結婚に必要な形式的、実質的条件には、以上のほかにもう一つ、これは法文には明らかにされていませんが、男女の合意ということが挙げられます。

つまり、婚姻が有効に成立するためには、当事者間にほんとうに結婚する意志がなければならない、というのであって、もっとも大切な事がらといってもよいでしょう。

それにもかかわらず、なぜ法文として明記されていないのでしょうか。

思うに男女の間柄、その成りそめというようなものには、微妙な点が少なくないからなのではないでしょうか。

しかし、もっとも重要であるということについては、詐欺、あるいは脅迫による結婚は取り消され(民法第七四七条)、全然意志を欠いた場合の結婚は無効とされ(同七四二条)、また、届け出るという形式的条件にしたがわないものも、真に結婚するという意志の実質的条件を欠くものということになります。

高橋ナツコ
最終更新:2017年07月14日 12:46