子供が特定疾患となったブログ筆者の場合を例にご紹介する。
(1)診断
つらい検査もきちんと納得させるべく説得して、受けさせる。
(2)治療や処置
中心静脈カテーテルの挿入などの処置は見ているのはつらいが、術者がすこしでもやりやすいように、横にいて子供を励ます。
子供をできるだけリラックスさせることは、術者への支援となる。
(3)臨床的決断
治療の選択など親として大きな決断を迫られる場合、単に自分の医学的知識だけではとても決断できないときがある。
そんなとき、自分が尊敬し、信頼する医師に相談するが、Eメールは便利である。
食事療法や生活面においては、同じ病気の子供をもつ親の会などに相談すると、具体的かつ親身なアドバイスや励ましを受けることができ、疾患に立ち向かう勇気がもて、前向きな気持ちになれる。
医師だからと自分一人で抱え込まないことが重要であり、このような支援体制は何よりたいせつである。
(4)自分の職場
自分の受け持ちの患者さんも重症であるような場合、簡単には職場を休めないことも多い。
その場合、子供の入院先が勤務先でなければ、子供の病室から勤務先に通うことにもなる。
個室にしてもらうなど、自分自身もなるべく休息がとれるようにする。
(5)子供の心理的問題:加療が長期間にわたると、子供の精神状態への対応はとても重要だ。
ブログ筆者の子供は絶食が必要となり、食べたがって泣いたときはつらかった。
そんなとき、親として、子供といっしょに病気に立ち向かうという姿勢を示すことが重要である。
ブログ筆者は、子供といっしょにジグソーパズルを続けて乗り切った。
日常診療でも、カテーテルの挿入などにより動きが制限された患者さんや、個室に隔離された患者さん(趣味がない人)にストレス解消のための方策としてお勧めしている。
ブログ筆者の子供もジグソーパズルの大作が三つ完成するころやっと退院できた。
子供の病気はつらかったが、情報収集や文献検索、メーリングリストで受けた全国有数の医師たちや海外の医師たちからの支援を思うと自分自身が医師でよかったと心から思えた。
最新医学の恩恵は十分に受けたので、患者さんにも同様にしてさしあげたいと思うとともに、良質の医療を提供するには、疾患についての最新の情報を十分に集めることが重要であると思った。
また、EBMや臨床的判断、臨床倫理などの基本的臨床能力の重要性を身をもって再確認することができた。
高橋ナツコ
最終更新:2016年05月13日 10:41