matome5

449. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 18:33:09.54 ID:kJuU5sAO
第三章は「神都炎上」の予定でしたが変更しました。

―――――――――

●第三章「初めての始まり」


できすぎていた。
タンタル軍の侵攻と呼応するかのようにアボガドロ帝国領海に侵攻してきたカリホルニウム軍。
この侵攻によりプルト市に駐留していた後軍は
海上防衛に割かれることとなり
嵐もあいまってハロゲン市は事実上孤立無援と化したのだ。

そして、タンタル領へ向け南侵していた皇弟ニッケル軍は壊滅、南征軍大将のニッケルは戦死。
死体はベンゼンの皇宮前広場に曝されていた…と。
偶然…?偶然だと言うのか?
いや…明らかに我々兄弟を抹[ピーーー]るための布石だ。
思えば最初から何かがおかしかった…

もしかしたら自分もそうなっていたかもしれない。
アルゴンは、得体の知れぬ実体のない力に怒りと畏れを感じた。
450. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 18:54:52.36 ID:kJuU5sAO
アルゴンはもともとはあまり人を疑うことは好きではない。
だが、国家の皇族となれば
権力の中枢の魑魅魍魎に身を晒し
その悪しき人間の業とも言うべき現実を目の当たりにしなければならず
上に立つものとして懐疑心は我が身を守るためには必要なものとして自覚はしていた、が
やはりどこか自分の性には合わない気がしていたのだった。

今回の一連の事柄は明らかに我が身に矛先が向いている。
この身分である以上幾度か命は狙われてきたが
取るにたらないものだった。
しかし今回は違う。
命を狙う者は自分の身近な所に存在し策略を張り巡らし、現に弟は戦死…いや殺されたとみていい。

アルゴンの懐疑心は絶頂に達していた。

しかし、自分が懐疑心の下に動かずただ殺されるのを待つのも嫌だった。
ならば、こっちから仕掛け、その陰険な手段を使っているやつを見つけてやる。
…そう考えた。


そして思い出していた…。
死んだ弟のことを…。
451. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 19:14:00.56 ID:kJuU5sAO
―――――――

1ヶ月前…

―アボガドロ帝国 ベンゼン


「アルゴン皇子がご帰還なされたぞぉー!早く道を開けろ!!」

ワァー!ワァー!

誰もが羨むような勇壮な騎馬隊の先頭にアルゴンはいた。

アルゴン(半年振りのベンゼン…か)

ベンゼンに入城したアルゴン一行の騎馬隊は
城民が並ぶ長い街路を抜け
ベンゼン主城の巨大な門を抜け
宮門前で停止した。

アルゴン「皆長い行軍ごくろうだった。家に帰ってゆっくり身体を休めてくれ」

「ハッ」


アルゴン「さて…」
452. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 19:37:16.95 ID:kJuU5sAO
父上にことの報告をしなくては…
…とても気が重かった。

ガシャッ

白馬から降りて
出迎えの臣下のただ並べたような麗句を受け流し
宮城入ろうとした

すると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた

クロム「皇子」

アルゴン「クロム…半年振りか」

クロム「皇子、キュリ市*の視察はいかがでしたか?」

アルゴン「皮肉か?特に何もなかったさ、ただ一日中何もすることなく郡護太守の接待につき合ってただけだ」

クロム「…そうですか…」

アルゴン「父上から遠ざけられてるのは嫌でもわかるよ」

アルゴンは不満そうな笑みを浮かべた。
確かに、最近皇帝の嫡子という身分にも関わらず
郡市の視察や前線への補給など
ベンゼンの外での雑務が多い。
453. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 21:44:32.95 ID:kJuU5sAO
このようなことになったのは八年前
アルゴンとニッケルの生母
エステル皇妃が避暑地で何者かに殺害されたことに始まる。
正室の皇妃が亡くなったことにより一年後、喪があけた次の日に皇帝クレゾール・コバルトは
新たな正室を迎え入れた。
と、言ってもその新しい皇妃とは前皇妃在世にも度々親密な関係を持っており
臣の間では、新しい皇妃との正式な婚姻のために前皇妃を謀殺したとか
前皇妃を妬んだ新皇妃が暗殺しただの囁かれてはいたが
噂でしかなく、とても公に語れるものではない。
無論、前皇妃が何者かに殺されたなど公表できるはずもなく
民衆向けには突然の病死ということにしていた。

そして一年後…
新しい皇妃との間に男子が生まれる。名をアルキルとした。
皇帝はアルキルを寵愛し
前妻との子供のことなど無関心であった。
そして、やがてアルゴンとニッケルを遠ざけ始めた…。
邪魔だと言わんばかりに
454. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 21:56:14.62 ID:kJuU5sAO
クロム「ふつつかなことを聞いて申し訳ありません……わ、私にできることがあればなんなりと言ってください」

アルゴン「気にしないでいいよ、クロム」

クロム「………はい」

アルゴンの不満そうな笑みが消えたのでクロムは一応の安心を得た。
あの顔で行けばまたなにやらいざこざが起こると思ったからだ。
しかし、あまり意味のない心配ではあった。

するとまた後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

オゾン「おっ、アルゴン皇子、ご無沙汰だねぇ」

アルゴン「…!オゾンか。久しぶりだな、城に何か用か?」

オゾン「な〜に言ってんだよ、今日君がベンゼンに着くって聞いたからわさわざこうして出迎えに来たんじゃないか」
455. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 22:28:33.42 ID:kJuU5sAO
オゾンとは所謂竹馬の友だ。
小さい頃からアルゴンの遊び相手兼勉強仲間だった。
度々、弟と三人で城の外に出ては狩りをしたり
馬に乗って駆け回ったり
権力を盾に街でいたずらをしていた。
勉学ではオゾンの方が若干上で
剣術や軍学ではアルゴンが上であった。
現在はその才能を買われ若くして
アルゴンの直臣兼内政官として活躍している。


アルゴン「そうか、てっきり出迎えなんかには来ないと思っていたが」

オゾン「おいおい、僕はそんなに薄情じゃないよっ」

クロム「あの…さっきから聞いてたら……えっと…」

オゾン「あ、オゾンだよ、よろしくねお嬢ちゃん。確かアルゴンの魔法使人だっけ?」

クロム「アルゴン皇子の魔法使人クロムです。あ…オゾンさん、皇子にタメ口で話してますけど」

アルゴン「いいんだ、こいつは。許してある」

クロム「そ、そうですか…」

オゾン「まさかアルゴンにこんな趣味があったなんて…ww」

アルゴン「おいっ!ちがっ…違うぞ!」
456. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 22:41:47.92 ID:kJuU5sAO
オゾン「照れなくていいよっwwけどこんな少女を側に置いておくなんて抜け目ないなぁ〜ww皇子様は」

アルゴン「おいっ!違うけど周りに言うなよ!変な誤解もたれたら困るだろ!」

オゾン「へっへ〜どうしよっかな〜」

クロム「………」

皇子のさっきまで疲れていた顔が…。
やっぱり友といる方が皇子は楽しいのでしょうか…。
何だろう…変な気持ち。


アルゴン「ふぅ…。とにかく今から父上に視察の報告をしてこなくてはならないんだ。オゾンまた後でこの件について話し合おう、クロムはここで待っててくれ、用を頼みたい」

クロム「はい」

オゾン「人の趣味に突っ込む気はないから安心しなよ」

アルゴン「…………」
457. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 09:54:51.32 ID:o4ufmIAO
―――――

ツカツカツカ…

「お帰りなさいませ、皇子」

アルゴン「あぁ」

「皇子、陛下がお待ちです」

アルゴン「わかってる」

やはり何か気が重い。
父子であるはずなのに会うのが億劫だ…。
まだ、城の外で周遊していたほうがよかったとも思えてきた。

と、玉座の間に続くホールを歩きながら考えていると
階下のカーテンから呼び止める声がした

ニッケル「兄上!ご帰還なされたのですか?」

アルゴン「あぁ。ニッケル、お前も戻ってたのか」

ニッケル「はい。昨日、賊の討伐から戻りました」

アルゴン「そうか、ご苦労だったな」

ニッケル「兄上こそお疲れでしょう、どうかゆっくり体を休めてください」

いつもと変わらない弟。
兄思いのいい弟である。ニッケルもアルキルが生まれてから
肩身の狭い思いをしていた。
だがアルゴンよりかは近くに置かれていたのは
皇帝がニッケルにまだ愛着があるからだろう。
ただいつもと変わっている所があるとすると…

アルゴン「……ニッケル、どうして昨日戻ったのに甲冑をきて城内にいるんだ」
458. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 11:23:35.22 ID:o4ufmIAO
ニッケル「あ…えっと…これはね…」

アルゴン「また賊の討伐を命じられたのか」

ニッケル「…うん、まぁそんな所だよ」

アルゴン「……ニッケル……いやなんでもない」

ニッケル「?」

アルゴン「また…後でな」

ニッケル「わかった」


アルゴン「………」


ニッケルが普段見せないような曇った顔している時は
何かを隠している時だ
兄としてそうとは知っていても
何故かそのときだけは
聞けないような気がした


近侍「アルゴン皇子、王がお待ちです」

アルゴン「お待ち…?」

近侍「はい」

待っている?除け者にしている私を…
そんなことあるはずは…あの父が…

父に対する絶望に似た憎悪の中に少しばかりの期待が湧いたが
自らの無意識が掻き消した
459. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 19:01:12.67 ID:o4ufmIAO
そして
玉座の間に入る華美な鉄の扉を開けた。

ギギッ

ツカツカツカ

サッ

アルゴン「アルゴン、ただいま帰還いたしました」

両手を組む帝への礼の姿勢を取り
帝の返答を待った

コバルト「面を上げよ、アルゴン」


顔を上げ、玉座を仰ぎ見る。
宝飾に飾られた椅子に座る者の表情をまずは見た

帝という立場が作り上げた眉間の皺が少しだけやわらんでいる気がした。

アルゴンは期待した。
460. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 19:30:24.77 ID:o4ufmIAO
コバルト「大義であった」

アルゴンは少し心が震えた
労りの言葉をかけて貰ったのは何年振りだろう
ついに…父が

アルゴン「あ、有り難き御言葉…」

コバルト「*キュリ市の様子はどうであった」

*ベンゼンより東方に位置する郡都

アルゴン「はっ……我らが帝国の威勢と*治により民は歓喜し、皆帝の威光を称え歌い踊っております」

*政治

父を喜ばそうと誇大した。
実際は重税と兵役などにより
民は餓え、一部の地方郡官はまるで自分の世界の欲を満たすかのように
毎夜、酒宴を開き酒池肉林を実行していた。

アルゴンが視察に来ると手のひらを返したように平服し、
誠実な地方官を装っていたが
アルゴンは事前に現状は知っていた。
だが、見てみぬふりをした。
別に賄賂だとか請願されたとか逆襲を恐れたわけでもない
ただ……見たくなかった
腐った物を見たくなかった


地方郡都の全てがそうでないにしても

これは、紛れもなく腐敗である
461. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 19:56:01.16 ID:o4ufmIAO
地方政治の腐敗は国家の根の腐敗
根が腐った大木は
いずれ外郭だけを残し朽ちる
ましてや中枢も…

それをあえて言わなかったのは
父への小さな復讐心だったのかもしれない


コバルト「そうかそうか、我が治はそこまで行き届いておるか」

と、言っても顔は笑っていない
いつものことだと言わんばかりに

アルゴン「ただ…一つ申し上げるなら…」

コバルト「何だ、申してみよ」

アルゴン「このところ他国への戦が多いような気がいたします、民は穀物の刈り取り時期にも徴兵され、少なからず不平を申しております…ここは戦の数を減らすべきではないかと」

帝の眉間にまた皺が蘇った

コバルト「儂はお前のそのような所がいけすかんのだ!民のため民のためなどと!民はこの国の物だ!つまり儂の物だ!」

コバルト「民も国家の領土拡大のためならその心血を惜しみなく捧げてくれておる!我がアボガドロ帝国が世界を統べるためだ!民を労りすぎる貴様にはやはりこの覇業を任すことはできぬ!」

言い終わると座に腰を深く据え直し
眉間の皺がまた緩んだ
463. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 20:53:06.88 ID:o4ufmIAO
アルゴンは言ったことを後悔した…。
任せられないと言った
つまり後継者にするつもりはないと言うことを直接聞かされたのだ
アルゴンは皇帝などという雁字搦めの為政者の地位にあまり興味はなかったが
ならなければならないなら潔く受け入れるつもりだった。
しかし、いざ言われてみると
何故かその地位に執着する自分がどこかにいるのだろうか
急に焦りを覚えた

コバルト「エステルのいらぬ所ばかり受け継ぎおって……全く困った女だ。まだ儂を苦しめるか」

冷や汗が噴き出した
母が…侮辱されてる…
こいつ……


すると脇の柱から白髪の若い男が出てきた

オキシ「陛下…そろそろ本題に入りませんと、午後の昼食会に間に合いません」

コバルト「そうだったそうだった」

アルゴン(本題…?)
467. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 21:36:50.96 ID:o4ufmIAO
コバルト「オキシ、そちが説明いたせ」

オキシ「かしこまりました」

このオキシという男
名を、オキシ・カイザフという
若くして六老臣に推挙され
主に城内の警備・宮中政務を任命されている
綺麗な顔立ちをしているがどこか掴みどころのないやつだ

オキシは壁にかけてある大陸図を指し

オキシ「えーコホン…簡潔に申しますとハロゲン市が我らに併合を申し出てきました」

アルゴン「ほ、ほんとうか!?」

コバルト「ついにハロゲンの商人どもも我らの前に膝を屈したというわけだ、ハッハッハ」

なるほど…だからか…。

オキシ「あの城郭都市を相手にしていたら兵を無駄に失っていたでしょう、実に幸いなことです。時に、ハロゲンの市長が無血開城の代わりにと要求を突きつけてきました」

アルゴン「要求…」
468. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/01/20(火) 21:40:55.67 ID:GmSz0QMo
wktkが止まらないw

>>1
勉強はうまくいってるか?
469. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 21:54:53.28 ID:o4ufmIAO
オキシ「ハロゲン郡の郡護太守の選定はハロゲンの者から選び任命はその場で皇族に行って貰いたい、とのことです」

アルゴン「馬鹿な、そんな要求を呑んだのか!?」

オキシ「はい。勿論です。」

アルゴン「な………」

郡護太守の選定は裁任官と呼ばれる職種のものが
表面上公平的に行うものである。
その地位に相応しいと裁任官が判断し国家への忠誠を無二の者を
皇帝に推挙し、許が下りれば正式に任命される。
その際太守の家族はベンゼンに身柄を預けられることになる。
この要求は裁任官と皇帝の許を飛ばして直接任命すると言うことだ。
まして、皇族自ら出向くなど危険極まりなく
例え任命したとして謀叛の可能性は拭いきれない

父上のいつもより綻んだ顔はそのためか…!
いや、まてっ…

アルゴン「まさか……」

オキシ「えぇ、帝がお待ちしていたのはそのためで御座います」
:470. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 21:59:25.95
ID:o4ufmIAO|&aa2(c){>>468 &br()正直なところセンター終わって気が抜けてます &br()目標点にも届かなかったので &br()ちょっと落ち込んでおります… &br()浪人…………か &br()}
471. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 22:19:22.62 ID:o4ufmIAO
コバルト「アルゴン、お前にハロゲン市の太守選任に命を授ける!異存はあるか?あるならここで申せ」

異存もへったくれもないのは重々承知していた…
拒否権はない

アルゴン「……………」

アルゴン「……其の命慎んでお受け致します……」

皇帝の顔は父とは呼べない不確かな笑みに満ちていた。

再び礼の姿勢を取った

そして顔を上げるとまたいつもの顔を戻っていた

アルゴン「一つ…宜しいでしょうか」

コバルト「なんだ」

アルゴン「…魔法使人の同行をお許し下さい」

せめてもの自己防衛であった

コバルト「許そう、出立は三日後だ。それまで体を休めよ」

アルゴン「かしこ…まりました」

オキシ「無事をお祈りいたしますよ、アルゴン皇子」

何故かその言葉の真意がこの男から掴めない…

アルゴン「では…これにて…」

シュタ、ツカツカツカ

コバルト「アルゴンよ」
472. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 22:26:35.53 ID:o4ufmIAO
コバルト「無事帰還できたなら、久しぶりに鷹狩りにでも行くか」

アルゴン「は………はい!」


何故だかこの一言で父への憎悪は半減した
父に認めて貰いたい自分がいたのだろうか
でも…わからない
自分も…父の考えている事も…
どうして…どうして…
もう還らないと踏んでいるからそんな言葉が出るのか
でもあの言葉には温もりがあった
わからない…わからない…
この命を完遂できればわかる
きっと今度こそ……
今度こそ……
473. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 22:58:38.12 ID:o4ufmIAO
玉座の間から出たとき
変な高翌揚感に満ちていた

???「皇子…!申し訳ありません!」

この声は……モニア…!

モニア「も、申し訳ありません…!私は反対したのですが…!」


六老臣の紅一点、モニア・カヴコール
政務の傍らアルゴンの守役として仕え、幼少時代からアルゴンの側にいた
年はおそらく50近くだが
その気品は年を忘れさせる
現在は六老臣として国政の中枢に参加
主に外交を担当する
アルゴンの数少ない理解者であり、親代わりであった

アルゴン「………いや、いいんだ。モニア、私は大丈夫だ」

モニア「ですが危険過ぎます!つい先日まで敵地だったところに行くなど!私目が交渉して参りますのでどうかご辛抱ください…。ニッケル様に加えアルゴン皇子まで危険な場所に行かせるのは…」

アルゴン「ニッケルが危険なところだと?どういうことだ」
474. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 23:17:25.90 ID:o4ufmIAO
モニア「……知らないのですか!?」

アルゴン「そこらの賊の討伐が危険だと言うのか」

一間置いたあと、モニアは重そうな口を開けた

モニア「いえ、ニッケル様は……タンタル侵攻軍の*総将を任命され今日出陣なさるのです」

*総大将

な……ニッケルが……総将……
そういえばさっきニッケルに会ったとき甲冑を身に着けていたのは……

愕然とした

そして色んな感情と嫉妬に似た何かが頭を交錯した

ガチャッ(甲冑の揺れる音)

ニッケル「兄上……黙っていて申し訳ありませんでした……」

アルゴン(に…ニッケル………)

ニッケル「兄上を差し置いて私などが軍の総将とは…兄上を前にして…とても…とても…言えませんでした…、お許しくださいっ!」

アルゴン「………」

わからない……何が何やら……
ニッケルが……父上は……何を考えておられるのか……
475. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/01/20(火) 23:17:29.60 ID:GmSz0QMo
>>1
個人的な意見だが、今はやっぱり勉強に集中した方がいいと思う
思うように点が取れなくて落胆するのは分かるし、気が抜けるのも分かるんだが、ここで踏ん張らないと本当に取り返しが付かなくなるぞ
こっちに力を注いでおいて肝心の受験でいい結果が出なかったんじゃ元も子もないわけで
476. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 23:31:53.10 ID:o4ufmIAO
>>475
ご心配どうも
とりあえず明日、予備校で今後の方針を立てようと思うので
たくさんの更新は今日ぐらいまでだと思います。多分…
ですが、第一志望にははっきり言って二次では届かないことになりそうです…
後期の小論文で一発逆転を狙っていますが
それもどうだか…。
明日検討しなければわかりませんが…
でもこれ書いてるとストレス発散になるので、うーん。
なのでかなーり今複雑な心境であります
477. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 00:08:36.64 ID:o5i7fgAO
ニッケル「しかし…私は総将には兄上が適任だと思っております…代われるのなら…今すぐにでも…」

とにかく…何か激励の言葉でもかけなければ
自身すら見失いそうだった

アルゴン「ニッケル……お前もその年なら軍を率いる経験も必要だ。私ではなくお前が任命されたんだ、ちゃんとその任を全うして来い」

私ではなくお前……か
皮肉を言ったつもりはなかったが…

ニッケル「は…はい!」

アルゴン「…そうだ、これを持って行け」

思いついたように脇差しを取り出し

アルゴン「この短刀は母上の形見だ…。きっとお前を護ってくれるはずだ」

ニッケル「よ、よろしいのですか!?兄上」

アルゴン「あぁ構わない、次に会った時に返してくれればいいさ…その効用に驚いて欲しくなってもやらんがな」

ニッケル「あ…有り難く…!!では出陣の時刻なのでこれで」

モニア「ニッケル様…どうか御自重下さいませ…」

ニッケル「わかってるよモニア!」

タッタッタ

モニア「ご武運を…」

遠のいてく弟が今生の別れのような気がしたのに気づくのは後のことであった
481. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 09:57:51.58 ID:o5i7fgAO
アルゴン「……モニア、いつ決まった」

モニア「一昨日でございます…」

アルゴン「……ニッケルなら大丈夫さ。……総将がそんな易々と討ち取られるわけもない」

そう…何を心配しているんだ。
まだ死んだわけでもない。
でも…代われるのなら代わりたいさ
自分の方が総将の任を弟よりも遂行できるはず…
でも父上はニッケルを総将にした
何かわけがあるんだ、そうさ、そうに違いない
深い訳が。

モニア「ですが…皇子まで…」

アルゴン「血を流すことなく城が手に入るなら喜んで出向いてやるさ…、それに…」

アルゴン「皇族を殺して奴らにメリットとなることはない、むしろ開城して併合されるほうが帝国との貿易もしやすくなる。ただ関税権はこちらが握ることになりそうだが」

モニア「そう…ですね、しかしご自重をするに越したことはありません」

アルゴン「あぁ、わかっているさ…。」

モニア「皇子……一つ、お伝えしておきたいことが御座います」

アルゴン「…?」
482. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 10:07:51.99 ID:o5i7fgAO
モニア「私が、ニッケル様が危険だと申し上げたのにはわけがございます」

アルゴン「…なんだ」

モニア「先日、私め自らタンタル国に最後の勧告をしに王に謁見した時に―」

――――――――

ザァーーーー…

ガラガラガラガラ(馬車の音)

モニア「雨足が酷くなりましたね」

供「昨日から降り続いているようです」

供「しかし、外交官ではなく直接王自らお会いになるのは、やはり六老臣様であるからでしょうな」

モニア「だといいわね…」

ガラガラガラガラ…バシャッ

供「着いたようです」

ガチャッ

兵士「モニア・カヴコール殿、お待ちしておりました。王がお待ちです」
483. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 11:08:13.13 ID:o5i7fgAO
モニア「…………」

供「どうかなされましたか?」

モニア「…血の臭いがしない?」

供「いえ、特に何も感じませんが」

モニア(恐らくここで十人近く死んでるわね…それに、松明があるのに炎の光など掻き消すような深い暗さ…)

ギギッ…

兵士「どうぞ中へ、地面がぬかるんでいるので足元にお気をつけください」

モニア「…勧告のための使者をここまで出迎えなさるなんて正直なところ意外でした」

兵士「我々は貴国とは違いますので…。…いや、今のはお忘れください」

モニア「……」

モニア(甲冑の胸辺りに大きな刺し傷のあと…みた所この位置でこの大きさの穴だと普通なら死んでいるはず…。出迎えの兵士の甲冑を壊れたままにしておくのは、我々に対する冒涜かそれとも…。それにみたところ城内の警備がほとんど手薄…)


ツカツカツカ…

兵士「供の方はここまでです」
484. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 12:33:54.16 ID:o5i7fgAO
外交の使者はその国の内部の視察官と言っても過言ではなく
訪問先の国の兵隊や王宮内、臣下の言動・思慮の水準などありとあらゆることを見聞するのは各国では常識であり
使者を迎える国も権力や統制力、文化の誇示のために
あらゆる礼節を尽くしや過剰な絢爛豪華な見せ物を用意するなど
自国の強固さを見せつけるのだが
アボガドロとタンタルは事実上敵対国家であり
まして、降伏せよとの勧告の使者など
普通ならば斬り捨てられることもあるだろう
しかしあえて六老臣を最後通告の使者としたのは
現在のタンタル王は慈愛に熱く名君と名高い人物と評判であり使者を斬ることはないとふんだからであるのと
帝国側の配慮でもあった。


兵士「王宮内への武器弾薬の持ち込みは禁止です、この棚に所持している武器を置いてください」

モニア(ここでも2人ほど…、王宮で何かあったのか…)

カチャ…カチャ

モニア「これで全部です、護身用の短刀だけですが」

兵士「……わかりました…貴殿を信じて身体を調べるのはやめておきます」

兵士「では、どうぞ。こちらです」
485. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 13:01:01.57 ID:o5i7fgAO
ガチャッ

………
王宮内だというのに…なんて暗さだろう
中央の道に松明が定間隔で並び奥まで続いているが
それはまるでこの世の闇への道標の如くあり
蝋燭の炎がホール中央に数十本無造作に置いてあっても
まるで闇に吸い込まれるように
蝋燭としての役目を為していなかった

背筋に旋律が走った
こんな不気味な気持ちになったのは初めてだ
畏怖…
視覚より感覚的なものがそう告げた

兵士「この奥が玉座の間でございます、では私はこれで…引き継ぎはリチューム様がいたします」

リチューム「お初にお目にかかります、リチュームと申します。王の側近を務めております、以後お見知り置きを…」

暗さでよく顔は見えないが
若いということはわかった
しかし恐らくこれから完全に敵対する者に対してお見知り置きとは…

モニア「モニア・カヴコールです」

手を差し出した

リチューム「あ…すいません、私潔癖症なものでして…握手は控えさせて貰っておりまして…その、どうしてもと言うなら」

モニア「………ならば結構です」

何やら不快な男だ…。

リチューム「立ち話もなんですから、歩きながらにしましょう」
486. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 13:19:25.93 ID:o5i7fgAO
スタスタスタ…

モニア「一つ宜しいでしょうか」

リチューム「なんなりと」

モニア「どうして、このように王宮を暗くしているのでしょうか」

リチューム「…それは我が主タンタル王が王宮で使う燃料を少しでも城下の貧しい民に分け与えるためでございます、とても慈悲深く、情け深い…我が主君は誠の名君であります。決して蛮人の野心などには屈しません」

聞いた以上のことを喋るのか…こいつは…
しかしこれは外聞向けの可能性もある。

モニア「それにしては、城下の灯りは少なかったように見えましたが」

リチューム「………」

数歩の間、沈黙が訪れた

リチューム「まだ十分に行き渡っていないのでしょう、いずれ行き渡るようにしますのでご心配なく」

モニア「もう一つ…」

リチューム「どうぞ」

モニア「最近王宮内で何か争いでもあったのでしょうか、先程の扉の金具に血がついておりましたが」

リチュームのカンテラの光に照らされた顔が一瞬引きつったように見えた

リチューム「いえ…何も。おおかた侍女が指を挟んで怪我でもしたのでしょう。申し訳ありません、不快なものをお見せしてしまい…」

モニア「いえ、構いません」

モニア(……血の臭いが濃くなってる…この男からも…)
488. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 20:23:25.58 ID:o5i7fgAO
モニア「諄いようですがもう一つ」

リチューム「………」

モニア「僭越ながら、私は大国の使者として参上いたしました。貴国の王は客人や使者には心を尽くして迎えると耳に挟みましたが、このような陰鬱とした所に迎えるのがそちらの国の使者に対するもてなしですか」

リチューム「…………」

モニア「門前まで迎えにきてくださったのはよいとして、民のためとはゆえ死霊の館のような内装のままにしておくのはいささか理解しがたい物がございます。それに先程の血痕といい…つまり貴国の王の評判とは尾ひれにあらぬ魚が絡みついた程度のようなものでございましょうな」

少々傲慢とは言えこれは外交の上での弁舌戦である
ここで挑発に乗ればその程度の臣、つまりその程度の国家であるということだ
王に謁見する前に相手の国の程度を知る
いわば前哨戦

リチューム「では逆にお尋ねしたい」

キッ……

リチューム「どこの国に侵略者の使者を厚くもてなす国がありますか?」

リチューム「あなた達はタンタルの鉱山資源を奪うためにきたのでしょう、それに過去の一時、自分達の領土だったからと言って我が物顔で我々を見下すのは少々傲慢が過ぎますな」
489. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 21:55:58.56 ID:o5i7fgAO
モニア(………冷や汗が止まらない…この男の纏う空気が…変わった…?)

リチューム「あなたが何をしに来たか大体検討はつきます」

モニア「………」


リチューム「全てを奪われたくなければ速やかに軍門に下り我らの忠実な僕になれ…と、さしずめ言ったところでしょうか」

モニア「…我らも人の子です、軍を差し向ける前に全てを差し出せば誰も血を流したり、略奪したりはしないでしょうし、過去の遺恨も全て洗い流しましょう……」

リチューム「そう言って覇権国家に膝を折った者達の末路を我々が知らないとでも?」

モニア(………)

モニア「その口で言えますか?あなたが仕える慈悲深き名君も近頃領土戦争に凝り出したようじゃないですか。やたらと隣国に出兵なさってますが?…あなた達もその覇権国家となんら変わりありませんよ」

リチューム「ふっ……ふはははははっ」

モニア「!?」

リチューム「これは失敬。確かにそうかもしれませんね。ですが…昔の版図を取り戻すためです…我が主君が世界を統べるために」

モニア「…!?…タンタルの最大版図はとうに越えているはずです。それに世界を統べるなどと…それでは…大昔の…」

リチューム「失礼…今のはお忘れください…私の戯れ言でございます」
490. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 22:18:51.31 ID:o5i7fgAO
いや、今のこの男の目は戯れ言を言うような生やさしい目ではなかった。
隙あらば食らいつこうという目だ

サッ

リチューム「こちらが王の間でございます、粗相のなきよう…」

帝国の使者に向かって粗相のなきようとは…

ガチャッ…ギィィィィ

そのときモニアは見た
扉についた血痕が床にかすかに赤い曲線を描いてることを
しかし動揺してはならない…

間の中を見回した
王の間であるにはあまりにも薄暗かった
左右に臣下とおぼしき者が数名と
奥間に座すのは恐らくタンタル王
……タンタル王の横に立っているあの黒い大男はなんだろうか…?

スタスタスタ…スタッ

モニア「アボガドロ帝国六老臣モニア・カヴコール、コバルト皇帝から直々に使者として遣わされここに参りました」

タンタル王「ギギギギ……」

モニア「……!?」

タンタル王「そちが六老臣であるか」

薄明かりでよくは見えないが
黒い王衣を纏い髭を蓄えこの地方独特の貴金属をあしらった冠をかぶっている

モニア「はい…早急ですが本題に入らせていただきます」

正直なところこの空間に長居はしたくなかった
横に並ぶ臣下はまるで息をしていないようでさながら蝋人形である
暗く底抜けの闇が天井に広がり
生者を飲み込まんとしているように感じられた
それに……なんだ……
血の臭いどころではない
死臭がする、そして獣の臭い
墓場ではないか…ここは…
491. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 22:45:16.19 ID:o5i7fgAO
モニア「私は降伏を勧めに参りました」

王はかすれた息を大きく吸い

タンタル王「そ、そなたで5人目でああるなな、よ、余はクドいものが嫌いじゃ」

モニア「帝は六老臣である私を直々に遣わすという最大限の誠意を見せました…名君と名高きタンタル王ならばその誠意汲めぬはずはないと思われますが、いかに…」

タンタル王は座したままピクリとも動かず口だけで答えた

タンタル王「貴様等は自分達が世界で一番強いと思っておるのか?ただ椅子に座り血統の良し悪しのみでふんぞり返る者の指先一つで国が滅ぶのが強いと思っておるのか?」

モニア(いきなり……何を言って…)

タンタル王「所詮降伏したところで再び迫害が始まるだけだ。100年前からの因縁はそう易々と消えるものではない!愚であり貪である、貴様等がのさばる時代はすでに幕引きだ!」

モニアは見つけてしまった…
後ろの大男の口に合わせて王の口が動いていることに

タンタル王「これが我々の答えだ!!」
492. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 23:32:29.94 ID:o5i7fgAO
その瞬間、間中央の松明に炎が灯され間全体をオレンジ色に染めた
すると暗闇に覆われ見えなかった壁に吊されたものが…

モニア「ひっ………」

さっきまでモニアに随行していた供達の無惨な死体であった
ある者は目を抉られ耳と鼻を削がれ
ある者は下半身が食いちぎられていた

モニア「あ……あ……」

タンタル王「愚と貪の皇帝に伝えよ!来るならいつでもこいと!!いずれ貴様等の立ってる場所も我らの物になるであろう!!そして次からの使者は少々荒っぽく迎えるだろうとな!!ギチギチギチギチ!!!」

「ハーハハハハッ!!」

モニアは逃げた…
狂ってる…!なんだ…!あれは!

横に広間が見えた

ザッザッザッ

「ギチギチギチギチ!」

モニア「はっ…はっ…魔族…!?城内にっ…!」

タッタッタ…

正面入り口まできた…
そこにはさっきの若い男がいた

リチューム「どうかしましたか?モニア殿…?」

モニア「はっ…はっ…お前達…一体…!」

リチューム「何かよくないものを見たようですね。…先程預かりました武器と、帰りの馬車でございます。どうぞ帰路お気をつけてお帰りくださいませ」

モニア「………!」

リチューム「……。あぁ申し訳ありません、供の方は―」

リチューム「お返しできませんので…」


あとで短刀の鞘から抜いてみるて人間の血と思しきものがべっとりとついてかたまっていた
493. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 00:00:25.39 ID:mYCiP6AO
――――――

モニア「そのあと皇帝にことの次第を伝えました所、酷く激昂いたしまして…即座に軍を起こされニッケル様を総将に任命したのです…」

アルゴン「………モニア…それが本当ならば、今タンタルで何が起こっている」

モニア「…王の身辺に病でも発生したか、王が精神的に乱れているか…いえ、そんなもので片付けられるものではありません…!あれは無機の威力でした、少なくとも人間の発するものではなかったと思います」

アルゴン「魔族……を見たんだな」

モニア「えぇ…でも見間違いかもしれません…何分自失しておりましたから」

アルゴン「わかった…、モニアが言うならば事実であろう。ニッケルには…」

モニア「いえ…申しておりません…とても…」

アルゴン「あぁ…言わなくていい、いらぬ不安を煽るだけだ」

しかし今から危険だからという根拠が薄い事実で
起こした軍を出陣前に解軍するのは不可能だ

タンタルとの因縁なんてどうでもいい…ニッケル……無事に戻ってこい!


そして、住民が見送る中、帝国軍約八万がタンタル国へ向け首都ベンゼンを出陣した
先鋒軍約三万と中軍二万、後軍三万
ニッケルは、先鋒軍にいた


ニッケル「兄上……心配は無用です…父上も、見直してくれるはずです」

母の形見の短刀を懐にしまい
空を見上げた

雲一つない快晴であった
494. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 13:19:10.58 ID:mYCiP6AO
アルゴン「モニア…弟に何かあればすぐに伝えてくれ……教えてくれてありがとう」

モニア「かしこまりました…しかし、任務も全うできず逃げ帰った私めにその言葉はあまりにもったいのうございます…」

アルゴンはこの雲一つない青空が
今から起きようという現実を
隠しているような…そんな気がした


――――――
最終更新:2009年09月21日 01:20