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matome11
801
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/03/25(水) 21:40:52.88
ID:Wd2dnoAO
アルゴン「………自分の領国でさえ斥候を配し臆しながら動かなければならぬとは……フッ…情けなくなるな…」
クロム「…心中お察しいたします…ですが、皇子のお命を狙う者が中枢内部にいる可能性がある以上、慎重になるのは仕方がありません」
アルゴン「わかっている…。だが、常に疑念を抱きいつ敵が襲いにくるかを考えなければならないのは、やはり気持ちのいいものではないな」
ハロゲン市での戦で、帝国高級官直属の隠密部隊が撹乱行動を起こした事実は
アルゴンの身辺の危機をうかがわせるものであった。
理由がどうであれ、皇族の暗殺を画策する反乱分子が帝国中枢にいる可能性は高い。しかも、それなりの地位につくものである。
もし、反乱分子に内応する太守がいて、伏兵でも伏せていようものならば
戦後の疲弊した部隊ではおう殺される可能性がある。
まして、寝込みを襲われれば抗えるものではない。
全ては疑心の仮定ではあるが、慎重にならざるをおえないのである。
アルゴンの頭の中には、ずっと父コバルトの老け衰えた顔がちらついていた。
もし、父が自分達兄弟を殺すことを画策したなら…想像するだけで怖かった。
死の恐怖よりも、父に見捨てられて殺される恐怖の方が勝っていた。
もしそうなら理由は、と、心当たりがないわけではない。
新しい正室との子供…、父はその子を溺愛していた。
―溺愛している我が子を帝位継承の位に据えるために前妻との子、アルゴン、ニッケルが邪魔になった。
実に分かりやすい動機である。
むしろ分かりやすすぎて認めたくないほどだ。
アルゴンはそれは違うと思えば思うほど、この可能性の現実味という無機の物質に血の巡りが出てくるような気がしてきた。
何を信じていいのかわからない。
だが、今は死なずにベンゼンへ凱旋することが第一である。
ベンゼンに入城さえすれば、相手が手を出すことはほぼ不可能になる。
故に、もし暗殺をするならばベンゼン凱旋前に行うであろう。
アルゴン「クロム、あの三人はちゃんとついてきているか」
クロム「はい、最後尾に。確認してあります」
アルゴン「…もし何かがあったときのために、彼らについていてはくれないか」
クロム「……。それでは皇子を誰が…」
アルゴン「私は大丈夫だ。そんな簡単には討たれはしない。しかし、もし彼らに何かがあれば……わかるな?」
802 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/26(木) 00:22:22.29 ID:kqJ5y6AO
クロム「…………」
クロム「わかりました。ですがご自重ください」
アルゴン「あぁ…、だから安心しろ。伏兵はいないんだ、それに…」
アルゴンは微風が吹き始めたのを感じ空を見上げた。
西の方の空の雲行きが怪しい。
アルゴン「…嵐が来そうだ。日没までにはランタン城に入る。もう出立をすると各々に伝えてくれ」
クロム「はい」
ランタン城は平野のほぼ中央、ランタン道を遮るようにそびえ立つ都市要塞である。
ランタン郡の郡市であり、街道の宿場町、さらには肥沃な土地に囲まれ
ここ数十年で発展に発展を重ねる都市に成長した。
北にプルト要塞、東にキガポルト城とアルケン山脈、西にイオン海、南にハロゲン市があり
"殻に包まれた食糧庫"と呼ばれる。
803 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/26(木) 20:14:17.39 ID:kqJ5y6AO
前述したように男、女の名前をやめて
新たに個人名をもって進めようと思います
その名前で今まできたという前提でいきます
804 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/27(金) 00:12:31.56 ID:N5McGgAO
これは多数のアルケン山脈より流れる河川によりできた平野と
安定した気候の影響もあり、毎年多くの穀物が栽培できることにも由来し
穀倉地帯として長年近隣諸国に狙われ続けてきた。
「そのために、この土地をめぐって多くの血が流されたわ」
「昔はこの狭い土地に小国家が乱立してランタンの覇権を狙ってたんだけど」
「10年ほど前に南下してきたアボガドロ帝国の侵攻軍により小国家群は瞬く間に平定…されるはずだったんだけど」
「それまでは*中原とランタンは分国の凱塞、プルト要塞によって分断されていたの」
*ベンゼン周辺の広大な平野地帯
「もちろん侵略者に対して小国家郡も黙っちゃいない。各国一致団結し、大十国の一部の国からの援助もあって攻城二年、損耗三万人。まさに帝国にとっては国家財政を傾けるほどの総力戦だった」
「結局は海軍も動員して陸海からの包囲とおびただしい犠牲により、小国家郡の王族の助命を条件に開場」
「それほどまでにして欲しかったこの殻に籠もりし食糧庫はアボガドロ帝国飛躍に不可欠だったのよ」
カジ「へぇ~リンさんて博学なんですね」
リン「私子供の頃から史学とか習わされたから。それもあってこういう歴史には結構興味があるのよ」
805 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/27(金) 00:14:38.44 ID:N5McGgAO
覇権を狙ってたんだけど×
覇権を狙ってたの○
推敲してませんでしたすいません
806 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/27(金) 00:47:50.32 ID:N5McGgAO
クロム「そしてそのあともプルト要塞は増築に増築を重ね、かつての規模の二倍にも膨れ上がり、今では帝国の重要拠点として郡市に昇格。付け加えるとしたらこれぐらいでしょうか。それにしても博学ですね」
シアン=女「リンさん、もっと面白い話聞かせてください!なんか興味出てきちゃった」
整備された幅11mほどの街道を進みつづけ約10時間ほどであろうか。
ハロゲンでもらった馬と積み荷台に乗り続けのらりくらりと目指すはランタン城。
右には手を広げても包みきれないような広大な平原と山頂が少し白く連なるアルケン山脈。
左にはこれまた両手ではあまりそうなくらい広い海原。
最初は壮大な景色に感動し、見飽きることはないと思っていたが
ついには飽きて暇になり前で手綱をもつリンさんに色々な話を聞いていた。
そのあとクロムが三人に同行すると言ってきたので馬を並べて進むことになった。
リン「確かランタン城は環濠都市だったはずですよね。籠城するとなったらどれくらいもつんでしょうか」
クロム「えぇよくご存知で。周りに深い水堀を敷いてあります。都市ですが籠城するとなっても三万の兵を一年持たすことができるほどの食糧が蓄えられおり、また街道が整備されているので他の城とも連携が容易です」
リン「もし…、タンタル方面からの侵攻がありキガポルト城が陥落した場合はランタン一円が蹂躙される可能性があるけど?あそこが突破されたら―」
クロム「その点でしたら―」
シアン(あ…また二人の世界に入っちゃった…)
807 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/03/27(金) 17:53:40.75 ID:Drapzdk0
過去話はいったんお預けか
808 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/27(金) 18:39:45.40 ID:N5McGgAO
>>807
まぁ一旦は
すぐに戻ります
三章は現在過去→現在→過去→現在(今ここ)→過去とするつもりです
809 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/27(金) 21:18:51.22 ID:N5McGgAO
カジ「そういえば…フラーレンだっけ?もしベンゼンにいなかったらどうする」
シアン「えっと…その時は…どうしよっか?」
カジ「世界を統べる者の居場所もわかんないし、しかも見知らぬ土地だからなー…あんまり下手に動かないほうがいいかもなぁ」
シアン「そうだね。フラーレンさんと世界を統べる者の情報を一緒に探した方がいいかも」
カジ「でも……一体いつまでこの景色続くのかなぁ…さすがに飽きた」
街道を行軍する列の脇には行商の一行や荷馬車を引く農民などが忙しなく行き交っていた。
ある者は鎧を着て帯刀し、ある者は着飾り、ある者は薄汚れた布を纏っていた。
カジ「すごい人が通るんですね、この道」
クロム「もちろん。ベンゼンとハロゲン、大十国を繋ぐ大動脈だから。今日はでもまだ少ない方。たぶん戦があったからでしょう」
シアン「でもでもさっきから気になってたんだけど、こういう国の偉い人が通るときって普通脇を通る人はひれ伏したりしないの?」
クロム「この国ではそれをしなきゃならないのは現皇帝陛下だけ。さすがに行軍する隊を邪魔したりしたら問答無用で斬られるけどね」
クロム「これは陛下が絶対権力を有し他は例え皇族だろうともそこまでの権力は有さないことを暗に意味しているの」
シアン「へぇ~………ん…?」
パァーン!パァーン!
リン「銃声!?」
カジ「も、もしかして敵!?」
クロム「いえ、ここから遠いわ。中隊長構わず行軍して、私が見てきます」
中隊長「はっ」
810 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/28(土) 22:44:14.01 ID:CL/zxMAO
三人は辺りを見回し銃声の発声源を探した。
クロムの進む先を見ると、街道からだいぶ離れた小さな農道で、
隊商が何人かの騎馬に取り巻かれているのが見えた。
隊商の一隊は粉塵を巻き上げながら荷馬車と共に遁走し、騎馬達と戦闘しているようだ。
リン「あれじゃないかしら」
カジ「うわっ、よくあんなん見えますね」
パカラッパカラッ…
伝令「中隊長殿!今の銃声は我が隊を狙撃したものではない模様。よって予定通り行軍を続けよとの由です!」
中隊長「了解した」
シアン「で、でもクロムちゃん行っちゃったわよ!?」
中隊長「あぁ…これはしまったな…、誰かクロム殿を―」
リン「隊長さん、私達が連れ戻してきます!カジくん、シアンちゃん!しっかりつかまってて!」
パシィッ!ガタッ!ガタガタッ!
中隊長「ちょっ…!あぁっ!」
リンは握った手綱で馬首の方向を転換し、街道を一気に外れ
小さな小道に押し入りクロムの後を追いかけた。
ガタガタガタ!
カジ「リンさん…!い、いきなり…ぎゃ!舌噛んだ!」
シアン「り、リンさんっ!ここは兵隊さんに任せた方がっ!」
リン「見えなかった?取り巻きの騎馬さん達はなかなかの武装をしてるわ!あれじゃ乱入しても無駄に兵に損害を出すだけよ!しかもクロムちゃんだけじゃ心配だしね!」
リン「それに…」
カジ「しょ、しょれに?」
リン「違う景色見たいんでしょ?」
カジ「…しょんなこと言ったっへぇぇ!?」
シアン(一体どんな視力をしてるんだろう…)
811 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/28(土) 23:12:28.99 ID:CL/zxMAO
パカラッパカラッ…
クロム(あれは隊商の荷馬車!そうか盗賊に襲われてるのか!)
クロム(どうする!?皇子の隊に向けての攻撃ではないとわかったけど、隊商の荷馬車の損傷はかなり酷い!)
クロム(……やはり助けるべき…)
クロム「やっ!」
パカラッパカラッ
――――――
ガタガタガタ!
パァーンパァーン!
盗賊頭「さぁ~逃げないでさっさと積み荷と女を寄越しな~さもないと男も性欲処理に使っちゃうよ~」
イロン「誰がっ!あなた達なんかにうちの商品をあげるもんですか!えいっ!」
ドカーン!
盗賊頭「ぐわっ!火炎弾かっ!!」
イロン「武器商人をなめないでください!」
盗賊頭「可愛い面して小癪な娘だっ!しかしそこが香ばしくそそる!そそられる!」
イロン「えいっ」
ドカーン!
盗賊頭「ぎゃっ!ぐっ…ぐぞっ…ぶっ殺してやるっ!」
ダッ!
盗賊頭はイロンの乗る荷台に飛び移ると剣を抜きイロンに迫った。
盗賊頭「さぁ~その場で服を脱いで命乞いしな~ついでに俺のブツをしゃぶると助かる確率あがるよ~?」
イロン「くっ…」
イロンは脇に備えた宝飾が散りばめられている短剣を抜いて剣先を盗賊頭に向けた。
盗賊頭「あらら~?まだ抗う気かよ~?ん…なかなかいい剣だな、商品か?」
イロン「こ、これは父の形見です…!」
盗賊頭「いいよいいよ~父の形見に最後の希望を託す女の子が無残にも犯されちゃうのはね~」
812 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/29(日) 11:11:06.03 ID:fLQ8nAAO
盗賊頭「さぁ~さっさとそんなもん捨てて―」
イロン「やぁっ!」
ヒュイッ
イロンの隙を見ての踏み込み切りが盗賊頭の屈強な腕をかすると、
傷口は一瞬にして焼けただれた。
盗賊頭「くっ……毒か…」
イロン「いいえ、*酸鉄です!」
*水分と反応し強力な酸を放つ鉄鉱石。稀少
盗賊頭「けっ…一商人が酸鉄を持ってるたぁ…どういうことだ」
盗賊頭「だぁが…よくも俺の腕にこんな傷つけてくれたなぁ!俺だけにしてやろうと思ったが手下にもまわしてやるからな!」
盗賊頭「とりぁっ!」
ガキィン!
大の男の振りに短剣は耐えられずイロンの手を離れ荷馬車の外に飛ばされた。
盗賊頭「くっくっく…おとなしくしなぁ…」
「*ヴァルリム!!」
*バルの強化魔法。威力が増し高熱を放つ。
813 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/29(日) 20:21:40.83 ID:fLQ8nAAO
一応近況報告
今月は更新少なくてすみませんでした
予備校探ししたり、体調壊したりでいろいろ時間があれだったり構想を練りながらでしたので時間かかっちゃいました…。
話が進むにつれて設定の方もだいぶ増えてきて
複雑になってきましたが
よくわからないとことか詳しく知りたい箇所があれば遠慮なく言ってください。
自分でもあやふやな部分が多々あるので…
814
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage saga]:2009/03/30(月) 19:16:48.89 ID:PfszYQAO
>>813
自分の場合設定が分からなくなる時は大体前を読み直したら解決してますので
今のところは大丈夫だと思います
これからも少しずつで良いので更新楽しみにしています、頑張って下さい
815 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/30(月) 23:00:32.35 ID:uayn7IAO
粉塵の中からの声のあと、盗賊頭の頭上に一閃の光が現れ
盗賊頭の体を吹き飛ばした。
盗賊頭「うぐぉっ!あちっ!あちちっ!!」
イロン「な、なんですかっ!?」
その時荷馬車の隣に馬に乗る小さな少女が現れた。
クロム「賊に襲撃されている隊商とお見受けしましたが!?」
イロン「え、えぇそうです!助けてください!」
クロム「わかりました!加勢します!」
イロン「あ、ありがとうございます!!あっ!後ろ!」
クロムの後ろに騎馬が迫っていた。
賊「じゃぁますんなぁぁぁっ!!」
クロム「!」
賊は馬上で長銃を構えクロムのすぐ背後から引き金を引いた。
が、馬上での発射と砂煙により弾道は僅かに逸れ
クロムの右腕をかすった。
クロム「ぐっ…!!」
クロム(どうしてただの盗賊が銃なんか…!?強奪したものか!?)
賊「ちっ!詰まりやがった!」
賊は長銃を背に担ぎなおし脇から樹脂で作られたナイフを取り出してクロムの馬の横につき切りかかった。
そしてクロムは鐙に備わっていた短剣をとっさに取り出し応戦。
両者数十回斬り合ったところで、
クロム「何故貴様達のような賊が銃を装備している!?それにそのナイフ、この辺りにはないもののはずだ!」
賊「なんだこのガキ!やけに詳しいな!」
クロム「奪ったものか!?」
賊「てめぇみたいなガキに教えるこたぁなにもねぇよ!!とっととママのとこにかえんな!」
ガキン!キン!
クロム(左の腕だけじゃ埒があかない…!こうなったら…)
クロム「ヴァルリム!!」
ドン!!
ほぼ近距離で放った攻撃魔法は賊の体に直撃し馬もろとも燃えだした。
しかし至近距離のため衝撃で馬はバランスを崩しはじめ、ついには前屈みになって倒れた。
816 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/03/31(火) 23:44:25.48 ID:TISDLIAO
だがクロムは間一髪で馬から布のかかった荷台へと乗り移った。
ドサァッ!
クロム「ハァッ……ハァッ…!」
クロム(さ…さすがにヴァルリムを二発続けてっていうのは…こたえる……)
イロン「だっ、大丈夫ですか!?」
イロンが駆け寄るとクロムの右腕から血が滲み出ているのが見えた。
銃弾がかすったようで、それほどの出血ではないが止血が必要な状態である。
クロム「い、いいから早くこの馬車を止めてっ!」
今クロム達がいるのは荷馬車列のほぼ真ん中。
八台の車列はそれぞれ二匹の馬が引いていた。
先頭を皮切りに、銃声か暴発音に驚いたのであろうか
主人の言うことを無視し暴走していた。
イロン「この馬を止めたら後ろの荷駄がそのまま衝突してしまいます!荷台には火薬も積んでいるのでもし発火すれば…!」
クロム「くっ……、なら徐々に速度を弱めるのは!?」
イロン「とにもかくにも、取り囲んでる盗賊達を追い払わないと…!」
クロム「わかった…!私がやります!」
クロムは血が滴る右腕をおさえながら立った。
後方の粉塵の中からは銃声や剣の交わる音が幾方向からも聞こえた。
おそらく他の隊商の隊員が賊と戦闘をしているのだろう。
――――――
リン「あっ!隊商と盗賊の中に入っていったわ!やっぱり助けるつもりね」
ガタガタガタ
リン「加勢するわよ!」
カジ「でっ、でも僕達に何ができるんですか!?」
リン「ハロゲンで戦ったようにしなさい!剣あるでしょ?」
カジ「ありますけど…」
リン「弓は!?」
シアン「あります!」
リン「カジくん手綱ちょっと持ってて、シアンちゃん弓貸して!」
817 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/01(水) 00:21:53.45 ID:yLRHXwAO
カジ「えぇっ!!ちょっと!!」
シアンは木製の弓をリンに渡した。
それを持って荷台の方に立ち弓筒から矢を取り出すと粉塵の方へ矢先を向けた。
ギリギリギリ…
リン「カジくん、そのままこの道で並走して!…いい!?私達がどれほど使えるかあの皇子達に見せるのよ!」
シアン「見せつけるって…」
ビィィンッ!
弓のしなる快音と共に矢が荷駄を取り囲む盗賊の一人目掛けて直線を描いて飛んだ。
その刹那には矢は盗賊の右腕と左腕に突き刺さり手錠のように連ね、腕の動きを封じた。
カジ「すっ!!すげぇっ!!」
リン「お縄頂戴…!なんてねっ」
一本目を放つと矢継ぎ早に矢筒から次の矢を弓弦に装填し狙いを定めた。
リン「シアンちゃん…私の腕増強できるかしら?」
シアン「できますけど…命中率が下がるかもしれませんよ?」
リン「早いとこ追っ払うには圧倒的な力の差を見せることよ。試しにやってみて」
シアン「わ、わかりました」
シアンはリンの右腕に手をかざし呪文を唱えると、リンの腕の回りが青く光った。
リン「……!やぁっ!!」
バシィッ!!
弓弦は激しく軋み声をあげながら矢をぶっ飛ばした。
しかし矢先は大きく右に反れ、隊商の荷台の外枠に当たり荷台を大きく揺らした。
リン「あ…、どうやら弓も限界みたいね、次で最後だわ」
パンパンパン!!
カジ「うぁぁっ!撃ってきたぁっ!!」
ギリギリギリ…
リン「たぁっ!!」
バチィィン!!
矢を射ると同時に弓は破壊した。
矢は長銃を持った賊の脚を貫き、そのまま鐙、馬の背と反対の脚をも貫いて地面に突き刺さった。
818 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/01(水) 00:25:50.28 ID:yLRHXwAO
>>814
ありがとう
ほんとに少しずつになりそうです…
カジ、シアン、リンに幸あれ
819 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/02(木) 23:30:29.25 ID:csGyfQAO
シアン「す…凄まじい…」
ガクッ…
リンは腕を押さえてその場に屈み込んだ。
利き腕が赤く腫れ上がっている。
リン「で、でも…相当体に負荷かかるわね……」
シアン「リンさん……」
カジ「あぁっ!この道、隊商がいる道に合流しちゃいますよ!!」
リン「カジくん、手綱変わるわ。次はカジくんの番よ。今のでだいぶ敵もひるんだみたいだしね」
カジ「えっ…!」
リン「あんな化け物と戦ったのに比べたらこんなもの大したことないわよ?それにこの程度の相手にビビってちゃシアンちゃんをこれから守ることなんて…」
カジ「……」
シアン「リンさん、その腕じゃ手綱なんか…!腕出しててください、今治癒魔法を!」
リン「いいから!その魔力はカジ君のもしもの時のために残しておいて!」
シアン「あっ…は、はい…」
リン「…カジ君、自分が強くなるには自分から困難に立ち向かわなくちゃダメ。そして困難を乗り越えた時、それに見合うものが手に入るものよ」
リン「あなたが今対面している困難は人助けっていう見返りがある可能性が大きい困難よ。貪欲にいきましょ?自分のためにも」
カジ「は………はい!」
ガタガタガタ…!
820 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/03(金) 16:40:32.99 ID:hoiah.AO
アトム世界全図〔龍創暦1018〕―国境線加筆版
http://imepita.jp/20090403/594530
http://imepita.jp/20090403/594770
http://imepita.jp/20090403/595010
数えてみたところ大体60国ぐらいですね
アボガドロ帝国の南西にある大体10国の集まりが大十国と呼ばれる地域です。
ハロゲンからそのまま海上を北へいった所にあるのがケトン王国。
黒い出っ張りは山岳地帯です
この世界の意義というものもおちおち語っていこうと思っております。
世界観は無駄に大きく…
821
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/04/03(金) 16:43:07.37 ID:2CO9Wcoo
本格的過ぎるww
823
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/03(金) 21:07:54.19
ID:hoiah.AO
カジの中にはあの化け物を倒したという虚栄心を糧に
この困難に立ち向かおうとする気が少なからず存在していた。
つまり恐怖を虚栄心でもみ消していたと言うべきか。
それは特段悪いことではない。
が、しかし戦闘のせの字もよくわかっていないカジには虚栄心に繋がる技が身についていない。
いくら相手が盗賊と言えども相対させることは分の悪い賭に等しい。
つまりこのリンの独断行為は直感的なものであったということであろう。
カジ達にとって何か得られるものがあると直感的に…。
そしてカジは後ろで見守る女二人にかっこいいところを見せてやるという気持ちを燃料にして自分を奮い立たせ、長剣の布で巻かれた柄を握りしめた。
確かにこの程度の敵も倒せずにシアンをこれから守ることなんかできない。
いい経験値稼ぎだ。そう思うことにした。
その時暴走する荷馬車の隊列から爆音と共に
全身火だるまの騎馬と人間のいない馬が放り出された。
リン「あれはクロムちゃんが乗ってた馬!」
シアン「てことはあの荷馬車に…!」
リン「合流するわ!!」
ガタン!
リンの手綱さばきで隊商の荷馬車と並走することができた。
だが乾燥した土煙が視界を悪くし前がよく見えない。
そして荷台を見回していると前方から騎馬が二騎出現し
槍と長銃でカジ達の荷馬車を攻撃し始めた。
賊騎「コルァ!邪魔すんじゃねぇぞ!俺達ゃこれで飯食ってんだ!」
リン「くっ……!!この位置は不利だわ…!砂が…!」
賊騎「おっ、色っぺぇ女じゃねぇか!へへっこいつらもいただいちまうか!」
824 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/03(金) 23:08:00.53 ID:hoiah.AO
二騎の騎馬はそのままカジ達の荷馬車を挟む形で並んだ。
賊騎「おっ、もう一人いるじゃん!こいつは俺が貰った!」
賊騎2「じゃあこの色っぺぇ女は俺が。へへっ、早く馬止めて俺達と楽しいことしようぜ」
賊達が見た荷馬車には女子供が二人だけだった。
リン「冗談は顔だけにしてね。…今よ!」
バッ
賊が短刀を差し向けたとき、
リンの呼応で荷台の隅にかぶせてあった布きれからカジが飛び出した。
リンの策でカジはあらかじめ隠れて敵の隙を狙っていたのだった。
いきなり現れたカジに驚いた賊は手を引っ込める間も与えられず指を切り落とされた。
賊騎「あ゙あ゙ぁぁぁぁ!!指がぁぁぁ!!いでぇぇぇ!!」
切り落とされた指が荷台に散乱した。
そして反動で指を斬られた賊は落馬し脇の農水路にそのまま落水。
賊騎2「こんのやろぉ!!」
賊騎は鉄槍を振り回しカジに迫った。
だが、カジは槍の横攻を剣で受け止め
さらには右腕で鉄槍の柄を掴むと右手に力を込めた。
カジ(いけるっ!なんかいけるぞっ!)
ニトロを倒したときみたいに右腕に力を込めるんだ。
強く、強くイメージして…。
すると握った部分からたちまち鉄でできた槍の柄は赤く発熱を始め、すぐに槍全体が赤くなった。
賊騎2「あちっ!!あちちっ!!な、なんだぁっ!?」
賊騎が熱さで鉄槍を離すと高温の槍の先が馬尻に接触。
馬は悲鳴をあげると前脚を高くあげそのまま賊ごと横転した。
825 :
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/04/03(金) 23:28:30.35 ID:hoiah.AO
リン「すごいわ!やるじゃない!」
シアン「ゆ…指…」
シアンは指を投げ捨てた。
実によく使い込まれた指だった…。
カジ「あ、案外大したことないですね!」
偶然か実力か…。
カジの心は興奮で満ちあふれていた。
この数日の出来事があまりにも刺激的でかつ達成感に満ち満ちていたこともあるだろう。
恋人を初めて抱いたことから始まり強敵を倒して人々も救った。
高揚しないほうが不思議なくらいである。
そう、まるで主人公…。
彼の自らへの過信は始まっていた。
ゼェハァゼェハァ…
無理な加速で荷台を引いていた二頭の馬の息が荒くなってきた。
リン「さすがにこれ以上は無理ね…」
シアン「あっ!あれはクロムちゃん!」
二台先の屋根がついた荷台に緑のローブを着たクロムと水色の着物を纏う女性が見えた。
そのすぐ近くに大男が斬馬刀のような巨大な刀を持って今にも二人に襲いかかりそうな様子だった。
826 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/05(日) 23:04:51.23 ID:pWFl5wAO
――――――
すでにアルゴンの隊列が見えない距離にきていた。
クロムは負傷した右腕を押さえ、豪快に揺れる荷台の上から辺りを見回した。
約10騎ほどの騎馬が荷馬車を取り囲み、この隊商の一員と思われる数人と騎乗で戦闘を繰り広げている。
その中に見覚えのある者がいた。
クロム(追っかけてきたの…!?)
さて、この状況をどう打開しようか考えようとしたのも束の間、
視界を先程ぶっ飛ばした大男が塞いだ。
盗賊頭と思われる男はいつの間にか手に巨大な太刀を持って、
「こんな小さい人形みたいな女の子が俺をぶっ飛ばしたなんてぇ世の中は怖いねぇ」
「へっへっへ…、貴様魔法使人だな?よくも俺の一張羅焦がしてくれたなぁ、この落とし前どうしてくれんだぁ?あ?」
クロム「我らが帝国の領内で略奪を働くなど言語道断です。一張羅の落とし前は牢屋で囚人服を受け取ってからにしてください」
盗賊頭「はははっ!しかもアボガドロお抱えの魔法使人たぁ!だが貴様だけで何ができる?片腕がやられちまってるのに?落とし前は俺達のねぐらで裸になるので勘弁してやってもいいぜ?」
クロム「お前達のような下品な賊徒など片腕だけで十分だ!」
そしてクロムは再び打開策を考えた。
その考える時間を稼ぐために相手にあえて問うた。
「…しかし一つ聞きたいことがある。あの長銃はどこから手に入れた?ただの賊が何故こんな高価なものを持っている!」
賊頭はなんの躊躇いも間もなく、
「買った」
と言った。
クロムはさらに問うた。
クロム「あれは軍用です。しかもまだ大量に生産もされていない。大方脱走兵か、出陣中の兵隊から奪ったんでしょう!」
しかし賊頭は反論もせず、
「へへっちゃんと買ったんだよ、とんでもない安値でな。確かに俺達ゃ西国の脱走兵だが、軍隊から軍備を奪うほど命を粗末にゃしてねぇよ」
827 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/05(日) 23:20:58.03 ID:pWFl5wAO
1レスに30分かかってる……
丁寧にすればするほど時間かかるし
大雑把にやればある程度短縮されるけど
見てる方に状況が伝わりにくくなってしまう…
うーん…ジレンマ
あと前の文見直してみると日によって文章にムラが出てますやっぱ。
申し訳ないです…
直すよう努力します。
あとあと、書いてわかったんですが
物語を作るのって難しい!
頭に印象的な場面はあるんですがそこまで持って行くのが大変!
あと文書きの下地も無しにダラダラ書いてるので言葉の使い方や文脈などが度々おかしくなってしまう!
というわけでそんなことがあまり起こらないように少しは勉強しなきゃなと最近思い始めました。
自分中の情報をOUTPUTするのって意外と技術がいるんだね
甘くみてたわ
828 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/05(日) 23:59:14.12 ID:pWFl5wAO
クロム(西国…?大十国?しかしあの*樹脂でできたナイフ…貴族や王族の装飾品に近いもの。それすら買ったと?)
*ナイフの刃の部分が特殊な木の樹脂を削りできた短剣。その美しい琥珀色の刃は主に高貴な身分のものの装飾品として珍重された。最近では人工的に製造できるが天然物の方が遥かに高価で頑丈。
クロム「どこから買った?」
盗賊頭「言うわけねぇーだろ?固く口止めされてるんだよ」
クロム(こいつの言っていることは恐らく事実。転売者が帝国の内にしろ外にしろ、みすみす見逃すわけにもいかない!)
クロム「体に直接聞くしかなさそうですね…」
盗賊頭「ほう…どんな楽しいことしてくれんのかな?」
(私の回復魔法ではこの傷を完治させることは不可能…!魔力も急な連発で体力的にきつい…。となると武器はこの短剣のみ……それに…)
クロムは後ろを見た。
最初からここに乗っていた女の子、その顔には恐れよりも賊に対する怒りが見えた。
盗賊にも臆せず荷台から攻撃していた彼女なら…
「あなた、名前は…?」
「…イロンです。あ、あの私こんな可愛らしい魔法使人さんを見たの初めてで…」
盗賊頭「なぁにコソコソ話してんだお前らぁ―」
「それじゃあイロン、今からさっきの火炎弾で―」
今からどうやってこいつを倒すか打ち合わせをしようとした瞬間、荷馬車の後方から猛然と馬に乗り駆けてくる者がいた。
?「お頭ぁぁぁぁっ!!!」
その者は荷馬車に追いつくと荷台に立つ盗賊頭にいきなり長剣で切りかかった。
829
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage saga]:2009/04/06(月) 11:58:45.43
ID:qTC7PgAO
>>827
パー速ですし、どれだけ時間かけても良いから
>>1
さんが納得できる形で書いて下されば問題ないと思います
ここまで設定が凝ってるスレは他にはそうそう無いと思いますし、自分はとても楽しく読ませてもらっているので
これからも頑張って下さい、応援してます
長文スマソ
830 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/06(月) 18:42:54.58 ID:McWCPkAO
>>829
そう言ってもらえると本当に嬉しい
いやほんと感謝しております。
あ、もし次スレいったら思い切ってスレタイ変えようと思います。
なんか要望がありましたら意見も交えて考えていきたいです。
ちなみに僭越ながら題名もこちらで1、2つ考えてります。
具体的には950越えたあたりから本格的に考えようかと…。
831
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/06(月) 21:15:18.31
ID:McWCPkAO
その男の剣は盗賊頭の足をかすった。
騎乗とは思えぬ剣の振りで。
盗賊頭「ぐっ…!!?」
男は有無も言わさずさらに切りかかった。
盗賊頭は応戦するも巨大な太刀では防戦一方である。
?「お頭ぁぁぁぁ!!ケガぁありませんかぁぁっ!?」
クロム(お頭って、この大男のことじゃないの?……賊を攻撃してるってことはこの男、味方…?)
イロン「フェルム!私は大丈夫です!」
クロム「え…!?お頭ってあなた…?」
イロン「お頭って言うのはよしてと何度も言ってるんですが…。はい、私がこの隊商の持ち主です」
どうやら、隊商の一員かと思われていたこの若い女性が商人だったようだ。
こんな大人しいそうな20にも満たない女の子が…。
クロム「あの戦ってるのは…?」
イロン「フェルムっていいます。父の代から私達の荷物の護衛のために働いてもらっている戦士です」
「強い?」
「はい。強いですよ。ただ…」
「…?」
「運がないんです」
クロムは見た。
押し気味だったフェルムの剣先がガクンとブレると
その直後、馬の蹄鉄がどうやら道にできた溝にはまり、そのまま盛大に転けたのを。
ドスン
フェルム「お頭ぁぁぁぁっ!!」
そのまま粉塵にまみれて見えなくなった。
クロム(今のでタイミング逃しちゃったみたいね…)
クロム「確かこの先に河があるはず!その周辺は湿地になってるはずだから馬をそこに導けば減速できるはずよ!」
イロン「ですけど…その前に…」
盗賊頭が再び2人に向き直った。
盗賊頭「止まっちゃあ困るんだよ。もっと人気のないとこいかなきゃ楽しいことできないじゃ~ん」
832 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/04/06(月) 22:31:26.81 ID:fY1lnYAO
久々に見にきたら結構たまってたww
今さらだが、1は浪人になってしまったか。浪人はつらいかもしれないけど、本当に良い経験になるから頑張ってくれ。
時に、女の名前はアトム名でずっといくの? 個人的にはユイのが好きだったりするからちょっと聞いてみたくて。
まぁ1のやりたいようにやってくれて構わないんだがねww
833
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/06(月) 23:07:23.10 ID:McWCPkAO
>>832
まぁぶっちゃけるとすでに去年が浪人みたいなものでね。(事情を書くと長くなるなぁ…)
愚痴になりますが環境が恐ろしく不便でした。(自分の精神力のなさも相まって相乗作用)
主要教科以外はほぼ独学に近い。現代社会に至っては参考書斜め読みした程度。(授業受けてないし)
正直行きたくない大学しか行けない状況だったから
浪人はやむなしとは思ってる。親には申し訳ないが…。
得られるものは確かにあると思う。困難は人を強くする。
で名前の件ですが。
おいおい名前については作中で触れていくつもりでした。
唯の中身はシアンであるため
アトムではこちらを採用しました…が、
カジの中では唯です。たまに唯っていいます。
2人の自己紹介部分が改変により欠落しているため
わかりにくいですが後々唯は自分の名を知ることになるわけです。
本名晒すね
シアン・アルケー
シアンが名でアルケーが姓
一応意味はあります。
シアンは例の青色の…。
アルケーは……。
カジは自己紹介のときとっさに八木に呼ばれてたNNを言ったってことにしておいてください…orz
834
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/04/07(火) 16:02:49.33
ID:JX4nfAAO
最初はただの変態小説だったのが良くここまできたもんだ。
「あのね…その…男君の…子供が欲しいの!」からこうなるとは予想出来んよなwwww
835 :
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/04/07(火) 19:35:48.22 ID:1eVMBwAO
>>834
自分も何故このようになったか過程が思い出せない。
そして最初色んな意味でやりすぎたのを少し後悔してる…かな?キャラに愛着出てくるとさらに…
結果的によかったかもしれないけど。
変態小説はこれ以前にいくつか書いてたからな
その延長で適当に書いてたら
昔から自分の書きたかった戦記ものも入れちゃえってなって今に至ってるのかも
836 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/07(火) 23:56:17.62 ID:1eVMBwAO
クロム(このままだと森に入っちゃう…、私一人を守るだけならなんとかなるかもしれないけど…相手が何をしてくるかわからない。あらかじめ罠が仕掛けてあるとしたら厄介ね…)
(さっき見たランタンの地図によると、この周辺は河の増水によってぬかるんだ土地のはず。まずはその湿地帯に誘導しないと…。そのあとゆっくり武器の購入先を聞くとして…)
イロン「フェルム……」
クロム(まずはこいつの行動能力を削いで戦闘不能にしなきゃ)
盗賊頭「さぁ、大人しく俺達に降伏することを勧めるぜ。そうすりゃ五体引っ付いたままで死ねるぞ?」
クロム「…」
(火炎弾で注意を惹きつけたあと素早く敵の懐に入り、利き腕の腱に短剣を突き刺して一時的に武器使用を不可にし、微力の衝撃魔法を脚に当て相手を転ばす…)
クロムの頭で相手を戦闘不能にする方法が組み上がってきた。
クロム(でも……)
クロム「あなた、背後に気をつけた方がいいわ」
盗賊頭「はっはー今頃そんな手に引っかかるかってんだ!って言って後ろに本当にきてんだろ!」
盗賊頭はチラッと背後を見た。
荷馬車に乗る女二人。片方は小弓を構え盗賊頭を狙っていた。
シアン「あ!」
盗賊頭「はっはー!!てめぇらの考えなんかお見通しだぁ!」
盗賊頭は荷台の横についていた荷馬車の馬の顔を蹴った。
リン「きゃぁっ!」
リン達の乗った馬車は片方の馬の失速でバランスを失い横道に急停車した。
ガキーン!!
盗賊頭「おーっと囮を使って俺を攻撃するつもりだったんだろうがそうはいかねぇ」
クロムは隙を見て懐に迫ったがこれを読んでいた盗賊頭によって短剣は惜しくも太刀に止められた。
盗賊頭「俺が前を見てても弓で背後から攻撃し、後ろを見てもその目を離した隙に攻撃するっていう魂胆なんだろうが残念だったな」
クロム「……」
盗賊頭「さぁ~その非力なおててでどこまで俺の太刀を受け止めてられるかな~?」
クロム「所詮…あなたの注意力はその程度よ!」
盗賊頭「あぁっ?」
バッ
838
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/04/08(水) 21:35:29.03 ID:ablmygAO
カジ「でぅぃんやぁぁぁぁ!!(声が裏返った)」
盗賊頭「なっ!?(荷台の影に隠れてやがったのか!!)」
フェルムに気を取られていた隙をついて飛び移り、荷台の隙間に隠れていたカジは粉塵とリン達の囮も相まって
盗賊頭の油断を誘うことに成功した。
クロムは正面突破よりも背後からの奇襲のほうが成功率が高いと踏んだのだ。
攻撃方法を考えて辺りに注意を払っていた最中にカジの合図を促す手振りが盗賊頭の足下あたりから見えていた。
カジはそのまま剣の持ち手で油断をつかれた盗賊頭の後頭部を殴った。
ドカァッ!
「ゔっ!!」
相手の重心はぐらつきはしたものの気絶させるまでには至らず。
「っで!てめぇっ!」
盗賊頭は攻撃を加えた奇襲者に対し闇雲に太刀を振り回した。
が、
クロム「目の前の敵を"無視"しちゃダメでしょ」
(ヴァル!)
クロムの放った微弱ながらもバランスを崩せるだけ衝撃が、盗賊頭の脚に至近距離で当たると
相手はそのままどうっと倒れ
クロムの俊敏な封じ込みで首に短剣を迫られる結果となった。
盗賊頭「あっ……ががっ……」
クロム「戦闘不能ね、観念しなさい」
「さっ、あなたの手下達が戦闘を止めるよう言いなさい!」
840
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/04/09(木)10:50:22.67
ID:Ui0CkUAO
盗賊頭「うぐっ………ちくしょう……」
――――――――
パカラッパカラッ
兵士「アルゴン様!申し上げます!先程の銃声の発声源を見に行かれたクロム殿が隊を離れたまま未だ帰還なされず」
アルゴン「……そうか。すぐに探し出して隊に戻るよう伝えてくれ」
兵士「は、はっ」
パカラッパカラッ
アルゴン(三人を守る務めはどうしたんだ…)
………
側近「皇子!前方から騎馬が!」
四騎ほどの騎馬が街道の先から通行人を掻き分けながらこちらに向け猛然と駆けてきている。
側近「(剣を)抜きますか?」
アルゴン「いや。あれは*幕令殿だろう」
*郡幕令長。郡の軍事を担当する。郡護太守が不在の時などは指揮権を継承できる。略して幕令。幕府は関係ないよ
841 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/09(木) 21:22:38.59 ID:Ui0CkUAO
パカラッパカラッ…ザザァッ
アルゴン「(隊を)止めろ」
騎馬の一人がアルゴン達の前までくるとその場で下馬し地に手を付いた。
「まずは…まずは御無事でなりより…!」
アルゴン「………」
「…………」
アルゴン「……面をあげてくれ、ラドン」
ラドン「……此度のハロゲンの戦への援軍、滞ったは―」
アルゴン「カルホルニウム軍のプルトとランタン港への侵攻でハロゲンへ兵を割けなかった…と」
ラドン「左の通りです…。幕令である私が私兵をもってすぐに向かえばよかったのですが…、すでにプルトへ向かっていた途中でして―」
アルゴン「幕令殿のせいではない。この件については城内で話そう」
ラドン「は…はっ!すでに太守はアルゴン様の隊がくることを承知しておりますので、宿営地の設営はすでに取りかかっています、いつでもご入城を」
「あぁ、傷み入る」
「それと、この先に私の兵100騎がおりますので、僭越ながら道中の道案内と護衛を務めさせていだだきたく存じます」
アルゴン「頼む」
――――――――
アルゴン一行は郡幕令のラドン・ピスカル率いる私兵100騎と合流しランタン城への入城を急いだ。
このラドン・ピスカルという人物はもとはベンゼンでアルゴン、オゾンと共に同じ師に学んだ言わば学友であった。
年は二人より二つ上で、その実直な性格のためよく三人のまとめ役をしていた。
その性格と剛勇さ、アルゴンの推薦で異例の出世を経てランタン郡の郡幕令に任ぜられる。
842 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/10(金) 00:27:44.28 ID:8NS/lgAO
風貌は実直をそのまま顔にしたようで
ガッチリとした体格は勇猛な雰囲気を漂わせる。
アルゴンが全幅の信頼を置く数少ない一人である。
「ラドン、ランタン郡の治安はどうだ?」
「はい、正直なところ悪くなってきています。勿論、警邏は欠かさず行っておりますが賊の数は一向に減りません」
「恐らく、どこかの国から逃げ出した傭兵か、亡国の兵卒でしょう」
「最近の賊は銃を武装しているのか?」
「…それはわかりません」
「さっきそこで賊が暴れていたようだ。報告には銃声がしたと。我々は行軍を急いでいたから敢えて関わらなかったが…」
「申し訳ありません…。我々の治の不届きゆえ。皇子のお手を煩わせずとも我々がすぐに手配します」
「クロムがその賊を討伐しに行った」
「これは……、賊も運がありませんな、クロム殿とは」
「大丈夫だとは思うが…こうも勝手に動かれてしまっては…な」
「クロム殿は昔からそういうものは許せぬたちでしたから」
ラドンが言う近道を進みなだらかな丘を越え川を三本渡った。
そして、今日の目標であるランタン郡ランタン城が見える場所まできた。
アルゴン「陽が落ちないうちに到着できたな、君の道案内のおかげだ」
ラドン「クロム殿は如何致しますか?夕刻を過ぎるとランタン城の門は閉まる決まりになっていますが」
アルゴン「………。さっき送った兵に近道の道順は伝えてある。おそらくは…大丈夫だろう」
ラドン「一応この場所に私の兵を置いておきます」
アルゴン「あぁ、すまない」
844
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/12(日) 12:09:29.42
ID:jXJBu.AO
アルゴン一行は無事入城し
城内の開けた場所に建てられた宿営地で休息をとった。
アルゴン「…………」
「クロムと共にいた、三人はどうした?」
中隊長「はっ。クロム殿を追って銃声の方角へ向かいました」
「……。その報告は受けなかったが?」
「も、申し訳ありません…しかしただの市民の従者とお聞きしておりました故、しかも勝手に隊列を離れたので―」
アルゴンは部下には三人を同行させた理由を言っていなかった。
公には単なる食客ということにしていた。
この戦乱の時代では権力者が才ある者を囲うことはそう珍しいことではなかったのである。
先程放った兵士の一人が帰ってきた。
どうやら相当遠くへ行ったようでなかなか見つからないとのこと。
そして道に多数の車両の痕跡はあったので今それを追っていると。
すでに天高く見下ろしていた陽は朱色の濃さを増し始め
さらに地上の影を伸ばし始めた。
アルゴンに少し焦りの色が見えてきた。
さすがに遅すぎるし、このままでは何が起こるかわからなかった。
そう思うといても立ってもいられなくなり、
アルゴン「直ちに疲弊していない者50騎を集めよ!クロムの捜索に向かう!馬をひけ」
しかしラドンが止めに入った。
「お待ち下さい、皇子。賊が蔓延ることになったは我らが不届き。ここは我々にお任せください」
845 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/12(日) 21:07:41.78 ID:jXJBu.AO
かくして、ラドン率いる郡兵60騎でクロムら三人を探しに城を出た。
城門には閉門する前に入城しようとする行商人や市民で溢れかえっていた。
―宿営地近くの館
「アルゴン様、太守殿がお見えでございます」
アルゴン「………、通してくれ」
………ガチャッ
――――――――
少し時間を戻す
――――――――
イロン「ほんと~に、ありがとうございます!商品もほとんど損害ありませんでした!なんとお礼を言っていいやら…」
クロム「いえ、当然のことをしたまでですよ」
イロン「ほらっ、フェルムもお礼言ってください!」
フェルム「ふ…不甲斐ないです…」
イロン「泣かないのっ!男の子でしょう!」
カジ(どう見てもいい大人だけど…)
フェルム「…本当は私がお頭をお守りせねばならぬのに、本当に申し訳ない…」
イロン「お頭じゃないでしょ」
リン「でもフェルムさんのおかげでカジくんが乗り移れたわけだからね。でもかなりの腕と見たけどどうして隊商の護衛に?あれほどの腕なら各国の軍が欲しがると思うんだけど」
フェルム「いや、本当に不甲斐ない…。剣術、槍術、武術をそれぞれの師に学び10年で体得したはいいものの、この天から見放されたような運のなさで実戦では失敗ばかり」
「ついにはどこにも仕官できず放浪していたところをお頭の父上様、大頭に拾われて今もこうして仕えているわけです」
846 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/12(日) 23:06:33.22 ID:jXJBu.AO
シアン「物を運ぶ仕事なのに運がないなんて…」
クロム「勿体無いですね」
イロン「あの…そちらのお馬は大丈夫でしたか?一頭でしたらお譲りしますが」
リン「ううん、大丈夫みたい」
イロン「良かったです。あの……それから…」
「その……あの……お名前なんて言うんでしたっけ…//カジ…さん?」
カジ「あぁ、うん…」
イロン「…盗賊に臆せず立ち向かったお姿……かっこよかったです…」
カジ「え、そう…かな…//」
クロム「………」
シアン「………」
フェルム「お頭っ!顔が紅潮しています!も、もしやこれは風土病かもしれない!すぐに熱冷まし薬を!」
イロン「フェルム!私は大丈夫ですっ!……カジさん、あの…よろしければ…こ、今晩一緒に星空の下、お互いのことと…武器についてお話しませんか?」
リン(武器!?)
カジ「え…ま、まぁ…」
シアン「あぁ~~!!!早く目的地に行かなきゃいけないんじゃなかったっけ!!ねぇクロムちゃん?」
クロム「あ…そういえば…どうしよう……皇子になんて言えば……早く戻らなきゃ…」
リン「捕まえた盗賊達はどうするの?」
クロム「本来ならば近くの城の牢獄に監禁されたあと、軽くて絞首刑か流刑地に島流し。重くて火炙りね」
847 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/13(月) 23:13:41.39 ID:0YZ.gYAO
シアン「それだと……なんだかかわいそう…」
クロム「大人しく言うこと聞いたから、情状酌量の余地はあるけど。…今少し彼等に聞きたいことがあるの」
「その質問にちゃんと答えて改心を誓うなら解放も考えるわ」
リン「でも急がなきゃならないんでしょ?」
クロム「早く済ませる」
―――――
クロム「あなたが私が言った質問に素直に答えて、もう二度と略奪をしないと誓うなら縄を解き解放してあげてもいいわ」
盗賊頭「………」
「取引ってわけかお嬢ちゃん。でもな俺がその質問に答えるつもりはない…と言ったらどうする?」
クロム「てっとり早く口を割らせたいから最も激痛の発し、精神的に苦痛を伴う箇所を集中的に責めて口が勝手に喋るようにする」
「…………………」
「というのは冗談。お前達はもとは脱走兵か亡国の兵士だろう。仕える場所がなくて盗みに走ったのならば、取引としてランタン郡の砦の守備兵に推挙してあげます」
「全員か…?」
「勿論」
「……………」
「質問していいかしら?」
「………わかった、負けたよ」
クロム「あなた達はどこの国に仕えていたの?」
「俺達は元は大十国の中にあった小国に衛兵として仕えていた。だがな隣国の調略で重臣が逐電してから国内はガタガタになり」
「以前から同盟の関係にあった*アルミニアから従属しろとの勧告がきた。勿論突っぱねて臨戦態勢に持ち込んだが、アルミニアの黄豹と言われる女将軍にあっさり負けちまって滅亡しちまった」
*大十国の十諸侯に連なる大国。
848 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/13(月) 23:55:33.66 ID:0YZ.gYAO
クロム「アルミニアの……黄豹………」
リン「聞いたことがあるわ。数年前アルミニアの王が逝去しその跡を双子の娘に継がせたと。姉が王に君臨し、妹が将軍になったって。恐らくその妹でしょうね」
盗賊頭「そして俺達ゃ生き残ったはいいものの主を無くしちまって、食い扶持に困ってその場その場で奪ったり襲ったりでここに辿り着いたわけよ」
クロム「それじゃああなたの手下が持っていた樹脂の短刀や宝飾のついた武具は…」
「城が陥落した時のどさくさに紛れて宝物庫から奪ったんだよ。元主は*十諸侯の末裔、貴族の端くれだったからな」
*かつて大十国が一つの国家だったときに、創業の功臣それぞれに広大な土地を与えた。その十人の子孫を含めて十諸侯と呼ぶ
クロム「それじゃ聞かせて貰おうかしら。あの銃はどこで買ったの?」
「…………旅商人だ……」
クロム「旅商人?」
「盗賊を始めようと決めた時にハロゲンの近くで会ったんだ。宝物庫から奪った宝もほとんど使い果たして弓矢すら買う金もなかったんだが」
「一つだけ宝物庫から奪った中にあった売れもしない薄汚れた石を見せたら、武具一式と交換してくれたんだよ。しかも銃と弾薬まで」
クロム「石……?」
盗賊頭「確かコランダムって言ったけなぁ…いや岩石と混じっててとても値打ちがあるとは思えなかったけどな」
リン「…コランダム…?聞いたことないわね」
クロム「……………そんな…うそ……」
リン「……どうしたの…?」
クロム「……コランダムは別名皇玉、魔法使人のコランダム、皇玉技の名称はここから来ているんです」
リン「そういえば魔法使人の特殊能力の総称はそんな名前だったかしら」
クロム「今ではコランダムはその名称として定着していますが、かつては両方の意味を持ち合わせていました」
「死語になったのはその皇玉の効力、世界を統べる能力のためです。古い文献からもほとんど効力について削除されているのは時の権力者がコランダムの事実を隠すため」
849 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/13(月) 23:59:01.54 ID:0YZ.gYAO
えっと盗賊達が宝物庫の武具を未だに持っているのは護身用のために売るに売れなかったのです
850 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/14(火) 00:23:40.10 ID:MM9QQQAO
大十国の地図はまたいずれうpします、多分
アルミニアはハロゲンとはそんなに離れてません
大十国は本章、次章ではあんまし関わらないんですが…
あと、全くもって僭越ですが
キャラ絵とか描いてくださる方いたら嬉しいな~とかw^_^;
自分から言うことじゃないんですがね…ほんとは…
絵心があれば自分で描きたいのは山々なんですが何分下手でして…。
自分でも未だにキャラの容姿は朧気なので、かなりあやふやなんです、はい。
何かビジュアル的なものが絵にしろ何にしろ頭に残れば
キャラに動きが出やすくなると思うんです。さらに愛着も。
以前ニオブや、リン、女を描いてくださった方々
正直あの絵のおかげでここまで続いてるようなものなんです。
当時感激しておりました。今一度感謝。
というわけでこんな物語のキャラを描いて下さる酔狂な方がいらっしゃれば…是非!
ほんといらっしゃればでいいです。
やだって言う方は1の戯れ言と流してください。
851 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/14(火) 00:32:08.66 ID:MM9QQQAO
あ、勿論皆さんの応援のおかげでもあります、はい。
あと上手い下手とか、ラフであっても気にしないんで。
皆さんがどんな風に見えているのかっていうのも知ってみたいってのもあるんです…。
以上戯れ言でした。
続きます
852 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/14(火) 17:01:30.71 ID:MM9QQQAO
シアン(………コランダム……)
盗賊頭「へぇ……そんなすごいものだったのかよ……やるんじゃなかったな」
リン「コランダムの事実って…?」
クロム「私もよくは知りません…。でも…この世界にそれが複数個あり権力者がこぞって欲しがったのは事実です」
「私の推論ですが、石を所持することによって何らかの力を持つことができるか、例えば魔法使人の特殊能力の語源から辿れば」
「魔法使人にとって何か絶大な力を有することができるとか。世界を統べる力なら絶大なカリスマ性がもてるとか…、正直なところ効力は伝説の域です。存在は事実らしいんですが」
リン「そんなものが本当に…?」
盗賊頭「俺はちゃんとこの耳で聞いたんだよ!そいつら、このコランダムで楽しい世界になるから長生きしろってな」
シアン「楽しい世界って……」
クロム「………名前は?風貌は?どこへ行ったの!?」
盗賊頭「名前は聞いてねぇよ。確かこの隊商みたいに女が頭っぽかったがな、いや男みたいな女だったな。東に向かったはずだから多分こっちかタンタルだろうな」
クロム「……………いつ…?」
盗賊頭「3ヶ月前だ」
クロム「…わかった、もういい。縄を解いてあげて」
盗賊頭「おいおいいいのか?襲うかもしんねぇぞ」
クロム「やれるものならやってみなさい」
盗賊頭「……へへっ……わかったよ」
853 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/14(火) 17:33:35.55 ID:MM9QQQAO
奇跡的にも隊商に死者はなかった。
全員で話し合い、この付近は夜になると危険ということでイロンの隊商も4人に同行しランタンへ城へ行くことになった。
クロム(…コランダム……覇者の石……皇玉……コランダムの効力を知っていて手に入れたとしたら目的は…?やはり世界統一?でもそれがなんで大十国の小国の宝物庫に…?)
クロムは腕を負傷していたため
カジやシアンと共に荷台に乗っていた。
クロム「うっ………」
シアン「ちょっと痛いかもしれないけど…」
シアンの回復魔法で止血はできたものの、どうやら魔法使人への回復は時間がかかるようで
クロムはその間激痛に耐えていた。
クロム「……はぁ……はぁ……こんなのかすり傷です…。大丈夫だから魔力は温存しておいてください…」
シアン「ダメっ!ばい菌が入ったらどうするの?」
クロム「ばいきん……?毒のこと?」
シアン「あ…うん…まぁそんな感じかな」
クロム「それに…しても、カジくんはいつからそんなに強くなったの?」
カジ「あー…なんとなく、こうなったらこうできるんじゃないかっていうイメージみたいなものが頭にできて、それがうまくいったっていうのかな……」
クロム「でも、正直…かなりギリギリだった。少し間違ってたらカジ君がやられてたかも…。あの場面で私が見えていなかったらどうなっていたか…」
854 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/14(火) 18:10:13.98 ID:MM9QQQAO
イロン「カジさんかっこよかったですよ」
シアン「ってなんであなたも乗ってるの!?狭いんだけど!」
イロン「いいじゃないですかぁ」
カジ「いやぁー、それほどでもないよー」
イロン「あの奇襲が決まったとき、その…剣が輝いているように見えました。やっぱり使う人で武器はいくらでも強くなるんです」
カジ「あはは……」
シアン「…………」
イロン「そうだ!お礼と言ってはなんですが、皆さんに何か差し上げたいんで―」
ガタッ!!
イロン「きゃっ」
ムニュッ(胸の感触っ!!)
カジ「あっ…///」
イロン「っ…//」
カジ「はわっ…(やっ、柔らかっ!しかも何か突起物の感触がぁっ!)」
リン「ごめんなさい、大きな石があったみたい」
イロン「……///、大胆な方…嫌いじゃないです…//」
シアン「あぁーーーー!!それでお礼って何ですか?」
855 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage saga]:2009/04/14(火) 20:19:09.69 ID:YoMar2AO
>>1
のIDが何だか物凄い件
>>850-851
自分は絵は描けないなあ……、すみません
856
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/14(火) 21:05:49.50 ID:MM9QQQAO
>>855
いやいいんです、気にしないでください
857
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/04/16(木) 10:44:08.90 ID:Dgwm.cAO
予備校が始まっちゃったんで更に更新減るかもしれません。
申し訳ないです。
中止はないと思います。
自分はインプットしたら定期的にアウトプットしなきゃおさまらないたちなようでして
858 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/16(木) 10:55:44.28 ID:Dgwm.cAO
送信しちゃった…。
まぁつまり悶々としちゃうので
不定期的に投下します。
少し進行のペースあげようかな…
860
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/04/17(金) 21:20:17.73
ID:.yamK.AO
イロン「えっと…私達に差し上げられるものと言えば商品の武器ぐらいしかないんですが、それで宜しければ。カジさんには特別に私が選んであげますね」
カジ「う、うん…ありがとう」
すると後ろから、
フェルム「お頭!いいんですか!?品物ですぜ」
イロン「いいんです。ってお頭って呼ぶのやめてください!」
リン「ほらね、人助けしたらいいことあるでしょ」
カジ・シアン「リンさん……」
――――――――
ランタン城はもとはこのランタン郡に割拠していたある国の本拠地があった場所の跡地に建てられた。
アボガドロ軍による平定のあとに郡都として定められると
大十国への前線の備えとして城周りが強化される。
市城が立つ小高い丘の周りに濠を掘り付近を流れる河川から水を引き入れ環濠とし
更に場内には一万の兵士(住民除く)が一年は飢えることはないといわしめるほどの食糧が蓄えられているため
「ランタン城を陥とす前に自分の国が落ちる」と言われた。
ランタン城とプルト要塞はまさに双鉄璧である。
そのランタン郡の郡護太守はスラグ・コルリー、アボガドロ南伐軍の総大将であった父を持ち
二代に渡ってランタン郡を治めている。
齢42だが、その寡黙かつ権謀術数に長けた才覚を皇帝も一目置いている。
よく蓄えられた顎髭と細い目が特徴的である。
アルゴンがいる館―応接室
ガチャリ…
「これは皇子、お怪我がなくなりよりでございます」
コルリーは胸に手をあてる礼をした。
「それは本心か?」
アルゴンはいきなり問うた。
861 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/17(金) 21:40:09.86 ID:.yamK.AO
これ書いてるおかげで苦手だった化学が好きになった
これ書いてるおかげで知識欲が増した
これ書いてるおかげで本を読むようになった
これ書いてるおかげで文章構成について考えるようになった
これ書いてるおかげで日常の新しい発見を常に物語に利用できるかどうか考えるようになった
これ書いてるおかげで城ヲタになった(西洋中世、日本戦国、中国古代)
創作って大変だね><
862 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/17(金) 22:38:29.81 ID:.yamK.AO
コルリーは少し驚いたような顔をしたあと
「親子二代に渡り仕える忠臣に向かい本心かどうかなどを問われるとは…もしやハロゲンの件に腹を立ててらっしゃるのでしょうか?理由は聞いていらっしゃるはずですが」
「とりあえずそこに座れ、その件と他に聞きたいことがある」
コルリーはアルゴンに言われた通りに向かいの椅子に腰掛けた。
「政務が残っていますので手短にお願いしたい」
「単刀直入に聞こう。援軍を出せなかった理由だが、カルホルニウム軍の突然の侵攻で我々の後にハロゲンに入る予定だった3000の後軍をプルト沿岸の守備に回したはいいものの、ハロゲンに援軍として割ける兵員は僅かもなく派兵すると領内が空になるため断念した、と」
「相違ございませぬ」
「確かに、カルホルニウム軍の侵攻の方がタンタル軍よりも早かった。援軍が回されたあとにハロゲンの急報が入っただろう。だが、カルホルニウム軍の侵攻に対して何故守備兵員をそんなに割かねばならなかった?過去幾度にも渡る海戦ではいずれも沿岸を守りきり敗北はない」
「ならばプルトの兵員で守り切れたはずだ。なのにランタン郡の兵までかり出すとはどういうことだ」
コルリーは髭を撫でながら、
「我々には最初、カルホルニウム軍三万五千との情報が入っていました。後に誤報と分かりましたが、その時のプルト沿岸を守る兵員は一万に満たず、しかも今までプルトの海軍を指揮してきた水軍幕令が皇子がここを出立する直前に急死したので対抗力からみて兵員補填の必要があり、どうしてもハロゲンが開城し比較的前線から離れたランタンから割かねばならなかったのです」
「しかし実際は敵はいくらだった」
「一万です」
「もはやそれは誤報ではない!偽報ではないか!しかも後軍の指揮権は我らの下にある。誰が勝手に後軍の移動を命じたのだ!もしや貴様かっ!?ならば軍法違反だぞ!」
863 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/19(日) 23:23:17.43 ID:1zkytYAO
激昂するアルゴンに対しコルリーは不適な笑みを浮かべた。
「ですが皇子、いくら皇子の指揮下だったと言えども我国の領土の危機の際には所定の指揮官の指揮下から外れその状況において最良の指揮官の元に配属されることが現場の指揮官の判断によって軍団を操作してもよい、という軍法もあることをご存知ですかな?」
「その時皇子の後軍はこのランタン城の城内におりました。ならば必然的にその時の指揮官はわたくし。ならば最善の選択を模索し実行することもわたくしの権限のうち。軍法違反などと罵られるのは心外ですな」
「…………」
「確かに…。あなたの行動は何も間違っていない……。だが…権謀に名を馳せたコルリーがこの出来過ぎだ状況に疑問を持たないはずはないだろう…?」
コルリーは静かに頷いた。
「わたくしはすでに皇子のハロゲン市への郡護人選任の任命という時点で何かおかしいと思っておりました」
「ならばなぜここを通った時に言わなかったのだ!」
「お伝えしたならばお聞き入れになられたでしょうか?」
「……………」
「…………。この状況、あなたならばなんとみる」
コルリーは腕を組んで俯いた。
そして顔をあげアルゴンの顔をじっと見て、
「フハハ、それを聞いてどうするのですかな?遠回しせず、わたくしが敵か味方か知りたいとおっしゃいませ」
「…………。ならば問おう、敵か……味方か…?返答次第によっては…拷問も覚悟してもらわねばならんぞ」
866
:
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/04/20(月) 00:07:05.90 ID:OWrrtIAO
コルリーは溜め息をひとつつくと、椅子をたち窓の側にたち外を見つめた。
窓からは黄昏のあとの暗闇に備えて火付け役が街中の灯籠に火をつけているのが見え、ポツポツと赤い光点が街を明るくし始めた。
「……ニッケル皇弟の戦死、カルホルニウム軍の侵攻、ハロゲン市の突然の降伏、タンタル軍のハロゲン攻略……他にもまだあるでしょうが、これらから考えればアルゴン・ニッケル兄弟の暗殺またはアボガドロ帝国の威信低下を図る周辺諸国の合議による策謀と推察できますな」
「……………」
「わたくしは、やるべきことをやったまでに過ぎませぬ。例え策の歯車だったとしても。正直に申し上げますと、わたくしとて援軍を差し向けられなかったことは不覚ではありますが、もはや歯車に組み込まれていてどうしようもございませんでした。まして後軍を向かわせても三万の軍勢に3000の兵隊を当たらせたとてどうなりましょうや」
「…………」
「はっきり申し上げましょう。この状況においてはわたくしは中立です。皇子の味方でも敵でもございません」
「つまり、謀略には組していないと言うことだな?」
「はい、レプトンの神の名において誓いましょう」
「………よかった……」
「……?…よかった?」
「コルリーがもし敵だと言ったならばどうしようかと思っていたんだ」
「…はぁ…?」
「コルリー、そのまま中立の位置でこの謀略の結末を見ていてくれないか?」
「…………」
「私はコルリーを信じるよ、昔と同じように、な」
「……フハハ…かようなことを。皇子、簡単に人を信用してはなりませぬぞ。わたくしの口から出た言葉も嘘かもしれませぬ。人は簡単に平静な顔で嘘を言いまする。これから伏魔殿のような帝都まで帰還なさるならばまずは人を疑い信用することが命を長く保つ秘訣です」
「本当に敵ならば忠告などしないであろう」
「……ハハハッ、確かにそうかもしれませんな」
879
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/20(月) 21:58:14.07 ID:OWrrtIAO
アルゴンは少し目を瞑ってみた。
部屋の蝋燭の光が瞼の裏にかすかに映った。
コルリーがまだ幕令だったころ、
ある国がアボガドロ帝国によって滅ぼされた。
ちょうど国境付近までコバルト帝が来ており戦勝の祝いと新しい領内の視察も兼ねアルゴン、ニッケルを連れて滅ぼした国の領土を見て回った。
しかし、滅ぼした国の残党が占領軍のある将と結託し謀叛を画策、実行する。
運よくコバルト帝とニッケルは王都を脱出し自国領に避難したが、アルゴンは混乱に巻き込まれ本隊とはぐれてしまい王都付近の廃城に逃げ込んだ。
残党は王都を奪還し虜になっていた王族の王子を擁立、独立を宣言する。
アルゴンが王都付近で行方不明になった事実を知ったコバルト帝は焦った。
もし敵に捕まればどういう要求をしてくるかわかったものではない。どうしたものか…。
命からがらの逃走と信頼していた仲間、部下が裏切ったことはみなに懐疑心を植え付けるのに十分だった。
二日に及ぶ議論の末、王都付近に残存する部隊に皇子の捜索を頼むことになった。
残存する部隊が次々と敵に降伏する絶望的な状況の中、
ランタン郡の南伐で名を馳せたサリード・コルリーの息子、スラグ・コルリーの部隊が王都付近の砦で味方の救援を待って籠城していた。
敵の猛攻を三度も撃退したとき皇子捜索命令の一報が入る。
戦略的要地でない事から籠城している砦を囲む兵の数は徐々に国境へと移り少なくなってきていた。
コルリーと部下達はこの機を狙い砦を打って出、部隊を二分し
皇子の捜索とそのあとの国境までへの脱出方法をどうするかを議論した。
孤立無援、四面楚歌の状況下で皇子を見つけるのは至難、
さらに生きて脱出させねばならない。
しかも残存する味方部隊と遭遇しても敵に降伏した可能性があり全く信用ができない。
地図と睨み合いを続け、捜索路、脱出路が決まったが敵の動きによってはどちらかの部隊が犠牲になる可能性があり安全はなかった。
887
:
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/22(水) 21:30:23.10 ID:e7yy1QAO
またつまらぬチラ裏ですが
授業型の予備校に通い始めたので毎日かなり大変になりました…。
宿題や小テストもかなり多く、なかなか構想を練ったり書く時間が限られてきています。
規則正しい生活でテンションもおかしくなってきましたよっと。最近変なテンションなのはこのせいかな。
おそらくこの調子が一年ほど続くかもしれません。
しかも受かって大学生になればそれはそれでまた忙しそうだし…。
はてさてこの物語マジで終わんのかよっと。
正直最後まで書ききる自信はありません…。
ですが上で言われていたように自分のペースで少しずつでも進めてはいこうと思います。
創作をすることによって視野も広がったし、知識欲も旺盛になってきました。
なので決して勉強のマイナスにはなってはいないはずです。
あ、レプトンの神について解説がなされていませんでした。
後々また注釈いたします。
888 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/04/24(金) 18:40:32.33 ID:hKqSIyAo
ゆっくりでいいからきちんと完結させてほしいな
初代スレから追いかけてるからな。この際最後まで付き合うぜ
ただし重要度は
志望校合格>>>>>(越えられない壁)>>>>>このスレ
だからな? それだけは忘れるなよ
889 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/04/24(金) 20:02:46.32 ID:eUuizEDO
>>888
に全力で同意
体に気を付けてな(^ω^)
890 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/24(金) 21:55:48.86 ID:eHNWREAO
>>888
ー889
言われなくてもわかってるぜっ
ありがとな。
ただ…完結できるかはあんまし自信はないです、はい。
最後辺りの結末はある程度考えてはいますが、そこまで到達するのが……ね。相当時間かかっちゃいそうでね…ライフワークになっちゃうよ。
前言ってた各章の予定とかあったけどあれチャラね、チャラ。
こんなんふとした思いつきの予定通りにいくわきゃないんですよ。
しかし、章があまりに漠然なので区分けするのもありかな、とは考えています。チャプターとか。
あ、4章は予定通りにいきます。
でもあんまし間隔あきあきだと設定とか流れ忘れそうだな…。
891 :
1
◆DlyW/s
8
ibQ
[sage saga]:2009/04/27(月) 17:00:17.83 ID:Lsn0ZIAO
作戦は議論の末、
城内の兵を守備と捜索にわけ、薄くなった包囲網の隙間を敵に発見されぬよう脱出
さらに脱出した捜索隊を二つにわけて周辺の民家や廃屋、皇子の逃走したと思われる付近を重点的に捜索することになった。
敵が皇子が自国内で行方不明であることを知る前に発見、脱出させることができるかどうかは
隠密行動と捜索速度にかかっており
コルリーはそこを部下達に強調するとともに
自ら捜索隊の片方を率いることにした。
明朝、陽の光が山の輪郭を映し出したころ
砦に籠もる500人のうち選出された200人の捜索部隊が砦に作られていた地下道を通り包囲網から脱出した。
敵の斥候の索敵範囲から抜けた場所で隊を二つにわけ別行動となった。
兵士は甲冑を脱ぎ捨て、帝国とわかるものを全て外し剣のみをもって脱ぎ捨てたものを近くの沼に沈めた。
コルリーは別れ際に言った
「もし、民間人に見つかったら子供だろうと容赦はするな、敵と鉢合わせたなら逃げろ。逃げて一人でもいいから皇子を逃がせ」
頷く兵達の顔には朝露と汗でぐっしょりと濡れていた。
朝日が地上を照らしだしたとき
コルリーの隊はすでにひとつめの目的地に着いていた。
古城である。しかし誰もいなかった。
そうこうして三つ目の目的地の打ち捨てられた砦に着いたときには陽は天井にきていた。
コルリーは砦の入口で足を止めた。
(蹄のあと…まだ新しい…しかも少ないな)
この山林の間に聳える朽ちた砦の中に人間が入ったことは確実であった。
コルリーは兵士達に待機を命じると数人を引き連れて中に入った。
奥の間に入ると馬数頭と瓦礫にうなだれて座る二人の人間がいた。
「何者だ!?」
二人はこちらに気づくととっさに剣を抜いた。
とても弱々しい声であったがコルリーにはそれがアルゴン皇子そのひとの声とわかった。
892 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/04/28(火) 18:54:55.37 ID:KWGgy.AO
声変わりの最中であろう威勢のいい貫き通った声は構えた剣先とともに震えていた。
隣には腕を負傷し剣をうまく掴めていないものがいた。どうやら従者のようである。
「皇子、私を御存知ですかな」
コルリーが優しい声で問うた。
アルゴンは自分の正体を知られていることに少し驚いた様子だったが、話しかけている者が誰かわかったようで
「コルリーだな」
と表情を変えずに答えた。
コルリーはニコリと微笑み
「ご記憶に留めていただき感謝いたします」
しかし気持ちを緩める様子もなく、何用だ、とアルゴンは威嚇するように問うた。
コルリーは答えた。
「陛下の御命令にて皇子を救出に参りました、脱出路の手配はしてありますのでどうか我々に同行して頂きたい」
「黙れ!」
アルゴンの枯れた怒声が瓦礫の砦内に響いた。
「貴様も帝国を裏切った叛逆者であろう!私をひっ捕らえて敵に引き渡すつもりだろうがそうはゆかぬぞっ!」
すると横にいた従者も声を張り上げた。
「この味方が味方でない状況下ではあなたがたを信じるということのほうが無理がある!ことにコルリー殿は策士としても有名!この謀叛もあなたが唆したのではなかろうな!」
この罵りのあとでもコルリーの表情はかわらなかった。
893 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/05/02(土) 12:42:02.70 ID:svjOb6AO
コルリーは切り返して、
「わたくしがこの反乱の首謀者ならば、どうして鎧も付けずに参ったのでしょうな。それにわたくしならば手傷を負った少人数を相手にするなら武装した大人数で自害する隙も与えず捕縛するでしょう」
確かに。コルリーになら造作のなきことであろう、とアルゴンは頷いた。
しかし疑い畏れる眼は依然としてコルリーに向けられていた。
コルリーは言った。
「どうしても信用できませぬか?」
できぬ、とアルゴンは答えた。
さればどうされるのか、と返すと、
何も答えない。
コルリーはふぅとため息をついた。
「…皇子、ならば賭を致しましょう」
「賭?」
「わたくしが、叛逆者か忠義者か、のです」
「…戯れ言を抜かすな!」
コルリーは不適な笑みを浮かべ
「皇子、正直に申し上げください。わたくしが叛逆者という確信をお持ちでいらっしゃるのか、また忠義者という確信をお持ちなのか」
894 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/05/02(土) 12:59:24.15 ID:svjOb6AO
「…………」
アルゴンは言葉に詰まった。
そう、この目の前で微笑む人間を叛逆者と決め付ける証拠はどこにもないのである。
忠義者という証拠も。
そう、誰も信用はできない。
ここまで逃げる途中、アルゴンに付き従った者は今隣にいる者を除いてみな裏切った味方によって殺されたか捕らえられた。
ある者は盾となり、ある者は突撃していった。
この極限状態の中では疑心暗鬼に陥るのも無理もない。
信じることで自分が辱められる可能性が増すことが何よりも怖かった。
なによりそんな愚かな自分を見たくなかった。
ならばこのまま逃げおおせて難を逃れきるという砂粒程度の可能性にすがりつく精一杯のあがきをするか。
しかしそれも端から見れば滑稽であった。
アルゴンの心は発展途上の自尊心と恐怖と懐疑心でぐちゃぐちゃになっていた。
何を信じていいのか分からなくなっていたのである。
「どちらもない」
アルゴンは間を置いて答えた。
「ならば賭ができます。お好きな方にお賭下され」
「………」
アルゴンにはコルリーの真意がよく分からなかった。
すると従者がコルリーを指さして言った。
「一幕令如きのあなたがアルゴン様と賭とはどういうおつもりか!?さてはうまいこと口車に乗せアルゴン様をたぶらかす気だな!」
「まて」
アルゴンは従者の口を封じた。
アルゴンはコルリーの髭面をまじまじと見た。
「この賭、そなたの真意の証明ができねば成立せぬではないか」
コルリーは頷いた。
「……気づかれましたか。そうです、人の心の真意など証明しようがないのです。明日になればわたくしの心も変心しているかもしれません」
「つまり信じるとは相手の外聞、性格、印象を元にした不安定な仮定にしか過ぎないということです」
「……何が言いたい」
「他人を簡単に信じるな、ということです」
アルゴンはふっと吹き出した。
「さっきまで信じろと言っていた奴が人を簡単に信じるなとはどういうことだ」
895 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/05/02(土) 20:07:17.05 ID:svjOb6AO
コルリーの目つきが鋭くなった。
「人を信じることは義であるかもしれません。しかし安易に信じて背かれればそれは愚です。皇子、わたくしは全てを信じるなといっているのではありません」
「短慮と一時の感情で流されずこの大局を視野に組み入れて、そこで初めて何を信用、そして利用することが一番よいのかお考えください」
従者は腕を押さえながらまた叫んだ。
「皇子!このような戯言など聞き入れてはなりませぬぞ!」
「はっきりと申しましょう!!」
コルリーは従者の言葉を遮るように声を張り上げた。
「もし皇子が我々を信じずここに残り、敵の擒になったならどうなるかは皇子はよく御存知のはずです」
「まず間違いなく交渉に利用されひいては皇子のお命を交換条件に反乱軍の独立を認めさせることになるでしょう、そうなると帝国はそれを呑むしかなくなります」
コルリーの深く力強い低音の声はアーチ型の天井によく響いた。
「帝国の威信は失墜し、この領土を切り取るために尽力した者達の死も無駄になってしまう。そうなるくらいならば………」
「…今、この場で皇子を殺さねば参りません。そしてその首をもって部下達の助命を請いに敵方に降伏いたします」
896 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/05/02(土) 20:27:12.12 ID:svjOb6AO
アルゴンはたじろいだ。この男の目は本気だった。冷たく、鋭く、決意に満ちていた。
「…お、脅すのか…?この私を…皇帝コバルトの嫡子である…この私を…」
剣がワナワナと震え、威勢のよい声は言葉にならぬ声となった。
コルリーは続けた。
「…門前とここに集まった者達は皇子を救出せんがために命をかける所存で集まった者達でございます。無論このわたくしもですが。…我々は皇子を信じております、だからこそ死地をくぐり抜けここに参ったのです。」
見れば居並ぶものの衣服は泥まみれで所々破れていた。
「安易に信じるなとは申しましたが、…この、敵か味方かもわからぬ懐疑渦巻く地獄で我々を信じてくだされればどれほど報われましょうや、どれほど奮い立てましょうや」
「……………」
アルゴンの手はまた震えだした。
なにやら心の奥底からくる恐怖でも怒りでもない震えである。
そして考えた。この状況で意外なほど冷静に考えることができた。
「皇子!!こんな下郎の言葉などっ……ゲホッ…ゲホッ」
従者の言葉がまるで届いていないかのようにアルゴンはピタッと静止していた。
信じることがこんなにも難しいとは…。
しかし…これで騙されていたとしても……本望だ。
所々壁が崩壊した部屋内に涼しい風が通り抜けた。
コルリーはまた問うた。
「どちらに賭ますか…?皇子」
897 :
1
◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/05/02(土) 20:37:00.72 ID:svjOb6AO
チラ裏
やばい、数学ヤバいよっ!
つーか逆に数学さえできればあとはなんとかなりそう
フランスのモン・サン・ミシェル、ヤバいよ
なにがやばいって…全てだよ
格好良すぎるよ、住んでみたいよ
知らない方は画像検索でもしてみてね
西洋の城にワクワクするようになってきたほんと
898
:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2009/05/03(日) 09:06:09.13 ID:tS1oEcAO
モンサンミシェルを知らない奴はまずいないだろww
いやー、フランスは良いよね。アルルとかに住んでみたいわ。フランスに数多くあるワイン街道をレーサーで制覇してもみたいし。
ああ、凄さが全く違うけれど、シュヴァルの理想郷あたりも衝撃を受けるんじゃないかな。
899 :
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◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/05/03(日) 09:54:05.75 ID:TspugoAO
>>898
自分は最近までモンサンミシェル知りませんでした。。
見ても忘れてたかもだけど
シュバルの理想郷かぁ
なるほど、一人の人間が…すごいなぁ生で見たいなぁ
アルルも見てみたい、住みたい
つーかフランス行きたい
900 :
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◆DlyW/s8ibQ
[sage saga]:2009/05/03(日) 12:29:15.59 ID:TspugoAO
アルゴンは向けた剣を鞘にしまった。
「君の忠義に私の命を賭けよう」
コルリーはこの言葉を聞くと深々と頭を垂れた。
「……必ずや数倍にしてお返しいたしまする」
そのとき部屋の入口から急報を告げる声があがる。
「幕令殿!先程分かれた別の部隊が不覚にも巡回中の敵隊に遭遇し交戦!ことごとく討ち取られた由にございます!」
皆に緊張が走った。そしてコルリーに同行した部下の一人が、
「して、我々の作戦が露見したのか!?」
「はっ、逃げてきた者の話では捕らえられた者が口を割ったと!すでに中隊規模の隊が此方に向かっております!すぐに脱出をっ!」
事態は急を要した。
恐らく敵は自分の手の中に最大最強の切り札が紛れ込んでいると知れば血眼になって手の中を虱潰しに捜すだろう。
すでに付近一帯を封鎖し始めていることは大体予想がつく。
帰路は危険な岐路となってしまったのである。
皆が伝者の方を向いていたそのとき―
ザクッ
「っ…!」
ドサァッ
アルゴンに付き従っていた従者が皆が目を離している隙に自らの腹を短刀で刺した。
「………なっ…!!何を!」
アルゴンはすぐにかけ寄り手で傷口を押さえた。
場は騒然となった。アルゴンは何が何だかわからぬまま、
「何を考えているんだっ!」
「も、申し訳御座いませぬ…、逃げる…ならば、私は足手まとい…で……」
「も、もう何も話すな!馬鹿者!」
しかし、従者は息絶えだえの声で囁くように言った。
「皇子……奴は…何を考えているのか分からぬ男です…決して心から信じ…ぬ…よう……しかし……今は…藁をもすがる気持ちで…逃げぬいて……」
すると口から大量の血を吐いて息絶えた。
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最終更新:2009年09月24日 15:56