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matome10
701
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/02/28(土) 00:10:50.03
ID:HsBTSEAO
「というわけで…これから僕を魔王と呼んでくれ。ま、名前だけでも雰囲気出るでしょ」
龍造寺「フフッ、君らしいなぁ。いいよっ、その魔王が世界に変革とやらをもたらしてくれることを期待して…*乾杯」
*車内の飲み物
チンッ
魔王「乾杯!……ウェッハッハッハ!……どう?悪者っぽく聞こえる?」
龍造寺「うーん、もう少し練習が必要かな」
魔王「よしっ!まずは笑い方の練習だっ!ウェッハッハッハ」
龍造寺「そこはもうちょっと低くしたほうがいいんじゃない?」
魔王「うぇ~難しいよ~」
――――――
ここで魔王(固有名詞とする)について書き加える。
魔王は大陸の西側に位置する、
ある軍事国家の権力者の息子である。
ここで敢えて息子と書いたが
性別上は女性ということになっている。
彼は13歳の時に性同一性障害と診断され
体は女性、心は男という体と心が違う人間ということがわかった。
魔王の親はこの異質な我が子を嘆いた。
今まで自分は男だと思っていた魔王は
その事実を受け入れるのに時間がかかった。
強い喪失感と、我が身に対する嫌悪感
そして生理現象が始まった時には自我は崩壊しかけていた。
見かねた親は、魔王を日本に留学させることを決め
魔王もそれを了解した。
そのころからである。
魔王が男性がもつ冒険心や好奇心に執着し始めたのは。
彼は冒険ものやファンタジーものの小説や映像を読み漁り
現実との落差に日々絶望していた。
704
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/02/28(土) 18:02:49.76
ID:HsBTSEAO
彼は日本の高校に来てからも自分の境遇、夢も希望もない無機質な社会構造と理想とのギャップに嘆き、一時は自傷行為にも及んだ。
日本人の血を引く*彼ではあるが留学生であるのと、自分が他とは違うことで学校での交友関係は希薄であり、一人でいることが多かった。
*日系人が主権を握っている国であるため。
聡明であるが故に、彼は悩んでしまう。
なぜ人々の目は生きていないのか?
どうして濁った眼をしているのか?
彼にはその人々の眼が恐怖であった。まるで動いている死体のようであるのだ。
しかしある時、無邪気に遊ぶ子供の眼に宿る澄んだ輝きに気づく。
あらゆるものに対する好奇心、
あらゆる場所を開拓する冒険心、
あらゆることを懐疑もなく見据える瞳…
そうか…、死んだ眼をしている人達はこれらを失っているのか。
それは、どうして?
この世界ではそれが当たり前なのか。
そんな世界になんの価値があるのか?
夢も…希望も…ただの戯れ言に化すこの世界は、間違っているのではないのか?
人間・法・土地ほぼ完全に整備され、今まで解明されなかった事象は科学や情報化社会によって次々に明かされる。
探求はもう机の上にしかないのか?
自分の足で土を踏みしめ、仲間と共に巨悪を倒すような冒険はこの世界ではもう有り得ないのか?
つまらない…。
彼等は結局、何も得ることもなく
大事なものを忘れ、与えられた享楽にふけ
ちいちゃな欲を満たし
管理された自由の中で足を広げ
何の変化もない人生を長らえて墓に入るのか
幻想は幻想でしかない…
彼は、現実と理想の狭間に苦しんだ。
思春期と言えばそれで済むかもしれないが、彼の悩みはそんなもので語れはしれなかったのだ。
そんなとき、彼の前に光が降り立った
祖龍子と名乗るものは彼の闇に光を照らした。
705 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/02/28(土) 19:40:57.93 ID:HsBTSEAO
彼の前になぜ突然現れたのか…?
祖龍子が彼の境遇を憐れんだのか、
はたまた、神の悪戯か…
それとも、偶然なのか…
いずれにせよ
彼はもう一つの世界があることを祖龍子から聞いた。
それは彼の人生、世界観を完全に変えさせることになる。
彼の理想とする世界は存在したのだ。
そして濁りかけた彼の眼は
子供のような輝きを再び取り戻した。
このとき、交友を避けていた魔王に初めての友達ができる。
龍造寺銀。彼も魔王と同じ思想の持ち主であった。
魔王と龍造寺は共に語らい、
変革の夢の実現を誓い合った。
そのために、彼は祖龍子を使い、魔法使人になる。
彼には天性の才能があったのだ。
あまりの驚異的な成長に祖龍子は自分のしたことを後悔した。
それほどまでに彼の力に対する行為は貪欲であり、
人を傷つけることに躊躇も迷いもなかった。
そして、*解起術を習得し
銀を魔法使人にした。
*魔法使人でない人間に魔力を持たせる上級術
銀もまた、男ながら才能に恵まれ、非凡な力を得る。
彼に知識を授けた祖龍子は不要と判断した彼の手によって抹殺される。
帰国した彼は留学する前とは完全に別人のようであり
両親、並び彼を知る者を驚かせた。
彼は、自分が世界を変える力を有することを自覚し
人間が生きるに値する世界を作ることを決意する。
そして……アトム世界への干渉を始めるのであった。
706 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/02/28(土) 21:28:45.66 ID:HsBTSEAO
どうでもいい修正
彼に知識を授けた
↓
のちに、彼に知識を授けた
707 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/02/28(土) 22:05:12.13 ID:HsBTSEAO
キキィッ
ガチャッ
運転手「到着いたしました」
――――――――
―足戸町事件現場
バサッ
北条「あーあ…まだわけぇのになぁ…ひでぇもんだ」
武田「被害者は逃げようとしたところを背後から刺殺されたようです。抵抗したあとも見られました。」
北条「……?。この爪の間に挟まってる緑っぽいやつはなんだ」
武田「あぁ……えっと…鑑識によると、人間の皮膚ではないかと言われてるんですが…」
北条「緑色の皮膚の奴がいるってのか?そんなSFじゃあるまいし」
武田「被害者が引っ掻いたようですね。もう少し詳しく調べてみたほうがいいですね」
北条「頭のおかしい全身ペイント野郎かもしんねぇな。もしくは入れ墨か…。まぁそのほうが見つけやすい……ってそんな怪しいやつがなんで検問に引っかからないんだ?」
武田「わかりません…一応入れ墨を入れた者も手配はしておきます。あと、この被害女性は一連の被害者が通っていた真鍮高校の生徒ではないそうです」
北条「……つまり、怨恨よりも快楽犯の可能性が強まったってことか。そうなると、次も必ずやらかすだろうな。」
武田「………。やはり女性の外出を完全に禁止すべきでしょうか」
北条「それは無茶だ。上に叱られちまうよ……それより武田ぁ……俺ぁなんかこの事件は変だと思うんだ」
武田「確かに変ですね…。全く捜査網にかからないなんて…」
北条「いやそうじゃねぇ…なんだか俺達の手には負えないような気がすんだよ…。勘だよ、勘…長年の勘」
武田「ですがこのままでは…」
北条「あぁわかってる…。全力でやるさ。まぁ特殊機動隊も応援に来るしな、なんとかなるといいんだが…」
708 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/02/28(土) 22:48:27.17 ID:HsBTSEAO
━━━━━━━━
―八木ん家
ガチャッ
八木「うん…まぁそこら辺に座れよ」
八木の家は三階建てだ。
2年前に立て直したばっかなのでまだ新築の香りがほのかにする。
八木には兄弟が2人いて
一番上の兄はもう就職し家にいない
三つ下の妹は中学生だ。
八木の部屋は三階にあるため窓からは結構遠くの場所まで見渡せる。
夏になるとここから近くの河川で行われる花火大会の花火が綺麗に見えるので
去年はここで花火を見ながら夜通し桃鉄をやった。
適当に座布団に座ると八木が紙パックのお茶を持ってきた。
八木「……まぁ飲めよ」
悲しいことに八木の部屋にきてベッドを見る度にここで八木と飯山が交わったのかと思うといつも鬱になる。
チューチュー
八木「ぷはぁっ!…………」
そして、いきなり話を切り出した。
八木「……俺は、あいつ本物だと思う」
加治木「……チューチュー…」
八木「見ただろ?手から煙出して消えたんだぜ」
加治木「でも…もしかしたら奇術の一種かもしれないよ」
八木「あのなぁ、マジックっていうのは場所と準備がないとできないもんなんだよ。いきなりでできても小さいものだけさ。煙出して消えるなんて場所と小道具の準備ができてなきゃ無理!」
加治木「………」
八木「俺達がつけるのを知っていて準備していたのならあれだけどさ、そんなことしてなんになる?」
加治木「でもあいつ、やっぱり気に入ったとか言ってた。よくわかんないけど気に入られたんじゃない?」
八木「………。とにかく!俺はあの龍造寺銀とか言う奴は本物だと思う!」
加治木「それでどうすんの?警察につきだすの?」
八木「いーや!俺は今度会ったらあいつに技を教えてもらう。」
加治木「そんな…、教えてくれるかわかんないし、もしかしたら殺されるかもしんないよ」
八木「気に入ったんだろ?なら殺しはしないさ」
709 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/01(日) 00:25:01.07 ID:fDE1zUAO
━三行でわかるとーじょーじんぶつおさらい━
加治木諒輔♂(16)
:のちの男。真鍮高校一年。女性の体に興味ムンムンなお年頃。
八木とは中学以来の友達だが、八木との間に出始めた差に嫉妬心を抱き始める。
魔法の類はあまり信じないようだ。櫻井唯に一目惚れする。
櫻井唯♀(16)
:のちの女。だが元の櫻井唯の心魂とアトム世界の体は行方不明。
あまり男に興味がないのか、甘い言葉で誘うイケメン(笑)どもを軽くあしらう。
飯山里見とは親友。そのかわいさは他校からも誘いがくるほど。
710 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/01(日) 10:35:38.72 ID:fDE1zUAO
八木拓哉♂(16)
:真鍮高校一年。中学から加治木と親友。
飯山と中3の時から付き合いだし、性格が外向きになる。
魔法や超能力には肯定的で、子供のころから魔法使いになるのが夢。
飯山里見♀(16)
:彼女の豊満な胸と清楚な黒髪は思春期の男子の妄想の的。
相手のことも親身になって考える優しい性格のため男子に人気急上昇中。
櫻井唯の親友。八木の彼女。八木は周りから妬まれている。
711 :
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/01(日) 12:57:40.05 ID:fDE1zUAO
加治木「だいたい技ってなんだよ」
八木「カジはわかんないかな~このロマンが」
加治木「………で、どうすんのこれから」
八木「明日は授業再開するって聞いたからとりあえずは学校行こうぜ」
加治木「おいおい…この状況で学校できんの?まだそこら辺に通り魔がいるかもしんないのに」
八木「ほら、郵便受けにチラシが届いてた。」
パサッ
八木「特殊機動隊まで配備して、超厳戒体制でお子様の登校を見守るんだってよ」
加治木「………」
八木「多分……明日は一日中集会とカウンセリングと警察のお話だな」
加治木「…みんな多分変なテンションだとおもう」
バラララララ……
窓の外に数機のヘリが見えた。
おそらくその事件現場の上空を旋回しているのだろう
八木「……事件はあの辺りか……結構近いな。…そうだ、テレビつけよう」
ピッ
「――現在事件現場上空からお送りしています、あのブルーシートがかかっているのが事件があった現場です!この閑静な住宅街で起きた連続無差別殺人事件は更なる被害者を出し―」
八木「やっぱりテレビ局のか。」
加治木「八木、もうそろそろ帰るわ」
八木「うん、わかった。じゃあな」
加治木「じゃ」
タッタッタ…
八木「あっ…カジ」
加治木「?」
八木「……気をつけてな」
加治木「……。うん」
━━━━━━━━━━
712 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/01(日) 17:33:15.11 ID:fDE1zUAO
魔王(まおう/ルシファー)♀(18)
:彼が自分は男ではないと自覚した時から彼の人生には現実に対する深い絶望がつきまとった。
某軍事政権の権力者の一人娘であり、最近は反体制・過激派テロリストに武器を売っている。さらには祖龍子を利用し魔法使人になる。
荒んだ現実を破壊するため、そして剣と魔法の世界をこの世界に実現するため、アトム世界に干渉を始め、その活動から自分を魔王と自称する。
龍造寺銀(りゅうぞうじしろかね)♂(19)
:魔法使人。笑顔は人との間を柔らかくする。それは自殺した父から教わったのか…。
彼は子供の頃から空想小説が大好きだった。彼はつまらない現実社会に辟易していた。彼は夢を見ない大人になりたくなかった。
そして魔王との出会いは彼を夢物語の登場人物にした。
713 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/01(日) 18:27:56.75 ID:fDE1zUAO
700越えで、しかも3月かぁ…
これが始まって半年経っちゃいましたね
早かったような長かったような。
果たして1000までに三章終わらせられるでしょうか…。
とっとと終わらせるつもりだったんですが
結局は長々となってしまいました。
自分の悪い癖ですね…。
本編期待していらっしゃる方には申し訳ないです…
だいぶシリアス気味ですが
おそらく…おそらくはこの雰囲気は次章にも微妙に継承されると思います。
714 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/01(日) 22:11:53.14 ID:fDE1zUAO
………………。
…………うぁぁぁっ…………。
ガサガサガサガサ…
………手が…手がっ……緑に……
………ひゔぃぃぃ……
……はっ……はっ……
ガリガリガリガリ……………
……………う……鱗……!?
………な…………なんでっ……!?
……ギッ…ギギッ………
…………い……嫌だっ………でも………やら…なきゃ…
ガサガサガサガサ………
………………
………………
………………ガキャッ
━━━━━━━━━━
715 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/01(日) 22:49:10.01 ID:fDE1zUAO
有狩ロイヤルホテル 128号室 19:24
ピコピコ…
魔王「あー、その小さいモニターはそこに置いといて」
従業員「は、はい」
バーン!チャラチャ~
魔王「うぁ~、また死んだ~。あっ、食事はそこ置いといて」
従業員「はい」
ガチャッ
龍造寺「…なんだいこれは?」
魔王「あっ、銀。」
龍造寺「このモニターの数はなんだい?あと、この積んであるゲームソフトの多さ。まるで今から廃人になるみたいだね」
魔王「うん、革命ごっこの連中に玩具をあげるのは来週だし、なんだかこの街の事件の行く末を見てみたくなってさ」
龍造寺「で、暇だからゲームして時間を潰そうってこと?」
魔王「そう!で、さっき電器屋に行ってあらかな面白そうなゲームと監視用モニター買ってきたんだ。日本のRPGはやっぱ面白いよ。あ、ポイントカード貰ったからあげる」
ポイッ
龍造寺「………十万ポイント……」
龍造寺「フフッ…そういうと思って、通り魔のことが載った新聞と雑誌まとめといたよ。ここに置いとくから」
デイヤー!バコーン!
従業員「ではこれで失礼します」
魔王「あ、これチップ」
従業員「…………こ、こんなに…!」
魔王「いーのいーの、また何か用あったら呼ぶから」
…ガチャッ
716 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/01(日) 22:59:20.81 ID:fDE1zUAO
あらかな×
あらかた○
717 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/02(月) 00:38:19.27 ID:z6hPRkQ0
八木はもう魔法使いにはなれないな(性的な意味で)・・・
718 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/02(月) 00:47:35.81 ID:wQ79hoAO
龍造寺「いいのかい?そんな大盤振る舞いで」
魔王「いいんだ、どうせ無くなる通貨さ。僕が魔王として君臨したら統一通貨を作るからね。そうだな…まだ通貨単位決めてなかった」
龍造寺「ゴールド?ゼニー?それともギル?」
魔王「う~ん…ま、いずれ考えとくよ」
パラパラ……
魔王はホテルの豪華な食事を摘みながら龍造寺が持ってきた資料に目を通した。
魔王「……ふーん……もう5人か……恐らく目的はあの女…とみてまず間違いないね」
龍造寺「うん、魔族使人が送り込んだんだろう。しかし、受付先の身体が存在しない魔族は一般人の身体に入って、その身体を使いあてずっぽに犯行を重ねているってところかな」
魔王「一応規則性があるということは、奴は女性と身長と体格ぐらいしか知らないということか、だから手当たり次第に該当する者を殺してる」
龍造寺「あと、目撃者が全くいなかったり(僕は見たけど)、警察のあれだけの包囲網を抜けれるということは、体を隠せる能力か、擬態、または飛行能力かな…」
後ろから、さっき目を通した雑誌を引っ張り出し、
魔王「でも男が三人追いかけたんでしょ。飛行能力があるなら、すぐにその場からエスケープできるはずだよ。走る必要なんかない」
龍造寺「うん、人間の身体を飛ばすことは不可能だと思うし、例え驚異的な脚力を持っていたとしても一般成人男性に追いつかれるぐらいだ、大したことないよ。僕がみたときもそんなような感じはしなかった」
魔王「てことは擬態が有力かな。身体を変形できるか、背景に紛れ込んだ…かな。実際、魔族が人間に転生する例はあったらしいし、世に言われるUMAがそうさ。魔族の個々の能力を継承し、人間を襲うなんてことは多々あったようだよ」
龍造寺「それ祖龍子が言ってたの?」
魔王「うん。あれ結構お喋りだったからな~」
719 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/03(火) 19:19:20.65 ID:wVvTnwAO
龍造寺「ということは何らかの能力が受け継がれたのはまず間違いないとして…、ていうかこの犯人の腕力は相当なものだよ。やるとこをたまたま見てたけど、片手で、しかも人間とは言え頭蓋骨を串刺しにしてた、それも両手で。そして刺されたナイフは頭部を貫通…ヘルメットかぶっても致命傷は免れないでしょ」
魔王「…そうか、銀はその場にいたのか」
龍造寺「たまたま服買いに街彷徨いてたら例の彼を見かけてさ、んで彼等から電話がかかってきて様子見てたらほら僕の"10秒後の世界を見るレンズ"でたまたま…ね」
パラパラ…
魔王「たまたま…ねぇ」
龍造寺「とにかく、このまま奴を野放しにしておいてもし彼女になんかあったらどうするの?」
魔王は少し間を置いて、チキンの切り取り用ナイフに手を伸ばした。
そしてチキンに
ザクッ
刺した。
魔王「……殺されはしないさ。というか殺せない」
龍造寺「と、いうと?」
魔王「魔族を操っているのは魔族使人だ。その魔族使人があの娘を狙っているのは僕も知ってる」
魔王「おそらく僕達と目的はほぼ同じだからあの娘を殺すはずがない」
喋りながらナイフで丁寧にチキンの皮肉を切り落とし皿にわけた。
魔王「ただ…、それは魔族使人の考えであって、奴があの娘を狙うことのみが記憶として残り、生かしておくことを忘れていたとしたなら話は別」
魔王「話を聞いていると、相手の顔をよく確認せずに相手を殺しているらしいから…つまりは、顔はわからない、生かさない、その娘を狙うのは覚えている。という感じかな」
龍造寺「飼い主の思惑とは異なっているね」
魔王「そう。でも飼い主はこちらに来られない。飼い主の手元を離れた虎を止められる者はいないってことだよ」
モグモグ
龍造寺「じゃあ僕達が…」
720 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/03(火) 20:42:46.78 ID:wVvTnwAO
ザクッ(チキンに刺した)
魔王「それはよそう」
龍造寺「?」
魔王「…そうだなぁ…ゲームをしようよ」
龍造寺「………。ははーん、読めたよ」
魔王「ゲームには駒が必要。さて、誰がいいかなぁ」
龍造寺「僕に心当たりがあるよ。例の彼等…」
龍造寺「…加治木くんと八木くん」
魔王「へぇ、君が駒にしたいならそれでいいとおもうけど…どんな子達なの?」
龍造寺「一言で言えば…そうだなぁ…加治木くんは夢を見ないタイプ、八木くんは夢を見るタイプだね」
龍造寺「特に八木くんには僕達と同じようなものを感じる、でも加治木くんには何か別なものを感じたし…。…この組み合わせはなかなか面白いと思うよ」
魔王「じゃあけってーい!2人を魔法使いにしてモンスターと戦わせよう!」
龍造寺「八木くんに素質はあるかもしれないけど加治木くんは…。う~ん…男を魔法使人にするのって難しいんだよ?」
魔王「できなかったらパーティーから外すだけさ。さっ、何するか決めたことだし買ってきたゲームやろうやろう!銀はそっちのコントローラー持って!」
龍造寺「はい、はい」
━━━━━━━━
721 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/03(火) 23:46:26.29 ID:wVvTnwAO
ナトリー♀?(1000~?)
:世界の傍観者こと祖龍子。その存在には謎が多く、知る者は少ない。
何らかの意志が働き唯に助力する。祖龍子が地上に現れるには魔力を持つものがその存在を具現化する必要がある。
身長16cm。青い髪・羽・衣服が美しい。かなりおしゃべり
世界を統べる者♂(?)
:魔族使人。能面的な仮面に、魑魅魍魎を塗ったような黒い鎧は死神を彷彿させる。
過去に魔法使人と何かがあったらしい。女の両親を殺害し、子飼いの魔族を転生させる。
現在はタンタル国を手中に収め、版図拡大を画策中。目的は不明。
722 :
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/04(水) 16:38:49.74 ID:57pOKMAO
翌日…
曇り空のもと
足戸町周辺は厳戒態勢を敷かれ
学生は武装した警察官の付き添いの中登校した。
生徒達の顔には疲れがみえ、
登校する学生の数はいつもの3分の一にも満たなかった。
朝のニュース番組は、この通り魔事件をトップニュースで放送し
ほとんどこの話題であった。
一向に犯人を捕まえることができない警察を無能とこき下ろし、
警察のOBがスタジオに出て、当たり障りのない抽象的な犯人像を喋っている。
被害者が三人でた真鍮高校前にはテレビ局の取材カメラが立ち並び
登校してきた生徒にインタビューしていた。
真鍮高校の校門前には警察官が常駐するためのボックスが建てられ
まるで、政府の要人がいるような雰囲気だ。
―体育館
校長「え~とても残念であり、無念であります。将来ある我が真鍮高校の生徒が三人も…ウッ…ウゥッ……失敬。とても残念であり……ウゥッ……」
一時間にも及ぶ校長の長い長いおはなしは
生徒達の精神を更にすり減らした。
更には隣の市の市長まで現れ、さらに30分拘束時間が延長されて
集会が終わったのは12時を過ぎてからだった。
―教室
八木「うぁ~~……ありゃ新手の拷問だわ」
加治木「市長が来た時は死ぬかと思った…」
八木「……クラスで来てんのは俺達含めて10人か…。…一人は……」
八木の視線の先、
殺された安田尚美の席には綺麗な鈴蘭の花が生けてあった。
加治木「下手したら俺達の席にもあれが置いてあったかもしれないな…」
八木「…………」
八木は今にも雨が降りそうな窓の外を眺めた。
日中にも関わらず教室の蛍光灯をつけるほど暗い。
この微妙な薄暗さが皆を一層暗くさせた。
723 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/04(水) 21:09:05.86 ID:57pOKMAO
八木「里美は保健室行っちゃったしな…」
今は休み時間のためみんな友達と喋ったりしているがやはり遠慮しているのか声は小さい。
そして廊下からは女子のすすり泣く声が聞こえ
一層暗い気持ちにさせた。
ガラッ
「あの~里美いる?」
クラスの女子「…里美は気分が悪いからって保健室行ったよ」
八木「…!、おいっ、カジ!来たぞ、お前の天使!」
加治木「……!!」
天使。教室の入口にいるのは、あの櫻井唯だった。
恥ずかしながら、こんな時にもかかわらず一目した瞬間に心臓の鼓動が激しくなり
気持ちが高揚し始めた。
唯「ありがとう……あっ!」
こっちを見て、何か気づいたようだ。
するとマス目のように配置された机をすり抜けこっちにきた。
加治木(……!?俺?俺?)
加治木の席の前までくると、
唯「あ…あの確か八木くん…だったよね?」
八木「あ……うん……俺になんか用?」
身長175cmの八木を見上げるその顔は確かに他校からも誘いがくるわけだと納得してしまうものがあった。
自分ではなく八木の名前を呼んだ途端、加治木の心臓は一気に稼働を停止し、熱は冷めた。
唯「ちょっと廊下に出て話さない?」
八木「あ……いいけど」
加治木(おいおいおいおいおい!!えっ!?ヤギってそんなモテるのかよ!?)
廊下に出て行く2人を席に着いたまま硬直し見送った
加治木「………あわわわわ」
もしかして……こんな時に告白…!?
いやまて…こんな時だからこそ…
なんだ……!?何が起こってる!?
人少ないし……階段の裏で……とか……
……ってか…風紀が乱れるって言ったのはヤギだろ!
いやまだ焦るような時期じゃない!!
そうだ素数を数えれば落ち着くって誰かが言ってたな…!
よし!!……ちくしょ~…素数わかんねぇっ!!
724 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/04(水) 23:42:03.49 ID:57pOKMAO
北条景虎♂(53)
:有狩署に勤務する敏腕刑事。現場で働きたいとの意向から、昇進の話を断り続ける、現場主義。
相棒の武田信虎とともに難事件を幾度も解決し二頭の虎の異名を持つ。
長年の刑事の勘は、仕事では鋭いが趣味の競艇では全くダメである。
武田信虎♂(30)
:有狩署に勤務する若手刑事。先輩の北条景虎の片腕となり難事件を解決に導く。
多忙な仕事のため家に帰れず妻とは別居状態である。
7歳の愛娘は知らない男をお父さんと言い始め、本当に自分の娘なのか疑問を抱き始める。
725 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/05(木) 23:16:47.95 ID:RY.O5oAO
更新遅くてすいません。。
726 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/05(木) 23:45:55.98
ID:RY.O5oAO
クラスメイトが入口から顔を覗かせて、ついに八木二股かよっ!と教室から八木をはやしたてるのを尻目に
八木はクラスを出てすぐの階段の踊場に連れて行かれた。
正直なところ八木も内心まんざらでもなかったであろう。
しかし変な期待をしている自分を心の中で諫めた。
八木「話って何?」
唯「ごめんね、急に。実は聞きたいことがあるんだ、八木君に」
八木「……うん」
唯「八木君って結構顔広いでしょ?あのさ…一昨日あった通り魔事件で犯人を追っかけたって言う高校生知らないかな?」
八木「えっ……?」
唯「いやっ…クラスメイトが死んじゃってるから、あんまし教室でそんなこと聞くのは悪いかな~って思って…」
一瞬の期待は淡く崩れたが、内心安心し
さて、なんて答えたら一番驚くだろうか、と言う思考に切り替わった。
八木「知らないわけじゃないけど…」
唯「ほんとっ!?だれだれ?他校の人?」
八木「でもどうしてそんなことを?」
唯「えっ…それは…」
唯(犯人がこの世界の生き物かどうか知るためなんて言えないし…)
唯「えーと…、どんな人かな~って気になっちゃって。ほら、だってかっこいいもん、恐れずに犯人に立ち向かうなんてさ!ね?」
八木「会ってみたい?」
唯「あ、うん…」
八木「実はこの学校の男子なんだよね」
唯「えっ!?ほんと?誰?」
八木「確か今日このあと警察の話だけだし、放課後時間あるなら玄関で待ち合わせてもいいけど?」
唯「わ、わかった。でも誰?」
八木「それは本人に会って確かめなよ」
唯「……じゃ、玄関で待ってればいいのね?」
八木「うん」
校内放送「……ガガッ…警察の方のお話があるので生徒は教室に入って着席していてください。繰り返します―」
727 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/06(金) 19:14:08.81 ID:Pp02CMAO
唯「あっ、じゃお願いね」
タッタッタ…
八木「………」
――――――
―教室
ガラッ
クラスの男子「八木~っ!何話してきたんだよ~」
八木「なんでもねぇよ」
クラスの男子「二股はよくないよな~」
八木「だ~か~ら~そんなんじゃないって」
八木はやんわり否定して席に着き、前の席で死んだように突っ伏している加治木に、
八木「カジ、大丈夫だ。俺もちょっと期待したけどそんなんじゃなかった」
加治木「あぁ…そう…」
八木「むしろお前にとってチャンスかもしんねーぞ」
加治木「…?」
八木「櫻井はよくわかんないけど、通り魔を追っかけた俺達に気がある」
加治木「なんと!?」
八木「マジだ。それが誰か知らないかって俺に聞いてきた」
加治木「…それも…なんか…ショックだけど…、それで?」
八木「放課後玄関で待ち合わせってことにしてあるから、うまくいきゃカジにもチャンスがあるかもしんないぜ」
加治木「…でもこんな時になぁ…」
八木「ばっかだな~、こんなときだからこそ頼りなるアピールするんだよ」
加治木「……うん…」
ガララッ
担任「よーし席つけー。今から大事な話あるから静かに聞けよー」
担任「今日安田の通夜があるから参列できるやつはしてやってくれ。ただし子供だけでいくなよー、必ず親と車で行くんだぞー。それじゃ有狩警察署からお忙しいなか警察の方がきてくださったーじゃ、お願いしますー」
728 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/06(金) 22:01:09.54 ID:Pp02CMAO
その後、警察の話があり
生活する上での諸注意、捕まるまで極力外に出ないなどの話があった。
そして放課後…
生徒がほとんどがいない、ガランとした校舎は少しひんやりとしていた。
―生徒玄関
加治木「…しゅ…すごいドキドキしてきた…!」
八木「とりあえずメアド聞くところまでいけ!お前ならできる」
加治木「…う…うん!」
八木「最初は無理とか言ってたけどさ、あの櫻井が気になるとか言ってんだ、道は開ける!さぁ、復唱!」
加治木「道は…開ける」
八木「道は開ける!」
加治木「道は開ける!」
唯「なにやってんの?」
八木・加治木「うわぁっ!!」
唯「あ…ごめん、邪魔しちゃった?」
八木「いや!大丈夫!」
唯「それで…まだ来てないの?」
八木「いや、もう来てるよ。こいつ、加治木っていうんだけど…、俺はカジって呼んでる」
加治木(えっ!?)
唯「えっ、そうなの!?ご、ごめん…全然そんな感じしなかったから…」
八木「カジがあの通り魔を追い詰めたんだ。もう一人はカジの友達の他校のやつだけど、ほとんどはカジ」
加治木(えぇっ!!?)
加治木(おいおいっ、ヤギもだろ?)
八木(いいからいいから。俺に合わせとけよ)
唯「へぇ~そうなんだぁ」
八木「そうなんだよ。ほらカジ、自己紹介」
加治木「あ…あ…か、加治木諒輔…です…///」
唯「はじめましてじゃないかもだけど…、櫻井唯です。よろしくね」
八木「あ~っ!俺はどうやら里美と一緒に帰らないといけないらしい!じゃ、俺は里美と帰るから2人で親睦を深めあってくれたまえ。それじゃカジ、頑張れよう」
加治木「まっ、まてっ!きいてな―」
八木「じゃ~なぁ~」
729 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/06(金) 23:05:33.09 ID:Pp02CMAO
唯「…?」
加治木「あ…いや…なんでもないんだ、なんでも…」
加治木(頼れる男を……うわ…やばい…興奮して…)
加治木「え、えっと…櫻井…」
唯「唯でいいよ」
加治木「…その…唯ちゃんの家ってここから近い…?」
唯「うん、足戸町内だよ」
加治木「じゃ…じゃぁさ…帰り道危険だから…俺が……」
唯「?」
加治木「…か、帰りながら守るよ」
唯「…………フッ…アハハッ」
加治木「あっ…///」
唯「日本語変~」
加治木「……///」
唯「じゃ、帰りながら話そっか。いろいろ聞きたいことあるんだ~」
加治木「う…うん」
これが、2人がはじめてお互いを意識しはじめた瞬間であった。
このとき加治木の姿勢が前屈みだったのは言うまでもない。
そして、人生のピークへの登り坂を前屈みで駆け上がっていた。
━━━━━━━━
―保健室14:30
保健の先生「どうする?お父さんかお母さん呼ぼうか」
薬品の臭いが立ち込める保健室。
一時間前までは人がたくさんいたが
今いるのは保健室の先生とベッドで休んでいる里美だけであった。
里美「いえ、いいです…。一緒に帰る約束してる人いるので…」
里美はまだ気分が悪かった。
朝よりかはだいぶん気分が楽になったが、
死んだ友達のことを思うと気分が暗転し、それが体に影響を与えていた。
それでも学校に来たのは、八木に会いたかったのか
学校に来れば幾分か気分がよくなると思ったのか、
心中はよくわからない。
ガララッ
先生「それじゃ、私は4時頃に戻ってくるから、帰るならそこの紙に書いといてね。また気分が悪くなったら無理せず内線で先生呼んでよ」
そう言うと保健室を出て行った。
先生が保健室を出て行ったのと入れ違いに別の人が入ってきて、カーテン越しに
「里美、大丈夫か」
八木だった。
730 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/07(土) 17:40:16.67 ID:A.CUT2AO
里美「うん…」
八木「そっか…」
八木は寝ている里美のベッドに腰掛けた。
八木「…カジと櫻井が今一緒に帰ってる」
里美「うそっ、唯が?」
八木「うん、もしかしたらくっつくかもな、ハハッ」
里美「意外…あの唯が…」
里美は体を起こし、
里美「もう、だいぶよくなったから帰ろっか」
と、カーディガンを着ようとしたとき、
八木「……ごめんな、昨日会いにいけなくて…」
八木の手が、カーディガンを着ようとする手を止めた。
里美「………」
里美「いいよ。私の方こそ会えるような顔じゃなかったし」
八木「……なんか…ごめんな」
そのまま優しく手を肩にかけた。
里美「…どうしちゃったの急に?」
八木「……なんもないんだけどさ…ただ…なんかムラムラしてきちゃって……」
里美「…ッ!?」
その瞬間、肩にかけた手をぐっと引き寄せ
里美の綺麗な唇を自分の唇で塞いぎ、
約一分くらい、お互い目を瞑ったまま相手の舌を吸いあった。
里美「……ハァ…ハァ…やっぱダメだよ…こんなところで…」
里美が目を開けたときにはすでに白いシャツの上から三番目までのボタンが開いており
高校生にしては少し大きな胸の谷間をのぞかせていた。
八木「……保健の先生は4時まで戻ってこないんだろ…?それにカーテンで仕切られてるから大丈夫だよ」
732
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/07(土) 22:42:44.27
ID:A.CUT2AO
里美「でも…ダメだってこんなところで―きゃっ」
有無も言わさずベッドに押し倒しはだけた胸に顔を押し込んだ。
里美「も、もうっ…!」
八木「…ごめんな…今の俺じゃこんなのしか慰める方法思いつかないんだ…」
そして馬乗りになって再び口づけし、
シャツのボタンを外して下着だけにした。
そのまま右手で里美の左手を握り締め
空いた左手で乳房を優しくもみ出す。
五回目ともなればさすがにやり方がうまくなっていた。
「……ふぅ…ふぅ……ん…」
里美の小さな吐息が漏れだし
静かな保健室に響く。
大人向けの黄緑色のブラを外すと
きれいに実った胸が出てきた。
果たしてこの胸を恋い焦がれ妄想してきた男子はどれぐらいいたのだろうか。
それが今八木の手の中に収まっている。
妬まれるのも無理はない。
そしてかわいく尖った乳首を舌で転がすと
また里美の口から吐息が漏れる。
この反応が八木はたまらなく好きだった。
里美「……ほんと…拓哉は私のおっぱい好きだね…んっ…///」
学校という公共の空間でのいけない行為は背徳心からか無性に興奮する。
そのためか2人とも反応が敏感であった。
そしてついに八木の手は
スカートの中へと伸びる。
指先で位置を確認し、優しく布の上から愛撫する。
その間も口は乳首を吸っていた。
733
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/07(土) 23:17:12.88
ID:ha/uo0Ao
わっふるわっふる
734
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/07(土) 23:47:41.12
ID:u4DYHJMo
わっふるわっふる
735
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/09(月) 20:49:19.89
ID:LoH0FsAO
里美の呼吸は次第に激しくなり体をひくひく動かして悶えた。
すると指先が軽く湿り気が出始めたのを感じた。
「……早いな…」
「だって……こんなところじゃ……」
そのままゆっくりと、スカートを履いたまま下着をずらし
直接触ると、溢れんばかりの愛汁が手に絡みついた。
2人の高揚は最高潮に達し
お互いの鼓動が静かな保健室に響くかと思うほどであった。
ズボンを脱ぎ、さぁ本番へ。と言うとき、
ガララッ
先生「誰かいるか~?もう学校閉めるから、いたらすぐに下校してくれ~」
八木「!!」
靴音がベッドを仕切るカーテンの前まできた。
先生「いるのか~?開けるぞ~」
サァッ!
738
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/10(火) 19:26:23.14
ID:j2vNcYAO
いたのはベッドで寝ている飯山一人だけだった。
先生「あっ…すまん…っているならいるといいなさい」
里美「あ…はい…」
先生「四時になったら学校閉鎖するからな~。それまでに親呼ぶなりして帰るんだぞ~」
里美「は…はい…」
先生「ん…顔赤いぞ~?」
里美「大丈夫…です……ひゃっ!?」
先生「ん?」
里美「…なんでも…ないです…//」
先生「……?」
先生はそれだけを言って出て行った。
ガララッ…
里美「………」
里美「もうっ!バレたらどうすんの!?//」
八木「ごめんごめんっ、でもかなり可愛い声出してたよ」
八木は先生が来るギリギリで里美のベッドの中に隠れていた。
布団の厚さもあり先生は気づかなかったようだ。
ただ、ベッドの中で八木がふざけて……。
里美「4時になったら閉まっちゃうって、どうする?」
八木「こうする」
そのまま里美の濡れた部分に顔をつけペロペロと舐めだすと、
再び里美の溜め息を吐くような声が室内にこだました。
八木「気持ち…いい…?」
里美「…はぁ…はぁ……う、うん…///」
―――――――
ベッドが汚れないようにハンカチを敷き
お互い裸になって抱き合った。
部屋の冷たさが相手の肌の温もりを感じる感覚をさらに鋭敏にし
密着した肌に汗をじんわりと発せさせる。
「力抜いて…」
耳元でそう囁き里美の腰の位置を少し高めて間隔を空けた。
片手で避妊具を装着し、そのいきり立つものを里美の穴にゆっくりと挿入してついに2人は繋がる。
なんとも言えない充実感が八木の中で生まれ、自然と腰が動く。
まさに本能のままであった。
腰の動きに合わせて声が漏れる。
口を合わせたまま、腰の動きが早くなり、
そして互いの手を握り締めた。
739 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/10(火) 19:54:05.31 ID:j2vNcYAO
「……あっ……は…あ……は……くぅ……」
粘液がこすれるいやらしい音が2人の興奮をさらに増長させ
やってはいけない場所で行為に及ぶ開放感が快楽に影響を与えて思考力をなくし
ただ、相手のほてった体を求める動物になった。
そして、保健室での愛の行為は2人の昇天で終わりを告げた。
2人は抱き合ったまま口づけを何度もして余韻を楽しみ
言い知れぬ満足感をさらに満みたした。
…………………
………………
…………
ふたりはベッドで寄り添って少し休むことにした。
互いの顔を見つめ合い
いろいろ話をしていると突然八木の顔が寂しそうな表情になった。
「……どうしたの…?」
「………恐いんだ…」
「?……何が?」
「……里美のこと大好きだし、すごい楽しんだ。でも…」
「でも?」
「こういうことしてると…子供でいられなくなっちゃうんじゃないかって…不安な気持ちになる……」
「………。拓哉は私のおっぱい大好きな限り子供だから、ね、安心して?」
「………うん……」
「それじゃ、帰ろ?」
「………うん…」
━━━━━━━━━
740 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/10(火) 23:29:44.83 ID:j2vNcYAO
今にも雨が降りそうな灰色の曇り空。
町の中はまさに厳戒態勢であり
100mおきに駐在用のボックスが建てられ
見渡すだけでもパトカーが2台低速で巡回しているのが見える。
この狭い町で一体何が始まるのか、そんな冗談もつい言ってしまいそうな雰囲気が町を飲み込んでいた。
そんな中、下校する男女が…。
加治木「そ、それで…聞きたいことって…?」
ガチガチの笑顔で聞いた。
櫻井「加治木くんが追いかけたっていう通り魔についてなんだけど」
加治木「へぇ…、どんなこと?」
櫻井「通り魔の顔…みた?」
加治木「顔…は見てないや。顔隠してたから」
櫻井「じゃあなんか変わったことなかった?鼻がおっきかったり、皮膚が黒かったり」
どうしてそんなことを聞くのだろうか、と一瞬戸惑った。
もっとこう、自分のことについて聞かれると思っていただけに。
加治木「うーん…」
あの時のことを思い出してみた。
変なこと、で真っ先に思いつくのは龍造寺と名乗る男が通り魔が持つナイフをぶっ飛ばしたことぐらいしか…。
そういえば、変な喋り方してたな。訛りというかなんというか…
加治木「変な喋り方だったなぁ…そういえば。なんかギチギチとか言ってた」
櫻井「ギチギチ?」
加治木「う、うん。ギチギチギチギチって、鳴き声みたいな感じ。やっぱおかしいのかな、頭が」
櫻井「ふぅーん……」
加治木「ご、ごめん。そんなこと位しか覚えてなくて…」
櫻井「私の方こそ変なこと聞いてごめんねっ」
そして会話が途切れた。
741 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/10(火) 23:52:04.84 ID:j2vNcYAO
しばらくの無言はあまり女性と会話したことがない加治木にはかなりきつかった。
自分に気があるものだと思っている加治木は、会話が止まってしまうことが少し不思議だった。
自分のせいかとも思ったがこのままでは埒があかないと思いとっさに話題をふった。
加治木「唯ちゃんて…、か…」
櫻井「か?」
加治木「か…かわいいよね」
櫻井「…。」
加治木(うわっ、しまった!)
相手を褒めることに固執し、話の流れも無視して率直に言ってしまう。
女性にあまり接しない男子にありがちなパターンである。
それで大抵は場が気まずくなるのだが、
櫻井「そ、そんなことないよ~?もうっ、いきなり何言うかと思ったら~」
大丈夫だった。
加治木「あはは…」
櫻井「なんだか、加治木くんておとなしいけどなんだか一緒にいて落ち着くタイプだよね」
いきなりのカマかけとも取れる発言。
加治木の脳内はこれいけんじゃねムードに染まりつつあった。
加治木「あはは…」
あははしか言えないほどにこういう状況に対する返しが加治木の経験にはなく
経験値の低さを自覚する。
加治木「た、たまに言われる…かな?あはは…はは…」
742 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/11(水) 14:00:26.53 ID:CH4uV.AO
話題を変えることにした。
加治木「あのさ…だいじょうぶだった?ほら、友達が亡くなったりしてさ…」
櫻井「……」
櫻井「泣いてなかったからだいじょうぶそうに見えた?」
加治木「い、いや…そういうわけじゃ…」
すると、明るかった顔が暗くなりどんよりとした空を見上げながら言った。
櫻井「……私ね…悲しいことがいろいろ有りすぎて…なんだろ…、わかんなくなっちゃってるのかも……」
加治木「………」
櫻井「あっ、ごめんね。意味わかんないこと言っちゃって」
顔は再び明るくなり、笑顔に戻った。
加治木にはその寂しそうな顔がこの上なく愛おしく感じてしまった。
櫻井「なんだろ…ほとんど初対面なのにこんなこと言っちゃうなんて…どうかしてるね、私」
加治木「い、いやそんなことないよ。こんな俺でよかったらいつでも悩みなんていくらでもっ、ううん、どんだけでも聞くよっ!」
櫻井は少しキョトンとした後、面白がるような笑みで、
櫻井「ふふっ、加治木くんてば早いよ~。そういうのはもう少し仲良くなってから、ね?」
加治木「あっ…ごめん…」
櫻井「いちいち謝らなくてもいいからっ、ほら顔あげて」
垂れた頭をあげると顔に暖かい光が当たった。
雲の割れ目から溢れ出た日光が地上に差し込みちょうど加治木達がいる場所を照らしているのだ。
櫻井「わぁっ…きれい~…なんだか天使が降りてきそうだね」
加治木は確かに見た。輝く陽光を全身に纏う天使を。
光の輪郭がまるで羽根のように見え、なんだかとても神々しくみえた。天使の存在を少し信じてもいいかと思ってしまうほどに。
加治木「うん…きれい…すごく」
櫻井「それじゃ、私こっちがわだから。ごめんね、急に変なこと聞いたりして」
加治木「あ…うん…全然だいじょうぶ」
加治木(あっ…メアド…。この状況で聞けるわけ…)
櫻井「あっ、そうだ!なんか通り魔について思い出したら連絡ちょうだい。赤外線ある?」
加治木「…もっ、もちろん!」
そう言うと、連絡先を交換してくれた。このときの加治木はまさに天に昇る勢いであっただろう。
櫻井「じゃ、また明日ね」
加治木「うん、バイバイ」
光に照らされ帰る櫻井が見えなくなるまで見ていた。
加治木「…………」
加治木「…いよっしゃぁぁぁっ!!!…死ななくてよかったぁ……!!!」
743 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/11(水) 15:09:31.81 ID:CH4uV.AO
うちに帰ったあと興奮収まらぬ
加治木は、実に3回も自慰して寝た。
それでも興奮は収まらなかったという。
━━━━━━━━
―櫻井家・唯の部屋 15:32
ガチャッ
唯「ただい―」
ナトリー「うわぁぁぁ!!唯のバカバカバカバカ~ッ!!!」ポカポカポカポカッ
唯「なっ、ナトリー!?」
ナトリー「ゔわぁぁん!心配したんだからぁぁぁっ!!」
唯「ご、ごめんっ、だってすごく気持ちよさそうに寝てたから起こしたらかわいそうかなって…」
ナトリー「おごぢてよぉぉっ!ここのお布団気持ち良すぎるのよぉぉ!グスッ…グスッ…」
唯「心配させちゃってごめんね」
ナトリー「グスッ…どこに行ったかわかんないし…もし奴に殺されちゃったとかなったら私…私…魔法もまだ教えてないのに…」
唯「それで…なにしてたの?」
机の上のパソコンがついているのが見えた。
ナトリー「あっ…えっと…オンラインゲームってやつ…いやっ…少しよ!ほんの少し!」
唯「そのわりには結構進んでるけど…ほんとに心配してたの?」
ナトリー「ちゃんと心配したんだからぁぁぁっ!!」
唯「わわかったって!」
744 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/11(水) 16:25:25.90 ID:CH4uV.AO
化学元素とか混合物とかの性質や名前見てるといろいろ面白いね
これはキャラとか能力のネタあんましつかなさそうだわ
意外とギリシャ神話とかから名前とってるのもあるんだね
それにしても…我ながら長い…
携帯で書いてるからそう感じるのかな。。
つーかエロシーンで急にレスついたのは笑った
分かり易すぎだよw
それと…迷ってます。
次章もこのまま名前でいくか
男、女に戻すか…
どうしよう?
745
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/11(水) 21:01:06.48
ID:Ymx8Nlc0
書きやすい方でいいんだぜ!
746
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/11(水) 21:28:57.95
ID:SP1g0ADO
俺は名前ついてるほうが好きだ
747 :
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/11(水) 21:46:36.99
ID:CH4uV.AO
>>745-746
おーけい
名前で行くぜ
749
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/11(水) 22:10:17.59 ID:CH4uV.AO
パソコンの画面には、不気味な人間達がうようよ動いていた。
櫻井「なに…これ…?」
ナトリー「いやっ、たまたま*ネトサーしてたらたまたま見つけて面白そうだなーって…暇だったから」
*ネットサーフィンのことらしい
櫻井「暇…。マグネティック・サーガ…?」
ナトリー「そう、マグネティック・サーガ、今一番熱いオンゲーなんだって。参加人口が約300万人でほぼ課金なしだけど、広告が邪魔なのよね~」
櫻井(なんでそんな詳しいんだろう…)
ナトリー「身近な動物達から神話に登場する動物までありとあらゆる動物を交配、育成して自分に能力として取り込んで戦うんだけどこれがまた中毒性があってね~、個体値があるから強い動物持ってるやつみんな廃人でさ~、それでストーリーがまた熱くて―」
櫻井「ほんとにお金かからないの?」
ナトリー「うん、だいじょうぶ!」
櫻井(……ナトリーがよくわからなくなってきた…)
櫻井「あっ、そうだ!通り魔追っかけた人見つけて聞いてみたんだけど」
ナトリー「おっ、なかなか仕事が早いじゃない」
櫻井「なんかギチギチギチギチ言ってたって」
ナトリー「………」
櫻井「やっぱ嘘だったのかな」
ナトリー「確定ね」
櫻井「…!」
ナトリー「魔族特有の鳴き声よ、興奮したりしたときに発するんだけど…ま、奴ら四六時中ギチギチ言ってるけどね」
櫻井「つまり…」
ナトリー「えぇ…強さにもよるけど、もしそれなりの力なら一般人の手には負えないわ、そうなるとあなたが…」
櫻井「私がやる!」
ナトリー「……、その意気よ!それじゃ早速魔法の練習しましょうか」
櫻井「その前に!」
ナトリー「?」
櫻井「夜ご飯!」
750 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/12(木) 00:01:52.21 ID:gqmYgDUo
唯「・・・・・
のほうがいい気がするのは俺だけかな
751 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/12(木) 10:48:54.10 ID:w8I2zMAO
>>750
自分もそう思います…
752
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/12(木) 12:51:51.59 ID:w8I2zMAO
━━━━━━━
有狩ロイヤルホテル―18:45
有狩ロイヤルホテルは有狩駅に面し
有狩町一高い20階の高層ビルの中にある。
信頼のサービスと、きめ細やかな手配、海外の一流ホテルで腕を磨いたシェフの料理により
世の著名人も度々訪れる。
魔王は階の三分の一を占めるスイートルームにいた。
コンコン
「どーぞー」
ガチャッ
龍造寺「どうやら今日はやつに動きはなかったみたいだよ」
魔王「ごくろ~さん」
魔王はパソコンに夢中で画面を見ながら言った。
だだっ広い部屋の中にある少し大きめな石の机の上には液晶テレビとゲームソフトが無造作に散乱し
並べられたゲーム機はどれも稼動中であった。
テレビには各局のニュース番組が映されているが
昨日とテレビの位置は変わっていない。
龍造寺は魔王の後ろから何をやっているのか覗き込んだ。
龍造寺「なにしてるの?」
魔王「オンゲーだよ。マグサー(マグネティック・サーガ)」
龍造寺「あぁあれね。面白い?」
魔王はうーん…と少し考える動作をして操作を一時中断し、冷蔵庫に冷やしてある農場直送牛乳を飲んだ。
飲み干したあと、龍造寺に向き直り言った。
魔王「確かに面白いかもしれないけど、所詮は電脳空間の冒険さ。結局は現実から逃避するだけのための娯楽だよ」
龍造寺「やっぱり君からみるとそう見えるかい?」
魔王「うん、はっきり言って時間の無駄かもね。何百時間やったところで得られるものはせいぜい換金した数万。冒険するのは自分ではなく誰かがデザインしたキャラクター」
魔王「ゲームが好きな自分が言うのもなんだけど、不毛だよ。逆に言えば、みんな冒険したがってる。誰かと、仲間と、喜びを共有したいってことさ」
魔王「現実が味気なく、荒廃し何の刺激もないときほど人は幻想に憧れて冒険をしたがる。特にこの国ではそれが顕著かもね」
755
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/12(木) 19:22:32.85 ID:w8I2zMAO
コップに2杯目の牛乳を注いだ。
魔王「現実に絶望して非現実を渇望する人がたくさん存在するんだよ…。望むあまり、空想の空間、自分達の都合のいいような世界をヴァーチャルに作りそこで画面の変化に一喜一憂し生物的にも無為な日々を送っているんだ」
そして2杯目の牛乳も飲み干し、
魔王「これは悲劇だよ。原因はいくらでもあるだろうけど、悲劇以外のなんでもない。五感も満足に使えない冒険なんて虚しさを助長するだけだ」
冷蔵庫に牛乳をしまい、再びパソコンに向かった。
魔王「でも、残念ながら冒険する場所はこの世界にはこういうところしかない。海底や宇宙、密林、山岳みたいな極地しかない」
魔王「なら、世界を作り変えるだけさ。ワクワクするような冒険ができる世界に。でも―」
龍造寺「主人公はみんながなることはできない」
魔王「うん。残念だけどそれは仕方がない。しかし主人公になれるチャンスは与えるつもりさ。その世界に適応し魔王を倒す勇者になるか、村人Aで終わるか。それは人それぞれ」
そして魔王はデザートの杏仁豆腐を食べながら言った。
魔王「だが、人々が死んだ目をしニヒリズムに満ちた世界を変えられるなら…それでいい…」
スプーンを加えながら食べかけの杏仁豆腐を銀に差し出し、
魔王「ほら、ここの杏仁豆腐はうまいぞ」
銀は受け取って食べた。
確かにうまい。
龍造寺「フフッ…でも…こんなことを本気で言ってる僕達も相当おかしいよね」
魔王「…言葉を借りるなら…私は間違っているが世間はもっと間違っている。って感じかな」
魔王「世間には僕なんてゲーム脳で妄言癖のクレイジーな理想主義者さ。でもね…世間の常識なんて世界がここと別にもう一つあるという事実だけでほとんど意味を成さない」
魔王「つまるところ世間の常識なんてどれほど信用できないものかってこと。常識を打ち砕いて彼等に現実という悪夢から覚めさせることも僕の野望の一つ。そのとき彼等がどんな反応をするのか楽しみで楽しみで」
756 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/13(金) 05:18:51.00 ID:5gtCRMUo
セクロスじゃない時も支援支援
そろそろ
>>1
のリアルでの結果出てることかな?
757 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/13(金) 11:01:26.99 ID:FSFrqcAO
>>756
落ちた(^O^)
ハイパー浪人タイム
758
:
浪人経験者
[sage]:2009/03/13(金) 15:44:06.71
ID:5gtCRMUo
>>757
お、おおぅ・・。まぁ、がんばれ。
とりあえず言えることは、浪人でも得る物はあるって事と、
6月頃の模試は成績良くて当たり前だから調子に乗らないって事だ。
では、続けてくれ。
759 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/13(金) 20:55:44.60 ID:FSFrqcAO
>>758
うん…。
ま、それなりに前向きに行こうと思う
760 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/13(金) 21:41:28.55 ID:FSFrqcAO
魔王「でもね…、果たしてオンゲーで遊んでいるような人々は突如として現れた彼等が望むような非現実に適応することができるか?答えは限りなく否」
魔王「彼等は悲しいかな、人間が本来持つ純粋な冒険心、好奇心をヴァーチャル世界の冒険に依存してしまい、三次元的な冒険に出たがらなくなってしまった。全員ではないけど」
魔王「それは別にネットが悪いとかゲームが悪いとかじゃない。みんな待っているんだ…変化を……ただの受動的な彼等だが…待ってる…チャンスを……」
魔王は時計をみた。
魔王「あっ、ごめん。話過ぎたね」
龍造寺「ううん、全然構わないよ」
魔王はパソコンの電源を落とした。
魔王「そういえばあの彼等は?今解起魔法の練習してるんだけど」
龍造寺「あぁ、今日はちょっと警察の量が半端なくてとても近づけなかったよ…職質二回されたし…」
魔王「ふーん、ま、いーか。まだ時間はあるし。でも…今日(事件が)何も起こらないってのは考えらんないなー」
龍造寺「さすがの怪物くんもムリだったんじゃないかな?」
魔王「いーや、もし君が朝も夜も道や外で襲えないならどうする?」
龍造寺は少し考え、
龍造寺「………。夜にターゲットの家に忍び込むね」
魔王「うん、その通り。警察も家の中に張り込むことはできない。擬態もしくは飛び抜けた身体能力を有するならば家に忍びこむのは朝飯前、夕飯後。」
龍造寺「でもそのターゲットを決定するのはどうするんだい?さすがに昼間うろうろして物色するのはまずいでしょ」
魔王は机に置いてあるノートパソコンを引っ張り出し、
あるサイトを開き指を指した。
魔王「実は昨日真鍮高校と緑青高校に空き巣が入った。警察が不安の拡大を恐れてまだ表沙汰にはなってないけど、十中八九生徒の個人情報が盗まれたと思う」
761 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/13(金) 22:39:41.69 ID:FSFrqcAO
このサイトはどうやら警察のデータベースにハッキングしたものらしい。
龍造寺「なるほど、じゃ、生徒の住所は筒抜けということか」
魔王「そゆこと」
2杯目の杏仁豆腐に取りかかった。
魔王「もし、そんなことがバレたらこの町は大混乱。日本の戦後最悪の通り魔は見事、今世紀に名を残す恐怖の大量殺人鬼に昇華して市民は夜も眠れず」
龍造寺「彼女がターゲットにされたらめんどくさいことになるのに余裕だなぁ」
魔王「んまぁね。さーて、デザートも食べたことだしひとっぷろ浴びて寝るとしますかぁ」
魔王「あっ銀、後でマリオカートやろう」
龍造寺「はいはい」
――――――
かくして魔王の言ったことは現実になった。
その日の深夜…
満月輝く星空のもと寝静まった住宅街
月明かりで視界はぼんやりとであるが開けていた。
そしてある高層マンションで事件が起きる。
女性の悲鳴が閑静な家々の屋根に響き渡った。
110の通報を受け付近をパトロール中の警察官2名が現場に急行した。
通報したのは女性の親であった。
現場に駆けつけた警察官はマンション五階の女性の部屋に入ると
そこにはベッドに仰向けのまま頭にナイフが突き立てられた女性の遺体があった。
死後数分、凶器はサバイバルナイフ。窓には鍵がこじ開けられたあとがあったが
部屋を荒らされた形跡も犯人の体液もなかった。
殺害されたのは地元の真鍮高校に通う二年生の女子生徒で
今日は通り魔を恐れて学校には登校しなかったらしい。
母親が悲鳴を聞いて部屋に駆けつけたときにはすでに
娘は血を流し死んでいた。
平穏だった町は一転して
死と隣り合わせの地獄と化した。
762 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/13(金) 23:00:16.13 ID:FSFrqcAO
少し時間を戻す。
━━━━━━━━
櫻井家―20:13
夕食の母が作った手作りハンバーグを食べて満足した唯。
部屋に戻ると、なにやら部屋が少し青くなり
ミントのような香りが立ちこめていた。
部屋の真ん中には円が描かれ中央にナトリーが正座して待っていた。
ナトリー「どうっ?すごいでしょっ?」
唯「これはっ!?」
ナトリー「青は生命の色。人間の心を静め、魔力をちょっぴり強めることができるの」
唯「この匂いは?」
ナトリー「魔力の匂いよ。ちょっと強めに匂いつけてるけど」
唯にはどこか懐かしい匂いのように感じられた。
ナトリー「さっ、円の中央に座って!正座でもなんでもいいわよ」
唯は言うとおり正座で座った。
確かにこの部屋に入った時から心が鎮まってきたような気がする。
ナトリー「え~コホン…、それじゃまずは魔法というものについて説明しながら順に思い出していってもらおうかしら」
唯「はい先生」
ナトリー「よろしい」
ナトリーはどこからともなく絵本を持ち出し広げた。
765
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/14(土) 15:03:53.83 ID:QaF07YAO
ナトリー「まずは魔法の基本的なこと。魔法とは言ってもこの世界に俗に言われる魔法という意味とは少し違うわ」
ナトリー「この世界では魔法と言えば何でもできる便利な呪文によるものが一般的かしら。まぁ大まかに言えばそうなんだけど」
ナトリー「でも魔法というのはこの世界の万物の法則をねじ曲げるようなことは基本的にはできない。例えば無から有を生み出したり、有を無に変えたり。それができるものはまとめて禁呪と呼ばれているわ」
唯「できるんだ?」
ナトリー「うーん…、でも術者が相当な力を持ってなきゃいけないし、それがあっても術者に多大なダメージがあるのは確実よ」
ナトリー「例えの話をまた使うけど、有を無にするのも無から有を生むのも一応万物の法則からは理論上できるわ、でもそれには莫大がエネルギーが必要だからまずは不可能ね。とにかく無茶なことはできないと覚えておくといいわ」
767
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/15(日) 19:24:45.48
ID:Enz2ScAO
唯「ふんふん」
ナトリー「簡単に言うと魔法とは術者のエネルギー、つまり魔力を媒体にして万物の法則の範囲内で起こり得る事象を魔力を使うことによって具現または発生させ」
ナトリー「さらに術者の意思を加えることにより様々な事象を思い通りに変化・操作することができることを言うの」
唯「………」
唯は混乱している…!
ナトリー「………。つ、つまりね、魔法って言うのは魔力を使っていろんなことができるってこと」
唯「…わかった…多分」
ナトリー「アトムでは魔法というのは歴史的、世界的にみても主に戦闘に使われることが多いの。この世界では便利な魔法使いが現れてチャッチャ~って感じだけど」
ナトリー「…アトムでは戦争で使われることが一番多いわ」
唯「……つまり…相手を…」
ナトリー「そう、殺傷手段に使われる呪文が一番多くて、次に守護の呪文が多いの」
ナトリー「この世界だって科学技術を殺傷手段や戦争に使ってるじゃない、同じことよ」
唯「それじゃあ私も…相手を?」
ナトリー「うーん…。人を殺すか殺さないかはその時になってあなたが決めることね。ただ、アトムではそんな個人のエゴや思想や信念を貫くにしてはちょっと厳しい世界かもしれないけど…」
唯「………」
ナトリー「と、いうわけで、魔法にはそれぞれ特徴があり、大きく分類されています。」
769
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/15(日) 19:45:38.07
ID:Enz2ScAO
指をおりながら、
ナトリー「主に、攻撃・守護・増強・回復・操作・特殊、の6つね」
唯「そんなに!?」
ナトリー「細分化したらまだあるわよ。そうねぇ…基本的な魔法で600種類ぐらいね…禁呪や個人のものも含めると軽く3000超えるわ」
唯「そんなに…お、覚えられるかな…」
ナトリー「あ、ムリムリ。魔法使人の上に大魔法使人っていうさらにすごいのがいるんだけどその人達でも60がだいたい限界。たまーに変態がいて70、80いくけど」
唯「へぇー、じゃそんなに覚えなくてもいいんだー」
ナトリー「ダメダメ。たくさん覚えたほうが戦闘でも有利だし応用も利きやすいわよ」
ナトリー「さらに、魔法使人としての習熟度が増していくとなんらかの特殊能力を得ることがあるわ」
唯「とくしゅ…のうりょく?」
ナトリー「えぇ、基本の魔法の他に特別な能力をね、それは血統だったり環境だったりで個人個人で異なるけど」
770
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/16(月) 18:54:02.65
ID:Z064jIAO
風邪ひきました…
少し休みます
772
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/16(月) 19:51:19.53
ID:CNZFyEc0
>>770
無理すんなよ
773
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/16(月) 21:22:30.40
ID:xvAHlL2o
>>770
お大事に
774
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/18(水) 22:28:37.78
ID:P4VamsAO
一時は死ぬかと思いましたがなんとか回復しました。
また再開します
775
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage saga]:2009/03/19(木) 01:09:58.95
ID:PMq/d6AO
>>774
お帰りなさい、無事で何よりです
支援
776 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/19(木) 15:54:23.45
ID:tXyuvYDO
>>774
お帰り
777 :
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/19(木) 23:04:01.62 ID:Ea4nWgAO
ナトリー「持つ人もいれば持たない人もいる。種類も千差万別。この特殊能力をコランダム、古くは皇玉技(こうぎょくぎ)と呼ばれ魔法使人の必殺技として戦闘に使用されてきたの」
ナトリー「魔法使人同士の闘いだとこれで決着が着くこともあるくらいよ」
唯「…私は…その、コランダム…ってのだとどんな能力なの?」
ナトリー「手っ取り早く簡単にわかる方法があるわ」
唯「?」
ナトリーは座る唯の周りをヒュイと一回りした。
ナトリー「それはね…わ・た・し♪」
ナトリー「あなたが私を具現化したときの色。青ってことは回復の系統に強い素質を持つことを意味してるわ」
ナトリー「そして青はさっきも言ったとおり魔力を強める色。あなたのコランダムはおそらく回復か増強によるもの。基本の魔法もその系統に伸びやすいはずよ」
唯「え…でもナトリーってもともと青だったんじゃあ」
ナトリー「……?え?」
唯「ナトリーが最初に私の夢に現れたとき…あんま覚えてないけど青色だったよ、ぼわーっと」
ナトリー「…でも私はあなたが想像した形をこの世界に現したときに初めて色と姿が定まるのよ」
唯「え…。でも私の夢に現れたナトリーの姿をそのまま具現化して…」
ナトリー(……最初から私の姿を見ていた…!?………どうして私が遣わされたのかなんだかわかってきたわ……)
ナトリーは少し黙った。そして
778 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/20(金) 21:45:09.90 ID:y0QvhsAO
設定考えてたら時間かかった。。。
779 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/20(金) 22:22:55.92 ID:y0QvhsAO
ナトリー「そ、そうねぇ。たまにあるんだって!そう言うの。私の姿形が最初からそう見えてたのが本当なら…あなた…いえ唯ちゃんは…将来相当に使い手になれるかもしれないわ」
唯「とりあえず…すごいってこと?」
ナトリー「えぇ。…とにかく話を戻すわよ。魔法使人の魔力の系統はさっき言った6つ。これを簡単に知れるのが私達祖龍子を使うことであって他にも方法があるんだけど、それはまた今度」
ナトリー「どの系統に伸びるかは完全に個人差。遺伝、環境、使人の師や決まる時の心境などありとあらゆることによって定まり、また、段階を踏んでいくうち環境の変化などによって他の系統に変わることもあるの」
別の絵本を取り出した。
六角形の形に六色の色が塗られている。
ナトリー「唯ちゃんの青はさっきの回復・増強。完全なる後方支援型タイプ」
(図)
守 操
|\(赤)/|
特―(黄) (紫)―回
\ /
(白) (青)
/ \
攻―――(緑)―――増
ナトリー「この図を見てもらえばわかると思うけど、隣の紫は回復を青と同じく一方に持っているわ。でも青とは違って操作系統にも秀でている。つまり後方支援をしつつも何かを操作できるの。青よりかは戦況に与える影響は大きいわね」
ナトリー「赤は操作と守護に秀でてるわ。これは完全に守りのタイプね。黄は守護と特殊…トリッキーな感じの人が多いわ、守りつつ何かやらかすようなタイプ」
唯「えと…回復とかはわかるんだけど、特殊って何?」
780
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/20(金) 22:24:22.88 ID:y0QvhsAO
ずれた…。
携帯でAAは無理だな
確認しないと
781 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/20(金) 22:31:46.43 ID:y0QvhsAO
守 操
|\ /|
| 赤 |
特――黄 紫――回
\ /
\ /
白 青
| 緑 |
|/ \|
攻 増
どうだ。
なんかハンタの念能力っぽくなってしまったけどしょうがない
我が道を往く
785
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/20(金) 23:10:47.73
ID:PshH.tIo
守 操
|\ /|
| 赤 |
黄 紫
/ \
特 回
\ /
白 青
| 緑 |
|/ \|
攻 増
勝手に修正したが、こんな感じか?
786 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/20(金) 23:21:53.45
ID:y0QvhsAO
>>785
ありがとう
そんな感じです
んでうpしました
http://imepita.jp/20090320/839930
色までつける暇はないですが
788
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/20(金) 23:45:50.17 ID:y0QvhsAO
ナトリー「特殊は…ほんと特殊、例外、その他って感じよ。例えば…そうねぇ…、相手の系統の色を変えちゃう魔法とか特殊かもね。でもこれ結構微妙なのよ、区別も曖昧な魔法が多々あって攻撃でもあり微妙に回復とかあったりであやふや、テキトーでいいのテキトーで」
ナトリー「その内なんとなく分かってくるとは思うから安心して」
唯「う…うん…」
ナトリー「えっと…どこまでいったかしら…」
唯「黄色」
ナトリー「そう、で、白は攻撃・特殊型。一番厄介な相手と思った方がいいわ」
唯「どうして?」
ナトリー「何をしてくるか読みにくい上に、攻撃魔法も得意となると防戦一方。しかもなんらかの方法で防御を破壊してくる可能性もある特殊も持ってる。厄介ね…」
ナトリー「白はこの中でも異色でしょ?だから本当に特別。魔法使人の数も6つの中で一番少ないわ」
ナトリー「そして緑。完全なるパワータイプ。攻撃と増強を兼ね備え、パワーをあげてアタックすると6つの中で一番の攻撃力を発揮できるわ」
ナトリー「とまぁこんな感じね、あ、でも属性効果みたいなのは別にないから。何々に何々が効くとかそんなんないわよ。でも…例えば緑と赤、どっちが有利だと思う?」
唯「うーん……赤?」
ナトリー「どうして?」
唯「…もし赤に翻弄されて、さらに守りも強化されたら緑はどうしようもないから…かな?」
ナトリー「御明察。やるじゃない。緑は赤に攻撃できないような状況を作り出されたらそこでおしまい。手のうちようがないわ。もっとも、相手の守りを打ち砕くような攻撃なら話は別だけど」
789 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/21(土) 00:02:21.70 ID:c6z8WYAO
ナトリー「というように魔法の系統によっては有利不利に働くことがあるの。別に緑が弱いとか言ってるんじゃなくて、ほんの一例。術者によっては緑のほうが有利になることもあるんだから、わかんないわ」
唯「へぇー…なんかすごい。でも…私が青だとしたら他の魔法は覚えらんないの?」
ナトリー「その質問は話を聞けば普通に思いつくわね。もちろん他の系統の魔法も覚えられるわよ。ただ、やっぱり系統にあった魔法の方が覚えやすいし威力や効果も増す。違う色だから覚えにくいとかないけど、あんまり違うと効果も薄くなるわ」
ナトリー「そして魔法を行使する上で大事なことがもう一つ!!」
ナトリー「青は魔力を高めるって言ったけど、それはそれで別に、術者のいる環境によって魔力の高まり方が違うのですっ!」
ナトリー「例えば青。青系統の術者は青空の下にいればそれだけで魔力が増すの!」
ナトリー「紫は夜の闇夜、赤は黄昏時の空の赤、黄は大地に、白は月夜(満月や黄色の月は覗く)、緑は緑地(森林など)にいるだけで魔力が高まったり強まったりするのよ!個人差もあるけど、これが勝負の勝ち負けに影響を及ぼすことだってあるんだから」
唯「しつもーん。赤って不利じゃないですか?」
790 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/21(土) 14:42:26.86 ID:c6z8WYAO
ナトリー「そうね、でもそうとも言えないわ。魔力が強まる時間が長ければそれだけ高くなる大きさも小さくなる。例えば全部で100、魔力が環境によって高まるなら」
ナトリー「青はだいたい日中10の高さを維持したまま長い時間で全部で100になるけど、赤は夕方の短い時間で一気に100になる。この時の赤は要注意ね」
ナトリー「しかしこれも個人差があったりコンディションで変わるから…まぁ全体的に見るとこういうような変化を系統によって及ぼす傾向があるってこと」
唯「周りの色で高まり方が違うってこと?なら周りを自分の色にしちゃえばいいんじゃ」
ナトリー「そうね。でもやっぱり自然の色が効力をもっとも引き出すのも事実。作られたら環境での効力は微々たるものよ。他に特殊な例もあって満月の日や見え方によって黄色に見える月の日は」
ナトリー「黄の力を増すことができる。逆に白は力が増えない。そして晴天じゃなく曇りの日になれば青の力は増えない」
ナトリー「つまり天候や状況によって色の加護を受けらんなくなることがあるから注意よ」
ナトリー「と、ここまで色について説明したけど、結局は環境の色は大勢に影響を与えられるほどの力があるかはわからないわ。だから過信しすぎず油断しすぎずが肝心ね」
唯「は…はい、先生」
ナトリー「ここまでで何か質問ある?」
唯「うーん…」
ナトリー「思いついたらまた言ってね。それじゃ簡単な技から入っていくわよ~。前みたいに手を少しあげて手のひらを上に向けてね」
791 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/22(日) 20:10:16.32 ID:90m6lcAO
言われた通りに手を挙げた。
すると手のひらの表面から何かが弾ける音とともに小さな青い光が発光し
ついには閃光花火のように弾けだした。
唯「うわぁ……なんだか…すごい……きれい…」
ナトリー「これがあなたの体内にある魔力を外に放出した時に出る魔法の素よ」
ナトリー「もう私が助力しなくてもいいほどに唯ちゃんの体内には魔力で溢れてるってことね、この部屋にある増幅環境もあいまって」
唯「…………」
―――――――
………………
………
「お父さ~ん!できたぁっ!できたよぉ!」
「ほんとかっ!?見せてみろ」
「………やぁっ!」
パチパチッ
「おぉっ!すごいじゃないか!これで魔法が覚えられるな!」
「えへへ…もっと練習してもっともっと…バチバチってなるくらいまでやるから!」
「はははっ!楽しみにしてるぞ!」
……………
…………
―――――――
唯「…………」
ナトリー「それじゃあ次に……ん、どうしたの?」
唯「なんだか…懐かしくて…」
唯の目には少し涙が溜まっているようだった。
ナトリー「…………。これからは…あんまり…懐かしさにとらわれてちゃダメよ…?辛いだろうけど…」
唯「…うん…大丈夫…多分…、だから……、次はどうしたらいいかな?」
792 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/22(日) 22:22:58.31 ID:90m6lcAO
うぁー
3月中に終わりそうもねぇー
4月までに三章終われればいいな…
793 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/22(日) 23:21:25.20 ID:90m6lcAO
ナトリー「……、えっと、まずは基本中の基本の攻撃技。一応緑に入る魔法なんだけど、『ヴァル』っていう魔法。発音はバルでもいいわ」
ナトリー「その魔法の素を手のひらの上で集中させ安定するように球状にし、膨らませ爆発させる技よ。応用も効くし習得も容易、安定して使える攻撃魔法ね」
唯「こ…こう…?」
すでに唯の手のひらには小さいものの青い光の玉ができあがっていた。
ナトリー「は、はやっ…説明するまでもなかったわね…」
唯「なんか…やっぱりどこかでやったような気がする」
ナトリー「それなら話が早いわ。どんどんやってきましょっ」
唯「……ね、ねぇ!これどうしたらいいかなっ!?どんどん膨らんでるんだけど」
野球ボールほどの大きさになっていた。
ナトリー「…わ、わ…!ここで爆発させちゃ…!ヴァルって言っちゃダメよ!発動しちゃうから…!」
唯「え…バルって―」
バンッ!!!
…………。
風船が破裂したような音とともに唯の体は飛ばされ壁に激突した。
唯「いたた……。な…ナトリー…?」
唯が辺りを見回して上をみるとナトリーは天窓に張り付いていた。
そしてひらひらと落ちてきた。
ナトリー「………いてて……魔力を体内に戻す方法まだ言ってなかったわね…」
唯「だ、大丈夫?」
ナトリー「だいじょうぶだいじょうぶ。でもまだ初心者レベルだから良かったわ。熟練者になるとこの部屋吹っ飛ぶから」
唯「え…」
794 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/23(月) 16:02:56.14 ID:LR1AgoAO
ナトリー「それほど魔法と言うのは危険なの。でもヴァルだと人を致死にまで至らしめるまでにはいかないわ。せいぜい相手を目くらまししたり気絶させるのが関の山よ」
唯「…」
ナトリー「それで…、体内に魔力を戻す方法だけど…、やり方は簡単」
ナトリー「魔力を手から入るようにイメージするだけ。基本的に魔力の出入り口は手のひら、手は神経が集中しているからそれだけ気の出入りが多いの」
ナトリー「さ、やってみて。手から出ている魔力を手の中に染み込むようにイメージするだけ」
唯「うん」
目を瞑り、水を掬うような手の形にし、言われた通りのことをイメージした。
すると手に温かく小さな圧力がかかり
血液が脈打つのが強く感じられるようになった。
唯「スゥ~……ハァ~……」
ナトリー「さすが、やったことがあるだけはあるわねぇ。普通ならこれをマスターするのに1ヶ月はかかるのよ」
唯「……なんだか…手が暖かくなったような…」
ナトリー「言わば魔力の入出力は血液の循環みたいなもの。出し入れすることによってエネルギーは減っていくけど血液のように暖かくなるってわけ」
ナトリー「そしてこの出し入れの方法を応用すればたとえ術者の魔力の体内保有上限が低くても体外に魔力をなんらかの魔法でストックすることによって上限以上の魔力を持つことできるようになるわ」
唯「ほぉ…」
ナトリー「んまぁ、これも一例。できる人もいればできない人もいる。それなりの実力までいけば自分なりの応用術で相手との差をつけることが重要になっていくでしょうね」
クラッ…
唯「あ……」
ナトリー「大丈夫?」
唯「ごめん…少しめまい…が…」
ナトリー「やっぱり心魂は魔法使人だったとは言えこの体で急に魔力を使用したからね…。」
唯「……う……大丈夫…」
ナトリー「そうね…、思ってた以上に習得は早そうだし、今日はもう休みましょっか」
唯「……う…うん……、でも…できるだけ早く…しなきゃ」
ナトリー「体壊したら元も子もないわ。今日はもう寝て明日やりましょっ」
唯「わかった…」
795 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/23(月) 20:46:02.19 ID:LR1AgoAO
――――――
唯「おやすみ~…って、まだパソコンやってるの?」
ナトリー「あー大丈夫大丈夫、すぐ終わるから」
唯「そう…じゃ私もう寝るから。電気消すよ?」
ナトリー「うん。おやすみっ」
カチッ
ナトリー「………」
ナトリー(正直…彼女はわたしの予想を超えていたわ…。才能云々の前に、何かおおきな物事がこの子を中心に動き出しそうな気がする…漠然としたものだけど…)
ナトリー(この子の代で世界の統一が訪れるのかしら…、その時は…祖龍子が…)
ナトリー(………)
ナトリー(あっ♪レアアイテムGET♪)
――――――
深い…眠りの中…唯は再び悪夢を見ていた。
目を凝らしても見えないような
真っ暗闇にぼうっと何かが浮かんでいる
どこかで見た鉄の仮面
鎧が軋む音と共に若い男の声が聞こえた。
「………憎いかい?私が…」
「憎いなら…私を殺しに来なさい……」
「私は……君が欲しいんだ…あぁっ……欲しいっ!…欲しいっ…!」
唯「わ……ぁ……いやっ……」
男の手が唯の腕を掴んだ。
凍ったような冷たさ。見ると闇の中なのにはっきりと見えた。
男の腕は血まみれであった。
唯「いやっ!離して!!」
「離さないよ…でも…こうして君の夢に出られるのは今日が最後……私が殺した君の母親の防御陣が…魔力の高まりで復活したんだ……」
「そろそろ私の指先が…君に届く……でも安心して……君は殺さないよ……」
「もし…君が私の手を…振り解く力があるなら……君は…私を殺しにくるといい…歓迎するよ…」
796 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/23(月) 20:58:30.60 ID:LR1AgoAO
「……君は……私の…覇業に…必要なんだ…いや…それだけじゃない…私は…君を……あっ」
男の握力が急に弱まった。
その瞬間を見逃さず、唯はとっさに腕を振り解くとその場に倒れ込んだ。
「あっ!!あ゙あ゙あ゙ぁっ!!!」
「きっ…がっ……大……魔法使人…だ……と…くっ…あぐ…!」
唯は呆気にとられた。
急に男は頭を抱え苦しそうに悶えだしたのだ。
尋常ではない断末魔を発しながら。
「私はっ…君…をっ……」
バチィッ!!
一閃の閃光のあと…辺りは明るくなり
さっきまではっきりとしていた夢は朧と化した。
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797 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/23(月) 21:29:57.57 ID:LR1AgoAO
ハロゲン市より北東約30kmの地点━ランタン郡―キポの町とダダラク町の間の宿場町
アルゴン率いる約1000騎の部隊はベンゼンへの凱旋のため
ランタン道を通過する途中、休憩のために宿場町で休憩をとることにした。
日は天井にありアルゴンの予想では夕刻までにはランタン城に入城できるだろうと踏んでいた。
町長から馬草の援助がありアルゴンが外で馬達に食事をとらせていると、
後続にいたクロムが斥候を連れてアルゴンのいる休憩所にきた。
クロム「斥候兵の話ではランタン城に軍備をしている気配はないとのことですが」
斥候「はい、アルゴン様を迎え撃つような気配はありませんでした。街道も一応注意して見てましたが伏兵を配している様子もなく、軍の気配は全くないといってもいいかと」
アルゴンは自分が乗る白馬に馬草を与えながら話を聞いていた。
その顔には微妙に疲れが浮かんでいるようだ。
アルゴン「…ランタン城の郡太守はそのようなことをするような者ではないとはわかってはいるが…無用な詮索であったな」
アルゴン「よし、今日中にはランタン城に入るぞ。城に通達はしてあるな?」
斥候「はっ、使者はすでに城内に。生存も確認しております」
アルゴン「ご苦労だった。少し休んだあとプルト城にも偵察に向かってくれ」
斥候「御意」
タッタッタ………
798 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/23(月) 21:41:06.97 ID:LR1AgoAO
というわけで三章は本編にも少し触れてゆきます。
地理がわからないと思うので
http://imepita.jp/20090323/777110
以前上げたハロゲン市周辺の地図とともに参考にしていただけたらと。
え?三章また長くなるって?
いや…もともとこうするつもりだったから…
遅筆で文才も乏しいですが読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
799 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/23(月) 21:45:35.52 ID:LR1AgoAO
イメピタ一枚ずつしかあがらんのか
http://imepita.jp/20090323/781750
http://imepita.jp/20090323/781990
ランタン城周辺を総じてランタン郡といいます。
今のところハロゲン市は含まれていません。
800
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/23(月) 21:51:42.61 ID:LR1AgoAO
北東30kmではなく50kmの間違いでした
それにしてもパー速重い
「matome10」をウィキ内検索
最終更新:2009年09月24日 15:43