550 :ワンダと俺と妹と(作引き出し) ◆49cq481bMY :2006/11/28(火) 15:08:20.69 ID:f8Dw6XGu0
今日は文化祭の日だ。妹のだが。その日を俺は待ちわびていた。
妹は色々準備があるらしく、朝早くに出て行った。

「お兄ちゃん今日楽しみにしててよね!」

妹はまだ寝ている俺にそう言って出て行った。妹と俺は3つ違いなのだが、
仲はいい方だと思う。妹は吹奏楽部に在籍しており、今日の高校の文化祭で演奏する予定なのだ。

問題は演目だ。

俺は常々思っていた。こういう文化祭という華やかな場でシューベルトや
バッハとか、アホかと。

もう俺の個人的趣味でしかないが、ゲームミュージックを演奏してほしかった。
やはり、ドラクエは外せない。ぜひ、「広野を行く」が聞きたい。1のフィールドの曲だ。
まあ、名曲中の名曲だろう。

俺は妹に頼み込んだ訳なのだが、意外と簡単に「いいよ。主将に頼んでみる」とのことだった。
結局、部内での話し合いの結果、「面白い試みじゃない?」ということでOKが出たとの事だった。

そうと決まれば目的は一つだ。俺はどうしても聞きたい一曲があった。それは「ワンダと巨像」という
ゲームで使われている「甦る力」という曲だ。ゲーム中、主人公ワンダの何十倍もあろうかという
巨像に立ち向かう時に使用されている名曲だ。俺に言わせればゲーム史に残る名曲だ。

これをぜひ生で聞きたかった俺は、とりあえず妹にサントラを聞かせた。


551 :ワンダと俺と妹と(作引き出し) ◆49cq481bMY :2006/11/28(火) 15:10:10.69 ID:f8Dw6XGu0
「何かいいね。練習しがいがあるよ」

「マジで頼むよ!俺どうしても生で聞きたいんだ!」

「お兄ちゃん必死すぎwwwwwww」

これが2ヶ月前の話だ。それから毎日遅くまで練習にあけくれていたのだろう。妹はいつも
疲れた顔で帰ってきては「お兄ちゃん焼きプリン買ってきてくれた?」と冗談を言っていた。
普通に買って来る俺も俺だが。

「お疲れさん練習うまくいってる?」

そういって俺は冷えた麦茶を妹に出した。
それを妹は一気に飲み干すと、

「ぷはー!!この一杯のために今日は頑張ったよ!!」

と笑顔で言った。

「夏美。ところで『甦る力』の仕上がり具合はどんな感じ?俺はもうそれだかけが心配で」

「正直まだまだだね。一体感が出てないっていうか。でも本番までにはキッチリしあげるから」

「うん。超楽しみ。いい妹を持ったよ・・・・・・・・」



553 :ワンダと俺と妹と(作引き出し) ◆49cq481bMY :2006/11/28(火) 15:11:16.18 ID:f8Dw6XGu0
それからというもの、風呂上りに妹の肩を揉むのが日課になってしまった。
俺がテレビを見ていると無言でおれの膝の間に座ってくる。

「はい。お兄ちゃん」

「え?」

「肩揉んで」

「はいはい」

しばらく揉んでいると寝てしまった。気持ちよさそうな顔をしている妹だった。妹よ、お疲れ様。
見たいテレビを見終わると妹をかかえて妹のベットに運んでやる。
途中母さんに「あらあら。いいお兄ちゃんねwwwww」とひやかされるのも日課だ。
ていうか、手伝えよ!!

そして、今日がその文化祭当日だ。たしか12時から演奏だと言っていた。
10時くらいに行って、時間まで色々見て回るか。

妹の高校に着くと正門の前に妹がいた。

「あ!早いじゃん。もっと遅いかと思ってた」

「ああ。何か色々見てまわろうかと思って」

「じゃあ、あたし、11時から準備があるからそれまで案内してあげるよ」

「おう。ありがと」

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最終更新:2006年11月28日 16:41