夢の通い路
PC:フリーダ
ホルムから北東の、見晴らしの良い丘の上。今日は快晴。吹き抜ける風が心地良い。
街の賑わいが僅かながらここまで聞こえてくる。いつも通り、活気に溢れている。
ここ、ホルムへ来てから、もうどれくらいになるだろう? ま、どれくらいでもいいんだけれど。
仕事が全く無い訳じゃない。けれど、今はこうしてボンヤリしていたい。
草原へ身を投げ出して、暖かい日差しの中で、空を流れる雲を眺めてながら。
私自身を忘れて。私の関わるものを忘れて。考えることを忘れて。
まあ、そんなことをしていると、結果は言わずもがな。
「(……つい寝てしまった)」
こうなってしまう訳で。
寝不足だった訳でもないんだけど、我ながらよく寝るもんだとつくづく思う。
その気になれば、半日だって寝ていられそうだ。
「(良い夢を見れたんだけど……憶えてない)」
衣服に付いた雑多なものを払って、立ち上がって身体をよく伸ばす。
「(……ひばり亭に行ってみようか。世間話の相手ぐらい居ればいいけど)」
私はホルムへ向かって歩き出す。
広場を抜けて、いつものように、いつもの場所で。
「こんにちは。何か面白そうなこと、ありませんか?」
見損ねた夢の続きを見に行くとしよう。
タイトル未定
PC:コロナ
長い赤髪を掻き揚げ、そのまま頭へと撫で付ける
先ほどの騒動でついた埃の感触や香りが残っているようで忌々しい。
大きな魔女帽子を被る事で誤摩化している─魔法道具店経営者コロナの─その姿は冒険者の店だとしても酷く浮いていた。
「どうしたもんかね、アレ」
すこし物憂げに自分の店の店内の惨事を思い出し、外に目をやっていると
通りをてふてふと歩いて来る見知った顔を見つける。
にまりと口元を嬉しそうに笑わせると、すかさず店内で一番目につきそうな机に移り
手を上げて紅茶とケーキをオーダーをすませた。
「やぁフリーダ、奇遇だね」
「お茶をしようとしててケーキの注文に迷っててさ、何種類か頼んじゃったんだけど
良かったら一緒にケーキでもどう?」
カチャリとドアが開く音に多少わざとらしく顔を上げ、相手と目を合わせて笑ってみせる。
机の上には美味しそうなベリータルトにチョコレートケーキ、フルーツ入りチーズケーキ等が
ちょっとしたパーティーさながらに赤、橙、茶と彩りよろしく置かれ
注文したてのように湯気の上る丸いティポットからは紅茶の香しい香りが立ち上り手招きをしていた。
最終更新:2014年10月29日 01:36