「生徒会SS」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

生徒会SS - (2010/10/02 (土) 12:09:01) の編集履歴(バックアップ)


青空の会SS


合計点<-->


タイトル<点数/コメント>







裏・探偵権限(プラススリー)<--/>


探偵権限
1:探偵のいる場所では事件が起きなければならない

2:その事件は出来る限り不可解なものでなければならない

3:探偵は状況保全のため、現場の封鎖の権利を与えられる

4:探偵は事情を聴取する権利、義務を持つ

5:探偵は現場を捜査する権利、義務を持つ

6:探偵に発見できない証拠は無い

7:探偵は犯人であってはいけない

8:探偵は調査を邪魔されない

9:探偵が主観を偽ることは出来ない

10:探偵は事件の解明を当事者たちの前でしなければならない


探偵権限はこれ10の条で成る。
そのどれもが探偵が華やかに事件を解決するために必要であり、完全な善・正義の存在としての探偵の印象付けに必要である。

しかし、探偵権限には隠された3つの条がある。
そのどれもが傲慢で無慈悲で無責任な探偵の負の部分を表したものである。
私はここにそれを記そうと思う。
必死の思いで、ようやく探偵になれた私が完膚なきまでに叩きのめされた3つの条。
これを記すことで私はそれらの条の虜にならないよう、人々を守る存在になれるよう、自分を厳しく律したい。
安易に事件を解決しないために。虚実を真実にしないために。

裏・探偵権限(プラススリー)

-1:探偵はその事件の証拠、証言に合致し論理的に矛盾しなければ犯人でないものを犯人にできる。否、それはもはや真実である。

-2:探偵は最初の事件の発生を嗅ぎつけても阻止してはいけない。人が死のうと悲しもうと最初の事件が起きなければ連続殺人は有り得ない。探偵自ら活躍の場を失うようなことは禁ずる。

-3:探偵は犯人の動機を誰にも憚ることなく暴露できる。事件を犯すような犯人に慈悲の心は必要なく、どんな痛ましい悲惨な哀れな過去による動機であろうと暴露し、犯人の人格、精神、羞恥心、良心、葛藤、悩み、逡巡、嘆き、不幸をも踏みにじり嘲笑うべきである。


プロローグSS<--/>


「高橋さんがいらっしゃいました――」



白鷺信吾は荒い息を吐きながら、人生で最大の恐怖と焦燥を味わっていた。
いくら大きく呼吸をしても全く楽にならない。
彼の呼吸の乱れはそのまま精神の乱れを表していた。
「う、あ、ううううう……」
独り言を口にして気分を紛らわそうとしても、出てくるのは震えた唸りだけだった。
禅僧。
禅僧。禅僧。禅僧。
話だけは聞いたことがあった。彼自身はまだ存在すらなかった頃の昔、1960年代に起きたという学生闘争。
その抗争を体験した父が一度だけ「それ」について語っていた。
否。
語ったというほど多くの言葉は出て来なかった。
父たち学生が直面した、禅僧という禁忌の存在。
「――絶対に関わるな」
今にしてみればわかる。
父の口が重かった、その理由が理解できる。
その事件から30年以上が経過した今でもなお、思い出すことすらはばかられる存在。
「…………禅僧」
思索の淵から信吾は我に返った。
ともすれば逃避しそうになる思考を捕まえ、現実へと引き戻す。

禅僧が校内に侵入したという現実へと。

一目見た瞬間に理解した――言葉ではなく心で理解できた。
あれは、触れてはならないものだ。
頭の中が真っ白になっていた。次に気がついたとき、信吾は放送室への道を全速力で疾走しているところだった。
放送部員である彼は、希望崎学園内での報道員として、生徒会や番長グループと言った勢力には所属していない中立の立場にある。
「有事の際は、教師もしくは生徒会員が緊急の放送を流す」という手順が彼の頭の中には叩きこまれていた。
本来ならば自分の役目ではない、その放送を彼は単独でこなした。

しかし――
(本当に、こんな放送なんかに意味があるのか?)
思わずにはいられない。
希望崎学園は、学園自治法という名目の治外法権の地であり、それゆえに大っぴらに外部からの干渉を受けることになれていない。
また、生徒の中のかなりの割合が魔人という性質上、不審者が侵入することなどこれまでにはなかったことだ。
好きこのんで虎口に飛び込むようなのはそれこそ転校生くらいしか――
(いや、考えてる場合じゃない)
放送を終えた生徒も速やかに避難を開始しなければならない。
避難訓練の際、放送機器の準備を行うのは彼の仕事だったから、段取りは頭に入っている。
(…………ん?)
そこで気がついた。
今日は避難訓練の日だ。
それならば校内の生徒は皆、信吾が行った放送が「現実に侵入者がいる」という警告だと思っているはずがない。
(どうする)
これは訓練でないという、追加の放送を入れるべきか。しかしそれでは侵入者の方にも意図が伝わってしまう可能性がある。
自らの分を超えた判断を前にして信吾は悩む。が、答えは出ない。
それならば仕方がない、先生か誰かに判断を仰いで――と、そこまで考えたとき、信吾の脳裏に疑問が湧いた。

――なぜ、放送室に誰も来ない?

もうすでに避難訓練開始の時間は来ている。担当の教師が来てもおかしくない。
あるいは、今の放送を聞いて、本来教師の役目であるはずの放送を信吾が行ったことを、教師か生徒会の誰かが不審に思ってもいいはずだ。

――それなのに、どうして誰も来ない?

――どうして校舎内がまるで嵐の前のように静まりかえっている?
                 ・・・・・・・・・・・・・・・
――そして、放送室の機器パネルに、ハルマゲドンの時にしか降りない非常用隔壁の稼働ランプがついているのはどうしてだ――!?

ぽん。
肩に感触を感じて汗が噴き出る。
手を肩に置かれているというのに微塵も気配を感じない――信吾が振りかえると、





そこには、


リアルドキュメンタリー:禅僧<--/>


このおぞましき状況を産み出してしまったのは、もしかして私達マスメディアなのかもしれない――。

 おぞましき状況。そう、それは今、まさに禅僧という悪魔がこの学園を狙い舞い降りたことである。
 もとより禅僧は今ほどにおぞましき存在ではなかった。
 太古の昔より、彼らは言語を絶した超論理(ロゴス)的存在として君臨してきた。
 しかし、彼らは奥深い山林の中で慎ましく暮らす修行者に過ぎなかったはずだ。

 それが、いつの頃だろうか。
 彼ら禅僧が世界を悟りに導くべく活動を開始したのは――。
 それはマスコミによる禅僧報道が過熱した20世紀半ばからであったと思う。
 マスコミが面白おかしく禅僧の奇特な修行風景―公案―などを報道するうちに、世間では
禅僧を超人的怪物と見る動きが加速した。江戸時代の頃はまだ蒟蒻問答程度に収まって
いた禅僧たちが、徐々におぞましき変貌を遂げていった様子は多くのビデオテープに
残されている。

 私は一度「報道イデア界」に救いを求めた。
 おぞましき禅僧の群れから身を守る術を報道の幻想に求めたのだ。
 だが、そこにあったのは、この現実よりもおぞましき世界――
 禅僧により、世界の全てが悟りに包まれ、滅亡し去った世界だったのだ。
 実に、報道は人々の中の「禅僧」をこれほどの怪物に育て上げていた。
 もしかすると、報道イデア界がもたらす影響が、徐々に人々の――禅僧たちの存在を
捻じ曲げていったのかもしれない。禅僧を怪物へと育て上げたのは、私達マスメディア
かもしれないとは、そういうことだ。

 今や、全人類の12%が禅僧と化し、禅僧アウトブレイクは留まるところを知らない。
 アメリカではワシントンが陥落し、中国では天安門広場が禅僧で埋め尽くされた。
 禅僧を発見次第射殺しようとしたサウジアラビア軍は次々と禅僧に感染し、既に
イスラム教国の面影はない。辛うじて禅僧の侵攻を食い止めているのは、焦土作戦を
敢行し、冬将軍に守られたロシアだけである。

 そして、我が日本の――、我が学園でも――。
 禅僧に命を付け狙われた不運な少女、山乃端一人はこの学園に逃げ込んだ後、自ら命を絶ち、学園に禅僧を呼び寄せてしまった。
 生徒会と番長グループの対決も禅僧の感染を助長する結果に終わるだろう。

 私、報道部部長、林水素は愚かな闘争から離れ、いま一人報道部部室に篭って、この
手記を書いている。これが誰かの目に止まる際には、私はおそらくこの世にいないだろう。
――少なくとも、「人」としていることはないであろう。
 私に残された時間はあまりに少ない。今は少しでも多くの禅僧に関する情報を後世に
伝えることが私の報道部としての使命である。なに、いざとなれば、私は報道イデア界に
逃げればいいのだ。向こうもおぞましき世界ではあるが、当面の時間稼ぎにはなる。

 ん……。なんだ……?

 ドアが音をたてている。何かつるつるした頭のものが体をぶつけているかのような音を。
ドアを押し破ったところでわたしを見つけられはしない。いや、そんな! あの手は何だ!
 窓に! 窓に!

前哨戦~駒沢争奪戦~<--/>


「フフフ、駒沢君……。貴方を探してたのよ」

 ボンバービッチは空虚な教室で独り言のように呟いた。

「フフッ……、姿が見えなくてもここにいることは分かってる……。いえね、別に戦いの前に貴方を倒そうとか、そういうわけじゃあないの。私は貴方に興味があるだけ。そう、あなたとの『透明プレイ』に、ね……。だから、貴方を迎えに来たの……。あの、ビッチの神様、――クトゥルフ神と触手プレイをしたとさえ言われる鏡子さえも成し得なかった『透明プレイ』。映画『ポルターガイスト』などでお馴染みの、透明存在に犯されるあのプレイ。そう、透明プレイを極めれば私はまた一段上のビッチになれる」

 だが、駒沢は姿を見せない。返事もない。

「フフフ、私たちは敵同士ですもの。いきなり言われても困るでしょうね。いいわ、
私のビッチを見れば、あなたも黙ってはいられないはず。たとえロボといえ性欲は普通に、
いえ――、人並み以上にあるでしょう。私のビッチであなたを誘惑してみせる」

 そう言うと、ボンバービッチは無人の教室の中でおもむろに股間を弄り始めた。
 だが――、

「お待ちなさい! ボンバービッチ!」
「来たわね! みらくる☆エクスタシー!」

 そう、魔法痴女みらくる☆エクスタシーが仲間のピンチを察して駆けつけてきたのだ!
 そして――、

「駒沢君をあなたたち悪の手に渡してたまるものですか!」

 みらくる☆エクスタシーは股をおっぴろげて座り込むと、ギンギンに反り返った
やりまるで己の股間を慰め始めたのである。

「あなたなんかに駒沢君を誘惑させたりしない! 私の痴女プレイで駒沢君の目を覚まさせる!」
「ウフフ、乳臭い高校生痴女が私のビッチに勝てるかしら?」
「私は負けない……! 女子高生痴女の力を見せてやる!」

 そうして、ビッチと痴女は駒沢を巡り、互いに向きあってドロドロでグチョグチョの
自慰戦争を始めたが、いかんせんビッチと痴女である。
 相手の自慰を「やるな!」「やるわね!」などと思いながら見続け、己も数分自慰を
続けているうちに、そのうち二人ともムラムラとしたものがこみ上げてきて、瞳もとろり
と濁ってきて、挙句の果て、どちらともなくお互いに近づくと、不意に互いの股間を貪り
始めたのである。

「ボ、ボンバービッチ、アッー!」
「み、みらくる☆エクスタシー、アッー!」

 駒沢の前に自分たちが誘惑されていれば世話はないが、ともかく今は目の前のレズプレイに勤しみ、まぐわい続けるばかりである。


 ***

 一方、その頃、駒沢は駅前の中華料理屋にいた。

「オッチャン、タンメン、旨イメカー」