516 :友:2006/11/28(火) 12:27:25.22 ID:lHgEg1QX0
─────
何も見えなかった。
それでも階段を駆け下りた。
頭の中が混乱して、どうにかなってしまいそうだった。
「うっ…うっ…うっ……」
男に、嫌われたと思った。
そう思っていたら、今度は男に好きだと言われた。
そして、男にキスされた。
わけがわからなかった。
誰もいない廊下を走りぬけ、オレは薄暗い男子トイレへと駆け込んだ。
517 :友:2006/11/28(火) 12:30:05.89 ID:lHgEg1QX0
「ぐっ…うっ……グスッ…グスッ…」
いくらどんなに泣いても泣いても、涙はとどまることなく溢れ出てくる。
それでもなんとかオレは涙を止めようと思った。
「……ズズッ……」
「………」
前を見た。
目の前の鏡に映っていたのは、情けなく目の淵をパンパンに腫らした、女々しい「女」の顔だった。
「だって友くん、こんなにかわいいんだもん。ホント、女の子みたい」
「おまえみたいな気持ち悪いヤツ友達じゃねーよ」
「……うっ……」
……自分というものにここまで嫌気がさしたのは、生まれて初めてのことだった。
| 518 :VIP村人u:2006/11/28(火) 12:32:09.95 ID:lHgEg1QX0 |
| 第三部、告白編 終わり |
| もし需要があれば第四部も書こうと思う。長くなってごめん |
最終更新:2006年11月28日 12:43