようと思った時だ。
優さんはたった一人、雑巾を持ってオレのことを手伝ってくれた。

「あ、ありがとう……」
そうやってオズオズとお礼を言ったオレに彼女は、背中をポン、と叩いて、
「元気出しなよ」

そう言ってくれた。

それ以来、毎日優さんのことを考えている。
学校で授業を受けていても、家に帰ってきて眠ろうとしても。
会話することはほとんどなかったけど、朝のたった一言の挨拶で、
胸がいっぱいになるほど幸せになれた。

……でも、その分胸が苦しかった。


439 :友:2006/11/28(火) 08:22:36.77 ID:lHgEg1QX0
優さんはかわいいし明るいし、勉強だったできる。
何より、誰にだって優しい。
そんな子にきっと彼氏がいないはずはないだろうと思う。
もしいなかったしても、オレには高値の花だってことも……

でも、きっぱり諦めてしまうことは、とてもできそうになかった。

胸が痛い。
この気持ちを、誰でもいいから聞いてほしい。
相談に乗ってもらいたい。


……だけど、オレは昔そうやって自分の気持ちを話したことで、
友達に裏切られたことがあった。

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最終更新:2006年11月28日 12:49