7・数学的に見る太鼓の達人

プレイヤーの目指すもの

  • 太鼓の達人をプレイして何を目指すかは、初心者、中級者、上級者で異なってくるだろう。またはその区分の中でも目指すものは違ってくるはずである。
  • ここでは議論を簡単にするために、全良を目指すプレイヤーを対象にする。
  • さらに議論を簡単にするためにモデル曲として中盤に難所を持つ「Ignis danse」を用いる。

全良とは

  • Ignis danseを全良するとしよう。これは1曲を通して全てのノーツを良で叩ききることを指す。しかし大概のプレイヤーは1曲を複数のセクションに分けるだろう。大まかに言えば序盤-中盤の低速地帯-終盤という風に。さらにその中でもセクション分けが行われるかもしれない。
  • 要するにこのセクション3つあるいはそれ以上を全て全良で通して全良は達成される。
  • 1曲を1つのセクションとして捉えれば段位道場みたいになる。段位道場全良は普通の曲の全良の更に延長上にあると言える。

確率と通過論

  • さて、ここで全良できる可能性を確率という概念を用いて数値化してみよう。確率の最大値を1とする。この1は100%と同義である。
  • 全良を目指すためには確率を1に近づけることにある。しかし限りなく1に近づいても1になることはない。(どこかしら不確実さが含まれてしまうため。)
  • 先ほどのIgnis danseの3つのセクションを用いて考えてみる。それぞれのセクションを全良で通すことを通過と定義する。通過できる確率をそれぞれ計算し、全て掛け合わせた確率が現時点での全良できる可能性となる。
  • もちろん3つのセクションでも複雑な計算が行われるであろう。例えば局所的に苦手な箇所があり、その場所の全良率が30%を切る場合、その地帯が含まれるセクションの通過率は下がり、全体の全良率に影響を及ぼす。
  • この極端に全良率が低い場所が局所的に含まれる譜面はいわゆる”局所難譜面”と呼ばれる。

実力的要因とメンタル的要因

  • では単純にこの3つの区間の通過率を上げていけば全良率が上がるかと言えばそうではない。ここで関わってくるのがメンタル的要因である。
  • 3つの区間の通過率自体は自分なりの運手を編み出したり、練習を重ねたりすることで上げることができる。これは実力的要因によるものである。
  • しかしここで絡まってくるのがメンタル的要因。例えばIgnis danseの低速を抜けて全良だった場合、ラスゴーで緊張しないだろうか?普段は毎回全良してるラスゴーで散るという例がないだろうか。これはメンタル的要因が必然的にこのラスゴー区間の通過率を下げた結果可が出たと言えよう。
  • このメンタル的要因は普通は曲の終盤に向かうにつれ、叩いてるセクションの通過率を下げる効果がある。これはメンタルが弱い人、言い換えれば緊張に弱い、決定力のない人ほど強い傾向として現れる。
  • また、普段通らない難所を全良で通過した場合にもこのメンタル的要因は強く働きやすい。
  • 全良中に叩き間違えてしまうという普段ではあり得ないこともメンタル的要因の仕業と説明がつく。

全良を目指すには

  • 安定感という言葉がある。これは任意の曲に対する全良率(これはプレイ回数に対して実際に全良した回数)、または可の少なさに対して用いられるが、この安定感は実力的要因とメンタル的要因の2つを鍛えてからこそ得られるものである。
  • 全良できる可能性の方の全良率を1に近づけることが全良を掴み取るためのプロセスであることは既に述べた通り。ではそれに対してどのようにアプローチすればいいのかを以下に記す。

実力的要因の鍛え方

  • まず実力的要因を根幹から支えるものに「地力」がある。この地力を鍛えるためには様々なことを行わなければならない。細かいことについては次の講座にて。
  • 地力が上がることと実力が上がることには非常に屈強な相関関係が見られる。しかし実際のプレイではこれにメンタル的要因が重なるので、実際の実力=実力×メンタルの強さで表される。普段のプレイではいい腕前なのにフォーマルやインフォーマルな大会で実力が発揮できないのはメンタルの強さが足りないと考えられる。このメンタル的要因を含めたものを「地力」と定義する場合もある。

メンタル的要因の鍛え方

  • これはなかなか難しい。しかし鍛えてしまえば無敵になれる、重要なポイントである。
  • 集中力を持続させることを意識する。集中力とメンタル的要因は相反して対立するものである。全良中のプレイヤーを脅かす緊張感に打ち勝てるのは極限まで高められた集中力、または揺るぎない自信である。
  • 一度カメラ機能を用いて自分のプレイを撮影して緊張感が実際に出た箇所をチェックするといい。叩き方がぎこちなくなったり身体にブレが出ていないだろうか?緊張感が出てきた際にどのように修正するかもメンタル的要因の鍛え方といえる。
  • 全良のイメージを頭に思い描くこと。ゴールが定まれば自ずと集中力は高まり、そこへ向かう気骨が発生するはずである。これを俗にイメトレと言うが侮ってはならない。まさしくメンタル的要因の鍛え方の最も素晴らしいやり方であるからである。
最終更新:2017年03月11日 13:34