60億を超えた人の命は、一つの爆弾で10億になった。
たった一つの爆弾は、喜びは怒りに、笑いは悲鳴に変えた。
それから200年。
失われた文明は、中世後期へ退化し、民主を唄った国々は王国を樹立した。
そして、それら王国を統べる中央行政機関を人々は《セントラル》と呼んだ。
これは《セントラル》が派遣する二人の配達人と、彼らに関わっていく人間達の紆余曲折な物語である。
野は茜に染まり、空には星々が一つ二つと輝きを放つ。
大地を斬り裂く一本道の先に見えるのは、山でも街並みでも人影でもなく
朧に消えてしまいそうな、否、これから輝きを増す月だけ。
茜から優しい闇に包まれ月明かりに照らされた名も無き一本道はまさに黒海を渡る白龍の様。
その白龍の背に二人の人影が映える。
「この一本道。どこまで通じているのやら・・・。道を変えようにも分かれ道すら見当たらないとは、
今夜の宿は期待できませんよ。」
二人の中、背が高く